はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

光も風も

2019-05-05 16:08:29 | はがき随筆

 

 むせるような若葉の香りと緑の洪水に、全力を出し切ってやっとこ支えている住まいと、老いも溺れそうになる。

 お隣から分けてもらった種から、丹精込めて育てたヤグルマソウが両手を広げても届かないほどの大株になり、背比べするまでの草丈になった。ピンクやブルーが鮮やかな花々が輪になって、さざめきが聞こえてきそう。

 キラキラと差す木漏れ日と心地よく吹き渡る風。高く高く広がる空。もう初夏のコンチェルトが静かに流れ始めた。

 5月。日の本の若い令和の夜明けです。

 熊本市東区 黒田あや子(86) 2019/5/5 毎日新聞鹿児島版掲載


令和の風

2019-05-05 16:06:21 | 岩国エッセイサロンより

2019年5月 1日 (水)

    岩国市  会 員   樽本 久美


 2年前、父は85歳で亡くなった。命日は4月29日の「昭和の日」。私の誕生日も祝日で「建国記念の日」に生まれた。よく父が「多くの人が国旗を立てて祝ってくれる」と言っていた。 
 大好きな父が亡くなって、いろいろあった。ふと、父が生きていたら、どんな言葉を掛けてくれたか?と考えてしまうこともある。
 一方、もうすぐ誕生日を迎える母は今、老人ホームに入っている。もうすぐ86歳になる。ホームに入って、おかげさまで少しずつ元気になっている。「三百六十五歩のマーチ」や「青い山脈」の歌に合わせて体を動かしている。
 ホームの人が楽しく一日を送れるように手を貸してくださる。本当にありがたいことである。感謝、感謝である。
 そのホームで毎週、自由に文字を書く遊書や川柳を教えている私。講座の前には一緒に体操をする。母と手をつなぐことができるありがたい時間である。 
 足の悪い母がいつまでも楽しく生活できることを祈りたい。手先が器用な母。保母をしていたので折り紙などは上手である。今は川柳作りに挑戦している。親子で新聞に川柳掲載を目指したい。
 私は4月から新しい仕事を始めた。長年の夢であった、書道の先生。子供たちに人としての振る舞いも私なりに教えたいので私自身も勉強が欠かせない。 
 令和の風が吹いている。焦らず、ゆっくり令和の風に吹かれていたい。そして背筋を伸ばして歩んでいきたい。
   (2019.05.01 毎日新聞「女の気持」掲載)