風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

ハンチング帽の遍路旅 247号

2008年03月30日 11時14分09秒 | 四国遍路
旅の興奮なのだろうか、年齢の為せる業なのだろうか、5時に目覚めた。入浴してから、上天気の宿から15分程の6時半開門の栗林公園まで歩いた。日本三大公園(岡山後楽園・金沢兼六園・水戸偕楽園)と勘違いしていたが、廃藩置県の時の3月16日に香川県立公園に指定された。私の誕生日と同じである。水戸黄門の兄貴の松平頼重が整備した美しい回遊式大名庭園の特別名勝。

JR四国栗林駅で8時27分の特急渦潮3号の1号車1番A席が指定である。先頭車で運転席の反対側だから前方視界が良好。高松と徳島を結ぶから高徳線で非電化の単線、讃岐の国・香川と阿波の国・徳島を連絡するから、讃波線とすると阿波踊りのサンバリズムを連想され面白いと思う。香川から苦情が有ったのだろうが、波讃線は語呂が悪い。他の県庁所在都市の線は予讃線・土讃線・予土線と命名されている。

栗林駅では渦潮4号が高松に向かい通過して、その列車が折り返し渦潮3号となり栗林駅に到着する奇妙な現象がある。3は4の前という常識に凝り固まっているが、空海さんの仏教は何でも許される。

徳島から牟岐線(阿波室戸シーサイドライン)の特急剣山(つるぎざん)4号で牟岐駅を経由して海部に到着、阿佐海岸鉄道に乗り換え終着駅の甲浦に到着する。室戸岬に向かう高知東部交通のバスの始発駅で、終着駅は始発駅と北島三郎が歌っている。

シーサイドラインは海が見えることは稀である。太平洋の荒波は容赦なく海岸線の平野を侵食して山が自然の防波堤になっている。平地は山の反対側にしか存在しないから森の中を走行することになる。日本語の臨海と森界の語呂合わせのシーサイドの英訳なのだろうか。

室戸岬ホテル前のバス停から24番最御崎寺(ほつみさきじ)までは標高差155mの急坂を喘ぎながら登ることになる。怠惰な日常生活者にとっては過酷で試練の登山になる。800m程度を半時間消費する。

お遍路さん巡礼衣装は白衣と杖と菅笠が定番であるが、ハンチング帽とジャンパーで杖が無いのが私の巡礼姿で、作法は本堂で本尊の真言を唱え、弘法大師堂では般若心経の羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶を唱えるだけである。そして納経所で朱印を頂戴する。さぞや弘法大師空海様も驚かれていることだろう。

最御崎寺の本尊は虚空蔵菩薩で真言は「おん ばざら あらたんのう おんたらく そわか」である。真言は仏教の発祥の国のインドの言葉で、本尊様によろしくお願いしますと語りかけているのである。

次の25番を目指してスカイラインを下山したのであるが、心臓の動悸が激しく、息苦しさを感じてとぼとぼ歩いていると、車が止まり「乗りますか」と声をかけてくれる。以前に歩き通し遍路を満じた名古屋の従兄の正浩さんの助言があるので素直に乗車することにする。地獄で仏様にお会いした。車で100回を越える遍路旅をした人で、今回は逆打ちで方向が反対だから麓まで1キロほどの接待を頂戴した。後の日により強烈な車による接待を2回経験すことになるが後述する。

名も無い食堂でうどんを食べ、休息すると元気が回復したので、歩き始める。舗装道路を6500m歩き津照寺(しんしょうじ)に到着した。本尊は延命地蔵菩薩で真言は「おん かかかび さんまえい そわか」である。

26番に向かって3800m歩くが、残り600mが標高差150mの急坂である。始めと終わりに急坂を配置する空海さんは意地悪だ。難行苦行の末、金剛頂寺(こんごうちょうじ)に到着した。本尊は薬師如来で真言は「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」

観光バスの巡礼者の朱印帳や白衣・掛け軸の押印が150件ほどあるから、ずいぶん待たされるが、休息が十分出来て有り難い事である。バスガイド・添乗員が一括持参するから、人は少ないのである。

寺から山道を1600m駆け下り、バス停のある麓の「道の駅キラメッセ室戸・鯨(いさ)の郷」に17時に着いた。C・W・ニコル館長の「キラメッセ室戸鯨館」は閉店時間で残念ながら入れない。

バスで奈半利駅に到着して、唐浜の浜吉屋に電話すると女将さんが息子を迎えにやるから待つようにとの指示である。15分程で軽トラックが到着、宿に向かうが息子は私と同年齢のように見える。女将さんは何歳なのだろうか。とにかく元気な声である。

最後の客であるから入浴後の座敷の食事は6人が済み、私一人である。後片付けに来た息子さんは、控え目に民主党の菅直人が宿泊した記念の色紙を飾らないで保管していることを話す。遍路旅の菅直人は自民党と喧嘩ばかりしないで、国民の為の政治を心掛けないと弘法さんの逆鱗に触れることになる。

歩き通した満足感と心地良い疲労で熟睡できるだろう。3月25日の出来事である。

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