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その夜難問を抱えた夫婦は落ち込んだまま就寝した。猫のイークンはそんなことにお構いなく、いつものように早朝4時に「外に出るよ」と起こしにきた。そして6時には「おなかがすいたニャーン」。エサを与え、入ってきたガラス戸はロックせずに閉めて寝る。満腹になればまた自分で開けて外出だ。
私は習慣的に7時頃トイレに起きるのだが、開いたガラス戸を閉めようとしたら開いていない。変だなと思いながら戻ると、イークンはカミさんの顔を見つめていた。外に出たいのを我慢してカミさんを見守っていたのだった。
西之表市 武田静瞭 2015/6/4 毎日新聞鹿児島版掲載