風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

巨大化は破滅の一里塚 236号

2008年03月01日 19時02分37秒 | 随想
ローン返済を終了した自宅は、部品が破損する時期でも有る。玄関ドアはピアノで有名なYAMAHAの木製のドアであるが、塗料が剥げ無残な外観である。アルミのドアに変更した。トイレの便器は陶器製であるが、蓋の部分が破損したので交換することを決断した。諸行無常の世間である。

ローン返済を終了した時期に集中的に耐用年数が切れる設計に頭が下がる。これが戦後の学校教育の成果なのである。大手住宅会社の営業マンは部品を交換するよりも、建替えた方が経済的ですと、平気で言う。冗談ではない。25年間の汗と涙の結晶と数限りない思い出の詰まった宝石箱なのである。簡単に葬り去らないで頂きたい。優秀なセールスマンは血も涙も無い悪魔なのだろうか。

玄関ドアは25年のローンを組んで購入した株式会社の大手住宅会社に依頼した。市販の規格品に会わない設計であるから、割高感を持ちながら工事依頼したのである。トイレ便器の交換は、地域の小規模な有限会社の住宅設備会社に施工依頼した。発注したのは同時期でほぼ同じ金額の工事である。

有限会社のトイレ便器の交換は発注して直に完工したのであるが、玄関ドアの取り付けが終わったのは1ヵ月後である。有限会社は手付金不要で、株式会社は契約時に半分の20万円程度の支払いを要求し支払いを済ませた。そして工事が終わっていないのに、残金の支払い要請の請求書が届いた。

有限会社から便器の据付に来た人間は一人である。手際よく片付け2時間で終了した。株式会社の玄関ドアの取り付けは現場監督と玄関ドアの運搬人と取り付ける職人2名と後から営業担当者が挨拶に来る。そして事務所では請求書を作成する美しい女性がいる。金額が跳ね上がるのが納得いく。

有限会社の社員は宿六亭主と女房と息子夫婦だろう。株式会社の社員は支店長など100人以上は抱えている。株式会社の玄関ドアも有限会社の最新型の便器も良好に機能している。

有限会社は完璧な仕事であったが、株式会社の施工に不備があったので指摘すると、職人が手当て出来たら手直しすると約束してくれたが、支払いはその前に済ましてくださいと要求する。経理課長が五月蝿く催促するのが理由らしい。有限会社は支払いの催促をしないのである。株式会社には頭脳明晰な管理職といわれる遊び人が何人いるのだろうか。

週末が明け銀行業務が再開されたら、株式会社にも有限会社にも工事代金を支払うことにする。今後、工事の発注は株式会社を敬遠して、有限会社にお願いすることにする。庶民のささやかなリベンジである。

巨大化の道を歩いた株式会社は、顧客の素朴な求めの奉仕を忘れ、金儲けのみに走り、顧客の感謝の心を剥奪して、怒りの心を目覚めさせる。有限会社は顧客に笑顔をくれ、またお願いしたくなる。驕れるものも久しからず、風前の灯火と同じ運命である。気の毒な事である。

巨大化した株式会社は恐竜と同様に、絶滅の道を歩いているように感じ、その防止策は夫婦で経営する小規模な有限会社の心を学ぶことである。巨大株式会社の従業員はイージス艦「あたご」の乗組員と同様に職業観や使命感が欠落して弛んでいるのである。そして人生観を狂わせたのは、国家の教育制度である。



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