故郷を走る特別仕立ての列車の指定席が手に入り、弥生初旬に善光寺を訪ねる。
電車で一時間程の飯山に隻手音声の公案の作者の白隠禅師の師匠の住んだ正受庵に行こうと思う。
一大事と申すは、今日ただ今の心なり
念の為、役所の観光課に問い合わせると深雪で閉鎖中と親切な返事、長らく故郷を離れると雪国の冬の記憶が薄れる。
飯山の先の戸狩駅、今は戸狩野沢温泉駅に想い出がある。
当時の青春女優の和泉雅子と遭遇した。舟木一夫と共演した北国の街のロケだった。共に映った白黒写真があったが、紛失し今は無い。
青春18切符を利用して始発電車で岡崎を発てば野沢で温泉に浸かり青春時代を回顧できるが、まだ寒い日の出前に駅まで歩く苦行に腰が引ける。
始発電車に遅れると、野沢温泉到着が16時過ぎになり、温泉発の駅行最終バスの17時過ぎまでの時間では入浴が叶わない。
その日は長野に宿泊、翌朝はお朝事参加を予定するから、野沢宿泊は叶わない。
始発電車に乗るのか、温泉入浴を放棄するのか、その決断が一大事であるが、まだ十分な時間が残されている。