結果を知ってる仏様 ４３１号

アンミツ・アンカツは喫茶店のメニューではない。安藤光彰・安藤勝己。ＪＲＡの騎手である。アンカツは地方競馬の笠松でオグリキャップに騎乗した。

中山競馬場の第５３回有馬(農相)記念(競走)、一番人気の牝馬ダイワスカーレットが逃げ切り、優勝を果たした。鞍上に安藤勝己騎手。２着に最低１４番人気のアドマイヤモナーク、３着に１０番人気のエアシェイディが入り、９８５５８０円の３連単配当金。

年末に一攫千金を夢見て、各人の判断で札束を投入する。的中して満面笑みの人間、外して馬券を紙吹雪にする人々。巨額の紙幣がＪＲＡの組織から、此方の人から彼方の人に配られる、業火が燃える修羅場である。

農水省はＪＲＡの経営委員に、ＴＯＹＯＴＡの奥田さんを任命した。原油枯渇の次世代の車は馬車になるのだろうか。無駄が多いから楽しい遊びなのだが、ＴＯＹＯＴＡ生産方式の競馬は面白いだろうか。画一的な高性能の馬の競走は全て１着で特払いの７０円になってしまう。あるいは馬のロボコンを目論んでいるのだろうか。

仏様は結果をお見通しだった。馬券を購入しない理由は、仏様は人間で無いからである。仏様は人間の浅知恵の貨幣経済を理解できないのである。そして全員が的中するから極楽には競争が無い。

外した人間は真実が目の前にあるのに、真実を見る目が無かったのである。的中した人間は迷いが、たまたま真実と合一した偶然である。

ダイワスカーレットが馬券を購入したら１着を、アドマイヤモナークは２着を、エアシェイディは３着を的中させる。何故なら自分が走るのだから。しかしどの馬も９８万円の３連単を的中させない。どの馬も他の馬との比較で考える事はしない。本能で我武者羅に走るだけである。アンカツは何もしていない。鞍上の飾り物である。

喜怒哀楽の年末恒例の人間模様を仏様は微笑みながら眺め、判明している結果を次々に提示するだけである。仏様は全てを事前に承知しているのである。

来年の有馬記念で有頂天の崖っぷちから奈落の底に転落するか、敗北地獄から蜘蛛の糸をよじ登るかの選択は自己責任の判断で、仏様は無限の可能性を用意している。