
道の駅スタンプラリーで赤石山脈と身延山地の大井川河畔の川根路を鉄道愛好家はドライブする。
木曽山脈と赤石山脈の天竜川河畔は伊那路で飯田線が通り、青春18きっぷでしばしば往復したが、川根路の私鉄の大井川鉄道に縁が無かったのはきっぷの格安感が無かったからである。
ダム建設の資材輸送が目的で建設された鉄道、ダムが完成すれば無用の長物、廃線が取沙汰された。
運転士と機関助手が石炭を燃やす機関車トーマスを模した蒸気機関車が走行し、千頭からは大井川の上流は川幅が狭い井川まで碓氷峠のアブト式を模した機関車が鉄道限界の40‰を越える勾配を登る。
近代鉄道が捨てたものを拾う発想転換、蒸気機関車が牽引する急行トーマス号・川根路号が観光客に人気で救世主となった。
飯田線は佐久間ダム建設で飯田線が水没し、代替えの線路には秘境駅が誕生し、急行秘境駅号が好評で似た現象。
速度・効率・合理化・快適性、現代人の価値観のコペルニクス的転回・科学技術の粋を集めた物が廃れて心豊かな時代の夜明けだろう。
大井川の源流である白峰三山の山梨県と境を接する間ノ岳まで静岡県でウナギの寝床の形状は何故だろう。
長野県との境界の塩見岳の手前のわずかな静岡県にリニア中央新幹線トンネルを掘削予定であるが、地下水の流路が変わり、大井川の水量が減少する不安が有るので、静岡県知事は不満を申し述べ、工事が停滞している。
川根路の大井川は水力発電のダムの為に水が無くなり、糸静構造線の瓦礫砂漠と化している。
江戸時代には徳川幕府の外堀だった大井川には橋の建設は禁止、渡し船も運行不許可、故に此岸から彼岸には難行苦行、三途の渡しと同様だった。
水に関わる問題は大井川の宿命の様だ。