風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

プロの仕事の流儀 576号

2009年06月26日 07時11分41秒 | 随想
家業の貧乏な駄物屋(嫌な言葉だよね)と軽蔑される魚屋の息子が、マグロの花形仲買人・藤田浩毅になるNHKの出世物語番組に感動した。

東京築地の魚河岸の最高峰の仕事は、天然の黒マグロを扱うことである。一匹百万円以上の値段で競り落とす。

巨額の資金を調達する為に、20時間に及ぶアルバイト。試行錯誤の末、俺流のマグロが高名な鮨職人の水谷八郎の舌に感動を与え、噂が広がり有名店の職人から仕入れを無条件で一任されるまでになる。

市場原理の値決めでは漁師達の収入が減り、漁師がやる気をなくし産地は疲弊する非情原理である。「仲買人が魚の価値を見極め、適正な値をつければ産地は守られ、結果として質の良い魚が安定的に客に届けられる」と信じる仲介人の哲学。

「今日はこれしかなかった」と言えば、客は買ってくれるが、そうはしない。いずれ信頼は損なわれると考えるからだ。「自分が旨いと思ったもの以外は、お出しできない。嘘をついてまで、ということはしたくない」

妥協すればすべてを失う。頑固で意地っ張りで決めた道を走り続けるこだわりが、プロの仕事の流儀。職人の世界。

「どうでもよいことにこだわり続ける、意地を張り通すことですかね」

妥協すれば平穏な生活が保障されるサラリーマン社会の退職者は、過去の人生を振り返る時、一抹の寂しさを感じ、焼酎を飲むのである。

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