森川成美さまの古代ファンタジー『アサギをよぶ声』。
①アサギをよぶ声
②アサギをよぶ声 - 新たな旅立ち -
③アサギをよぶ声 - そして時は来た -
今回ご上梓された本は「アサギのよぶ声」。
あれ?「アサギの」?「アサギを」じゃなかったっけ、と思ったけれどこれで良かった。
読み終わって、「アサギのよぶ声」が本の中から聞こえてきたから。
今回は前3作の続編に位置する。
主人公はアサギの孫にあたるヤヒコという名の12歳の少年。
アサギもその息子も12歳で旅に出て、ヤヒコも「ミ国にないものを探してこい」と送り出された。
スナ国にむかったヤヒコは、はじめて海を見、ラオという名の老人を手伝い船出する。
この作品のもうひとりの主人公は、ユン。
ユンの父は名うての弓職人だが酒におぼれていた。
シュー様が「役人がいない夢の国」へ行く職能のある工人を集めていた。
3年前、ユンの友人ヤーイの家族が陶器職人として行った場所だ。
夢の国と言われた海の向こうの土地で、ヤヒコとユンは出会う……
いつもながら森川さまの物語は、一気に引きこまれる。
しかも、前3作で物語世界が自分の頭の中にあるものだから、さらに深みを増して。
でも、この作品は、前作を全く知らなくても楽しめる。そして前作を読みたくなる。
前3作を知る人は、ナータの登場に胸をときめかすはず。
今回は少年と少女のロマンスも描かれている。
国のちがうふたりは言葉が通じないのに、心の繋がりがしっかり伝わってくる凄み。
スカイエマさまの絵もすばらしい。
前三作を並べてみた。
この作品のすごいところは、単なる想像のファンタジーじゃないこと。
登場人物の名前から日本の古代を予想させるが、いまにも触れるようなリアリティがある。
古代社会の生活の細かな描写は、縄文・弥生文化をかなり掘り下げて学ばれたのでは。
縄文から弥生への移行期を舞台にしたと思われるこの作品、あちこちに驚きが隠されていそうで困った。
森川さま、「北海道・北東北の縄文遺跡群」がこの7月、世界遺産に登録されることが決まりました。
縄文の暮らしがいま、見直されています。
アサギの国をまたぜひ見せてください!
この作品、季節風の書評を書いているのだが、
あまりにお勧めの作品なので、夏休みの小中学生にぜひご紹介したくて。
森川さまは童話塾 in 東北で「東北と創作と私」というご講演をして下さる予定。
ますます楽しみになってきた。
今日は午前診療で午後から新型コロナワクチン集団接種出向。
それにしても昨日の女子バスケ、町田がすごかった。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)