はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

聞きたくて…

2015-06-13 18:12:29 | はがき随筆


 おどま盆ぎり盆ぎり
 盆から先きゃおらんと
 盆が早よくりゃ 早よもどる
 この唄を山あいの五木村で聞きたくて、「五木のふるさと新緑祭り」にでかけた。
 子守唄保存会の方の情感のこもった歌に悲哀を感じる。 
 口減らしのため、子守奉公にだされた娘さんの心情がせつない。帰宅してからも、しばらくは歌詞が頭から離れず目頭が熱くなる。
 今では、五木村も道路は整備され、川辺川のダム計画による移転で立派な家並みが……。
 秋の「五木の子守唄祭」も気になる。
  垂水市 竹之内政子 2015/6/3 毎日新聞鹿児島版掲載

鳥獣被害

2015-06-13 18:02:24 | はがき随筆
 瑞々しい春野菜が店頭に並び食欲をそそる。悪天候の影響で価格は高め。頼みの綱の主人の菜園は高隈山の麓にあり、猿に荒らされた。タマネギ、新ジャガは全滅、竹林のタケノコはイノシシにかじられた。猿もよほどの食糧難なのか山里に下りて来ては悪さをする。親指大の芋が申し訳なさげに少々残されていた。こうも被害が続くと作物を作る意欲も失せそうで心配になる。趣味の領域だと諦めもつくが、農業で生計を立てるとなると被害甚大。「可愛い」ではすまされない。対策に苦慮するばかり。我々と鳥獣との知恵比べは永遠に終わらないだろう。
  鹿屋市 中鶴裕子 2015/6/2 毎日新聞鹿児島版掲載

はがき随筆大賞に森園さん

2015-06-13 17:28:59 | 受賞作品


 第14回毎日はがき随筆大賞の表彰式が30日、北九州市小倉北区のホテルクラウンパレス小倉であった。大賞に鹿児島県鹿屋市、森園愛機遅参(94)の「愛妻」(昨年8月9日掲載)が選ばれた。
 はがき随筆は九州山口の毎日新聞地域面に連日掲載されていて、毎年、各地の年間賞13作品から大賞などの各賞を選んでいる。今回は福岡賢中間市在住の芥川賞作家、村田喜代子さんが昨年分を審査した。また「記憶」を題材に別に募集した「文学賞」には179点の応募があり、5作品が選ばれた。
 表彰式には各県の代表ら約130人が集まった。村田さんは森園さんの作品について「大きな心と愛で妻を支える存在になろうという重いが伝わった。本当に参りました」と講評。森園さんは「各県代表のみなさんの作品を読んで『まだまだ勉強が足らん』と思っていたので、大賞はびっくりした」と話した。【祝部幹雄】
 他の受賞者の皆さんと受賞作は次の通り。(敬称略、住所は随筆掲載時)
【日本郵便株式会社支社長賞】「風」福岡市城南区、小森百合子
【RKB毎日放送賞】「高らかに鳴け」山口県岩国市、安西詩代
【北九州市長賞】「深夜の旅人」北九州市八幡西区、出口敬子
【優秀賞】「栗飯を二人で」山口県美祢市、池田実  
     「『沖縄』と言えば」長崎県島原市、荒木洋子 
【文学賞】「扉のない校門」鹿児島市、高橋誠
     「ほっこ焼きと愛称」佐賀市、真崎佐和子
     「匂いの記憶」福岡県香春町、大場ほずみ
     「父の手」北九州市小倉南区、長田あいゆ
     「記憶」山口県岩国市、森重和枝

磯の幸

2015-06-13 17:10:20 | はがき随筆
 磯が呼んでいるような気がした。5月1日。大潮で、運良く天気も良かった。
 急いで出水市蕨島の磯へ向かう。磯は、まだ引き潮の最中。波打ち際にはアオサと思われる海藻が波に揺れている。つーんとくる磯の香りを嗅ぎ、妻の手作り弁当を食べるとうまい。やがて大小の岩が現れる。
 あちこち見てまわると、イシダタミゃイボイシなどの巻き貝がつくさんついている。2時間程度で竹籠半分くらいに。友人宅3軒に分けると、とても喜んでもらい、私もうれしかった。
 昔、磯の幸はどれほど多くの人々の命を繋いだことだろう。
  出水市 小村忍 2015/6/1 毎日新聞鹿児島版掲載