はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

公取委の動き

2006-04-25 12:26:31 | かごんま便り
 鹿児島県は南北約590㌔、東西約270㌔ある。平地はもとより、山間部があり、離島がある。鹿児島だけで考えても、あらゆる地域に毎日新聞は同じ価格で戸別配達(宅配)されている。他の全国紙、地方紙も同様だ。毎日届く新聞には、あらゆる情報がぎっしり詰まっている。
 この制度が崩れたら、離島や山間部の読者には配達料が上乗せされるかもしれない。あるいは価格の値下げ競争で残った販売店の受け持ち地域が広がり過ぎて、届けることが出来ない家庭も出てくるに違いない。
 こんな問題が実際に起こり得るような動きがある。公正取引委員会が宅配制度を支えている「特殊指定」の見直し方針を打ち出しているからだ。特殊指定の対象に新聞があり、異なる定価にしたり、割り引いてはならないなどの規定がある。
 メーカーが小売店に定価を指定するのを禁じた独占禁止法も、新聞や書籍の著作物などは例外的に「再販制度」で認められている。この再販制度と合わせて同じ価格での宅配制度は守られている。
 ところが、新聞が特殊指定からはずれると値引きの過当競争が予想され、弱い販売店は淘汰されてしまう。残った販売店は、消えた販売店の分まで配達しなければならない。競争で勝っても採算が取れなければ撤退するか、今度はそのエリアの新聞価格は値上げになるだろう。特に過疎地域の家庭への影響が大きいと考えられる。
 公取委が特殊指定の見直しをするのは「時間がたち、そぐわなくなったから」と理由は漠然としている。確かに新聞は「商品」ではあるが、より大切な使命があると思う。
 へき地にいても、中央や県外の動き、世界や経済の動向はもとより、身近な消費税や医療費はどうなるのかを知る権利がある。あるいは知らなかった分野への好奇心や知識を高めることが出来る。
 視覚的なテレビと比べても毎日、家庭に届く1部に凝縮されている情報量は多い。新聞を読まない人は増えているが、それは丹念に読んだことがないから面白さが分からないからであろう。
 施行された電気用品安全法にはリサイクル業者をはじめ、多くの人が時代にそぐわないとして批判の声を上げ、混乱している。おかしい施策には皆さんの声が大切であり、それを守るのも新聞の使命の一つでもある。

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2 コメント

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コメントありがとうございます (アカショウビン)
2006-04-26 12:13:57
「ドッキンホウ」

「コウセイトリヒキイインカイ」

一体、何を目指しているのかほんとうに難しくて分からなくなりました。

現在の制度は守って欲しい。

どんな田舎の片隅にも、毎朝配られる新聞を。

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新聞とは? (おたくさ)
2006-04-25 18:35:03
病気退職の後、何が一番嬉しかったかと言うと、朝、ゆっくりお茶を飲みながら新聞を読めたことでした。こんな幸せな時間があるんだ、としみじみ思ったものです。



投稿したりするので、「読書が好きでしょう」と聞かれますが、ほとんど本は読みません。が、新聞はよく読みます。理解出来るまで何度も読み返しています。私の言語活動の基です。先日、「親が使わない言葉は子どもは使えない」という言語学者金田一先生の話を知りました。驚きです。テレビやネット上の言葉は、日本語としては考えさせられます。



誰もが身近に感じられ、常に社会の裏まで見通せる新聞であって欲しいと思います。
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