寒波が襲った日曜日の朝。このような日は鯉の食いが異状に活発になる。27年の鯉歴の勘が走る。秘伝の練り餌の爆弾を川に投げ込み、待つこと2時間。けたたましい鈴の音が、私と鯉と格闘の序章の幕開けだった。上流に下流に走ってジャンプを繰り返す。その度に糸を繰れては巻き、巻いては繰れる。海老のように竿が曲がりリールがきしむ。互いの持てる知恵を振り絞る熱闘は、私に凱歌が上がった。15分の鯉とのファイトが緊張とスリルの満足感に体が火照る。計量後の放流する瞬間に、神々しいまでの清々しさに包まれる。釣り師だけの至福。
出水市 道田道範(57) 2007/1/21 掲載
写真はこうすけさんよりお借りしました。
出水市 道田道範(57) 2007/1/21 掲載
写真はこうすけさんよりお借りしました。