KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『らんまん』の軌跡を追って横倉山へ!

2023年08月30日 | 四国の山


線で繋ぐで『引地山から石鎚山』を繋いでひと段落した後、大山の三ノ沢から登った

槍ケ峰イワカガミのお花畑で目覚めてしまい、新たに『花巡り』が始まった。大山も

さらにユートピア小屋のお花畑へ。そしてとうとう中央アルプスの千畳敷カールのお花

畑、そして伊吹山まで訪ねて行った。それには4月から始まった朝ドラの『らんまん』

の影響が少なからずある。私はその時間には出社しているので一度もドラマを見たこと

はないのだけれど、とにかく奥様たちは二人で歩きながらそのドラマの今後の展開やキ

ャストの話をしている。するとあっちゃんは出かける山に咲いているだろう花の絵を手

書きで書いてメモしてき始めた。そしてルリちゃんと言えば花の本を買って予習をして

きて、とにかくそんなに興味のなかった花に目覚めた奥様たちに釣られるようにして、

私の計画も花の咲く山をチェックするようになった。

そして先週は牧野博士所縁のコオロギランを目当てに甫喜ケ峰に出かけてきた。そうな

ればやはり牧野博士の故郷、そして博士が足げく通った横倉山は押さえておかなければ

ならない。できればまたコオロギランを見てみたいし、ミヤマウズラナツエビネも見

られればと思い出かけてきた。

ただしこのところずっと天気は週中でぐずついている。定例の水曜日は降水確率100%

の予報だ。仕方がないので少しはマシな今日にずらして、奥様たちには『それでも雨に

降られるのでそのつもりで!』と連絡して出かけてきた。





横倉山にはWOC登山部で4年前に。山楽会では18年も前に30名近くで来た山。

いずれも雨に降られて晴れた日の記憶がない。そしておそらく今日も・・・・・。

第一駐車場にはまだ木の香りが漂ってきそうな真新しいトイレが出来ていた。

駐車場からはアスファルトの林道を少し登って行くと登山口になる。その登山口までの

林道沿いにも小さな花がたくさん咲いていた。









ヤブラン




登山口には南遊歩道と書かれた朽ちそうになった古い標識と、新しく『ここから横倉宮

までは急な坂で岩場の多い登山道です。通行にはくれぐれも注意してください』と書か

れた標識が立っていた。道は階段状のいきなりの急登。しかもこの先には鎖場がある。

『これはやっぱり遊歩道ではなく、登山道やね!』とあっちゃんと話をしながら登って

行く。雨が降るというのに鎖場があるこのコースを選んだのはあっちゃんだった。そし

て『巻き道があるから!』とルリちゃんを何とか説得したのだった。








急登が終わると道の脇にはシコクママコナの群生。雲早山にはシャクナゲ尾根があるが

ここはママコナ尾根だ。



シコクママコナ






周りは次第にガスがかかり始め、ポツリポツリと雨が降り始めた。『一休み!』と書か

れた看板を見ながらも止まらずどんどん進んで行く奥様たち。











すると道に大岩が現れたと思うと、また階段状の急登、そして露岩の急登と変化のある道

になる。『気になるようなら上だけでもカッパを着ますか?』と前を行く二人に声をかけ

るが『もう濡れているからこのままでいいわ』と返事が返ってくる。














更に進んで行くと注意喚起の案内板。その先に一つ目の鎖が掛かっていた。ここは高さ

もなく足がかりもいいので、ルリちゃんも難なくクリアー!











一つ目を登りきると先頭のルリちゃんが『これは無理!』と声をあげた。見てみるると

けっこうな高さの岩壁に鎖が掛かっている。『私は巻き道で行くから、みんなはどうす

るん?』とルリちゃんが言っている横であっちゃんは鎖に手を掛けていた。『あ~あ、

雨降ってるし、岩も濡れてるし・・・。』と思いながらも仕方がないので付いて登って

行く。ガスがかかっているお陰で、左側は切れ落ちていても高度感がほとんどないのが

幸いした。あっちゃんはグイグイと登って行っているが、私の靴底がグリップが効かず

にズルズルと滑る。何度が冷や汗を掻きながらも何とか第二の鎖もクリアーした。




















鎖を登りきると今まで真っ白だった周りのガスが一瞬流れて、麓の坂折川に沿った集落

桐見ダムが見えた。『わ~素敵!』と声をあげるあっちゃん。




















鎖場が終わるとカブト嶽石鎚神社があった。ただ祠の横の標識には『かむとだき』

書かれていた。このカブト嶽の岩は4億年以上も前の日本最古の火山活動による火砕流

堆積物(溶結凝灰岩)からできている。











石鎚神社からは尾根筋の道になる。相変わらず雨は降っているようだったが、周りの

木々のお陰で大きくは濡れずに気持ちよく歩いて行ける。途中に右手に小さな祠がひと

つ。その祠からさらに進んで行くと夫婦杉への分岐に出た。前回WOC登山部で来た時は

ここから下って第二駐車場へと下りて行った場所だ。











尾根道は良く踏まれていて歩きやすい。『そろそろ何か花がありそうね!』と言いながら

奥様たちは道の右左を見ながら歩いている。










すると足元に何やら大きな物体が。よ~く見ると周りの落ち葉の保護色になったヒキガエ

ルくんだった。『あっちゃん』と小さめの声で先を歩くあっちゃんを呼び止め手招きする。

このヒキガエルはいつも多少の事では逃げようとしない。同じ姿勢でじっとしている。ひ

ょっとしたら保護色なので見つからないと思ってじっとしているのかもしれない。







『そろそろ花が・・・・』と言いながら、周りはキノコばかりが目に付く。










すると今度はルリちゃんが『あっ!』と声をあげた。そうオバケが空を飛んでいるよう

な、可愛らしい顔をしたミヤマウズラだった。(これも小さいのでピントが合わない)

まだ咲きはじめなのか他には蕾の花もある。







横倉山三角点の手前ではまたヒキガエルが、今度は道の真ん中でこちらに向かって座っ

ていた。私たちが見ていても『我関せず』と言った感じで、あまりにも堂々としていて

思わず笑ってしまった。








三角点から横倉宮までは何回かのアップダウン。青ヌタの十字路と呼ばれる田口社への

分岐の道標から少し歩くと横倉宮になる。














祭神が安徳天皇になる横倉宮。もともとは横倉権現と呼ばれていたそうだが、天皇崩御

750年祭(昭和24年)の際に横倉宮と改められたそうだ。






ヌスビトハギ


ヤマジノホトトギス




その本殿の横を通って行くとこれも牧野博士が命名したヨコグラノキが石灰岩の瘦せ地

に今もなお立っていた。新種として発表するための基準標本を採取した原木が現存する

のは非常に珍しいらしい。







そのヨコグラノキの先が80メートルの断崖の『馬鹿試し』。普通人では容易にその突端

には近づけず、敢えて危険を冒して先端に足を運ぶ者は“馬鹿者”の類いと称され、「馬鹿

か否かを試す」意味から“馬鹿試し”と呼ぶようになったといわれている。前回WOC登山部

で来た時はその先端まであっちゃん一人が降りて行ったが、今日はガスで何も見えないの

で、さすがに馬鹿を試すことなくあっさりとパス。










馬鹿試しからは本殿の横の反対側を通って正面まで戻る。






ヌスビトハギ




本殿からは住吉神社の方へ一旦下り、さらに南に平家の穴まで下ってみる。石灰岩の露

出する急な坂を下って行くと、途中に赤い屋根の岩屋神社の祠があった。この岩屋神社

からは、保安3(112)年. の年号の刻まれた四国最古の経筒(銅板製)が見つかっている。







その岩屋神社からさらに50mほど下って行くと、馬鹿試しの岩壁の根元になる場所に

平家の穴があった。この平家の穴は源氏の追っ手が襲来した際、安徳天皇の避難場所に

されたと言われる洞窟。敵の目を欺くためか正面からは穴があることがわからず、横か

ら覗き込まないと見えないようになっていて、身を潜めるには最適だったことだろう。

明治初年頃まで、刀剣や槍、銅鏡などが残っていたと言われており、その中にあった宝

剣が三種の神器のひとつ、天叢雲剣ではないかとも囁かれている。横倉宮からこの平家

の穴までの途中にも様々な花が咲いていた。(目当ての〇〇ダケは見つからなかった)









ヤブラン


アキノタムラソウ




平家の穴からは今度は当然登り返しの急登になる。杉原神社の下の夫婦杉も大きいが、こ

ちらの2本の夫婦杉の幹周りもかなり太い。その中の良い夫婦の間を分け入るあっちゃん。





横倉宮からの鞍部まで登り次に向かうは安徳天皇陵墓参考地。陵墓参考地とは、広義の陵

墓のうち、被葬者が特定出来ないが陵墓である可能性が高いため、宮内庁により管理され

ている墳墓等のこと。全国に46基あるうちの一つがここ横倉山にある。













陵墓は御影石の玉垣に囲まれてひっそりと佇んでいた。二重の玉垣に囲まれた陵墓の外

側の玉垣の正面には、Xの形の門扉が鎖と鍵で閉じられていた。ちなみにこの門扉。香

川の崇徳天皇の白峰御陵の門扉と全く同じ形をしている。







陵墓参考地からは尾根を通って今日のコースの西端になる住吉神社へと向かっていく。

尾根から一旦下って登り返していく途中に空池の看板。鬱蒼とした杉林に雲の切れ目か

ら陽が差し込む。苔むした岩が積み重なった空池との分岐を過ぎて登って行くと右手

には鹿害避けのネットが張られていた。













その坂を登り詰めると眺望が開けた場所に出た。たしかこの辺りが住吉神社?と思って

スマホを見ると神社はこの先一旦下った場所になっていた。











但しここから住吉神社に向かっても鎖が垂れていた。途中まではルリちゃんも付いて来

ていたが、神社の前の岩壁に垂れ下がったロープ場を見てまた『無理!』と言って引き

返して行った。














そんなルリちゃんを他所にあっちゃんはホイホイと下りて行き。先ほどルリちゃんが見

て無理だと言った大岩に取り付いていた。でも思っていたより足がかりもあり、二人と

も意外と楽に登って行き、岩の先端に祀られていた祠に手を合わせる。











ここが今日の折り返し地点。さっそく今登ったロープ場を降り、下って来た鎖を登り返

して行く。予定していなかった二つ目の鎖場を登りきって、あっちゃんも満足気だ。








住吉神社からは空池を経由して戻って行く。一旦階段を登って次に下って行くと空池の

底になる場所に出た。周りは苔むした大岩で囲まれ、水のない池の底は緑一色の底地。

まるで緑の深海の様。ここでも貴重植物の保護の為鹿よけのネットで囲ってあった。

















空池から先ほど通った分岐を抜け、御陵参考地の方へと歩いて行く。途中にはここでも

いろんな植物が目についた。

トチバニンジン


ツチアケビ










横倉宮を過ぎた辺りから既にあっちゃんは『お昼ご飯までにあとどのくらい?』と騒ぎ

始めていた。『住吉神社を廻ってですから1時間はかかります』と言うと、『え~そん

なに』と言いながら、ザックからおにぎりを取り出し頬張っていた。もう既におにぎり

を何個も食べているはずなのに、また騒ぎ始めた。所々であるベンチは先ほどの雨で濡

れている。『この先に山の家があるのでそこでお昼にします!』となだめる。










今日の最終地は杉原神社。そこまではほぼ下りの道。途中にある横倉宮の鳥居。銅板で

造られた鳥居は当初は眩しく輝いていただろうが、今は緑青の落ち着いた色になってい

る。鳥居を過ぎると今度は道の右手に越知町の天然記念物のカツラの巨木。樹高は30m、

幹周りは6.6m、樹齢は250年にもなる巨木だ。その奥にも二股に分かれたこちらも天

然記念物のカツラの木があった。










更に進んで行くと道の脇にもアカガシの巨木が並んでいた。木々にとっての環境がいい

のか、この横倉山には巨木が目立つ。田口社を過ぎ平安社の鳥居を横目に見ながら歩い

て行くと、山小屋と東屋のある広場に着いた。ここでお楽しみのお昼にする。













この広場には牧野博士の「森々と杉の木立の限りなく神代ながらの横倉の山」と書かれた

自筆の碑が立っている。屋島の合戦で敗れた平家一門が、安徳帝を擁しくこの地に落ち延

びられ、平知盛外80余名が天の高市(武家屋敷跡)に25軒の住を構え、都とした折りに、

ここの泉水を供御水とされた安徳水はここから少し下った場所になる。お昼ご飯を食べた

あと、少し先にあるすぐ杉原神社に。この杉原神社は明治時代に建て替えられたが、当時

長州大工と呼ばれる周防大島の一目置かれた宮大工が手掛けたそうだ。その長州大工でも

特に有名だった門井宗吉がこの杉原神社を手掛けている。愛媛から高知県にかけて数々の

社寺を手掛けているが、この杉原神社は特にその彫刻が凄い。こんな山の中でひっそりと

佇んでいるのはもったいないと思うほどの作品だ。






















杉原神社からは遊歩道を降りて行く。第二と第三駐車場の間へと続くコンクリートの

遊歩道。ここでも様々な小さな花が咲いていた。






ガンクビソウ






遊歩道から林道に出て車を停めた第一駐車場へと下って行く。林道の脇の斜面にも色々

な花たち。最後まで楽しませてくれた横倉山。

ヤブラン





イワタバコ







織田公園を過ぎ第一駐車場に着くと青空が広がっていた。先週と同じように汗で濡れた

衣服を脱いで真新しいトイレで着替える。夏の花の季節もそろそろ終わりを告げようと

している。花巡りが終わると次なる目標はまた『線で繋ぐシリーズ』の再開かな?なん

て考えながら、帰路にある芋や金次郎で自宅の奥様のご機嫌取りのお土産を買って帰る。










今日出会った花たち

咲いているコオロギランは見つけられなかった。


今日一番見たかったミヤマウズラ


とても愛くるしい顔をしている


幽霊?オバケ?





そして終わりかけのナツエビナ





クサアジサイ


ヨコクラツクバネ


キンミズヒキ


ヤブラン


シギンカラマツ


ミヤマウズラ


ヒヨドリバナ


ギボウシ


マツカゼソウ


今週も雨予報、それなら軽めに花散策!

2023年08月26日 | 四国の山
ここの所ずっと週中が雨模様。先週は体調もイマイチだったので、山はお休みして休息

日に。今週も雨予報だったけれど2週続けてお休みするのは身体がなまってしまうと思

い、雨が降っても安全に歩ける所はないかと探していたら、グランマさん甫喜ケ峰

コオロギランをアップしたのが目についた。そのページのURLを奥様たちに送ると、

ここ最近二人の共通の話題の、朝ドラの『らんまん』の牧野富太郎氏命名の花とあって

早速食いついてきた。『それじゃお昼ご飯はお弁当?それとも歩き終わって高知市内で

ランチにしますか?』と聞いたら『カツオのたたきが食べたい!』と返事があった。




大豊まで高速を走りICを降りて国道32号線を南下。32号線は大豊までは走る事は

あっても、そこから南へ走るのは高速道路ができてからは初めてかもしれない。そんな

話をしながらICを降りてから20分ほどで甫喜ケ峰森林公園の駐車場に着いた。

広い駐車場の周りには学習展示館や研修棟やトイレなどの施設もあり、まずは奥様たち

に学習展示館へコウロギランの咲く場所を聞きに行ってもらう。その間トイレの周りに

咲く小さな花たちの写真を撮る。



キツネノマゴ


キツネノマゴ白花


アキノタムラソウ



学習展示館から奥様たちがニコニコ顔で戻って来た。手には森林公園のパンフレット。

そのパンフレットの園内マップには、職員さんに聞いたお目当ての居場所がボールペン

で書き込まれていた。その地図が広い森林公園の中の宝探しの地図ように見えた。

まずはキャンプ場から一旦車道に出て『水源の森』から歩いて行く。

透き通った小さな水の流れを左に見ながら森の中を歩いて行く。最後に木の橋を渡ると

道はその沢から離れて少し急な登坂になる。











坂を登りきると林道に向かって今度は緩やかな下り坂になる。道の脇には可愛らしい花

たちがひっそりと咲いている。

ヒメヤブラン


ゲンノショウコ


キンミズヒキ



一旦林道に出てしばらく歩いて行くと草刈り機のブンブンと回る機械音が聞こえてきた。

林道の脇の草を管理の方数人で刈っていた。その作業を横目で見ながら林道脇の遊歩道

へと進んで行く。



シシウド










写真を撮った時には気づかなかったが、キノコの上に極細のクモが写っていた。








雨予報で期待はしていなかった展望台からの景色は意外と遠くまで見渡せた。左に物

部川と野市町と奥の山の上には見えるのは、確かお城の様な建物だったような記憶があ

る。視線を右に移すと高知市内まで見えた。展望デッキの案内板に大きなカマキリ。

足元には黄色く可愛らしいカタバミが咲いていた。














デッキのベンチに腰掛け菓子パンを頬張る。奥様たちも行動食を口入れている。








展望デッキから『アセビの森』の中を下って行くときれいな建物のトイレがあった。ト

イレの手前には派手な色をしたヒオウギがあちらこちらに咲いていた。







記念碑のある広場を通って正面に見える甫喜ケ峰を目指す。広場から山頂への道の途中

で一輪だけ咲くチャボホトトギス











甫喜ケ峰山頂は木々に囲まれて眺望は無かった。文字の消えかかった山名板の前には、

三等三角点 平山 610.99m




山頂から少し進んで行くと『この先公園外』の標識。グランマさんも何気にこの先へと

歩いて行ったようだが、そのブログをしっかり読んでいない私たちもそのまま進んでし

まい、途中で気がついて引き返す。分岐まで引き返し、『林道』の道標に従って下って

行くと、風力発電の風車のある『風の広場』に出た。この風車が高知自動車道からも見

える風車だった。











風の広場からはアセビの森を過ぎ、展望台のピークの下辺りまで林道を歩いて行く。途

中から道標に従って遊歩道へと進んで行く。最後に九十九折れの道を下って行くと、学

習展示館の裏側に出た。

駐車場の横にあるトイレの中にはシャワーと更衣のスペースがあった。さっそくびっし

ょり掻いた衣服を脱いで、少し冷たかったがシャワーを浴びてスッキリとした。

今日は降水確率70%だったが、一度も降られることなく花散策ができた。『やはり晴

れ男?のお陰かな?』と奥様たちに言われて、鼻の穴が膨らむへっぽこリーダーだった。














あまりにも小さなコオロギラン。山中でよくこんなものを見つけられたものだと感心す

る。牧野富太郎さんには見えないかな?


















今日出会った花たち

タカサゴユリ


ヘクソカズラ


シコクママコナ


ヤブラン


イヌトウバナ





コウゾリナ




お昼ご飯はカツオのたたきの専門店より、色々とメニューのある市内の『漁ま』へ。

ところが駐車場もほぼ満車で、店内から外まで待つ人で行列が出来ていた。仕方がな

いので、近くの『西村商店』へ。ここでは何とか駐車する事が出来て、私はタタキも入

った『お刺身定食』を頂いた。この店も市内の人気店。次から次とお客が入れ替わり、

店内は賑わっていた。










食事の後は牧野植物園へ。今日出かけるときに家の奥様に『今日はどちらの山に?』と

聞かれて『高知!』と答えると、『高知まで行くん。だったら牧野植物園に連れて行っ

て欲しいわ!』と言われながら出かけてきた。そのせいで何となく後ろめたさを感じな

がらも園内に咲く花を眺めながら、のんびりと今日の花散策を終えた。


植物園の花たち




























































今日は何の日・・・・『山の日』で剣山へ!

2023年08月12日 | 四国の山
『山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する』を趣旨として2014年に制定された

山の日だが、その由来については規定も明示もされていないそうだ。初めての山の日は

三嶺に登ったような記憶があるが、それ以降祝日はなかなか休みが取りづらく、今

日は何年かぶりに休みを取って出かけてきた。

太平洋上では台風6号と7号が変な動きをしていて、四国の天気も不安定な状態が続き

天気予報も右往左往をしていた。それでも少しはマシだったのが剣山(但し降水確率は

40%)。丁度キレンゲショウマも見頃だし、剣山なら雨が降ってもスタート時点の身

支度も駐車場の屋根があるし、昼食も雨になればお弁当はやめて山頂ヒュッテでランチ

を摂ることもできるので、奥様たちにそんな内容で案内をした。

お盆前後のこの時期、剣山はキレンゲショウマ目当てで登山客だけでなく、観光客が押

しかける。何なら見ノ越の駐車場に観光バスが数台停まることもある。第一駐車場が満

車になる前にと思って、今日は少し早めに貞光で待ち合わせをした。

ここ最近の待ち合わせは、貞光の道の駅ではなく街中を南に少し抜けた国道沿いの路肩

が広くなった場所。(以前に道の駅で不法駐車で張り紙をされたので)その広場に向か

う途中で木綿麻橋の電光掲示板の道路情報に『~桑平通行止め』のオレンジ色文字が見

えた。広場で奥様たちを待つ間にネットで『道路情報提供システム』を調べて見ると、

桑平と夫婦池の先にバツ印が付いていた。到着した奥様たちにもその話をして、取りあ

えずは先に行ってみる事にする。

『本当に通行止めかな?』なんて話をしながら走って行くと、木屋平への県道260号

線との分岐の先の道路に『異常気象時・通行止め』の看板が立っていた。但しその看板

は道路のセンターより左に置いてあり、右側は車が通れるようになっていた。後ろから

次々と車がやってくるので、廃屋の横の空き地に車を停めて暫く思案をする。ここから

木屋平を回って見ノ越というルートもあるが、たしかそちら側もバツ印がついていた。

どうしようかと考えていたら、後ろから来た軽自動車から女性が降りてきて、『どうな

んでしょうか?』と聞いてきた。二人で少し話をしているうちにその女性が、看板に書

いてある『県土整備部』の電話番号に電話をして問合せをした。すると電話口の男性が、

『通行止めになっていますが、異常気象時の通行止めなので通れますよ!』と言ってく

れた。但し道路状況の確認はまだできていないので自己責任でとの事だった。

そんなやり取りをしながら一路見ノ越へ。途中の道路は風で落ちた枝葉が少し散乱して

いた程度だった。そして見ノ越に着くとなんと何事もなかったように、かなりの数の車

が既に停まっていた。後には『高松市民登山学校37期生』のバスもやって来た。











予報通り空は曇り空。路面は少し前まで雨が降っていたのかけっこう濡れている。いつ

ものように劔神社の石段を登って行くと、登りきった脇の手水鉢はアジサイの花で飾ら

れていた。本堂の奥の簡易宿泊所の気温計は20度を指している。連日の猛暑の中から

のこの気温は別天地だ。










神社では涼しく感じた身体も、登り始めると直ぐに汗がでて暑くなってきた。いつもは

9時から営業のリフトも今日は1時間早く動いているようだ。








周りのブナやミズナラの木々も雨の後で瑞々しい。するといつも聞こえる鳥や鹿の鳴く

声は聞こえてこず、今まで聞いたことのない水の音が聞こえて来た。いつも枯れている

谷筋に音をたてて水が流れている。













西島神社の上の定点観測の場所からは、雲海荘の青い屋根も今日は全く見えない。普段

ならテンションが下がるところだが、『まぁ今日はお花が目当てだからね!』と奥様た

ちに言うと『そうそう!』と。







西島駅の脇の花壇には沢山の花が咲いていたが、この辺りも晴天が続いたのか、枯れか

かって縮んだ花弁が雨が当たって少しは生き返っているように見える。

クガイソウ


シコクフウロ


シロバナのシコクフウロ




西島駅から刀掛けの松へと登って行く。周りは次第に霧雨のようになってきた。ザック

を背負った背中はそうでもないが、シャツの袖はもうびっしょり濡れている。



オトギリソウ



刀掛けの松では男性と女性二人が休憩をしていた。すると行場の方から男女がやってき

た。男性の顔を見て『どこかで・・・?』で思っていると、先に『KAZASHIさん!』と

声を掛けられた。以前に南高城山でお会いしたねこバスさんだった。キレンゲショウマ

の様子を伺うと『全体としてはそれほどではないけれど、個体としてはきれいに咲いて

いる』『群生としては下の群生地の方が良く咲いている』と色々と教えてくれた。




ねこバスさんとはお別れをして、教えてもらった通りに時計回りに回ることに。途中に

ある鶴の舞は、そそり立つ崖の上の大岩の周りをカニの横這いの様に岩を抱えて廻るの

が行だそうだ。その手前の岩の足元にはソバナがたくさん咲いていた。




行場の分岐を左に折れて下がって行くと、まだ多く蕾を残したキレンゲショウマの群生

地。蕾も花弁も他の花にはなかなかない肉厚さが何とも言えずに可愛らしい。













保護柵のネットの中では、キレンゲショウマより少し背の高いオタカラコウが所々で

頭を出して咲いている。平開はせずに下向きに花を咲かせているキレンゲショウマは、

黄色い花びらの中心部がほのかに赤く、何だが俯いて恥ずかしがっている少女の様だ。

刀掛けの松で一緒になった三人組さんは、ここから引き返す予定だったが、『この先

の道はどうなっていますか?』と聞いてきたので、『ぐるっと周回できますよ!』と

教えてあげると、予定を変更して我々の後をついて来た。













下っていた道から少し登って行くと剣山本宮劔神社の末社になる三十五社は、山護神を

総数三十五社祀ってあると言うが、岩の上の祠は意外と小さかった。その大岩の脇の

奥には注連縄を張った大岩がさらにあった。途中の道には小さな花たちがたくさん。



アキノタムラソウ


ソバナ


ツルギハナウド




三十五社からまた下って行くと、背後の大岩をご神体とした両劔神社。ここから先に進

むと1.5kmで一の森となる。奥様たちも以前に上の道を通ってここまでは来たこと

はある。そして直ぐ横には穴吹川の源流となる沢がある。










その沢も今日は滝のような勢いで水が流れている。その水の流れは一筋ではなく、幾筋

にも分かれて道の途中に流れ出ている。沢の上部には霧がかかり大きな音をたてて流れ

落ちる水は神秘的でもある。

















しっかりと濡れた岩の足元に注意しながら登って行くとまた群生地となる。ここでは保

護柵のネットの奥に花を咲かせているのでアップの写真が撮りづらい。ハナウドの花に

は無数の小さな虫が群がっていた。









キツリフネ




群生地を過ぎさらに登って行くと行場のおくさり。岩の割れ目の中の鎖を登る行場。今

日はその割れ目の中の岩も鎖も濡れているので、さすがにあっちゃんも登ろうとはしな

い。(登りにくいのではなく服が汚れるから?・・・・。)







おくさりの前であっちゃんが声をあげた。『ヒャ~大きなカエルさん!』。指さす方を

見てみると大きなヒキガエルが微動だにせず石の上に座っていた。あっちゃんは初めて

見るらしく、珍しそうに何枚も写真を撮っていた。







おくさりから左手の巨岩の脇を登って行くと不動の岩屋。鉄製の梯子を下って奥に進む

と水の音が聞こえてくるが、その水源はどこなのか未だ分かっていないそうだ。




不動の岩屋の少し上が、刀掛けの松とおくさりの上部との分岐になる。先ほどから一緒

に歩いてきた三人組さんにルートが分れるのを教えてあげると、同じようにおくさりの

巻き道へついて来た。ここからは山頂近くまでほぼ直登、けっこうな急登が続いて行く。







それでも『私たち、後期高齢者なの!』と言っていた三人組さんもしっかりと登って来

ている。『まだ登り~!』とルリちゃんが言っている前方が少し明るくなってきた。樹

林帯を抜けると笹原の道になり、尾根道を歩いている人の姿が見えた。そして尾根道に

合流すると次から次と登ってくる人。その内の半分ぐらいは急遽ビニールポンチョを買

って着ている観光客の姿だった。当然足元はスニーカーだ。




剣山本宮の輪くぐりを通って参拝したあと、少し天気が回復してきたような感じがした

ので、『上のテラスででもお昼にしますか?』と言って、神社とヒュッテの間の階段を

登って山頂の平家の馬場に出ると、吹き抜ける風に濡れた身体で途端に寒くなり、『や

っぱりヒュッテで食事にしましょう』と引き返す。ヒュッテの中は食事を摂る人達で賑

わっていた。少し冷えた身体を暖めようと三人で温かいそうめんを注文をする。向かい

に座った北九州から来たという男性は、石鎚の方が天気が悪そうだったので剣山に来て

みたが、貞光からの道が通行止めになっていたので、祖谷を通ってやって来たという。

少し太めの半田そうめんと、塩分補給で出汁をしっかり飲んでヒュッテを後に山頂へ。










山頂の木道ではガスがかかってさらに南から風が吹き上げていた。体脂肪があと少しで

ひとケタになるあっちゃんが『寒い、寒い!』と言っている。当然山頂からの次郎さん

は姿を見せず。三脚を出して三人で写真を撮る間もなく、さっさと奥様たち二人で証拠

写真を撮って直ぐに踵を返す。







山頂からヒュッテの建屋の横まで来ると風が当たらなくなり少しは落ち着く。相変わら

ず下からは次々と登ってくる人の姿があった。



イブキトラノオ


トゲアザミ



西島駅までもすれ違い挨拶するけっこうな数の人。突発的に走る子供の後ろで、息を切

らして登ってくるおじいちゃんの姿もあった。西島駅ではリフトで賑やかに上がってく

る団体客の横で、リフトで荷揚げした荷物をキャタピラを付けた台車に移すヒュッテの

人がいた。その台車を指さし、『このキャタピラで登山道を登って行くんですよ!』と

あっちゃんに教えてあげると、駅横の階段状になった急坂を登るのを見てみたいと言い

だした。ヒュッテの人は荷物を移し替えながら『荷物の多いときはもちろんだけれど、

あまり急いでない時は台車で、急いでいる時は歩荷で運ぶ』と教えてくれた。



キンロバイ


キノコ?












西島神社からは前回と同じように左に折れて歩いて行くと、往路で見た谷筋の流れが下

流で一段と激しくなっていた。すると先頭を歩くルリちゃんが立ち止まり人差し指を立

てて『静かに!』とポーズをとった。そして指さす方向を見てみると可愛い鹿が一頭。

三人そろって眺めていてもじっとして動かない。ひょっとしたら他にもと思ったら、

さらに奥の方にもう一頭いるのをルリちゃんが見つけた。鹿の姿は今まで何度も見かけ

た事があるが、これでだけ長い時間じっとしていたのも初めてかもしれない。










予想していた通り祖谷川源流の沢でも勢いよく水が流れていた。行場の穴吹川源流から

流れた水は吉野川へと合流するが、香川用水の取水口となる池田ダムからは下流域とな

るが、この祖谷川源流域から流れ出た水は、吉野川そして香川用水を通って、何日後か

数カ月後には自宅の蛇口を捻ったら出てくるかもしれない。

















山頂では濡れた衣服が冷えて寒かったが、速乾性のシャツはもう乾こうとしていた。身

体の熱を奪いながら乾いていくシャツと、山肌を巻いて吹いてくる風とで何だか爽やか

さを感じていた。前を歩く奥様たちは朝ドラの『らんまん』に出てくる植物の名前で盛

り上がっている。この根っこが絡み合っているようにしか見えない植物も、ドラマに出

てきた植物ではと言っている。そして来週は今日のキレンゲショウマが出てくるそうだ。











見ノ越の駐車場はまだほぼ満車の状態だった。シャツは乾いていたが、まだ濡れていた

ズボンを履き替え車に乗り込み帰路についた。

花音痴の三人もここにきて出来るだけ花の名前をブログに書き込むようにしったのと、

奥様たちは『らんまん』の影響で、少しづつ覚えるようになってきた。これから先、

山歩きの一つの楽しみとして花を探しての山歩きもいいかなと、山頂や眺望に拘らず

歩いた今日一日の感想だった。



モミジガサ


??





帰りに寄り道した伊吹山もお花の山だった!

2023年08月05日 | 四国外の山


昨日は木曾駒ケ岳から下山して、飯田市まで移動してホテルに泊まった。ホテルの部屋

で、汗を流した後近くの居酒屋で祝杯をあげた。山を下りた後の生ビールは、それはそ

れは美味しく、頼んだ料理もどれも美味しくてついつい飲み過ぎてしまった。

そのせいで朝起きると頭が重く、昨日は高山病?で頭がクラクラ、今日は二日酔いで頭

がクラクラだった。

今日は帰り道の途中で関ケ原ICで下りて、日本百名山、新・花の百名山、関西百名山

に選定されている伊吹山に寄り道する予定。標高は1,377mあるが、ドライブウェイを

利用すれば、駐車場からは30分程度で登れるので、体調は最悪だが何とかなるだろう。

飯田市から中央道を走り名神高速の小牧辺りになると急に空が暗くなり、車のワイパー

が効かないほどのどしゃ降りの雨になった。いわゆるゲリラ豪雨だ。一般道なら停車も

出来るが高速道路ではそうはいかずに一瞬冷や汗がでた。

それでも関ケ原ICを下りる頃には青空が広がって、車窓からは山頂近くが少し雲がか

かった伊吹山が見えた。伊吹山ドライブウェイは麓から全長17kmの有料道路。その

距離もそうだがかなりのくねくね道で、後ろの座席ではあっちゃんがグロッキー。

ドライブウェイの駐車場には自家用車や観光バスが停まり、大勢の観光客で賑わってい

た。当然登山服の姿の人もいたが圧倒的に軽装の人が多かった。

麓では雲がかかっていた山頂だったが、ここでも晴れ男の本領発揮。雲は流れて青空が

見えていた。ルリちゃんは傘をさして軽装で、まずは西遊歩道コースを歩いて行く。







すると早速道の脇に次々と花が咲いていた。

ヤマホタルブクロ


クガイソウ


クサタチバナ



前を歩く女性も日笠をさしてのんびりとそんな花たちの写真を撮りながら歩いている。

遊歩道のスタート地点から少し登って行くと右手の山肌が、キオンの花で黄色一色に染

まっていた。里では菜の花畑やひまわり畑で黄色一色の景色はよく見るが、山中でここ

までの群生は珍しい。










奥様たちは相変わらず花散策でなかなか登って来ない。




キオンの群生地を過ぎさらに登って行くと植生保護柵の中で今度はシモツケソウで赤色

に染まったお花畑。柵の前では『伊吹山もりびとの会』の方が、花の説明や自分たちの

活動の説明をしていた。










ここで昨日の千畳敷カールでの花の写真をFBにアップしていたのを見たWOC登山部の

写真の先生から『花の写真が露出オーバーでは?』とコメントしてもらったのを思い出

した。さっそくネットでデジカメの取説を調べて設定を変更して見ると、今まで明るす

ぎたマクロでの写真が、随分と落ち着いた感じになった。(山の中でも電波の届く場所

だったのでネットで直ぐに取説を見られるなんて、便利になったもんだ。とは言え最初

から取説をちゃんと読んでおけば良かった。(^_^;) )

露出オーバーのイワアカバナ



設定を変えて写したクルマバナ






ウツボクサ




もりびとの会の方にクガイソウだと思っていた花はルリトラノオだと教えてもらった。

ルリトラノオは上から見ると葉が十字に見えるそうだ。

ルリトラノオ


キリンソウ



山頂が近づくとガスが流れて来た。後ろから来る女の子たちは流れるガスを見るのは初

めてなのか、喜んでスマホで動画を撮っている。




山頂の少し手前で上野登山口への分岐になる。植生保護柵のゲートを開けて奥に進んで

行くと、西から南にかけての眺望が広がっていた。石灰岩の白い山肌の向こうに、霞が

かかっているが薄く琵琶湖が見える。南には米原市の市街地の奥に夏らしくモコモコと

入道雲が盛り上がっている。







7月の豪雨で上野登山道は崩壊して通行禁止になっているらしいが、崩壊している場所

はどの辺りだろうか?奥様たちもこの絶景を堪能している。








分岐まで戻り山頂へと歩いて行く間にもいろんな花が咲いていた。



カワラナデシコ


シモツケソウ


クサフジ


イブキフウロ







山頂にはこの山での伝説が残る日本武尊が祀られている。







三角点はこの日本武尊の像から更に西に進んだ場所にある。一等三角点・伊吹山1377.3m








三角点から見える西側の斜面も石灰岩の石クズの様な雰囲気に見える。その三角点から

山頂中央部の植生保護柵で囲まれた場所を北側に回り込んで、中央遊歩道コースを下っ

て行く。西遊歩道と比べるとほとんど歩いている人の姿もなく、階段状の遊歩道を三人

でゆっくりと下って行く。






ヒメジョオン


ホタルブクロ


コオニユリ






すると下から長いポールを担いで登ってくる女性が二人。山側の斜面を見ながら手を叩

いて声を出している。その方向を見るとシカがピョンピョン跳ねながら逃げて行く。

その女性たちに『あそこは保護柵の外ですか?』と聞くと『柵の中なんです。網を破っ

て入ってくるんです』と教えてくれた。伊吹山レンジャーの二人は『最近は少々毒のあ

る草花でも食べちゃうんです』と。シカも生きていく上で耐性ができていくようだ。

たまに見かけて喜ぶ我々と違って、山では鹿害は大きな問題。安易に可愛いとは言えない。



オトギリソウ


イワアカバナ



あまりの花の多さにコースタイムでは35分の所を1時間30分もかかって山頂に。その

後も花の写真ばかりを撮って下りて来た。帰り道で見えた伊吹山は山頂にまたガスがかか

っていた。




帰り道、高速のSAで遅めの昼食を摂り一路香川へ。満腹の後の運転はさすがに少し眠

気がしてきたが、何とか無事に帰宅した。

今日の伊吹山で日本百名山を二座。YAMAPの山頂ポイントも4つゲットして、しか

も花の写真を1年分くらい撮った感じの二日間は、なかなか収穫の多い二日間だった。

色々と制約はあるが、年に一度は遠征に出かけてみたいものだ。


他の花たち



















三人で初めての遠征は花・花・花でした!

2023年08月05日 | 四国外の山
ここ最近、大山の三ノ沢・三鈷峰そして寒風山と、花音痴の三人が珍しく花を求めての

山歩き。その仕上げとして兼ねてより計画していた初の一泊しての遠征をしてきた。

目的地は中央アルプスの最高峰の木曾駒ケ岳。そのスタート地点となる千畳敷カールの

お花畑。そして翌日は帰りに花の山として有名な伊吹山に寄り道してドライブウェイを利

用しての観光コースで、両日ともに花を目当てに、そしてあっちゃんは初めてのアルプ

スデビューとなった。ルリちゃんは意外とあちこちの山にツアーで出かけているのだけ

れど、結構な確率で雨だったそうだ。今回はその雨女と晴れ男の私との勝負になった。

1週間前まで40%だった降水確率が20%まで回復して『シメ・シメ』と思っていた

のに、直前では40%にまた戻ってしまった。果たして二人の勝負は、お山の天気はど

うなるのか?今まで以上にずっと気にしながらの1週間だった。




夜中の3時に集合して高速を一路長野県を目指す。途中で淡路島の室津。宝塚北・黒丸・

恵那のPA・SAで休憩をとりながら6時間ほどで菅ノ台バスセンターに着いた。セン

ターの駐車場はすでに満車で、少し上の臨時の駐車場に案内された。

予定より2便早い9時15分発のバスに乗り込み、ロープウェイ乗り場のしらび平には

30分ほどくねくねの道を揺られながら到着。ロープウェイは1,662mのしらび平

から2,612mの千畳敷駅までの高低差950mを7分ほどで一気に登って行った。










千畳敷駅の前には以前にはなかった、千畳敷カールを目の前にして広いテラスが出来て

いた。宝剣岳から乗越浄土そして伊那前岳にかけての稜線の奥は残念だが曇り空だった

が、それでも山々はくっきりと見えて三人とも歓声をあげる。







周りは家族連れの観光客や登山客の姿があったが、ここでは観光客の方が多いような感

じがした。まずは駅舎の横にある駒ケ岳神社にお参りして千畳敷カールの遊歩道を歩

いて行く。さっきまで灰色一色だった空は時々青空がのぞき始めた。『ヨシ・ヨシ!』











遊歩道の脇には次々と花が咲いていて、道の右に左にと忙しく写真を撮って行く。写真

撮影に忙しい奥様たちもなかなかやってこない。振り返ると何やら女性から花の名前の

レクチャーを受けていた。

ヒメユキソウ








タカネツメクサ


ウサギギク






遊歩道と登山道の分岐となる八丁坂分岐からは足元はゴロゴロ石の登坂になる。九十九

折れの道は、時々上から降りてくる人との離合で立ち止まって意外と時間がかかる。






チングルマの綿毛



ロープウェイで一気に上がってきたせいなのか、それとも寝不足のせいなのか、先ほど

から息を吸うと頭がクラクラとする。たしかにもう既に標高は2,700n近いので、

高山病が発症してもおかしくはない。









ヨシバシオガマ



乗越浄土が近づくにつれ、周りは岩稜のアルプスらしい景色になって来た。相変わらず

頭がクラクラするが、奥様たちも同じような感じだと言っている。












サクライウズ




乗越浄土には遊歩道でゆっくりしていたのでコースタイムより時間がかかって1時間ほ

どで着いた。正面には天狗荘の赤い屋根の向こうに中岳。右手にはハイマツの緑と白い

稜線とのコントラストが美しい伊那前岳(山頂は更に奥)が見えた。まずは伊那前岳へ

のアタック(笑)を前に、ここでお昼ご飯にする。今日も麓のコンビニで買ったぶっか

けうどん!













ご飯を食べた後は少し時間が押して来たのでザックを置いて、早々に伊那前岳へと歩き

始める。乗越浄土浄土から見えるピークは山頂ではなく、さらに奥になるが15分ほど

で行けると奥様たちに男性が教えてくれたそうだ。周りは次々とガスが流れていく。













山頂の前のピークには、江戸時代中期に高遠藩郡代の阪本天山が木曽駒を検分した際に、

この場所で絶景を前に漢詩を詠み、すぐさま石工に命じ近くの岩に(鎖で囲まれた中の

岩)この詩を刻んだ勒銘石がある。その後詩が刻まれた岩が風化し始めたので、その傍

らに石碑が建立されている。







伊那前岳山頂には乗越浄土から25分ほどで着いた。今までほとんどなかったのに、な

ぜかここ最近『写真を撮ってもらえませんか』と山頂で頼まれることが多くなった。こ

こでもご夫婦に頼まれ写真を撮ってあげ、その後こちらもお願いをする。

















相変わらず次々とガスが流れて、一瞬はクリアだった周りの景色を刻々と変えていく。













山頂から乗越浄土に戻り宝剣山荘の横を通ってまずは中岳へと歩いて行く。振り返ると

先ほど歩いた伊那前岳への稜線と、険しい顔をした宝剣岳。

















中岳山頂から木曾駒ケ岳へは一旦下っての登り返しになる。鞍部には頂上山荘の前でテ

ントを張っている人の姿があった。山頂への道はここまでと同じようなゴロゴロ石の道。
















道の両側には立ち入らないようにロープをずっと張ってある。すると赤い小さな花が目

についた。『あっ、女王様だ!』










山頂には木曾駒ケ岳神社伊那駒ケ岳神社の二つの神社がある。まずは木曾駒ケ岳神社

にお参りして記念撮影してその後伊那駒ケ岳神社で手を合わせる。山頂に神社が二つあ

るのは珍しいことだが、昔の水利権の名残りだそうだ。山頂は長野県の上松町・勒銘石

木曽町・宮田村の3つの村の境界にあり山頂がどこに属するかは昔は大変重要で、谷を流

れ下る水の権利に関わったそうだ。











木曾駒ケ岳山頂からの下りで数人の人が立ち止まって写真を撮っていた。カメラを向け

ている方を見ると、岩の上にひょこっと雷鳥が立っていた。少し距離が合ったのでズー

ムで撮ったがガスの影響もあってイマイチ。








中岳との鞍部まで下り、今度は中岳山頂へは登らずトラバース道を進んで行く。すると

ここでも道の脇へカメラを向けている人の姿があった。さっきの雷鳥と比べると随分近

くの岩に立っていた。しかも周りでちょこちょこと小さな子供たちが歩いている。さら

に一羽や二羽ではなくかなりの数が動いている。なんなら親鳥から離れてこちらへやっ

て来る子供もいる。

木曽駒ケ岳の雷鳥は、昭和44(1969)年以降にライチョウの目撃がなく絶滅したとされ

ていたが、平成30年7月20日に一般登山者により撮影され、その後個体群復活事業がな

されているそうだ。目視では分からなかったが写真をみて見ると、個体識別の色足輪が

付けられている。雷鳥は北アルプスで何回か見た事はあるが、これだけの数を見たのは

初めてだった。それにしても子供たちは周りの花崗岩や花崗土にそっくりの保護色をし

ているので、よくよく見ていないと直ぐに見失ってしまう。













トラバース道は途中から岩稜の道になる。晴れていれば右は滑川へと続く谷筋の切れ落

ちた斜面のはずだが、ガスっているので高度感は感じられないのが助かる。










さきほど雷鳥を撮影していた団体は中国の人の様で、こんな雰囲気の中でも賑やかにと

言うより騒がしく前を歩いている。











ガスがどんどん濃くなってくる。宝剣山荘の横から『さぁ宝剣岳へ!』と稜線を登って

行くと、直ぐに雨が降り始めた。どうしようかと迷っていると雨脚はどんどん強くなる

ばかり。仕方がないので引き返して雨具を着るために宝剣山荘に入る。食堂の椅子に腰

かけ雨具を着こんでいると同じように次々と登山客が入って来た。食堂には8月だとい

うのにストーブに火がつけられていた。







雨具を着た後、宝剣岳は諦めて下山する事に。晴れの日を天気予報を見ながらの登山ば

かりしているので、雨具を着こむのは久しぶりの事だった。







乗越浄土から千畳敷駅までは花崗岩の急な下り坂。ただ花崗岩の表面がザラザラしてい

て雨で濡れても意外と滑りにくかったのが助かった。この時間この天気の中、下からは

まだ登ってくる人達とすれ違う。

<








八丁坂分岐からは往路と違う剣ケ池の方へ歩いて行く。こちらの道ではムカゴトラノオ

の群生地になっていた。

ムカゴトラノ












ロープウェイの出発時刻までには余裕があったので、花を見つける度に立ち止まっての

んびりと写真を撮る。幸い剣ケ池では雨も小降りになっていた。



ミヤマアキノキリンソウ


エゾシオガマ




下りは16時発のロープウェイ。乗り込む人も多くなくロープウェイもバスもスムーズ

に我々を運んでくれた。千畳敷駅で18度の気温から下界は一気に気温が上がっていた。

今晩は飯田市のホテルで宿泊。チェックインの後直ぐ近くの居酒屋で宴会。一口目の生

ビールの美味しいこと美味しいこと。最後の岩と鎖の宝剣岳に登れなかったのは残念

だったが、それでも千畳敷カールの高山植物、そして女王のコマクサ、花崗岩とハイマ

ツのコントラストの中の稜線歩き、最後に雷鳥の大家族にも会えて満足度100%の第

一回の遠征は無事幕を下ろした。













花の数が多すぎたのでまとめてみました。