はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

スモモの季節

2010-06-10 20:51:41 | アカショウビンのつぶやき
 鹿児島では、田植えの頃にできるので「田植え桃」とも言われるようですが、真っ赤なスモモは甘酸っぱくて?? の味…。

 毎年この時期、Tさんが届けてくださるのですが、去年は、ほとんど、お猿さんに食べられたそうで、2年ぶりのスモモです。

 今日は、Tさんの応援をいただき、大掃除と模様替え、部屋中の建具を外して夏バージョンに替えました。

 今年は桜島の降灰が激しかったため、お掃除をサボった結果は、ご想像通り…
休憩タイムは、スモモでエネルギーを補給し、9時から午後5時まで汗だくで頑張りました。

 毎年、夫の召天記念会の前に、庭の手入れと模様替えをしますが、各部屋のホットカーペットの片付けが大仕事です。助っ人なしではどうすることもできません。Tさんのご主人は庭の手入れ、奥様は家事の応援をしてくださり、独居老人をしっかり支えてくださいます。
本当に「遠くの家族より、近くの友人」なんですねぇ。

不安な夏

2010-06-10 20:48:34 | はがき随筆
 冬から春、そして初夏とたしかに季節は移ってゆくのだが、今年の気候はやはり異常であ
る。暖かい冬の次に寒い春。そして雨の多い初夏。
 地球が落ち着きを失ってしまったような錯覚を感じる。世の中、相変わらず変動が激しくさまざまなことでもめている。この地球ももう長くはないように思えてならない。もう少し人間らしく仲良く生きてゆけないものだろうかと思う。
 梅雨の季節を迎えるが、果たしてその後どんな夏がくるのか、少し不安なこのごろである。夏らしい素晴らしい日々を待っているのだが……。
  志布志市 小村豊一郎(84) 2010/6/10 毎日新聞鹿児島版掲載

ご褒美?

2010-06-10 20:11:40 | 女の気持ち/男の気持ち
 たまりにたまった机の上の郵便物、カタログ類。それを一つ一つ確かめながら、これはもう用済みだからゴミ箱行き、要対応書類だからそのまま机上に、要保存だから引き出しのファイルに、と分類していた。保存する書類をしまうため引き出しからファイルを取り出すと、イヤリングの片方が挟まっていた。数年前になくしたとあきらめていたものだった。
 さらに机の片づけを進めていくと、新聞が1部手つかずのまま出てきた。私の投稿が載った日の分で、販売店から余分にもらってきたまま行方が分からなくなり、捜していた。これで切り抜きができる。
 明日は夫の手術日。3度目ともなると私は慣れてしまって、週末には退院だと家事の予定など立てている。ところが夫の方はそうではなかった。前回までの緊急手術と違って、今回は半年前から予定されていた。夫は入院の数日前から身の回りの片づけを始めた。普段は散らかしっぱなしなので「いつもこんなに、片づけてくれたら助かるのに」と、悪妻の私は薄情にも黙って見ていた。
 前回同様、1週間もしたら「調子が良くなった」と言って帰ってくるに決まっている。私も片づけでもして、久しぶりにすっきりした家で迎えてあげよう。
 良妻に変身した私に、イヤリングと新聞の出現はご褒美なのかしら。ちょっと戸惑いながらも勝手に合点した。
鹿児島県出水市 清水 昌子・57歳 2010/6/9 毎日新聞の気持ち欄掲載

そばの花

2010-06-10 20:02:41 | はがき随筆
 郊外の里山近くの畑に、白い小さな手袋のような花を咲かせている。そばの花である。
 風になびいて揺れている様はノスタルジアを感じさせる。
 この花が、やがては三稜形の黒褐色のソバの実になるのである。
 今は亡き田舎の祖母が団子状のソバをソバ切り機で細い麺にしていたのを思い出す。
 時々、ソバを食べるが、祖母のソバの味よりも、ソバ切り機が、実家にあるかが気がかりだ。
  鹿児島市 下内幸一(61) 20106/9 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はsanaaiさん