はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

私の願望

2014-04-08 11:24:47 | はがき随筆
 夫は散髪が嫌い。だから白毛が伸びて、ふさふさ。その様子は浦島太郎が玉手箱を開けて白髪の老人になった、正にその通り。しきりと散髪を勧めるが、がんとしてその気なし。
 ある日、やっと重い腰を上げ理髪店へ。短くさっぱりなると染めやすいから私が仕上げる。
 すると来客に、60代と見られて恥ずかしうれしの笑い顔。
 早速、葬式参列に準備万端。自慢気で私が「たまには、人の意見も聞くことよ」と。
 つれもって顔まで若くなるから不思議。やはり好感の持てる爽やかな夫であってほしい。夫75歳。
  肝付町 鳥取部京子 2014/4/8 毎日新聞鹿児島版掲載

センバツと鹿児島

2014-04-08 11:01:28 | ペン&ぺん
 今春、全国から話題を集めたのは、やはり第86回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に奄美群島から初出場した大島高ではなかっただろうか。選抜発表前から注目され、出場決定の1月24日から4月2日の閉会式まで紙面をにぎやかにしてくれた。応援は全国32高の中から最優秀賞に輝き、まさに大島が日本に〝球春〟を告げ、最後を締めくくった。
 大島は初戦で龍谷大平安(京都)とぶつかって破れたが、11安打を放った。しかも今大会優勝校からである。龍谷大平安ナインの「こんなに強いなんて」と言わしめたほどだ。あの大観衆、対戦校の名前に動じない堂々たるプレーも痛快だった。
 今大会を主催した毎日新聞社の1人としてうれしかったのは大島のセンバツ出場について奄美群島の方々だけでなく、多くの県民の皆さんに喜んでいただいたことだ。高校野球が大好きな薩摩焼宗家十四代、沈寿官さん(87)は「21世紀枠出場に関係なく、甲子園での走攻守にわたる果敢なプレーは奄美群島、鹿児島の高校野球のレベルの高さを証明してくれた。夏が楽しみです」と目を細めた。2回戦で本来の実力を発揮できなかった神村学園も捲土重来に期待したい。
 開・閉会式の鹿児島純心高校と鶴丸高校のアナウンスも見事だった。まるで鹿児島づくしの大会で、私も一生忘れることができない。
 記者コラム「やごろうどん」をお読みになったように山崎太郎、奥田伸一の両記者が1日付で移動となり、新しく柳瀬成一郎(41)、杣谷健太(29)の2記者が仲間入り。柳瀬記者は石川県、杣山記者は三重県出身です。新鮮な視点で鹿児島の話題、問題などを全国に、そして世界に向けて発信してくれるでしょう。私も引き続き鹿児島でお世話になります。よろしくお願いします。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2014/4/7 毎日新聞鹿児島版掲載

一生懸命な桜

2014-04-08 10:54:34 | はがき随筆
 春を待ちかねたかのように桜がいっせいに咲いた。咲くだけでなく、陽を受けた桜は力を振り絞って懸命に咲いているようにさえ見える。
 ソメイヨシノだろうが、短命の花なのに、なぜこれほど見事に咲き誇っているのだろう。
 熊本県水上村の市房ダム湖周辺は万本桜で知られる。桜見物の客は3月27日だけで恐らく1000人を超えるようなにぎわい。私と妻のように、ひとときを華やぐ高齢者が多いようだ。私の一生の一日を楽しませ、憂えさを忘れさせてくれる桜の花よありがとう。私もせめて心をこめて桜のお前を見ていたい。
  出水市 小村忍 2014/4/7 毎日新聞鹿児島版掲載