はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

尚志館高校

2013-04-05 21:15:14 | アカショウビンのつぶやき
 鹿児島県大隅半島から、初めてセンバツ高校野球大会に出場し、
見事に1勝を上げながら、
2回戦では力及ばず無念を噛みしめた尚志館高校。
 「よくやった!」
皆が称賛の言葉を贈った。

その尚志館高校に応援団優秀賞が授与された。
はるばる鹿児島のへき地から、応援に駆け付けた
多くの支援者の方々に心から感謝したい。

そして全員が大隅半島出身者という、
大隅の底力をこれからも発揮して頑張ってほしい。

応援有難うございました。

今年の桜

2013-04-05 19:32:09 | はがき随筆


 苗を植えて3回目の春を迎えた今年、5本の河津桜が見事に咲いた。2月中旬には満開となり、一足早い春が我が家へ。
 大好きな春を誰よりも早くと思いながら、昨年までは花が少なく、裏切られた気分で眺めていたのだ。ところがどうだろう。枝の先まで花、花、花と咲き誇る様は、吉野で見た桜、いや高遠、上野にも負けない。
 メジロが群れをなし、それを追うようにけたたましく鳴きながらヒヨドリが飛来。そして暇な僕が何度となく木の下に立つ。そんな日々を2週間ほど楽しめた。花吹雪となり、花びらと戯れる妻は童女のようだ。
  志布志市 若宮庸成 2013/4/5 毎日新聞鹿児島版掲載

発表の朝

2013-04-05 19:10:57 | はがき随筆
 その朝、いつもより早く起きた。何をするというわけでもないのに、何となく落ち着かない。新聞を広げてみるが、気もそぞろ。公立高校の合格発表の朝である。祈るようにして孫息子からの連絡を待つ。
 時計が午前11時を指す。気持が沈みそうになったその時、電話のベル。私は飛びついた。上ずった声で発表の結果を聞く。孫の声は一段と弾んでいる。「よかったねぇー」。合格の知らせに安堵する。そして明るい気持ちで庭へ出た。真っ赤なツバキたちが一斉に「おめでとう」と声をかけているようだ。私は青空に向かって大きく深呼吸をする。
  鹿児島市 竹之内美知子 2013/4/4 毎日新聞鹿児島版掲載

桃源郷

2013-04-05 18:56:57 | はがき随筆


 「今が一番の見ごろだよ」と妹が、自宅から車で5分程の桃畑に案内してくれた。
 広々とした畑には、春の陽をさんさんと浴びた、大きな桃の木が6本、四方に枝を広げている。満開の桜は、この世の春を独り占めしているように咲き誇っている。向こうの木立から聞こえるウグイスや野鳥のさえずりが、何とも心地良い。
 世間の煩わしさから逃れ、青空の下でのんびりと時を過ごす妹婿の満足そうな顔が、目に浮かぶ。桃源郷にいる気分だろう。
 うれしそうに出かける夫を「今日もお出かけですか」と妹は冷やかしている。
  伊佐市 山室浩子 2013/4/3 毎日新聞鹿児島版掲載