年の瀬に決まって読むレオ・レオーニの「いろいろ1ねん」。ネズミが木と対話しながら喜びを分かち合って生きる1年を描いた絵本。読みながら私も1年を振り返れば、新聞記事に自らの無知を突くものが多かった。丁寧な取材が伺われるヤングケアラーの記事は、これが社会問題であり行動するか否かを私に問うた。その入り口が見いだせないままの私にネズミが言う。簡単さ、対話だよ。そうか、シンプルに対話を始めよう。胸のつかえが少し取れた気がした。さて、絵本の締めはこうだ。「もうすぐまた、あたらしい1ねんが、はじまる」
熊本県八代市 廣野香代子(55) 2021/1/9 毎日新聞鹿児島版掲載