劇団民芸の新作「正造の石」を見てきた。足尾鉱毒事件の渦中にある村で育った、無筆の20代半ばの女性の物語。
田中正造のつてで東京に出、女性活動家宅で女中として働くが、官憲に情報を流す役割を与えられる。石川啄木と出会ったり、活動機関紙に載った詩を読んでもらううちに読み書きをおぼえ、職業婦人を目指すように。演じているのは、鹿児島県出身の森田咲子嬢。市民劇場の例会でも、過去に奈良岡朋子、日色ともゑと共演し、成長著しい。今回も大看板の樫山文枝と互角に渡り合っていた。小さなブーケと応援メッセージを届けた。
鹿児島市 本山るみ子(66) 2019/5/16 毎日新聞鹿児島版掲載