はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

いろいろ1ねん

2021-01-09 21:39:35 | はがき随筆
 年の瀬に決まって読むレオ・レオーニの「いろいろ1ねん」。ネズミが木と対話しながら喜びを分かち合って生きる1年を描いた絵本。読みながら私も1年を振り返れば、新聞記事に自らの無知を突くものが多かった。丁寧な取材が伺われるヤングケアラーの記事は、これが社会問題であり行動するか否かを私に問うた。その入り口が見いだせないままの私にネズミが言う。簡単さ、対話だよ。そうか、シンプルに対話を始めよう。胸のつかえが少し取れた気がした。さて、絵本の締めはこうだ。「もうすぐまた、あたらしい1ねんが、はじまる」
 熊本県八代市 廣野香代子(55) 2021/1/9 毎日新聞鹿児島版掲載

アナグマの襲来

2021-01-09 21:31:46 | はがき随筆
 空き家だと知ってか実家にアナグマが出没し、室内をひっかき回され大変なことになっていた。あの鋭い爪を武器に壁や床から侵入したようだ。知らずに訪れた弟からの写真付きメールで惨状を知った。さっそく侵入口を塞いでもらい、3度目は回避できた。あらゆる策を講じたが、それをあざ笑うかのように今度はお隣さんの庭にまで地下トンネルを掘り始めた。もう専門業者に依頼するしかなく、罠を仕掛けて捕獲してもらった。なんと親子4匹の仕業だった。生前、母が庭に生ゴミを埋めていたからすみ着いたのか、とんだ珍客に被害甚大だった。
 鹿児島県鹿屋市 中鶴裕子(70) 2021/1/9 毎日新聞鹿児島版掲載

大騒動を経て家族に

2021-01-09 17:58:36 | はがき随筆
 我が家に来たのはつぶらな瞳に薄茶系の縞の子猫。癒し系を探していたところ、娘が連れてきた。当初は声をかけ手招きすると、腰高く威嚇してきた。
 数日後、掃除機に反応して身を隠し大騒動。カラスやイタチに襲われたのでは、と不安が募る。娘や孫も仕事帰りにさがしてくれたが見当たらない。娘は派出所に届け出た。
 ところが、夕方からの仕事を終え帰宅すると、ちょこんと主人の膝に抱かれているではないか。先ほど玄関からノコノコと出てきたという。娘に電話するとうれし涙の声。今ではすっかり家族の一員となった。
 宮崎県都城市 西京子(69) 2021/1/8 毎日新聞鹿児島版掲載

変わる修学旅行

2021-01-09 17:46:02 | はがき随筆
 熊本城などでボランティアの観光ガイドをしている。コロナ禍で修学旅行がかなり様変わりした。中学校は大体2泊3日の日程を組んであるが、9月に担当した佐賀県の2校は両極端でびっくりした。
 A校は鹿児島県の観光地で勉強した後、熊本で締める2拍3日の旅。B校は貸切バスで熊本城見学の後、福岡のレジャー施設に行き日帰りという強行軍。夏休みなど振替授業で短縮され、日程も切り詰めざるを得なかったのだろう。コロナ禍が一日も早く収束、学校行事をいろいろ変更せずに済むよう祈りながらバスを見送った。
 熊本市東区 中村弘之(84) 2021/1/7 毎日新聞鹿児島版掲載