風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

高原道路に車なし 143号

2007年08月16日 12時31分59秒 | 紀行文
乗鞍岳直下の畳平までのアクセスは、長野県からは乗鞍エコーライン、岐阜県からは乗鞍スカイラインがある。
乗鞍エコーラインは長野県道84号乗鞍岳線で、起点の前川渡は奈川渡ダムのダム湖に向かって切り立った崖の中腹にあり、乗鞍岳線に入るとまずこのダム湖にかかる橋を渡ることとなる。さらに進むと乗鞍高原のほぼ中央を西から東へと縦断し、休暇村乗鞍高原、更に三本滝ゲートへと至る。三本滝ゲートからは乗鞍岳の山腹を細かくカーブしながら上り、山頂直下の畳平付近で乗鞍スカイラインと交わる。

乗鞍スカイラインは岐阜県道5号乗鞍公園線で、標高1684mの平湯峠を起点とし、標高2702mの畳平を終点とする。
日本一の高度を走ることのできる雲上のスカイラインとして名高く、景観も格別で、夏季は観光客のマイカーで溢れかえり渋滞が続いていたが、平成15年に無料開放されると同時に、渋滞解消と自然保護の観点から、通年マイカー規制となり、一般車両は走行する事ができなくなり、低公害仕様のバスとタクシーおよび自転車のみが通行可能である。

不便の素晴らしさを教えてくれた、湖藤荘に別れを告げ、乗鞍観光センターの730台収容できる駐車場に、息子から借用したマツダロードスターを止め、松本電鉄の低公害シャトルバス(ジーゼルエンジンと電気モーターのハイブリッド車)で、往復運賃2000円を支払い乗り換えると50分でアルプス一万尺の畳平に運んでくれる。観光客の人数によりバスの台数が決められ、編隊を組んで畳平を目指す。9時に発車するバスは4台で隊列を組み、最後尾車は途中の休暇村で客が乗車する空車である。下りのバスも隊列を組み、道半ばの冷泉小屋前停留所ですれ違う。行き交う車は稀であるから、予定時間通りに運行可能である。規制緩和が叫ばれ、歯止めの利かない世間であるから、通行制限のある道路が温故知新で新しく感じる。規制は必要で不便を認める寛容さが求められる。

山案内人が靴が不適当だから、乗鞍主峰の剣が峰(3026m)登山は無理であるとの判断で、快晴のお花畑散策と魔王岳(2763m)に登ることにする。酸素が少なく、体力がなく、若者が15分で登頂する行程に60分費やした。若者の25%の体力しかない私は4倍の時間を掛ければ頂上に立てる。1/4x4=1である。美濃加茂正眼寺の山川宗玄禅師の教えである。

帰りは奈川温泉を経由して薮原で国道19号に合流し、中津川から中央高速道・MAGロード・東名高速で、岡崎の我が家に到着するデジタル旅を実践した。アナログ旅を礼賛していた私が、話を変えることは対機説法と言い、医者の対処療法と同様にお釈迦様の実践された崇高な行為である。私は精神分裂症の患者でなく、お釈迦様の行為の追体験をしたのである。

不便な旅の後の我が家は便利に出来ている。幸せの青い鳥は我が家であった。しかし幸せの青い鳥は直ぐに逃げ去るから、又幸せの青い鳥を求める旅立ちになる。人は永遠の旅人である。

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