はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

内部障害者マーク

2013-07-04 15:34:44 | はがき随筆
 過日、某新聞で、心臓などに外見からは分からない障害がある内部障害者を示す、「ハート、プラスマーク」が存在していることを初めて知った。
 私たち内部障害者は、見かけは健常者となんら変わらないため、電車などの優先席に座っていると、白い目で見られたりするなど、いろいろと周りに気を使うことが多い。
 これを首から下げたりしていると、周囲の人の目に付きやすく、理解が得られやすいのではないだろうか。このマークが、多くの内部障害者の良きパートナーとして、普及するよう期待してやまない。
  鹿児島市 川端清一郎 2013/7/1 毎日新聞鹿児島版掲載

近くて遠い間柄

2013-07-04 15:27:33 | はがき随筆
 鹿児島に引っ越してきて3カ月がたった。夫の異動で、愛媛県から来た私たちにとって、まず最初に気になったのは、讃岐うどん専門店の看板だった。
 店名に「伊予」の2文字が入っている。讃岐うどんは「うどん県」を名乗る香川県の名産。これはいいのだが、伊予は愛媛県のこと。名産品はミカンだ。うどんは、名物とは言えない。
 「なぜ伊予なの?」と、どうしても引っかかってしまう。鹿児島に来てすぐ「四国って、どんな感じですか」と尋ねられた。愛媛にいた時も「九州って、行ったことない」と言われたっけ。ああ、近くて遠い四国と九州!
  鹿児島市 津島友子 2013/6/30 毎日新聞鹿児島版掲載

疎開児童だった

2013-07-04 15:15:55 | はがき随筆
 友、遠方より来たる。うれしいではないか。遠い日の記憶を共にする同窓生だ。
 2人の話は台湾・台北市での様子に始まり、学童疎開、草山へと移った。戦災を避けての集団疎開地、草山は、しかし私たちには戦場のようだった。
 玄米をそれぞれの瓶でついた食では腹下しが止まらず、防空壕もよく掘れなかった。下痢がばれると即禁食なので、私たちは隠れて下着を洗った。できものやシラミにも悩んだ。
 劇の練習は何とか楽しかった。そういえば兵隊さんから逆に慰問を受け、女性役に驚いた。
 あれから68年生きてきた。
  出水市 松尾繁 2013/6/29 毎日新聞鹿児島版掲載