人生の黄昏、林住期を終え遊行期に入った。高齢者の前期から後期に移行するのである。
林住期は森に住まず、列車の一人旅で時を過ごした。芭蕉の言葉を借用すれば旅を栖としたのだろう。
その動機は何かと問われたら、寂しさを紛らわす為と答える。人に言えない寂しさ、自分で解決するしかない。
瀬戸大橋を列車で渡り四国遍路旅を断片的に始めた。長い道のりを歩き、札所に辿り着き一休み、そしてまた歩き出す。何故歩けるのか。
誰かに後押しされている、誰かに引っ張られている。疲労の極みにそんな感覚が芽生える。お大師さんと同行二人なんだ。
もう寂しくない、高齢となって人から疎んじられたら人を相手にせず、超人と友達になればよい。なにか偉大な存在に帰命する、信心の目覚めだろう