風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

巨大都市は人間の為のビオトープ 203号

2007年11月26日 17時58分40秒 | 随想
ビオトープは、生物群集の生息空間を示す言葉である。語源はラテン語とギリシア語からの造語で、「bio(いのち)+topos(場所)」である。

生物多様性とは、生態系または地球全体に、多様な生物が存在していることを指す。

生態系は生産者・消費者・分解者がある。生産者の植物が太陽光から系にエネルギーを取り込み、消費者の動物などが利用していく。分解者である微生物は遺体や排泄物を利用する。この過程を通じて生産者が取り込んだエネルギーは消費され、生物体を構成していた物質は無機化する。それらは再び植物や微生物を起点に食物連鎖に取り込まれる物質循環がある。

兵庫県教育委員会では、国の特別天然記念物であり、コウノトリの日本最後の生息地となった但馬地域・豊岡市において、の保護・増殖に努め、自然に帰した。 コウノトリが野生で生きていくためには、えさとなるドジョウやカエル等が生息できる田んぼや河川、巣となる高い木が茂る山林といった自然環境が必要である。
佐渡島では朱鷺を人工増殖して、いつの日か自然に帰す努力をしている。自然に同化し、共生する植物・動物は無力で、自然からの贈り物を仲間で分け合い、辛うじて生きている。

反面、知恵があり、道具を発明できる万物の霊長は、自然から搾取し、我欲を満足してきた。そして人間だけに都合の良い生息空間が巨大都市なのである。人間のビオトープは都会で、不自然なのである。

人間の食物連鎖の手段は、貨物飛行機であり、巨大コンテナ船であり、トレーラートラックなのである。そして根底には金がある。東京は砂漠である。砂漠のオアシスには水があるが、都会でオアシスを求めるには金が要る。

土はアスファルトで覆い、植物が生育不可能で、残飯をカラスに提供することは不衛生だから焼却してしまう。そして死して後、亡骸を微生物の食料に提供することを拒否し、荼毘に付されると、残った人間にとって衛生的である。巨大都市は人間だけが生存可能な特異な生息空間で、傲慢な人間の遺産である。

特異空間を維持するためには、膨大なエネルギーが必要なのだが、その源は自然の贈り物である石油である。悠久の年月を掛けて溜め込んだ地球の貯金を、寄って集って浪費すると枯渇するのが自然現象である。その時は食物連鎖が切れて、餓死者の屍が都市に氾濫する。そして世界遺産に登録される。

人間の都合の考えを抑えて、地球の痛みに思いを別ける優しさが必要な時期に来ている。一升瓶のバイオエタノールで車は1km程度しか走れないが、私なら自宅で、1週間は楽しい時を過ごす事が出来るのである。子供たちの将来を思う時、悲観的な思いが駆け巡ると、忘れるために酒量が増える。自然の贈り物のバイオエタノールを浪費することになるが、止める事が出来ない弱い私を嘆いている。

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