はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

2009年

2009-01-15 14:25:40 | かごんま便り
 「百年に一度の金融・経済危機」「先行きの全く読めない厳しい時代」。県内諸団体の年始会では「篤姫」ブームへの期待感にあふれていた昨年から一転、暗いあいさつが相次いだ。

 そんな中、全国高校サッカー選手権大会での鹿児島城西の快進撃は久々の明るい話題だった。多少粗削りながら怒濤(どとう)の勢いでゴールに迫る圧倒的な攻撃力。点を取られてもそれ以上に取り返すたくましさ。直球で押しまくる剛球派投手さながらの“力技”は、素人目にも実に壮快だった。

 大会得点王の新記録を作ったFW大迫勇也君を筆頭にチームとしても大会最多得点記録を更新。広島皆実の堅守の前に頂点にはあと一歩届かなかったが、記録と記憶、双方に存在感を示した城西イレブンの活躍は、県民にとっても大きなお年玉となった。

 前述の年始会で、今年の話題として取り上げられたものを紹介する。

 まずは島津斉彬公(1809~58)の生誕200年。「篤姫」の翌年というのが少々残念だが、ブームの余韻とあいまって引き続き観光面での恩恵にあずかれれば、むしろ好都合かもしれない。

 次に肥薩線の全線開通100年(当時は鹿児島線の一部)。SLブームのころマニア注目の的だった矢岳越えのD51重連が懐かしい。現在は観光列車「いさぶろう」「しんぺい」号が人気だが、100年記念でSLが復活するのも楽しみだ。

 そして7月22日の皆既日食。最も長く皆既が見られる悪石島(十島村)では混乱も予想され、手放しでおめでたいとはいかないが、鹿児島に世界の目が注がれることは間違いない。

 09年はどんな年になるだろうか。当然、景気のいい話ばかりがそう転がってはいまい。「怠らず行かば千里のはても見ん、牛の歩みのよし遅くとも」という道歌もある。やはり地道に頑張るしかない、か。

鹿児島支局長 平山千里 2009/1/13 毎日新聞掲載

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