風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

讃岐うどん・空海 91号

2007年05月30日 08時28分31秒 | 随想
エルニーニョは、南米チリ沖赤道上で海水の温度が上昇する現象。スペイン語で「男の子」の意味。エルニーニョが発生すると、日本では長梅雨、冷夏、暖冬となる事が多い。
ラニーニャは「女の子」の意味である。エルニーニョとは逆に、南米チリ沖赤道上海水の温度が低下する現象。ラニーニャが発生すると日本では少雨、猛暑、寒冬などの気候変動の原因となる。炭酸ガスによる温暖化の異常気象なので、経験則が適合するかどうか不明である。国土交通省気象庁の観測によると、今夏ラニーニャの発生が予測されている。水不足が心配される。現時点でも四国ではダムの貯水率が異常に少ないようである。

うどんは弘法大師空海が唐から伝えたという伝説が、お大師様(弘法大師空海)の誕生の地である四国香川県善通寺市の付近にある。昼飯は「うどんでも空海」の名物讃岐うどんである。美味しいうどんを提供する為にはは大量の水が必要で、水不足の影響は深刻である。

平安時代には雨乞いを祈祷師にお願いしたが、密教祈祷師である空海が、アーチ型堤防など当時の最新工法を駆使し改修したことでも知られ満濃池(まんのういけ)は、水不足を解消する現実的な方法である。空海は宗教家であると同時に科学者であった。難工事を短期間で完成させるべく、労務者を鼓舞激励したことは宗教家である。即身成仏で現世利益(げんせりやく)を宗旨とする弘法大師が杖をつくと泉が湧き井戸や池となった弘法水の伝承をもつ場所は全国で千数百件にのぼり、温泉の発見の伝説もある。人が生命を維持する為には水が不可欠であるから、一滴の水を大切にすることを禅寺で教える。沢庵を食器洗いのたわしにみたて、お茶で洗い飲む食事作法はその実践である。

故郷である四国において空海が若い時の過酷な山岳修行時代に遍歴した霊跡は、江戸初期の真念によって札番号を付けてまとめられ、四国八十八箇所霊場巡りの遍路道が出来た。若くして遍路道を巡礼した甥は「人の好意を無条件で素直に受ける事が出来るようになった」と言っていた。
弘法大師に関する伝説は、北海道を除く全国に多くあるが、全部が空海の足跡ではなく、全国を勧進して廻った遊行僧である高野聖の話が混じっている。

豊かな日本は物による現世利益が頂点に達しているが、若い時に苦しみ悩み、多くの過酷な体験をした後の現世利益でないといけない。物の本当の大切さが判らないので、物を粗末にしてしまう。ラニーニャによる水不足は、間違った現世利益の解釈に対する弘法大師空海の怒りなのかもしれない。


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