風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

浪漫なき鉄道

2020年07月27日 08時54分41秒 | 随想

北海道にある廃止が決定したローカル線の終着駅で駅長を務める孤独な男と、雪のなか駅を訪れた少女との交流を描く高倉健の平成11年の映画「鉄道員(ぽっぽや)」の記事が目に留まった。

映画「幌舞駅」は根室本線の幾寅駅を改造して撮影された。2016年8月の台風10号による集中豪雨により斜面の崩壊や線路への土砂流入など甚大な被害が発生し列車は運休しているが、石勝線で札幌に向かう特急「おおぞら」で通過した新得駅から根室本線の代行バスで落合の次が幾寅駅。

映画が引き金となって平成30年の北の大地の列車旅を思い出し、1枚の写真を見つけた。

徳川家康生誕の城下町・岡崎から新幹線で新函館北斗、特急「北斗」で札幌泊、特急「宗谷}で稚内往復し旭川泊、特急「オホーツク」で網走、釧網本線で川湯温泉泊、釧路を経由して根室往復し釧路泊、特急「おおぞら」「北斗」で函館、函館港から青函航路で青森泊、帰路に就いたのだった。

映画の高倉健は国鉄時代の駅長であるが、現代の「ぽっぽや」は昭和62年に中曽根改革の国鉄分割民営化で発足したJR北海道の釧網本線摩周駅長。

経営合理化の名の下に田舎駅は無人化され列車を見送る駅長は絶滅危惧種で貴重な写真である。

国鉄時代は出世頭の駅長は浜の真砂程存在したが、経済一辺倒のアベノミックス社会では盗人扱いされるようである。

昔は中小企業社長が多く存在し様々な浪費で社会を潤したが、現世は大企業の部課長になり規律ある生活を強いられ、少数の大企業社長はお友達の政治家に献金、国策を旗印に運転士不在の磁気浮上リニア中央新幹線を作り自己満足されても鉄道愛好家の老人は浪漫を感じないのである。


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