1日、2日の遅れながら息子便で病室へとどく新聞。今年ちょろっとしか桜を見ずにいたら、5月6日の歌壇・俳壇欄に「北上へ花を追い」と高田正子の花談がなにもかも語っていて、まるで私も同道した。
さすがと感慨にひたり、心満ちつつ更に桜に思い及んだ。4.5年前、京の三条の春、加茂川の桜はこぶしを握りしめていた。二条のも。
しかし、文で花や景をみると、おのずと心に浮かぶ表現力にみちびかれて楽しいし、なかなか消えない。「車窓の景色は季節を巻き戻してゆく」という。表現とともに。
鹿児島市 東郷久子(84) 2019/5/23 毎日新聞鹿児島版掲載