はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

I LOVE YOU

2007-05-29 16:37:54 | アカショウビンのつぶやき




 ムツゴロウさんこと畑正憲さんの講演会がありました。
会場には動物大好きな子供達が目を輝かせて集まっています。
開場のベルが鳴る前に、ちょっと客席を覗いたムツゴロウさん、
背をかがめて最前列に陣取った子供達の席に近づき、あの人懐こい、いやいや人間だけでなく、すべての生き物に向けられる、あの優しい笑顔で、子供達とお喋りが始まってしまいました。
 開始時間となり、司会者に呼び戻されたムツゴロウさん
「あの子たちの引力に引かれてしまいました…」と。
「動物たちの思いが分かる人になりたかった」と言うムツゴロウさんは、さまざまな動物たちの言葉(鳴き声)を紹介しながら、熊や象とも心を通わせた愉快な体験を話され時間のたつのも忘れてしまいました。講演の後は質問が続き、最後に質問した男の子が「ムツゴロウさんはライオンに指を咬まれたのですか」と聞くと、「前に出ておいで」と差し出した右手は中指の先がないのです、びっくりしました。
 咬まれても蹴られても、静かに「I love you」と声をかけながら、動物たちに近づいていくムツゴロウさん、感動の2時間でした。

コウノトリだよ

2007-05-29 09:17:57 | はがき随筆
 忘れもしない。6年生の時だ。きっかけは覚えていないが、赤ちゃんはどこから産まれてくるのかの論争が起こった。私は母から聞かされていたので確信を持って、「母親のお腹を割くんだ。母の腹にはその傷跡が残っている」と言った。間髪を入れず、いつもはおとなしいS君が「それは違う。隣のおばさんは病院への途中、リヤカーの上で生んだ」と反論した。目撃者にはかなわない。涙が出そうになった。悔しさのあまりか、その結論は覚えていない。そう言えば、コウノトリが絶滅の危機に瀕しているそうだ。これで少子化もうなずけるというものだ。
   肝付町 吉井三男(65) 2007/5/29 毎日新聞鹿児島版掲載