荒井良二先生の授業は、いつもお話から始まります。
今日は、今週末(2/14)まで、兵庫県立美術館で開催中の「ジョルジョ・モランディ」展のお話です。
皆さんはモランディを知っていますか?
モランディは、イタリア・ボローニャの作家です。
荒井さんはボローニャに4回行かれて、4回ともモランディ美術館へ足を運ぶほどお好きだそうです。
モランディには不思議なところがあります。
まず、ボローニャからほぼ一歩も出ずに生涯を暮らしたこと。
美しい風景や刺激を求めて旅をしたり海外へ行くのかなと想像しますが
行動範囲は自分のアトリエとボローニャだけです。
そして、モチーフは主にビンや缶。
風景画も少しありますが、ほぼビン、缶、ビン、缶です。
「ビンカンな人なのかな?!」とダジャレも交えながらお話は続きます。
また、同じビンや缶が、絵の中で何度も登場します。
微妙に配置を変えて何度も描いています。構図も大きく変わりません。
あるのは一本の水平線。ビンを置いている机と後ろの壁を区別するだけの線です。
ビンは埃をかぶってきたら、その埃までも絵に描いたそうです。
荒井さんのお話では、
きっとモランディは、ビンや缶の中に絵の要素全てが詰まっていると気が付いたのではないだろうか、と。
絵の要素とは、デッサンや量感、目に見えるもの、それから抽象と具象が背中合わせだということまでも。
そして、絵を長く描き続けていたら、だんだん変化していくことが多いですが、
モランディは、目に見えるビンを、具象のまま(目に映るまま)描き続けました。
抽象には行かず、ぎりぎりの土俵際で踏ん張っていたのかもと荒井さん。
だからこそ、長く描き続けられたのでは。
だからボローニャに留まった。描く対象を探さなくても、旅をしなくても、
描くべきものは自分の部屋に、ここにあると気が付いたのでは。
命をかけてビンと向き合った。ビンが役者でモランディが監督のようにまで見えてきます。
授業では、そのモランディにちなんだワークショップをしました。
コピー紙を束ねた冊子を使います。
・1~24Pまでノンブルをふる。
・奇数ページに「絵」、偶数は「言葉」を描くが、両方絵を描いても良い。
・カラーコピーしたモランディの絵を見ながら自分の気に入ったビンをを3~4つほど、3ページ目に描く。
・そのビン達を主人公とし5ページ目から感情を持たせる。感情を持ったとして自由に形を変えて描く。
・全部の奇数ページ(絵のページ)に水平線を一本必ず描き入れる。これのみ固定しておく。
・1Pと24Pは空ける。(1Pは扉部分、24Pは最後に何か描きたければ言葉でも、絵でも、全体を見て決める)
・23Pは最初の3Pと同じ絵にする。(※23Pは3Pと同じだが、今まで変化してきた余韻も23Pにほんの少し描き足すと尚良い)
・ビンの周りに何か描き入れる。例…室内ならイス、屋外なら雲を描いてみると良い。ただ何かが通り過ぎるだけでも良い。(車、ちょうちょ等)
面白くしようとは一切考えない。
絵本は、最初の2、3ページでわかるということが大事。
だんだんわかってくるというのではいけない。
だんだんやりたいという人は、わかった上でやるのは良い。
皆、展開が早い人が多いので、最初は丁寧に理解してもらうよう描くこと。
それがないと読み手はつらい。
また、主人公以外の脇役も大事。余白をどう使うか考える。
絵本は何となくでは出来ていない。
作者は全てわかっていてやる。
2時間はあっという間に過ぎていきました。
お疲れ様でした。
次回は4/10です。よろしくお願いいたします。