はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

ゴーヤンの風景

2013-07-15 12:42:00 | はがき随筆
 妻が夏の日よけに私の部屋の前に植えたゴーヤン4鉢。早くも3㍍に伸び、20センチの実を2本、他にも6本実らせ、日々伸びゆく風景。強い生命力をみて、老いの私に元気をくれての日々がうれしい。
 鹿児島では一般名「ニガゴイ」と呼ばれ、今は都会名でゴーヤンに。良質の栄養野菜に認知され、多くの人に食用されている。近づいて、よく観察すると、害虫がいるのに驚く。
 これからの盛夏に向け良い日よけになり、多くの実を付けてくれる。新しい夏の風物詩の発展が楽しい。妻に感謝する。どんどん伸びよ、ゴーヤン。
  鹿屋市 小幡晋一郎 2013/7/15 毎日新聞鹿児島版掲載

シロアリ

2013-07-15 12:35:19 | はがき随筆
 羽を落としたシロアリが畳の上をはっていた。悪夢がよみがえる。築二十数年、過去3度摂食された。海岸の松林を近くに控えている。埋め立て地であるとか、原因は云々された。
 目標、発見。灯火のさす方に、桃源郷あり。体育館と交差点の水銀灯の明かりを目指せ。羽アリは新しい営巣場所を求めて、一斉に飛び立つ。砂地の松林の母巣だけでは子孫が残せない。新コロニーをつくるのだ。
 退職金も前借りして修理したので、蓄えはない。いいかげん私の家を目標にするのは、やめてほしい。この季節、羽アリを見る度、びくびくしている。
  いちき串木野市 新川宣史  2013/7/14 毎日新聞鹿児島版掲載

そんな気分

2013-07-15 12:00:36 | はがき随筆
 「この間、食事に行ったらねぇ」───。いつも穏やかで優しい彼女が話す。場所はどこ? お店の名前は? 次々に言葉が私の頭を駆け巡る。
 「そのお店に置いてあった文集にあなたの名前を見つけたの。エッセー書くの? 知らなかった」。あなたとエッセー? 
 とても意外な様子。エッセーを書くに至ったいきさつを一気に説明する私。いつもの穏やかで優しい笑顔で相づちをうって、私の長い話を聞いてくれた。久しぶりに今まで書いたエッセーをゆっくりと読み返す。今の気持ちを早くつづっておきたいそんな気分。彼女に感謝。
  垂水市 宮下康 2013/7/13 毎日新聞鹿児島版掲載