はがき随筆・鹿児島

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富士山と桜島

2013-06-25 17:36:44 | ペン&ぺん



 国連教育科学文化機構(ユネスコ)第37回世界遺産委員会は、日本政府が推薦した「富士山」(山梨、静岡両県)を世界文化遺産に登録することを決めた。22.23日、新聞やテレビなどはこのニュースで持ちきりだった。当初、世界文化遺産の構成資産からの除外が勧告されていた国指定の名勝「三保松原」(静岡市)も〝逆転登録〟が決まった。三保松原を訪ねたことはないが、ここから撮られた写真や映像を見ると、やはり美しい。まさに、世界に誇れる景色だ。
 この報道で、富士山と桜島の景観が「二重写し」になった鹿児島の皆さんも多くいるのではないだろうか。桜島は東西南北どの方角から見ても甲乙つけがたい。私はかつて4年間、鹿屋通信部に勤務した。大隅半島・垂水方向からの眺めもいい。異動で鹿児島を離れる時、「これで桜島を見るのも最後か」と思うと無性に寂しくなったのを今でも覚えている。
 県外の人が描く桜島のイメージは、ドルフィンポートなどがある鹿児島市側から錦江湾を前に噴煙を上げる姿が一般的。その錦江湾を地元の小学生らが遠泳横断する。伝統ある行事で、私もテレビで見たことがある。約4.2キロを泳ぎ切った子供たちのガッツにこちらも目頭が熱くなった。
 6月15日、吉野町の磯海水浴場の砂浜にウミガメ上陸の跡があった。この砂浜で卵を産んだ。ここで産卵が確認されたのは1988年以来25年ぶり。素人の私には「なぜ警戒心の強いウミガメが都市部に近い砂浜に」とうれしい驚きだった。
 屋久島は世界自然遺産だが、本件が誇る桜島と錦江湾の美しい景観をもっと全国に、世界にアピールできないか。富士山の世界遺産登録を機に、ドルフィンポート一帯のまちづくりを含め、錦江湾沿岸の景観を一度考えてみてはどうだろう。
 鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2013/6/24 毎日新聞鹿児島版掲載

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