はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

球春

2008-01-31 20:24:50 | かごんま便り
 「春はセンバツから」という言葉がある。
 80回の節目を迎える選抜高校野球大会。野球シーズンの幕開けを告げる(近年はプロ野球が先に開幕することもあるが)行事であり、ちょうど桜前線が日本列島を北上する時期にも重なる。「春は~」は通常、そうした意味合いで受け止められているようだ。さらに言えば、出場決定の知らせは、選ばれた学校とその地元にとっては間違いなく、一足早く届けられる春の便りとなる。
 出場36校を決める選考委員会が開かれた25日。「篤姫」で年が明けた鹿児島は、春の予感にはほど遠い厳しい冷え込みとなったが、鹿児島工センバツ初出場のニュースが〝春〟を運んでくれた。
 選考委員会から出場校への連絡は北から順に午後3時ごろから。鹿児島工が決まった場合、吉報は午後4時前後。所用で出水に赴いた私が新幹線で戻ってくる真っ最中である。トンネルの多い新幹線は携帯電話がつながりにくい。昨秋の戦いぶりから出場を確信していたが、なかなか連絡が来ない。ようやく取材中のO記者から「出場決定」のメールが届いたのは、鹿児島中央駅のホームに降り立った直後だった。
 タクシーを飛ばして鹿児島工へ。大勢の報道陣に囲まれて喜びを爆発させている選手たちを横目に、さっそく瀬田豊文校長にあいさつし、お祝いを述べた。瀬田校長は母校の鹿児島玉龍で、選手として、さらに指導者としても甲子園の土を踏んでおられる。それでも校長として迎える最後の春に、加えて創立100周年の記念すべき年にセンバツ初出場。感慨ひとしおであろう。
 鹿児島工は夏の大会初出場となった一昨年、ベスト4に進出して甲子園に旋風を巻き起こした。今回も必ずや南国・鹿児島から全国に、さわやかな春風を届けてくれるに違いない。
 3月22日の開幕が待ち遠しい。

鹿児島支局長 平山千里
2008/1/28 毎日新聞鹿児島版掲載

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