風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

易行道の上高地散策 93号

2007年06月01日 19時17分50秒 | 随想
長野県で育ったのであるが、上高地を初めて訪ねたのは60歳の時であった。県歌「信濃の国」の住人のアクセス常識は、松本からアプローチするのが一般的である。女学校の親友とバス旅行した、愛知県出身の女房の案内は飛騨高山経由になる。自宅のある岡崎市から息子の乗用車「マツダロードスター」での夫婦旅は、岡崎インターから東名高速に流入し、豊田ジャンクションで東海環状自動車道(「Mie」「Aichi」「Gifu」の頭文字を取ってMAGロードという愛称が付けられている)に乗り移り、土岐ジャンクションで中央自動車道に変更、中津川で高速道路を離脱、一般国道を走行して、下呂温泉経由で飛騨高山に向うのが、平日にはお勧めである。

国道158号は、福井県福井市から長野県松本市へ至る一般国道であるが、油坂峠・新軽岡峠・安房峠の3つの急峻な峠を越える「酷道」であったが、平成10年2月の長野冬季オリンピックに間に合わせるべく急ピッチで工事が進められ、北アルプスを貫き信州と飛騨を直結する安房トンネルが平成9年12月6日開通した。当初計画は平成17年度末に開通する予定であったが、政治の力で早期完成できた。何故か。税金が優先的に投入されたからである。観光には貢献しているが、都市一極集中の歯止めに成り、田舎が活性化することを望んでいる。1か0かのデジタル思考より、連続的なアナログ思考が好みなのであるが。田舎があり、延長上に都市があるのが、美しい日本である。

旧道の安房峠は大型車のすれ違いが困難なため、安房峠道路の開通以前の旧道は行楽シーズンともなると通過に5時間以上(長い時には8時間)掛かり、冬季は積雪により通行できなかった最大の難所であったが、その安房峠越えをわずか5分に短縮させたのが、水蒸気爆発による4人の死者を出し、現地調査から33年・着工から18年の歳月を費やしながらも開通した中部縦貫自動車道安房トンネルである。

岐阜県から安房トンネルで長野県に入り、上高地へ通ずる長野県道は、通年でマイカー規制が行われているため、一般車は通行できない。一般車は岐阜県飛騨高山の平湯温泉の駐車場に車を止め、バスかタクシーを利用して上高地へ向かう。
途中にある釜トンネルは、従来は道幅が狭いため交互通行規制で、トンネル内での長い信号待ちや急カーブがあり、度々渋滞の原因となっていたが、平成17年(日本国際博覧会(愛知万博)「愛・地球博」が開幕) 初夏に片側1車線を確保した新しい釜トンネルが完成し、平湯温泉から中の湯経由して上高地の河童橋まで15分程度である。

朝早くの出発で日帰り旅行であったが、河童橋周辺はハイヒールの女性が目立ち、東京原宿界隈と変わらない賑わいである。大正池で下車して、徒歩で河童橋、明神池を巡り、20時には帰宅できた。昔なら一泊二日の旅程だろう。いつの日か、初春か晩秋のバスの営業が終了した頃、中の湯温泉に宿泊して、釜トンネルを徒歩で通過して上高地を訪ねたい希望があるが、文明社会に埋没した怠け癖の付いた人間には叶わぬ夢かもしれない。

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