はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

毎日ペンクラブ鹿児島・2007年度総会と年間賞表彰式

2007-05-23 22:09:28 | 毎日ペンクラブ鹿児島



小村忍さんの受賞挨拶


行く春や 鳥啼き 魚の目に泪 
古典に造詣の深い支局長のお話を、もう少し聞きたかったなぁ




蔵書コーナーには他県のグループから贈られた自主出版本や会報などが並んでいます


ブロック交流会


 はがき随筆06年間賞表彰式が、5月13日、鹿児島市中央町の鹿児島市勤労者交流センターであり、出水市大野原町、小村忍さんに、竹本啓自・毎日新聞鹿児島支局長より、トロフィが贈られた。受賞作は「埴生の宿」。今は廃屋となった少年時代に過ごした母屋から、家族の思い出を懐古する内容。受賞後、小村さんが朗読すると、会場から拍手が起きた。選者の吉井和子・鹿児島女子大名誉教授は、家庭崩壊が叫ばれる現代社会には、こうした作品が必要だと感じた。と話された。
 小村さんは、6月10日に北九州市で開催される、毎日新聞西部本社主催の、大賞表彰式に鹿児島県代表として参加することとなった。大いに期待しよう。
表彰式後、竹本啓自支局長の講演があり、重要なポイントを示して話された。
<要旨> 
不特定多数の人に読んでもらうには、独りよがりをさけ、具体的に描写することが大切。書くことは確認することであり、資料を持たぬ物書きは落第生! 辞書は必携です。そして決まり文句は抜きなさい…と。
   むずかしいなあ。

 午後は毎日ペンクラブ鹿児島・2007年度総会と、ブロックごとの交流会で仲間たちと親睦を深め、秋の研修会での再会を約して散会した。

はがき随筆4月度入選

2007-05-23 19:39:24 | 受賞作品
 はがき随筆4月度の入選作品が決まりました。
△ 鹿屋市打馬、伊地知咲子さん(70)の「おまけ」(9日)
△ 出水市緑町、道田道範さん(57)の「銀鱗踊る」(7日)
△ 薩摩川内市高江町、上野昭子さん(78)の「失敗に悔いなし」(30日)
の3点です。

 爽やかな5月ですね。「おまけ」によれば、ある朝、目覚まし時計に起こされた伊地知さんは、用事を思いついてさっと起きます。小さいながらこんな選択を繰り返しながら生きるのだと思いついた彼女は、これが毎日を意識して生きる一つの例だと考えます。すると平凡な毎日がキラキラ輝きはじめたと言います。立派。立派ですよねえ。
 道田さんの「銀鱗踊る」は、自宅近くの川で、2000匹以上のハヤの大群を見つけて釣った時の話。餌を投入すると道糸がピンと張り、抜くと銀鱗が跳ねて踊るとか。看護の多いスピーディーな文体から、道田さんの破裂寸前の心臓の鼓動も伝わる、内容豊かな文章ですね。上野さんの「失敗に悔いなし」は、書についてです。上野さんは、自分の書の額装についてじっくり考えました。薄墨を含む大筆を紙に突き進め、結果の良否にとらわれず穏やかに書を楽しもうと、言います。「無我の境地」。この言葉が、いいですね。この言葉にこめられた、深い思いが読み取れます。
 4月に出された文章は、皆さんの奥深い思いがこめられたものでした。じっくりと文章を書き進めることがどれほど人の精神を鍛えるか、感じさせました。吉井三男さんの「負けてなるか」や、別枝由井さんの「反抗期?」、新開譲さんの「眼瞼下垂」などは、大変おもしろい。いずれも、短くて気の利いた、しゃれたもの。暮らしの中での思いをピリッと表現して、すっきりすることは気分のいいものでしょう。必要なことですよね。さて、さわやかな5月を、皆さんはどう過ごしますか。幽玄の人生、楽しく、明るく、人に喜ばれましょうよ。皆さんの文章を読みそんなことを思いました。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)

係から
 入選作品のうち1編は26日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。