はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

園児のひと言

2016-05-12 09:29:31 | 岩国エッセイサロンより
2016年5月 9日 (月)
岩国市  会 員   片山 清勝

 母親と手をつなぎ、会話しながら登園するまっさらな制服が初々しい女の子。初対面だが、挨拶を交わす。すれ違う時「ママ、あのおじさん知ってるの」と声が聞こえた。入園間もない子ども心の不安を知った。振り返ると、子どもの顔を見ながら母親は何か話している。
 知らない人に声をかけられた時の対応を園児や児童らは教えられている。その指導に安心するが、健全な社会であるための何かが欠けているとも感じる。
 挨拶は交流の始まり。せめて怖いと思われない顔にしようと鏡の前に立つ。口を開きはっきりと発音し笑顔を作ってみる。
   (2016.05.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

ミルク

2016-05-12 09:27:51 | はがき随筆
 3月末、6番目の孫が生まれた。歌にもあるように「なんでこんなに可愛いのかよ、孫という名の宝物」そのものである。
 そんな中、家がゴトゴト揺れだし、みんな居間に駆け寄った。4月16日深夜、2回目の地震のときは初産の子を抱えた娘と妻が悲鳴をあげて私も庭に飛び出した。ミルク不足を心配して出水市内を何か所も探し回り、やっと棚に4個並んだ店があった。4個全部をカゴに入れてレジに並んだが「どこかの赤ちゃんがミルクをほしがっているかもしれない」と思い、葛藤しながら2個は棚に戻し、孫が待つ家路を急いだ。
  出水市 塩田幸弘 2016/5/12 毎日新聞鹿児島版掲載