むせるような若葉の香りと緑の洪水に、全力を出し切ってやっとこ支えている住まいと、老いも溺れそうになる。
お隣から分けてもらった種から、丹精込めて育てたヤグルマソウが両手を広げても届かないほどの大株になり、背比べするまでの草丈になった。ピンクやブルーが鮮やかな花々が輪になって、さざめきが聞こえてきそう。
キラキラと差す木漏れ日と心地よく吹き渡る風。高く高く広がる空。もう初夏のコンチェルトが静かに流れ始めた。
5月。日の本の若い令和の夜明けです。
熊本市東区 黒田あや子(86) 2019/5/5 毎日新聞鹿児島版掲載