KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

登り納めは干支の山、竜王山

2024年12月30日 | 香川の里山

窓の外はどんよりした曇り空。朝から出かける気分にならず、とりあえずは奥さんのお手伝いでご機嫌取り。

すると昼から少しづつ青空が見え始めた。『よしそれじゃ~ちょっと歩いてきます』と言って近くの山に。午前

中のお手伝いの効果もあって、嫌味を言われずにあっさり出かけることができた。

 

今年最後の登り納めは『干支の山』に決めていた。ただ今年の干支の辰(竜・龍)の付く山は、県内には国土地

理院の地形図に載っているだけでも5座あり、その他にも各地に竜・龍の付く山がある。

もともと香川は水不足で、山頂近くに雨ごいの神様の龍王祠が祀られている山がけっこうある。そのせいもあっ

てか、竜王・龍王の名の付く山が他の県に比べても多い。

いつも干支の山を探して毎年登っているけれど、そんなわけで今年の干支の山は探すのに事足りる。

 

その中の一つ我が家から一番近くの竜王山に出かけてきた。先週登った小豆島の大嶽からは、五剣山や屋島や大

串半島が見えた。この竜王山も大串半島にあり、ひょっとしたら反対側から大嶽が見えるかも、と思ってだった。

 

さぬき市の鴨部地区から小田地区に抜ける道沿いにある、『さぬき森森林浴公園』の駐車場に車を停める。

この公園には3つのコースがあり、竜王山はやまなみコースの一番奥になる。駐車場から道路を挟んで反対側か

らスタート。すぐにコンクリート製の擬木の階段が始まる。

 

 

 

午前中のうす暗かった空は気持ちのいい青空に代わっていた。道の脇には里山らしい羊歯の葉が、夏に比べて

枯れる前の濃い緑から明るい緑に変わっていた。

 

擬木の階段が終わると今度は花崗岩が風化した真砂土が固まった道。斜度があるとけっこう滑りやすい。

途中、擬木の階段と同じような、コンクリート製のベンチが2対。この後も所々に設置されていた。

 

 

 

竜王山の手前にはこれも地形図に山名は載っていない御殿山がある。その山頂の手前に山名の由来が書かれた説

明文が、木の枝に掛けられていた。説明文にある馬場はスズタケが生い茂った場所になってしまっていた。

その馬場からすぐに御殿山。ただ山名標がなければただの尾根筋、わからず通り過ぎてしまうような場所だった。

その先では西に日盛山、その奥に五剣山・屋島が見えた。

 

 

 

 

御殿山からしばらく歩くと竜王山からの尾根筋になる。右に竜王山、左に小田方面の分岐で右に折れて竜王山へ。

ここから800mの間、何度かアップダウンを繰り返していく。

 

 

 

道は整備されてとても歩きやすい。木々の間から冷たい風が吹き抜けていく。寒風の中、元気な鳥の鳴き声があ

ちらこちらで聞こえてくる。気温が低く風が冷たいとはいえ、何度かの登りでじわっと背中に汗をかき始めた。

 

 

 

駐車場から1.3km、35分ほどで竜王山に着いた。山頂には 四等三角点 中尾 160.86m

山頂から北側を見ると麓に小田地区の港。その右手には志度カントリー。その奥に瀬戸内海、対岸にはの洞雲山

碁石山、そしてお目当ての大嶽が見えた。

 

 

 

 

 

小豆島の峰々を眺めた後、折り返してもと来た道を戻って行く。相変わらず擬木の階段と真砂土のアップダウン。

 

 

分岐からは駐車場に戻らず、そのまま小田方面へ直進する。途中の露岩からにひと登りすると、屋島の裾の向こ

うにサンポートのシンボルタワーが見えた。

 

 

 

 

さらに進んでいくと道の左上に龍王祠が祀られていた。龍王祠からは少し離れた小田地区。その奥に日差しが届

いて白く輝く大嶽の、大岩壁の先週下ったルートが確認できた。

 

 

 

龍王祠からは小田地区へ急坂を下って行く。最後は車の走る音が聞こえてくる方灌木の茂る中をかき分けて行く

と県道に飛び出した。

 

 

 

残りは県道の舗装路を歩いて公園の駐車場へと戻って行く。帰り道、沿岸部から南に走ると空にはまた雲がかか

り始めた。灰色の厚い雲の間から天使のはしごと呼べれる薄明光線(光芒)がさしていた。

 

 

 


大嶽のあの大岩壁のロープの先にある景色は?

2024年12月26日 | 香川の里山

2週間前に歩いた小豆島の洞雲山・碁石山。そこから最後に登った大嶽の山頂からは眼下に草壁地区内海湾

さらには島の岬と瀬戸内の海の絶景が広がっていた。そして目の前には荒々しい岩肌の大岩壁がそそり立ってい

た。左右に立つその大岩壁の左の岩肌をよく見ると、斜めにロープが垂れ下がっているのが見えた。『あんな危

なげな場所に・・・』と思ったが、直ぐに『ロープがかかっているという事は登れる?』という事と思いながら、

次に来た時は登ってみたいと思いながら、その日は帰ってきた。

 

 

 

ただ帰って来てからあのロープの事が頭に浮かんで消えず、『登ってみたい、登れるだろうか?』という思いが

日増しに強くなっていた。そこでYAMAPで検索してみるとやはりあの大岩壁のロープを登っている人がいた。

meさんの活動日記には手前の岩塊にもロープがあり、そこを昇り降りした後にあのロープを登っていた。そこで

meさんにメッセージで質問をしたところ、どうやら手前の岩塊のロープはしごが朽ちかけているので注意が必要

と、三点支持で登れば大丈夫でしょうという返事をいただいた。少しでも様子が分れば心強い。meさんありがと

うございました。

ただそこで好奇心は終わらず、ぜひあの大岩壁を真下から見上げてみたいと思った。ロープ場をピストンした後、

途中から大岩壁の襟足に沿って下れないかと考えた。

そんな不純な考えに付き合ってくれるのはあの人しかいないと思い誘ってみると『もちろん行きます』とニッコ

リマーク付で即返事が返ってきた。

 

前回と同じ7時20分発の土庄行のフェリーに乗り込む。今朝は放射冷却のせいで気温が下がり、写真を撮ろう

とデッキに出ると、甲板は凍っていてあわや転倒しそうになった。高松港を出港時には日の出で空と海がオレン

ジ色に輝き、土庄港に入港時には少し登った陽に照らされた海が、銀色に輝いていた。

 

 

土庄からは田ノ浦行のバスに乗り、苗羽(のうま)のバス停で降りた。この苗羽地区は醤の郷と呼ばれる醤油づ

くりの町。最盛期には400軒近くの醤油醸造所があり、今でも20軒近くの醤油蔵や佃煮工場が軒を並べてい

る。その苗羽地区は港から東に向かって坂道が続き、家々が立ち並んでいる。その坂道の先にはどこから見ても

あの大嶽の大岩壁が見えている。

 

 

途中から前回下ってきた道に合流して、舗装路から脇道に入って行く。

しばらくは舗装路が続いていくが、次第に路面が荒れ始める。

 

 

コンクリート製の水路の横を通り進んで行くと、大きな櫓とその脇にはモーターの様な大きな機械が据えられて

いた。モーターから櫓の上、そして山に向かってワイヤーロープが続いていく。前回も思ったのだが、何の運搬

に使っていたのだろうか?調べてみてもまったく情報が出てこない。

 

 

 

登山道は沢筋になり、ゴロゴロ転がった油断すると捻挫しそうな歩きにくい道が続いていく。

その沢筋に沿って相変わらずワイヤロープが続いている。

 

 

 

登山道は途中で道標のある場所から沢筋を離れ山道になって行く。ここまでもテープが所々巻かれていたが、こ

こからは幹にテープとは別に青いペンキが目印に塗られていた。

すると道の北側に木々の間から大嶽の大岩壁が見えた。奥様にはこの後のルートを指さし説明しながら、『下り

の時の距離感としてはこの位、迷ったとしても何とかなるでしょう』と話をする。

 

 

 

道は谷筋を回り込むようにトラバースになると碁石山との分岐になる。前回は碁石山の長いロープの下りをクリ

アしてほっと一息ついた場所だ。

この大嶽・碁石山と書かれた道標からは左に折れて、ウバメガシの林の中を登って行く。

 

 

 

ウバメガシがまばらになってくると岩肌が現れる。その岩肌をひと登りすると2週間前にも来た大嶽山頂だ。

今日の天気予報では晴れマークだったが、なぜか洞雲山からこの大嶽にかけてうす暗い雲がのしかかっている。

青空の下なら気分は高揚するが、うす暗いとなんだか先行きに不安を感じる。

 

 

それでも今日の第一ステージの大岩壁のロープを山頂から確認して、気持ちを奮い立たせる。

先ほど途中で見上げた時は手前の岩塊と大岩壁も思ったよりも高さがあった。ここからは大岩壁にかかる一本の

ロープしか見えないが、果たしてどうなっているのか。『さぁ行きましょう!』と奥様に声をかける。

 

 

山頂手前に大岩壁へと道が続いていた。ウバメガシの続く斜面を『こんなに下るのかな?』と思うくらい、結構

な高さを下って行くと鞍部に着いた。

 

 

ここから先は一般の登山道ではありませんので、決してお勧めするルートではありませんのでご注意ください。

 

鞍部からは手前の岩塊へと登って行く。ただmeさんの活動日記で見たロープはなく、『どこにロープがあるのか

しら?』と言いながら奥様が登って行くと、頂部の直下でロープがかかっていた。

溶岩が固まった岩は固く、ロープを使わないでも露岩の岩は手掛かり足掛かりが良く、三点支持で登って行ける。

 

 

 

ただ最後にロープが終わって頂部に出る所は、張り出した岩が邪魔をして注意が必要だ。登りきると半畳ほどの

平らな岩からは、山頂から見えた二つの岩壁が、間の谷に向かってさらに深く切れ落ちているのが見えた。なか

なかの高度感に股間がゾクッとする。ここでは少しでも変な動きをしたら落ちそうになので、その平らな岩から

安全そうな場所へ身体を移す。

 

 

 

身震いしながらさらに先の岩壁を見ると、山頂からは一本に見えたロープが何本か垂れ下がっているのが確認で

きた。さぁここからはほぼ垂直に近い岩壁を降りることになる。

奥様が先の岩壁でお昼にしたいというので、ザックはそのまま抱えて、ストックだけを置いて『いざ!』

 

 

 

頂部から一段降りた先には何本ものロープとロープはしごがかかっていた。ただしロープはしごの踏み桟は木で

できていて、外れかかっているのもあって当てにはできない。

足元も岩肌の上が土と苔で覆われていて滑りやすい。ロープだけで垂直懸垂する技術もないので、当てにはでき

ないが時々ロープはしごに足を入れながら降りて行く。

 

 

 

揺れるロープはしごに苦戦しながら何とか鞍部に降りたつと、今度は横にロープが張ってあり少し張り出た大岩

の横をトラバースする。歩ける幅は狭くすぐ横は切れ落ちていて、けっこうヒヤッとする場所だった。

トラバースした後はあの山頂から見えた岩壁のロープとなる。

何段かに分かれて掛けられていたロープは見えていた以上に何本もがかかっていた。その中でも結び目を作って

くれているロープが役に立ち、そのロープを握りながらもう片方のロープを握り、二本を使って登って行く。

 

 

さすがの奥様もすんなりとは登って来れていない。それでも少々苦戦しながらも登ってきた。振り返ると今降り

てきたロープはしごのある岩塊が、目の前に見えた。

 

 

二人とも登った後さらに先へと進んで行く。もちろん左側はあの大岩壁。もし落ちでもしたら数十メートル落ち

て即あの世行き。(汗)

そんなことは気にしない奥様は、どんどん先に下って行きもうそれ以上はというところでようやく諦めてくれた。

 

 

 

それじゃ~という事で、岩に腰掛けてお昼ご飯にする。あの大岩壁の上で吹き抜けていく風が冷たい。

インスタントの赤だしの温かい味噌汁がありがたい。

 

 

南を見ると坂手港にジャンボフェリーが入ってきているのが見える。ここから見るとジャンボフェリーなのに、

ジャンボにはけっして見えない。その反対側を見ると、大嶽前衛のもうひとつの岩壁がそそり立っている。『あ

の岩壁は登れるのだろうか?』とまた要らぬ考えが浮かんでくる。

 

 

そして山頂からは見えなかった苗羽地区が見渡せた。さらにマルキン醤油の黒い建物群の規模の大きさに驚かさ

れる。山頂から見たロープの先の景色が今こうして目の前に広がっている。

 

一応ここで今日の第一ステージはクリア。ここから折り返しの岩壁のロープの第二ステージとなる。

取りあえずはへっぽこリーダーが先行して降りて行く。

ただ登りで少し手こづったほどではなく、両手で二本のロープを握っていると、岩壁から身体を離せて足元の確

認ができて意外とすんなりと降りて行けた。

 

 

 

 

登りよりも下りが難しいと言われているが、今回はどちらかというと次のロープはしごがかかった垂直の岩の登

りが一番苦戦した。滑りやすく見えない足元に、どうしても腕に力が入り余裕がなくなってしまう。

増えた重たい身体を持ち上げるのに一苦労。痩せなきゃ~と思っても多分この時だけ。

 

 

 

何とかロープはしごの岩壁を登り切り岩塊の頂部に立つと、雲の間から一瞬陽の光が、反対側の岩壁を白く輝か

せていた。右の尾根から歩いて行けば、岩壁には頂部まで木が生えている。『ひょっとしたら登れるかも』、

『いかん、いかん、また変なことを考えたら・・・・。』

足元を見るとその白い岩壁と同じように、ズボンがまっ白に汚れている。普段はお尻は汚れることはあるけれど、

前側が汚れるなんてほとんどない。いかに岩肌にへばりついて昇り降りしていたがが分る。

 

 

さぁここから第三ステージ。ここまでは歩いていた人もいるので様子が伺えたが、ここから先は一切情報がない。

大岩壁の下はどこにもあるような土溜まりがあるはずだから、岩壁に沿って歩けるはずだ。ただそこまでの途中、

そこから先の谷筋が地形図を見ても航空写真を見ても読みずらい。

まずは岩塊を降り鞍部からその岩壁に沿って南に向かって斜面を降りて行くが、直ぐに深い谷にぶち当たってし

まった。二股に分かれた谷筋を大きく避け、東に振って回り込みながら下って行く。

 

 

 

 

谷筋が浅くなった場所からまた岩壁に向かってトラバースして行くと、岩壁はオーバーハングしていてその全容

は全く見えない。しばらくは土溜まりを進んで行くが、途中からはまた深くえぐられた岩壁になってこれ以上進

めない。

 

 

 

一旦戻って出来るだけ岩壁から離れないようにして回り込み、今度は尾根筋に向かって登って行く。

すると少し斜め上に白い岩肌が木々の間に見えたので、その岩肌に向かって登って行くと目の前にあの大岩壁が

迫っていた。横に大きく広がる大岩壁は木々が少し邪魔をしてすべてを見ることはできないが、それでも大迫力

だ。イボイボの岩肌には国分寺のカッパドキアにもあったキノコ岩が、垂直の岩壁に立っている。

風雨にさらされた岩壁は崩れることもなく、花崗岩と同じように赤く変色しているヶ所もある。

 

 

 

 

視線を北側に向けると、その垂直の岩壁の向こうに拇岳がこれも垂直に指を立てている。次に小豆島に来るとし

たら、あの千羽ケ岳と拇岳になるかな?なんて思いながら眺めた。

 

 

展望があるだろうと思っていた場所からは岩壁の全容が望めなかったので、もう少し下へ尾根筋を下ってみるこ

とにした。すると樹林帯を抜けた場所にまた岩稜が現れた。

 

 

そして振り返ると『なんという事でしょう!』少し距離は離れて目の前の木々でその高さは半減していたが、

大岩壁の端から端まで見渡せた。『これ、これ、これが見たかった!』もちろん奥様も大満足のご様子!

その麓はまだ少し彩の残る緩やかな山裾が広がり、この大岩壁を眺めながら歩いてきた苗羽の街が見下ろせた。

 

 

 

 

 

この露岩の場所を『大嶽展望所』と名付けることにしたが、おそらく訪れる人はいないだろう。(笑)

露岩のある先は木々が密集して歩きにくそうなので、この尾根から南に登ってきた登山道に向かってトラバース

する。谷筋は二本ほどあったが、出来るだけ浅く歩きやすそうな場所を選んで回り込みながら谷筋を渡って行く。

 

 

 

二本目の谷筋には大きな岩が転がり落ち葉がたっぷりと積もっていたが、『落ち葉のスキーね!』と言いながら、

奥様も器用に足を滑らせながら下っている。ここも向かいの尾根へ高さがあまりない場所を選んで渡り、尾根を

乗越し少し歩くと、往路で歩いた登山道に出た。

 

 

 

ここから苗羽のバス停まではゆっくり歩いてもバスの時刻には十分間に合いそうだ。

歩きにくいゴロゴロ岩の沢筋を下り舗装路に出ると、山頂近くにあった重苦しい雲は流れ、きれいな青空が広が

っていた。

古い立派な建物が多く残る道を二人で満足げに歩いて行く。バス停で一緒になった年配の女性に大嶽の話をする

と、息子さんが帰省した時は必ず大嶽をバックに写真を撮るそうで、他にも嬉しそうに色々と話を聞かせてくれ

た。バス停のある場所は旧苗羽村役場があった場所で、その横には大きな『岩部亀士紀功碑』があった。

岩部亀士は初代志度村の村長を務め、その手腕を丸金醤油創立者である木下忠次郎認められ懇願されて、苗羽

村長に就任したという。そんな話を聞くと少なからず何かの縁をこの苗羽に感じたのだった。

 

 

 

 

大岩壁からの落ち葉の積もった下りで予測のつかない足の動きになり、帰りのフェリーの中で膝が痛み始めたが

その痛み以上に、今日のコースは久しぶりに人がほとんど歩いていないバリエーションルート。歩く前からの下

調べに胸躍らせ、最後の下りではルートファインディングに頭を使い、ロープ場では緊張感を味わった楽しい楽

しい一日だった。ただこれに味を占めた奥様がこれ以上エスカレートしない事を願うばかりだった。

 


あっぱれ絶景かな洞雲山・碁石山・大嶽

2024年12月13日 | 香川の里山

 

前回寒霞渓馬の背を登って、その西にある四方指から眺めたデコボコした洞雲山から大嶽の稜線。

馬の背の溶岩が固まった特異な地質の尾根を登った後、その四方指からの景色を眺めながら、『そう言えば以前

に登ったあの洞雲山から碁石山も同じようなガチガチ固まった稜線だった』のを思い出し、隣に居たあっちゃん

に『あの稜線も岩場になっていて楽しいですよ』と話をした。

その事を思い出して今回はまた小豆島に出かけてみることにした。計画としては坂手から洞雲山に登って碁石山

へ縦走、そこから大嶽へとアプローチするのだが、YAMAPの活動日記で事前に調べてみると、どうやら碁石

から大嶽への山頂直下のロープ場が難所らしい事が分かった。でもまあロープがかかっているという事はそれ

なりに歩いている人がいるのだろうと考えて、そのままロープ場を下って大嶽へ登った後、麓の苗羽(のうま)

に下る周回コースとした。

 

小豆島の山を登るときに一番考えるのはフェリーとバスの時間。取りあえず早めには出かけたいのだけれど、若

干一名が朝の早いのを難色を示す。それならと7時20分発の土庄行のフェリーに乗って、8時30分発の田ノ

浦行のバスに乗り継いで坂手港に向かうことにした。この時間だと今度は帰りの時間が気になるのだが、距離も

標高差もさほどではないので何とかなるだろう。

 

田ノ浦行のバスは坂手東で折り返して田ノ浦(映画村)へと向かう。その坂手東でバスを降りて、まずは『夏至

観音』で有名な、島霊場88ケ所の1番札所の洞雲山へと集落の中の道を登って行く。

坂の途中で振り返ると坂手港と田ノ浦の半島の横に五剣山が見えた。そこからしばらく歩いて行くと、2013

年の瀬戸芸で出品されたビートたけしとヤノベケンジの彫刻作品のある美井戸神社があった。

 

 

 

坂道の正面に見える岩壁に『あの上登るんかな~』とあっちゃんのテンションが上がってきた。洞雲山へのコン

クリート道はこの季節、行き交う人がいないのかたっぷりと落ち葉が積もっていた。コンクリート道からへんろ

道に入ると、さらに道は荒れていた。

 

 

 

オリーブの木が植えられた牧場の跡地を横目に見ながら更に登って行くと、第3番札所観音寺の奥の院・隼山

に着いた。大師堂の前の広場からは播磨灘を一望に、鳴門・淡路島が見える讃岐十景の展望地。銀色に輝く海

に空に浮かんだ雲が影を落とし、穏やかな風景はこちらの気持ちまで和ませてくれる。

 

 

 

その大師堂から洞雲山へと向かう途中に展望台があった。坂手の町を見下ろす展望台からは対岸の東讃の里山の

奥に、阿讃の峰々が続いているのが見える。

 

 

 

その展望台の先の参道からは、坂手の集落から見えた岩壁がそそり立っているのが目に飛び込んできた。

老杉の並ぶ境内に入ると、その岩壁の下に大きな洞窟。洞窟の中に本堂八角堂が薄明りに照らされていた。

 

 

 

洞雲山を後に一旦参道を引き返すと途中に、『洞雲山碁石山登山口』の小さな案内板が木の幹に掛けられている。

そこから乾いた土に足を滑らせながら岩壁の南側へと登って行く。

 

 

 

岩尾根特有のウバメガシの密集する急登を登って行くと岩壁の南端に出る。そこには先ほどの展望台より見た景

色より高度が上がって、さらに奥の内海湾の景色が広がっていた。

 

 

右手に視線を移すと草壁の町や寒霞渓、そしてこの稜線を眺めた四方指。坂手の町の奥には入り組んだ形の田

ノ浦の半島と、さらに先には釈迦ケ鼻のある半島が見える。

 

 

そこから先は岩尾根。馬の背同様露岩自体はしっかりしているが、高度感はかなりある。

碁石山のこんもりしたピークの先に、最終目的地の大嶽の垂直の岩壁も見え始め気分は上々!

五剣山屋島冠ケ嶽の岩壁とは比べようもない高さの岩壁の大嶽。そんな岩壁を眺めていて、あの上に立つこ

とはできないが、足元はどこも同じで土溜まりになっているはずだろうから、いつか真下から見上げてみたい。

あわよくば岩壁の弱点(岩登りではなく、木の生えている場所を辿りながら)を見つけて登れないかななんて、

不相応な大胆な考えをする。

 

 

 

そんな岩壁の下のゆるやかな裾を引く山肌は今が紅葉真っ盛りで、白い岩肌とのコントラストが対照的だ。

その岩尾根の高度感に腰の引けているルリちゃん。とはいえ足元のデコボコした露岩に足でも引掛けようものな

ら、奈落の底へ転落だ。『あわてずゆっくりでいいからね!』と声をかける。

洞雲山の石祠の前で記念撮影。『あっちゃん、それ以上後ろに下がらないでね!』

 

 

 

 

その石祠から先をひと登りすると洞雲山山頂の山名札が置かれていた。ネットを見てみると先ほどの石祠のある

場所を洞雲山山頂として写真を撮っている人が結構いるが、355mの標高はこちらの方が高いので、しかも地

元の山の会がわざわざ山頂と書いて置いているので間違いはないだろう。ちなみにYAMAPのランドマークと

もズレてはいる。ただこの山頂からの景色はこちらも申し分がない。

 

 

 

 

洞雲山山頂から碁石山へはウバメガシの林の中の尾根になる。碁石山寺への分岐を過ぎてさらに進んで行くと、

2回ほどアップダウンをして最後にひと登りしたら碁石山山頂。

 

 

 

 

 

山頂は木々に囲まれているが、その木々の頭越には千羽ケ岳と拇岳、そして島の最高峰の星ケ城が見える。

ここから大嶽まではまだ少し時間がかかるので、ここでお昼ご飯にすることに。ザックから取り出した先週と同

じ、巻きずしと稲荷寿司の弁当の蓋を開けたらその拍子に全部地面に落としてしまった。

おむすびコロリン・コロコロリンならぬ、巻きずしがコロコロ転がって行ってしまった。ガックリ肩を落として

いる私を見かねて奥様たちがおむずびとドーナツを恵んでくれた。ありがたや~ありがたや。

 

 

 

お昼ご飯を食べ終えたら、さぁここから今日のメインイベント、最難関のロープ場の下りになる。

山頂から少し北に降りると細いロープが谷あいに伸びていた。足元を確認しながら特攻隊長あっちゃんがまずは

降りて行く。ロープの最後の場所に降りると『ここは足掛かりがあるから大丈夫』と声がする。写真では伝わら

ないが結構な斜度の上にロープが細い。途中で輪っかを作ってくれているので助かる。

さらに下からは『2本目のロープは足掛かりがないので滑りやすくて難しいわよ』と声がした。

 

 

 

 

 

 

 

ロープ場が終わっても急坂は続いていく。ただ木の幹に掴まりながら降りられるので問題はない。

一旦降りて巨大な岩塊の左下を巻くように進んで行くと次に岩壁が現れる。

 

 

その岩壁には黒いロープがかかっているのでひょいとひと登りした後、もう一本ロープをやり過ごすと岩尾根の

上に出た。

 

 

 

背の低い木々の間を抜けるとまた絶景が広がっていた。麓の苗羽地区に黒い建物群が見えるのはマルキン醤油の

工場だろうか?そしてもう目の前に大嶽の岸壁が迫ってきた。

 

 

 

ここから一旦下って行くとその苗羽地区への分岐になる。大嶽に登った後はここまで戻って下って行く予定だ。

 

 

 

分岐から少し進んで露岩の上を登って行くと大嶽山頂だ。山頂にはネズミサシの枝に小さな山名標がかかってい

て、足元には「洞雲山行者講」の陶板が石に埋め込まれていた。

 

 

北と南に分かれた岩壁の間に深い神秘の谷が広がっていた。ロストワールドのここが大嶽の岩壁の弱点となるの

か、なんとなく下から登れそうな気がしないでもないが、好奇心だけでは今日は時間がない。

そして北を見ると数年前にセニョさんと二人で登った拇岳が『いいね!』と指を立てている。あっちゃんを誘っ

たら絶対に『行きたい!』と言うだろうから、今日は黙っておこう。

 

 

 

東を見ると淡路島と対岸の須磨が見えた。そしてふと見ると西側の南の岩壁にはロープがかかっていた。誰か

があそこまで行ってロープまで付けている。またひとつ興味が増えた大嶽だった。

 

 

 

分岐まで戻って西に苗羽へとウバメガシの木の枝に掴まりながら下って行く。足元はその小さな落ち葉が積もっ

て滑りやすい。道は踏み跡もしっかりあり、テープや青いペンキの目印も木の幹や岩に付けられているので迷う

ことはない。

 

 

 

 

途中には木材搬出用のヤグラと滑車が残っていたが、この周りに植林した様子はなく何の木材を伐採運んでいた

のだろうか?また太い鉄管も転がっていて、この辺りで搬出以外の何かの作業されていた形跡が残っている。

 

沢筋になってくると大小の石が転がっていて歩きづらい。右に左にそんな石を避けながらしばらく下って行くと

やっと車道に出た。樹林帯を抜け集落が近づいてくると色づいた木々越しに大嶽の岩壁がはっきりと見えた。

南北の両岩壁の間には確かに神秘の谷が見えている。

 

 

 

 

小豆島で人気の島宿真里の横を通り、醤の里の工場まで来ると醤油の独特な匂いがした。県道まで出ると奥様た

ちは、さっそくマルキン醤油記念館へしょうゆソフトクリームを求めて飛び込んだ。

時間的には計画していたバスより1便早いバスに乗れ、乗り継いだフェリーも1時間早く乗り込むことができた。

マルキン醤油の工場の屋根の奥に見えた大嶽は、その存在感は小豆島だけに限らず、香川の里山の中でも抜きん

でていた。

 

 

 

あの大嶽の岩壁をもっと近くで見てみたいと思うのは私だけだろうか?できればもう一度この山だけを訪れて、

探索できればと。またひとつ出かけたい山ができてわくわく感が止まらない。

 

 

 

 

 


12月に1ダースの小野アルプス

2024年12月07日 | 四国外の山

YAMAPの功罪。

YAMAPを使い始めて今までなかなか手間だった山を歩いた結果が、直ぐに見える化できるようになった。

時間・距離・標高差がゴールに着いた途端にスマホに表示される。しかも最近はコース定数なるものや、平均ペ

ースまで表示されるようになった。それらの意図するところは自身の体力を知るところにあるのだろうけれど、

それを見て他の人と比べることもできるようになった。

もともと登山は人と比較したり、数字的なものを競ったりしないところがひとつの良さだったのに。そう呟きな

がらも、いつも一緒に出掛ける奥様たちが登頂したピークの数の話を話すたびに、二人よりYAMAPデビュー

がかなり遅くて、実際には今まで登っているピークの数より奥様たちと比べてかなり少ないのを気にしていた。

 

そう、いつの間にかYAMAPの数の術中にはまっていたのだった。

 

それならカシミールに保存してあるデータをGPXでYAMAPに取り込んで、実数に近づける事もできるのだ

けれど、これが意外と手間でそんなことをしている暇もない。

よし、じゃ~独りで歩いてピーク数を稼いで奥様たちとの差を縮めてみるかと考えて、一日で歩けてピーク数の

多い山を探してみると、兵庫県の小野アルプスが引っ掛かった。

そこでこの小野アルプスの近くにお住まいで、神戸在住ではないのにWOC登山部神戸支部長を自ら名のる、『山

爺』を誘って二人で歩けないかと抜け駆けを考えたが、それを奥様たちが許すはずもなく、結局いつものように

三人で出かけることになった。

 

 

山爺が来てくれたら、縦走後の下山場所に車をデポしてかなりの時間短縮ができると思っていたら、山爺から

『火曜日に登った段ケ峰の疲れがとれず山歩きはご一緒できない』と連絡がきた。それならわざわざデポするた

めにだけに来てもらうのも申し訳ないと返事を返した結果、下山後の下道歩きの6kmが増えてしまった。

 

集合場所から高速を小野市へと車を走らせる。途中の明石大橋で『そう言えばちょうど1年前に毎週この橋を渡

ってましたね』と奥様たちに話しかける。そう、1年前の12月は『六甲全山縦走』でこの橋を渡って通ってい

た。そんな話をしながら、自宅のある場所からスタート地点となる小野アルプス東端にある『白雲谷温泉 ゆぴ

か』までは2時間弱で着いた。

駐車場の端にある登山口には小野アルプスの案内板があったが、そこには9つのピークが載っていた。そのピー

クにプラスして3座がYAMAPのピークになっている。

 

 

案内板の奥からまずは一つ目のピークの高山へと登って行く。登山口からは四国の里山と変わらぬ雰囲気の道が

続いていく。途中で何枚もの手書きの看板が道の脇の木の幹に掛けられていた。

 

 

 

10分ほどで一つ目のピークの休憩所のある高山に着いた。まだ高度の低い朝陽に照らされ、私たちの顔もオレ

ンジに染まっている。

 

 

案内板にハイキングコースと書かれていたように道はよく踏まれていて、落ち葉がたっぷり積もった道をカサカ

サと音をたてながら次の前山へと歩いて行く。

 

 

この辺りの森は川崎重工業グループが整備に協力しているとの事で、途中の木々には名前を書いた札にKAWA

SAKIのシールが貼られていた。尾辺筋から少し下った鞍部に着くと日光峠の道標。ここからは北に鍬渓温泉

に下る道、そして数カ所ある内のひとつの小野アルプスの登山口への道になる。

 

 

 

 

日光峠から前山まではしばらく急登が続いていく。と言っても日光峠からは40mほどの標高差。急がず慌てず

ゆっくりと、息が切れない程度の速度で登って行く。

 

 

前山山頂には巨大な電波塔が建っていた。フェンスに囲まれた電波塔の南側は小さな広場になっていて、南に街

並みを見下ろすことができた。西に見える小さなピークは、これから向かう愛宕山と安場山だろうか。山肌は柿

色の中に緑が混じって、今が紅葉のピークに思えた。今日二つ目のピークをゲット。まだこれから10座ある。

 

 

 

 

一旦少し下って登り返すと直ぐに次の愛宕山。途中の道には119番通報ポイントの看板がこの後も掛けられて

いた。何かあったときにはこの看板のナンバーを連絡すると直ぐに場所が分かるようになっている。たしか六甲

全山縦走でも見かけた看板だ。

 

 

 

 

 

愛宕山からも一旦下っての登り返し。今日はずっとこのパターンが続いていく。四座目は安場山156.6m。

 

 

安場山からさらに下って行った鞍部は間伐されて、木々もまばらで明るい日差しが周りを照らしていた。

その鞍部から少し段差のある階段を登って行く。

 

 

 

 

道の途中には近くの町名を刻んだ石柱が所々に建っていた。それらの石柱を眺めながら下って行くと何の木だろ

うか黄葉の木が目立ち始める。その中の背の高い木々から落ち葉が舞って不思議な森の雰囲気を漂わせていた。

 

 

 

 

 

その黄葉の森を抜けるとアザメ峠の車道に飛び出した。その峠の車道の両側は、また先ほどの黄色とは一味違っ

た赤やオレンジのモミジのプロムナードになっていた。そして今まで歩いてきた小野アルプス東コースの入り口

となっていた。

 

 

 

 

何百枚、何千枚もの小さな小さなモミジの葉が折り重なって、青い空を隠し真っ赤に染め上げている。それぞれ

の木の葉の色が違っていて、踏み出すたびに空の色も変わって行く。

 

 

 

 

足元もそれに負けじと何色もの色で彩られた絨毯になっている。この季節ならではの色彩のマジックを眺めなが

ら峠のお地蔵さんも満足げだ。お地蔵さんの前に停められた軽自動車の緑のボディーが、周りの彩の中で違和感

なく溶け込んでいる。

 

 

 

このコースは色々な道標が建っているが、一番立派な道標は白雲谷温泉ゆぴか鴨池が基点となっている。

手作りの道標は順番にピークを示してくれている。次に向かうのは総山。ここには二つの『そうやま』があるが、

そのうちの一つ目の総山になる。

 

 

峠からは20分弱で今日五座目の総山山頂(184m)に着いた。峠の前後から増え始めた笹が山頂の周りを囲ん

でいた。

 

 

 

その笹が少しかかった道を西に進んでい行くと、権現ダム方面へ下る道との分岐。その分岐を右に折れて次の

アンテナ山を目指して歩く。道の途中からそれらしいピークが木々の間から見えたが、アンテナのような建造物

はそのピークには見当たらなかった。

 

 

山頂近くになると露岩が現れた。すると先を歩く奥様たちが『これがアンテナかいな?』と言う声が聞こえてき

た。二人に追いついてみるとたしかに想像していた前山で見たアンテナには程遠い、テレビの共同アンテナが建

っていた。『ん~たしかにアンテナには違いない!』これで六座目のアンテナ山

 

 

 

 

少しがっかりした三人の思惑とは他所に、アンテナ山からの眺望は素晴らしかった。先ほど歩いた総山の肩腰に

は、明石大橋の橋脚が遠くに見える。周りの山々は季節は初冬だというのに秋色一色だ。

 

 

 

 

次の二つ目の『そうやま・惣山』へは少し下って尾根を辿って行く。

さすがため池の数が日本一の兵庫県。途中からもあちらこちらに空の青い色を映し出したため池が転がっていた。

 

 

 

惣山山頂はこのコースの中で一番の広場になっていた。ベンチが一つ置かれ木々も数本、南に開けた空からは明

るい日差しが降り注いでいた。予定では次の紅山でお昼にしようと思っていたが、ここまで来ると風が強くなっ

ていた。そうなると紅山の岩尾根は吹きっさらしになるので、ここでお昼ご飯にすることにした。

私は先日オープンしたばかりの地元のマルナカで買ってきた巻きずしとお稲荷さん。ナスビの温かい味噌汁が、

少し肌寒いなかで気持ちまで暖めてくれる。

 

 

 

 

20分ほどでお昼ご飯を食べ終えて次に今日のメインイベントの紅山へと一旦下って行く。

するとシロモジだろうか?薄く淡く透明感のある黄色のカーテンが道の両側を覆いつくし始めた。その薄黄色の

林の中で奥様たちが感嘆の声をあげている。

 

 

 

 

今まである程度黄葉が続く道を見た事はあったが、ここまで薄黄色一色に染まった道は初めてだった。今日はこ

の黄葉を見られただけでも満足だ!薄黄色のシャワーは九十九折れの下り坂の最後まで続いていた。

 

 

 

 

 

その急坂を下りきると岩倉峠。そこからは今度は柿色に染まる山肌の最上部に何やら岩肌らしき斜面が見えた。

『あれが紅山かな?』と言いながら歩いて行く。

 

 

 

紅山登山口と書かれた道標から10分弱歩くと紅山の岩尾根の全貌が目の前に現れた。登山口から途中で追い越

していった常連さんらしきおじさんが先に取り付いていた。

まるで巨大な恐竜の背中を小さな人間が取り付いているように見える。中間地点ではツブダイダイゴケで岩肌が

オレンジ色に染まっている。紅山の名前の由来はこのオレンジ色の岩肌からくるらしい。

 

 

 

 

 

途中からルリちゃんは迂回路へ。あっちゃんと二人で登って行くが写真で見たザラザラした岩肌も意外と硬くて

靴底のグリップがよく効いている。上部になるにしたがって斜度はキツくなってくるが、立って登れないことも

ない。立ったりすると高度感が出てくるが、登っているうちはそれほど感じることもなくスイスイと登って行く。

 

 

 

登りきるとやはり南側は遮るものがなく高速道路を走る車の音が鳴り響いていた。そして東側も小野市の市街地

が広がっていた。

 

 

すると何を思ったのかあっちゃんが登ったばかりだというのにまた岩尾根を下って行っている。

途中で立ち止まって写真の催促でもするのかと思ったら、結局下まで下って『下りの方が怖くないわよ!』と言

いながらまた登ってきた。何を考えているのやら・・・・?

 

 

 

 

今日のメインイベントを無事登り終え、今日八座目の紅山の山頂標の前で写真を撮る。

 

時間は12時30分だが、まだスタート地点のハイキングマップに載っていた岩山以外にまだ三座あるので先を

急ぐ。山頂の西側の岩肌からはちょうど紅山の岩尾根が真横から眺められた。ここから見てみるとおおよそ45

度くらいの斜度だろうか?

 

 

その露岩から少し下って行くと縁結びのパワースポットと云われる夫婦岩の男岩の横に西紅山の山名札がかかっ

ていた。男岩は正面から見ると女性の横顔のようにも見えたが、果たして女岩はどこ?これで今日九座目。

 

 

西紅山からさらに下って行くと、これも里山あるある。大シダの繁茂の道になっていた。そして鞍部には西コー

ス入り口の道標。ここから西はハイキングコースの案内板に一応縦走路は載っていたが、色づけされていなくて

ハイキングコースからは外れるようだ。

そして岩山山頂が近づくと、ここでも露岩が現れた。三角点は 四等三角点 岩山 163.78m

 

 

 

 

三角点の少し先に山名標がかかっていた。ここからは遠く瀬戸内海の海際に、神戸製鉄の巨大な工場が見えた。

 

 

 

 

露岩の続く山頂からの道からは大きな権現池が随分と近づいていた。

 

 

そして最後の鞍部へと下り、そして最後の宮山への登りとなる。道標には残りの宮山・南野山の名前はなく、

代わりに峠の名前になっている。そして十一座目の宮山、十二座目の南野山をクリアー。

 

 

 

十二座目の南野山を過ぎると福甸峠へと降り立った。さてさてここまで今日の行程の距離でいうと約半分。

ここから下道歩きの6kmが待っていた。

 

 

 

峠の西側はもう加古川市。ここから県道118号線を地味に歩いて行く。ただ道沿いにはきれいなため池が続き、

女池と呼ばれるため池には白鳥が二羽、優雅に泳いでいた。そんな景色を眺めながら楽しく歩いて行く。

 

 

 

その女池の北側にあった一風変わった雰囲気のカフェで一息入れる。雑貨やドライフラワーが並べられた中を通

り、私はアイスコーヒーを注文そして奥様たちは温かい紅茶を注文する。

 

 

 

 

一息入れた後は気合を入れて下道歩き。アスファルトの固い路面が疲れた足裏に堪える。この時ばかりは神戸支

部長に来てほしかったと三人で話をする。

カフェの周りは別荘地ぽい広々とした庭と、デザインされた建物が並んでいた。その先の男池には餌付けされた

カモが、近づいても逃げる様子もなく湖面を泳いでいた。

 

 

 

男池から約5kmを1時間10分かけて駐車場まで戻ると、スタートした時は数台しか停まっていなかった広々

とした駐車場にはほぼ満車状態で車が停まっていた。白雲谷温泉は人気の温泉の様だった。

12月のスタートにちょうど12座、1ダースのピークを登って奥様たちも大満足。結局出抜くこともできずに

同じだけ12座増えた一日だった。