過ぎたるは、なお及ばざるが如し ３２１号

１９５３年に放送が開始されたアナログ方式のテレビジョン放送、「電波の有効利用」を主目的にＵＨＦチャンネルのみを使用したデジタル方式に置き換える。

デジタルとアナログ。

りんごを数える時、１個・２個がデジタル量。りんごジュース２５０ｍｌや５００ｍｌはアナログ量。

デジタルが注目されたのは、コンピュータが発明されて以来である。０か１か、有るのか無いのか，ＹＥＳかＮＯか。二進法の世界である。

アナログは連続量。多量なのか、少量なのか、中位なのか、無いのか。

デジタルは一神教の西洋科学文明の寵児で人間の感情を排斥した無味乾燥の冷たい印象がある。アナログは多神教である東洋文明の印象で、曖昧模糊、義理人情の浪花節、演歌の世界である。今は浪花節、演歌はアナログのＬＰレコードで聴けず、デジタルのＣＤプレーヤーで再生される。そして音声は奇麗過ぎ、義理人情が伝わらない非情なサウンドである。

国の政策により、現在放送されている地上アナログテレビジョン放送は２０１１年７月２４日までに放送を終了する。そしてアナログテレビは使用不能となり、個人の責任で機器を購入しなければならない。貧乏人はテレビを楽しむことが出来ない。

私は取り立てて困ることは無い。貧乏を極めた少年時代はテレビが無く、思い出が無い。それでも生命に異常は無い。逆にテレビを観過ぎると精神に異常をきたす。

西洋科学技術に期待することは、ＮＨＫを選択的に視聴不能にすることである。民間デジタル放送だけで事足りる。そしてＮＨＫの視聴料を合法的に拒否できるなら、視聴料不払いで浮いたお金で、先行投資のデジタル対応資金を回収できる。

美しい画像のデジタルテレビは、ますます家族団欒の時間を奪い、古き善き日本が消滅することに加担することになるのを危惧している。多過ぎる道路、奇麗過ぎるテレビ、反面多過ぎる過激犯罪、奇麗過ぎる無駄な食品。バランスが大事だと思う。