はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

春の香り

2007-03-22 08:56:24 | はがき随筆
 「少し風が暖かくなってきたね」
 「日も長くなってきたよ」
 「おや、土筆の坊やも顔を出し始めたね」
 「たくさんの兄弟たち、そろそろ僕たちも花を咲かせようか」
 「そうしよう、そうしう。春を知らせよう。喜んでくれる人がいるよ」
 紅色の小さなつぼみが一つ、また一つと開き、白色の小さな手まりのような花を咲かせた庭の沈丁花。
 「行ってきます」
 朝、戸を開けると、沈丁花の何とも言えない春の香りが漂ってくる。じっと見つめ、思わずにっこり。心が和む。
   出水市 山岡淳子(48) 2007/3/22 掲載

写真はバセさんからお借りしました。