KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

ワイワイ・ガヤガヤ、ゆるッと紫雲出山!

2024年09月28日 | 香川の里山

 

今日はお昼からある会が開かれる。故人を偲んで友人・知人が集まってくる。その前に顔

なじみのWOC登山部のメンバーが集まって近くの紫雲出山に登る事になった。

7月の剣山の例大祭の時は山頂でメンバーと会って、下山で何人かの人と一緒に下った。

その前は昨年の正月の大麻山の山頂で待ち合わせをして、この時も一緒に下っただけだっ

たので、スタート時点からメンバーと一緒に登るのは一昨年の夏の白峰寺以来のお久しぶ

りだった。

 

偲ぶ会には30~40名ほど参加する予定だが、登山は17名。その内男性は5名だった。

早速スタート時点の車道歩きから女性陣は賑やかだ。

後ろからくる車に『車が来てるよ~!』と声をかけても話に夢中なのか、避ける気配もな

い。けっこう通る車にまるで小学生の遠足の様で引率の先生の気持ちで気が気でない。

 

暫く車道を歩いた後、黒崎のバス停の手前で南に集落へと入って行く。集落の上に行く程

道幅は狭くなってくる。

 

 

 

コンクリート道が途切れるといよいよ山への取り付きとなる。

最初は里山あるあるで植生は竹林からになり、次第に勾配が急になり始まると周りの樹種

も変わってきた。すぐ横でヤマさんが『腹減った』と言っている。『朝ごはん食べんかっ

たん?』と聞くとちゃんと食べてきたという。いつもなら別の奥様がよく口にするセリフ

だが、そういえばWOC登山部で歩いていた時は、いつも早い時間に二人から聞いていたセ

リフだった。

 

 

暫くの間は落ち葉の積もった急坂だったが、そのうちに周りの草が茂って踏み跡もなく藪

の中へ入って行く。すると先頭にいた女性陣が騒ぎ始めた。

地形図を見てみると少し東側で九十九折れの破線が続いている。どうやら一本西側から違

う道を登って来たらしい。それでも少し藪コキして進んでみると、先ほどまでと同じよう

な道になる。

 

 

途中からは道が階段状になり、トラロープが張られた個所もあり九十九折れの道が続いて

行く。地形図の破線が登山道なら、この道は山頂近くの竜王社への道?

何回目かの折れ曲がりのヶ所で道は二股になっていたが、よく踏まれている道の方へ登っ

て行くと、駐車場から少し上の舗装路に飛び出した。

山さんが以前に登って来た時はこの場所ではなく、もう少し下に出てきたというので、や

はり破線の道とは違っていて、しかも竜王社へは二股になった場所からもう一方の道を登

って行くのかもしれない。

 

 

 

 

舗装路を駐車場へと一旦下って、駐車場横の見晴らし台まで行く。

先週の天気予報では雨模様だったが、曇り空から少しは青空も顔をのぞかせていた。見晴

らし台から積の集落を見下ろす。

 

 

山道から舗装路に出たところで、山頂へ登る人とこの見晴らし台に来る人とに分かれたが、

今いるメンバーで故人がいつも三角点でしていたバンザイのポーズをみんなでしてみる。

 

 

 

 

ここからさらに山頂に行くメンバーと、会の準備をするメンバーとに分かれて、我々は時

間の都合もあって直ぐに下って行く。

 

 

 

時間の都合もあったが、下り坂なのでそれほど慌てて下りることもないので、周りの草花

を写しながらゆっくりと降りて行く。

 

 

 

 

途中にあった竹の橋。丸太の橋はよく見るが竹で作った橋を見るのは初めてかもしれない。

 

 

半分くらい下っただろうか、舗装路に出た。ここから麵法師さんが往路と違う方向へ下っ

てみようというのでついて行く。しばらく歩くと道の脇にポニーを飼っているおじさんが

いた。

 

その馬小屋の少ししたでももう一頭まだらのポニーが草を食んでいた。人慣れしているの

か近づいても触っても逃げる気配がない。それどころか一番最後を付いてきてしまった。

困ってしまって我々が騒いでいる声が聞こえたのかおじさんが迎えに来た。

 

 

 

2時間ほどの里山歩きの後、予定していた人の数以上の人が集まって故人を偲ぶ会は無事

行われた。

最近読んだ芥川賞の『バリ山行』。バリとはバリエーションルートの事で、会社で少し変

わり者扱いされている人がそのバリ山行をしているのを知った主人公。会社の登山部の活

動では物足りなくなり、そのバリ山行に一緒に行かせてもらうことになるのだが、故人は

そのバリ山行をしている人に少し似ているところがあった。

とにかく藪コキは厭わず、目標の三角点に突き進む。最後に一緒に二人だけで歩いたのが

5月だったが、復路で少し登り返しを嫌ってトラバースをしたら最後は藪コキになってし

まった。ただ故人も私もそんなハプニングを楽しむところがあって気が合ったのかもしれ

ない。ちょうどひと回り歳が違ったがお茶目なところがあって、いつも周りを笑わせてく

れた。二人だけで歩いた時は無駄な話はせずに、最近の失敗談なんかを話してくれて笑わ

せてくれた。

ここ最近独り歩きをする事が増え、バリ山行の影響もあってか、今日のように賑やかなの

もいいけれど、静かにゆっくりと自分のペースで歩くのが気が楽で痛めた膝にもいいよい

う気がしてきたので、これからの歩き方をまた少し考えてみようと思う。

 

会の途中で抜けて、計画していた今見ごろだという島ケ峰のソバの花を見に車を走らせた。

会場から1時間あまりで道の駅ことなみに着いた。そこから南に三頭トンネルの手前で左

に折れると『島ケ峰』の標識が立っていた。このソバの花の時期は道は一方通行になって

いるらしく、標識に沿って右に左にとクネクネと高度を上げて行くとソバ畑が広がってい

た。

 

2016年からそばづくりに適した標高800メートルを超える寒暖差の大きい、天空の地まん

のう町「島ヶ峰」で荒廃地の開墾から始めそば畑を造ったそうだ。

先週末には花見の会が開催され大勢の人で賑わったようだが、阿讃山脈を背に白い花畑が

広がる景色は、一度は訪れたいと思っていたのでちょうどの時期に来られて正解だった。

 

 

 

 


Blowin' in the Wind 風に吹かれて塔丸

2024年09月19日 | 四国の山

 

先週計画していた塔丸。お昼前後の天気予報が怪しかったので予定を変更して里山歩きを

したら、これがバテバテの熱中症寸前で暑さにやられてしまった。しかもずっと蜘蛛の巣

に悩まされて、安易に考えたのが間違いだった。

そうこうしているうちに土曜日にエントツ山さんreikoさんらがサクッと歩いていた。

ルートは往復ではなく山頂から名頃へ下っての縦走で、少し雨にも降られて急な下り坂に

女性陣が苦戦している様子だった。

里山の暑さや虫たちからは解放されて、とにかく稜線に吹き上げてくる爽やかな風の中を

快適に歩きたいと思って、今日も昼過ぎから少し下り気味の天気予報だったが、早めにス

タートすれば問題ないと考えて出かけてきた。

ちょうど8時に登山口に着いたらもうすでに何台もの車が停まっていた。

登山口の道標には『塔の丸』と書かれているが、地形図には『塔丸』と載っている。山頂

の三角点も『塔丸』と表記されているが、個人的には『塔ノ丸』がシュッとしていていい

のになんて、どうでもいい事を考えながら歩き始める。

 

 

登山口からは、ダケカンバやウラジロモミの自然林の中を緩やかに登って行く。

この林の中の道、不思議と鳥の鳴く声も一切なく、遠く上空を飛んでいるジェット機の音

と、自身の足音と吐く息の音が聞こえてくるだけの静かな静かな道。あ!そう言えば先週

に続いて今日も奥様たちのいない独り歩きだった。

 

 

 

 

しばらくすると道はトラバース道になり、一カ所だけザレた場所を通過する。(以前より

は随分と歩きやすくなっていた)

 

 

左手に木々の間から明るい日差しが差し込み、稜線の奥にチラチラと太郎さんと次郎さん

の姿が見え始めると、間もなく尾根に出た。

 

尾根に出てもしばらくは低木の木々の間を歩いて行く。すると今度は木々の間からはっき

りと太郎・次郎さんの姿が目に飛び込んできた。

 

東塔丸の三角点辺りからは樹林帯から笹尾根へと変わり、遠く塔丸山頂、そして少し雲の

かかった三嶺の姿が望めた。

 

 

暫くは道の両側は萱原だったが、このルートのシンボルの白い巨岩を過ぎると周りはいよ

いよ笹原尾根になる。すると前を一戸団体のグループが歩いていた。CLとSLを男性が、

その間に女性陣。どこかの山の会だろうか?軽く挨拶をして先に行かせてもらう。

 

 

笹原尾根になると樹林帯ではなかった風が吹いてきた。歌詞の内容は少し難しそうだが、

とにかくBlowin' in the Windのメロディが頭の中に流れてきた。そのメロディに合わせた

わけではないが、気持ちよさそうにススキの穂が揺れている。

 

 

北側を見ると白骨林の向こうに一字の大宗・赤松の天空の集落が見える。ここから見ると

かなり上の方まで集落があるのが見て取れる。高低差500m、1k㎡にわたって広がる

国内でも最大の山岳斜面集落だ。

 

しばらく歩くと尾根の右手に剥皮の被害にあった一本の木。一瞬『クマ?』と思ったが、

この辺りでクマが出た話はつい聞いたことがない。シカによる角こすりだろうか?

 

足元には小さなリンドウがあちらこちらで咲いていた。この花を見るとやはりそろそろ夏

が終わる・・・・そんな気持ちになる。稜線上には時折大岩が転がっている。先ほどの白

い巨岩とはまた色の違う岩がゴロゴロ。

 

 

 

この稜線は笹原と岩と白骨林、そして今の時期は揺れるススキの穂。先週の顔にまとわり

つく蜘蛛の巣ロードとは雲泥の差。イメージ通りの風に吹かれて快適な笹原ロード!

リンドウと共に対照的な色をしたアキノキリンソウもけっこう目に付く。

 

 

 

 

 

次第に山頂部だけが笹原の塔丸が近づいてきた。北側には矢筈山から寒峰への稜線もくっ

きりと見えている。以前歩いた時は天気が悪く見通しが効かなかったので、この間の小ピ

ークを塔丸山頂だと何回か勘違いしてその度『偽ピークに騙された~!』と声をあげてい

たが、今日はこの天気だ山肌の違う塔丸山頂を間違えることはない。

 

 

 

 

山頂の手前にあるワンワン岩を過ぎ、低木の樹林帯を登りつめると 三等三角点 塔丸

1713.01m。 山頂標の文字は消えかかっている。すぐ横にいた男性が『マジック持って

きて塗らんといかんな~』と。

すると別の男性から『ウメバチソウを見なかったですか?』と尋ねられた、この山頂から

二つほど手前の小ピークの岩を指さし、『去年はあの岩の辺りにたくさん咲いていたのに、

今日はまったく見当たらないんです』と。『花音痴の私に・・・?』と思ったが、どうや

ら一眼レフカメラを肩から下げていたので、花好きだと思われたのかもしれない。

残念だったが『ちょっと分からないですね~』としか答えられなかった。

 

 

 

山頂から三嶺はすぐ目の前だが、残念雲がかかって顔を覗かせてくれていない。

取りあえず山名標で写真を撮り、南の平らな岩に腰掛けてチュロスと水筒に入れたカフェ

オレで軽食。途中で追い越したグループはまだ到着していなくて、名頃のダムを見下ろし

ながら静かな山頂でまったりとした時間を過ごす。

剣山から三嶺の稜線には雲がかかり始めていた。天気も気になってきたが、朝来た時にス

キー場跡から先が舗装工事のためも時間通行止めになっていた。時間通行止めはどこでも

そうだが、1時間の内10分しか通行できないので、通行止めの時間に引っ掛かると50

分時間をつぶすことになる。ただお昼休みは1時間あるのでその時間を狙って行けば、通

過するのに時間の余裕がある。時間はまだ10時過ぎなので最後にゴクリとカフェオレを

飲んで腰をあげる。

 

 

 

 

 

山頂直下の樹林帯では剣山やこの山域でも多く見られる、鹿の食害防止のネットで木の幹

が囲われている。

一旦鞍部まで降り小ピークへと登り返す。相変わらず気持ちよさそうにススキの穂が揺れ

ている。

 

 

 

小ピークからはまた快適な笹原歩きが始まる。1682mの標高点を過ぎ、二つ目の小ピ

ークを過ぎた辺りで昨年秋に小島峠から周回した時に下った場所に出た。ルート的にはま

だ先の地形図に載っている町境から下るのだが、前回はショートカットでこの斜面をトラ

バースした。

 

 

地形図の町境の分岐にはよ~く見ると背の低い白骨林に赤テープが巻いてあった。

 

 

 

登山口には12時過ぎても時間通行止めのお昼休みには十分間に合う。天気も意外ともち

そうで丸笹山に並んで剣山次郎笈の雲も流れてしまっていた。

気持ちのいい笹原をのんびりゆっくりと戻って行く。途中の岩の上で一眼レフを三脚に固

定して初めて動画を撮ってみる。

 

 

 

 

 

カメラの設定がまだまだよく分かっていなくて、小さい花を写すのがなかなか難しい。

 

 

振り返るといつの間にか三嶺も顔を出していた。

 

 

笹原が終わり樹林帯に入る。時間的に余裕があるので往路とは違う尾根筋を歩くことにす

る。以前にREIKOさんが歩いたレポートを見た記憶があり、今回エントツ山さんは往路で

他の人たちと分かれて独りで歩いていた。

YAMAPでは道外れの警告がしきりにアップしてくるが、尾根はしっかりとした踏み跡

というかちゃんとした登山道になっていた。

 

 

 

途中尾根の左手は窪地が続いていて、何カ所もの大きなヌタ場になっていた。テープも時

々巻かれているが、境界杭も続いているし道もしっかりしているので必要なのかななんて

思いながら歩いて行く。

 

 

 

 

尾根道に入ってから35分ほどで夫婦池から続く舗装路が正面に見えた。

この道を選んだのは時間的なこともあったが、もう一つは登山口からラフォーレつるぎ山

との間の線を繋げるためもでもあった。

これで丸笹山山頂から見ノ越トンネルの上まで繋ぎ、塔丸山頂から名頃まで繋いだら、ぐ

るっと剣山・三嶺・塔丸・丸笹山の周回ルートが完成する。

 

 

 

尾根道から降りて国道へと出て舗装路をラフォーレつるぎ山へと歩いて行く。これで一応

塔丸、丸笹山間はつながったことになる。

木々に囲まれた夫婦池は風もなく、湖面に青空を映し出していた。

 

 

 

 

 

予定通り舗装工事の時間通行止めを難なくクリアして、次の目的地の天磐戸神社へと向か

う。第一ヘアピンカーブを過ぎて案内板の立つ脇道へと国道から入って行く。

一軒だけあった民家を過ぎると道は少し荒れ始めたが、10分ほどで鳥居の前に着いた。

 

 

不整形な崩れかかった石段を登り拝殿を参拝した後、左奥にある案内版に沿って登って行

くと、次第に周りの景色も何となく霊気を帯びてきたような気がした。

 

 

 

すると石灯篭の先に、三頭峠にもあった猿田彦大神天字受売命の石像が立っていた。

三頭峠のものとは違い、猿田彦大神の鼻はお折れずに長く、天字受売命の胸は開けていな

かった。

 

 

 

二体の石像からさらに上へと登って行くと以前に神楽を舞っていた広く平らな神楽石。そ

してさらに上に石段が続き大岩の下に祠が祭られていた。その祠の奥は大きな洞窟が続い

ていた。この中に天照大神が隠れ籠ったのか?そしてすぐ下の神楽石の上で天字受売命が

上半身裸で踊ったのだろうか?

 

 

 

 

 

天磐戸神社をあとに今日の次の目的地の一字の高根資料館へ立ち寄る。駐車場には車が3

台停まっていて停められず、すぐ下の一字中学校跡の入り口に停める。いつも見ノ越に向

かう途中で見る校舎は5階建て地下一階の大きな校舎だった。高松市内の中学校でもなか

なか見られない大きさで、こんな山間部で当時は学生たちで賑わっていた風景が目に浮か

んでくる。

最近急に興味を持ちだした剣山のアーク伝説の資料が展示されている高根資料館では、住

職が違う部屋で別の方に説明しているらしくて、代わりに奥さんが少し説明をしてくれた。

次は粟飯原住職の話を是非聞いてみたい。

 

 

 

その資料館の坂の上からは向かいに塔丸から見えた、大宗・赤松の集落が見えた。

天空の集落とは果たして・・・・?そう思ってついでに車を走らせた。

集落の坂道をどんどん登って行く。まだ裾野の赤松の集落には住む人の姿は見られたが、

最上部に近い大宗の集落にある民家は、ほとんどが廃屋になってきていた。

かつてはどれほどの人の暮らしがここにあったのだろう。今も残る立派な石積みだけがそ

の当時の旺盛を物語っている。

 

 

 

 

 

 

おそらくその当時の人も眺めていたであろう南に広がる風景の中に、遠く稜線の奥に次郎

笈が見えた。板金で覆われていた茅葺の大きな屋根も、人が住まわなくなると痛み方が激

しい。この大宗の集落だけでなく徳島の山間部の集落は同じような道を辿りつつある。

少し南にある十家の集落は、車道がなくモノレールだけが荷物を運ぶ手段で、道を歩けば

小一時間かかるという不便な場所に今はもうすでに一人しか住んでいないという。

何故?そんな場所に・・・と思うのだが、住んでいる人にとっては・・・・。そんな話を

是非一度聞いてみたいと思い、また次は十家の集落を訪ねてみたいと思う。

 

 

 


世界の中心で大汗をかいた庵治の5座!

2024年09月13日 | 香川の里山
 
今週の水曜日の天気予報は山間部がお昼前後からの天気が怪しく、終日晴れマ
 
ークは香川県のみ。それならと考えていた県外のお山は諦めて里山歩きに切り
 
替えた。里山歩きなら近場を歩いて普段できていない用事も済ませたい。そう
 
思って近所の山を調べてみるが、もうほとんどの山は歩いていて新たにという
 
山が思いつかなかった。ただよくよく調べてみると地形図には載っていないが
 
YAMAPの山頂ポイントに未登の山があるのを見つけた。
 
何年か前にWOC登山部メンバーと歩いた庵治の4座。御殿山・大仙山・遠見
 
山、そして竜王山。その時は竜王山の手前に立石山があるのを見逃している。
 
(ただYAMAPの山頂ポイントにはまだなっていなかった?)
 
そして新たに竜王山の南に毘沙門山・裏毘沙門山がポイントとして追加されて
 
いた。これなら3座ポイントをゲットできるとニコニコ顔で出かけてきた。
 
 
 
近くの里山にしては後からの用事を考えて割と早めに家を出た。
 
牟礼町から丸山峠を越えて庵治町に入って直ぐにあるしろばな公園。海沿いの
 
公園は水際に沿って遊歩道が造られ、公園の中には庵治石のオブジェが飾られ
 
ている。まだ低い位置にある陽の当たり具合で波静かな海と周りの景色の陰影
 
がとてもきれいだ。
 
 
 
 
 
前回と同じように今日も庵治支所の駐車場に車を停めさせてもらう。
 
駐車場からまずは今日の山への取り付きとなる皇子神社を目指して港に沿って
 
ぐるっと歩いて行く。
 
港町の朝は早い。波止場ではもう作業をしている人の姿、そして漁船からのエ
 
ンジンの音が聞こえてくる。
 
 
 
 
 
その途中にある『雨平写真館』は『世界の中心で愛を叫ぶ』で度々出てくる
 
撮影用に建てられた建物で、撮影後に一度は取り壊されたあとに復元された
 
レトロな雰囲気のする建物だった。
 
さらに道沿いにある建物は今は廃屋となっていたが、昭和感の漂うお店があっ
 
た。平坦な道を歩いているだけなのに、ここまでですでに額から伝って鼻の頭
 
からポタポタ汗が落ちてくる。標高の高い山なら気温も低くてまだしばらくは
 
爽やかに歩いている頃だろうが、やはり平野部の暑さはまだまだ油断できない。
 
 
 
 
 
 
庵治港を南から北に回り込むと皇子神社がある。急な石段を『瞳を閉じて~君
 
を描くよ〜』と口ずさみながら登って行くと、神社の前の広場にはブランコが
 
ある。これも映画のワンシーンに出てくるブランコだ。
 
 
 
 
 
庵治の漁師さんの守り神として権現さんと呼ばれ、毎年夏には急な石段をだん
 
じりが降りて、全国的にも珍しいちょうちんで明々と照らされた漁船にだんじ
 
りや神輿や獅子が乗り込む『船渡御』がここからスタートする。
 
 
 
 
 
 
拝殿を参拝した後、その右手横から山の中へと入って行く。高松藩主の松平
 
頼重公の別荘があったことから名づけられた御殿山山頂までは遊歩道が続いて
 
いる。緩やかな坂を登って行くと目の前を小さな黒い物体が横切った。『ウリ
 
坊だ!』と思った瞬間、『ブヒッ』と一声あげて林の中に飛び込んで姿は見え
 
なくなった。ただその茂みの奥から『ビヒッ、ブヒッ』とおそらく親イノシシ
 
のさらに大きな威嚇の声が聞こえてくる。慌てて手に持っているストックをか
 
ち合わせて音をたてながら急いで小走りで歩いて行くと、次第にその鳴き声が
 
遠ざかった。
 
 
 
 
 
 
 
御殿山山頂には見覚えのある東屋があった。ここまで来るとイノシシの恐怖か
 
らは逃れて一息ついた。この時期周りは草木が伸び放題だったが、西を見ると
 
屋島の裾野の奥に高松のサンポートのシンボルタワーがくっきりと見えた。
 
 
 
 
 
 
 
山頂の東屋から一旦下って行くとこの山を囲むようにしてある遊歩道に出た。
 
アスファルトの遊歩道を北に歩いて行くと道の脇に、真っ白な庵治白石照射灯
 
が建っていた。照射灯とは陸上から強い高度の投光器により航路付近の岩礁な
 
ど危険箇所を照射して、障害物の所在を航行船舶に示す施設で、ここでは白石
 
という岩礁を照らしているのだろう。
 
 
 
 
 
その照射灯を過ぎてさらに歩いて行くと道の脇に巨大な花崗岩。大きな頭の下
 
に口があってまるでマッコウクジラを横から見た感じ。
 
 
その先では道の北側が開けて、島影の間を小豆島からのフェリーが穏やかな瀬
 
戸の海を走っていた。
 
 
 
 
 
 
御殿山をぐるっと回り込むと県道に出た。道の反対側の庵治観光ホテルの上の
 
駐車場へ入り、山際の石積に掛けられたはしごを登って行くと、大仙山と書か
 
れた小さな道標が立っていた。
 
 
 
 
 
山の斜面を登って行くと、以前あった耕作地への今は使われていないだろう荒
 
れたコンクリート道に出た。道に沿って登って行くと大仙山の支尾根になる。
 
 
 
 
 
尾根道は樹林帯の中の道。確かに周りの木々が日差しを遮ってくれてはいる
 
が、そろそろ気温が上がり始めて湿度も高いせいか、流れる汗の量が半端な
 
い。足元にはツルボだろうか?薄紫の花が道のあちこちに咲いている。
 
その可愛い花の横をニョロニョロと長い蛇が動いて行ってドッキとする。
 
 
 
 
 
観光ホテルの駐車場から25分ほどで大仙山山頂に着いた。最初に目に飛び込
 
んできたのは瓦屋根の載った石造りの立派な雨乞祈祷所だ。瀬戸内に面した半
 
島のほぼ先にある庵治町は、三方を低い山に囲まれて大きな川もなく、昔から
 
夏になると水不足に悩まされていたのではないかと思う。そのせいか祈祷所は
 
荒れた様子もなく今でも大切にされている気がした。
 
 
 
 
 
祈祷書の横には南に向かって観音様が立っている。その目線の先には普段見慣
 
れた五剣山とは少し山容の違った五剣山の五つの峰が並んでいた。
 
頭の上ではトンビが『ピーヒョロ』と鳴きながら、風に乗って気持ち良さそう
 
に飛んでいる。
 
縄張りなのか大きなクマンバチが頭の周りをグルグル回って、隙を見て刺して
 
こようとしている。その度タオルで振り払うので最後は腕がだるくなってきた。
 
 
 
 
 
 
 
祈祷所の屋根の下の日陰で腰を下ろして一息入れる。ここまでですでに500
 
mlのスポーツドリンクを一本飲んでしまった。今日は残り一本しか残ってい
 
ない。果たして最後までもつか心配になってきたが、幸い竜王公園の駐車場に
 
自動販売機があったのを思いだし、何とかなりそうだと考えザックからもう一
 
本取り出した。
 
山頂から下って行くと庵治町の郊外から笹尾の集落に抜ける竹峰峠に降り立っ
 
た。峠には大仙山山頂にあった立岩の説明が書かれた案内板がある。峠道をま
 
たいで向かいから今度は遠見山へと取り付く。
 
 
 
 
 
峠の取り付きから登って行くと直ぐに南無阿弥陀仏と彫られた石柱とお地蔵さ
 
んがあった。この峠もそうだがここから先の峠も新しく道が造られ切り通しに
 
なっている。従来の峠道だった場所は今の峠から離れた場所だったようで、今
 
切り通しになった峠からは少し離れた場所にお地蔵さんが立っている。
 
お地蔵さんから少し先には石祠。こちらは台座が新しい庵治石で造られてい
 
た。先ほどのお地蔵さんの南無阿弥陀仏と彫られた石柱といい、この台座とい
 
い、さすが庵治石の産地だけある。
 
 
 
 
 
石祠を過ぎると道には巨石が点在し始める。香川の里山の尾根ではよく見られ
 
る風景だが、この道の岩はとにかく大きさが飛びぬけてデカイ!
 
こんな巨大な花崗岩が露岩となるのはどうなってなのか、また一度興味がるの
 
で調べてみたい。
 
それにしてもこの道筋は蜘蛛の巣だらけだ。毎回毎回ストック振り払うが、う
 
っかり見逃すと顔にそのままベタ~とまとわりつく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そのうちに尾根の南側に平らな展望岩が見えた。その展望岩の端に立つと庵治
 
町ののどかな田園風景の奥に屋島が見える。平らな岩の横にある小さな岩に腰
 
掛けて、ズボンの下が暑気していた着圧のタイツを脱ぐ。ここ最近は着圧タイ
 
ツのせいで同じように暑気がしていたので、ショートのパンツをはいていた
 
が、今日はこの時期草木で道が荒れていたらと思って、普通のトレッキングパ
 
ンツをはいてきたのが間違いだった。タイツを脱いだお陰でズボンの中が急に
 
体温が下がったような気がした。
 
 
 
 
 
展望岩からさらに先に進むと、今度は北側の景色が広がり西鎌尾根と書かれた
 
道標の横にテーブルとベンチが置かれていた。
 
波静かな瀬戸内海の青い海の向こうに小豆島が横たわっている。星ケ城を最高
 
地点とする峰々をよ~く見てみると、その東端の千羽ケ岳の山頂の下に見覚え
 
のあるちょこんと尖った峰が何となく見える。デジカメの望遠で見ると、セニ
 
ョさんと二人で登った親指岳だった。
 
 
 
 
 
西鎌尾根から八幡神社の道標の建つ分岐を過ぎると今日三座目の遠見山に着い
 
た。山頂からは南に五剣山。西にはこれから行く立石山と龍王山が見えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この遠見山山頂は屋島城ができた奈良時代にはのろし台があった云われてい
 
る。その狼煙を焚いた場所だったのか広場の手前には窪んだ場所があった。そ
 
こから見える屋島は本当に平らで屋根の形をしている。反対に五剣山の峰は指
 
を閉じて小指を立てているように見える。
 
山頂広場には丸太を横にしたベンチがある。ここでも水分補給と小休止。ただ
 
水分を採ってもなかなか息切れが収まらない。
 
 
 
 
 
 
 
山頂から少し下って行くとまた見晴らしのいい展望岩があった。ここからは下
 
に鎌野の集落と港が見える。先ほどの西鎌尾根の展望台はこの鎌野の集落から
 
名づけられたのかもしれない。当然だが槍ケ岳の西鎌尾根とは関係ないだろ
 
う。東側に見える竜王山と手前の立石山。おむすびの形をした立石山は山頂ま
 
でひと登りありそうな形をしていた。
 
 
 
 
 
 
 
それにしてもこの遠見山山頂の前後には巨岩が多くみられる。遠目に全景を移
 
したのではその大きさは分からないと思ってストックを置いてみた。1m15
 
㎝に伸ばしたストックと比べると、やはり3m以上ある大きな岩だ。そして他
 
の山でもよく見られる大きく縦に割れてその隙間に落ちずにいる小さな岩が複
 
雑に風化する花崗岩の特質を現している。
 
 
 
 
 
 
 
 
この大岩を過ぎるとウバメガシの林の中の尾根道となる。足元は花崗岩が風化
 
してザラついたとても滑り上に、ウバメガシの小さな乾いた葉がさらに滑りや
 
すくしていた。ただ今日は独り歩き。慌てることもなくとにかくゆっくりゆっ
 
くりと下って行く。すると目の前に立石山らしいピークとその下にアスファル
 
ト道が見えた。下って行くときれいな花が供えられたお地蔵さん。さらに下り
 
て行くと奥ノ坊峠と書かれた道標があった。地形図には線がなく、新しく舗装
 
路がついているがこの場所も昔から南北の峠だったのだろうか。里からは少し
 
離れた場所にも関わらず、こうやって花が供えられているのを見ると、地元の
 
方の信仰心の深さを感じる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
舗装路から立石山へと取り付くと直ぐにこちらにも馬塚とお地蔵様。遠見山か
 
ら見えた通り立石山へは花崗岩の風化した滑りやすい急登が続いている。
 
汗の量もそうだがとにかく息切れが酷い。そういえばどこかの山で最近同じよ
 
うになったな~と思いながら一歩一歩踏み出し登って行く。
 
 
 
 
 
 
 
山頂近くなるとほとんど『ハアハア、フウフウ』と息遣いがとにかく荒い。
 
それでもやっと着いた立石山は素晴らしい景色で出迎えてくれた。木々が伐採
 
され正面に見える小豆島には、空高く登った入道雲が覆い被って、その上には
 
青々として澄み切った夏空が広がっていた。
 
 
 
 
 
立石岩から下って行くとまた巨岩が転がっていた。そのうちの一つの女郎岩と
 
名付けられた岩にはその手前で道標がかかっていた。
 
道標の矢印の方角に少し下って行くと、女郎岩と名札がかかった巨岩があっ
 
た。『ん・・・?これが女郎岩?』と思いながらその横を通って更に下って下
 
から眺めてみるとなるほど・・・・。おかっぱ頭の女性に見える。
 
 
 
 
 
 
 
 
女郎岩から引き返し東に下って行くと車道に出た。車道から見える二つの山が
 
毘沙門山と裏毘沙門山だろうか?
 
 
 
 
 
竜王公園へと続く車道を歩いて行く。登坂の続く道、日陰を選んで歩いて行く
 
が今まで以上に息切れが酷い。2本目のスポーツドリンクも飲み干した。これ
 
で公園に自販機がなければ万事休すだ。
 
 
 
やっとの思いで着いた竜王公園の駐車場のトイレの横に、待ちに待った自販機
 
があった。今までスポーツドリンクで口の中が甘だるくなっていたので、ミネ
 
ラルウォーターを買い求める。自販機から音をたてて落ちてきたミネラルウォ
 
ーターは取り出すとバッチリ冷えていて、早速すぐ横の東屋の下でゴクゴクと
 
半分以上飲み干した。飲んだ後にこれではまた足りなくなると思ってもう一本
 
慌てて買い足した。東屋の先にある展望広場からはまた瀬戸内海の絶景が広が
 
っていた。普通ならのんびりとこの景色を楽しんでいるところだが、今日はす
 
ぐに東屋の日陰に戻ってまたミネラルウォーターをゴクリと口にする。
 
 
 
 
 
 
お腹の中でタプタプといい始めたので、重い腰を上げて公園へと歩いて行く。
 
いつもなら芝生の丘の中を石のオブジェを眺めながら登って行くのだが、遮る
 
ものがなく日差しのキツイ公園を歩く、そんな余裕もなく歩きやすい舗装路の
 
日陰を選んで歩いて行く。一応舗装から見えた石のオブジェを遠目から写真に
 
撮ってみた。
 
 
ただ公園の小高い丘の上にある見晴らし台へは日陰となる道は階段を登って行
 
かなければならなかった。ここでもうほとんど熱中症状態。汗の量と息切れが
 
半端ない。水分は十分に採ったつもりだったが、その量に対して塩分をほとん
 
ど採れていなかった。
 
やっとのことで登った腕時計の形をした見晴らし台でも容赦なく日差しが照り
 
付ける。360度の屋島・小豆島そして志度湾の大展望を楽しむ余裕もなく早
 
々に次に向かって見晴らし台を降りて行く。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
時間は10時55分。愛嬌のある日時計の鳥は11時を指していた。
 
 
 
 
見晴台から南に公園の道を歩いて行くと兜を被った武神像が祭られた竜権さん
 
がある。明治の時代に日蓮宗の信者によって『南無妙法蓮華経 』のお題目と
 
八大竜王が祭られ、武神像が刻まれたそうだ。
 
尾根道を南に下って行くと目線の先に裏毘沙門山が見えた。ただここまででも
 
うほぼ限界。下っているのに息切れが収まらない。
 
 
 
 
 
 
 
 
これ以上歩いて登っても、まだ車を停めた駐車場まではけっこう距離がある。
 
そう思って今回は残りの2座を諦めた。
 
車道に降り立つ手前で岩をくり抜いてお地蔵さんが立っていた。今日のコース
 
上では、すべての峠にお地蔵さんが祭られていた。峠とい云ってもそれほどの
 
高さでもなく、町から集落へもそれほど人の行き来があったようには思えない
 
が、それでも行き交う人の安全を祈って見守っている。
 
 
 
ここから庵治支所までは舗装路歩き。車道を右に左に日陰に沿って下って行く。
 
しかし先ほどと同じように息切れが激しくなるばかり。木々に囲まれた山の中と
 
比べると、アスファルト舗装の路面の温度は高い。
 
途中一度日陰で少し風が吹いてくる場所で、大の字なって寝そべった。里山だと
 
思って履いてきた、ショートの靴は靴底が柔らかくて、足の裏が酷く暑く熱を持
 
っていた。靴も靴下も脱いで大休憩。
 
 
 
 
 
しばらく休んで気を取り直して舗装路を下り郊外の平地になると、今度は日陰が
 
ない。道の脇の建物でできた日陰で何度も何度も立ち止まって休みながら、何と
 
か支所の駐車場にたどり着いた。
 
 
 
 
 
 
 
 
支所の建屋の横には『世界の中心で愛をさけぶ』のロケ地の大きな案内板が立
 
っていた。その中心で愛は叫ばなかったが、ただただ大汗を掻いた一日だった。
 
まだまだ里山歩きには厳しい気候だと思い知らされた。
 

涼風求めて四国カルストの高原へ!

2024年09月05日 | 四国の山


ここ2週間はあまり昇り降りのない場所を選んで散策してきたが、相変わらず

膝の調子は代り映えがしない。無理ができないのを察してか奥様たちから負担

の少ない四国カルストで花散策はどうですかと連絡が入った。四国カルストの

天狗ノ森なら高低差も250m位歩行距離もさほどでもない。ただ車での移動

距離と時間に今まで二の足を踏んでいた場所だった。

それでもYAMAPでアカリプタさんがアップしている活動日記にはたくさん

の花と四国らしからぬ雄大な風景写真が載っていて、奥様たちは花、私はカル

スト台地に魅了され、出かけることにした。

四国カルストはずいぶん昔に友人と二人で『四万十川源流』を訪ねて車で走っ

た際に、キャンプ場でテント泊して以来だった。その時は四万十市(旧中村

市)からスタートして四万十川に沿って遡上して行ったが、今回はGooglMap

で調べると、須崎市から西に国道を197号線を走って行くルートが出てきた

。そのルートを辿って確認していくと、途中で『白龍湖』なるポイントが目に

付いた。そのポイントをクリックして出てきた写真には、少し怪しげだが透明

度抜群の小さな湖の写真が何枚も出てきた。一応立ち寄り場所としてチェック

して家を出た。

高速を須崎で降りて津野町に向かう国道197号線へ右折する交差点の『道の

駅かわうその里すさき』でトイレ休憩。すると交差点に葬祭場の『〇〇家ご葬

儀会場』と書かれた看板が立っていた。その〇〇家の苗字見て、須崎市の近く

に居る大学時代の同級生を思い出した。その時は須崎市には〇〇と云う苗字が

多いのかな?と思っただけだった・・・・・が。

トイレ休憩を終えて197号線を西に走ると直ぐに道の両側にたくさんのビニ

ールハウスが並んでいた。後ろの座席で奥様たちが『何のビニールハウスだろ

うか?』と話しているがはっきりとした答えがでない。(帰って調べてみると

須崎市はミョウガの栽培は全国一の販売額になっているそうなので、ミョウガ

かな?)

国道は新荘川に沿って続いて行くが、途中津野町で北に国道439号線(ヨサ

ク)を今度は北川に沿って走って行く。すると途中のポイントにしていた大き

な目印が目に飛び込んできた。巨大な竜のオブジェと与作と名付けられた狸の

像。これらの像の横を通って中に入って行く。白龍湖は津野町で建設業を営む

野波さんが、『家族や地域の方の憩いの場所になれば』と私有地の天然の淵を

整備して作り上げた人工の湖だそうだ。




入り口で協力金を箱の中に入れて進んで行く。河原に続く砂利道を下って行く

と、眼下に写真で見た通りの透き通った小さな湖が見えた。



そのまま下って行き、矢印の道標に沿って歩いて行くと、湖のちょうど真ん中

にベルトコンベアの廃材で造られた橋が架かっていた。






石灰岩を多く含んだ地質と太陽の光の関係で水がより青く見えるそうだが、湖

の中を覗くと、結構ふくよかな鯉が気持ちよさそうに泳いでいた。





湖の深さはさほどではないが、それでも底まで透き通って見える。












仁淀ブルーのにこ淵は大勢の観光客で賑わっているけれど、この白龍湖はほと

んど知られていないのが不思議なくらいとても素敵な場所だった。またまだほ

とんど観光化されていないのがかえっていいのかもしれない。






白龍湖をあとにして国道をさらに北上。途中、郷内の集落から県道に入って次

第に標高をあげていく。クネクネした道になった途端に後ろの座席のあっちゃ

んが目を閉じ黙っている。いつものように車酔いが始まったか?

それでも20分ほどでなんとかやり過ごして『星ふるヴィレッジTENGU』の

駐車場に着いた。駐車場は施設が休みのせいか数台停まっているだけで閑散と

していた。






駐車場の奥にある天狗高原キャンプ場からスタートする。キャンプ場の真新し

い綺麗なトイレの横を通り、最後のコテージの脇を抜け展望休憩所のデッキを

過ぎると自然林の中の道になる。





林床は笹だったが、道の脇には小さな草花があちらこちらで咲いていた。

奥様たちは事前にアカリプタさんの活動日記にあげている花の写真を見て勉強

してきたと仰るが、その割には花の名前が全く出てこないので、ネットで調べ

る有様。









天狗ノ森の尾根に乗っかると左に折れて行った先に見晴らしのいい場所があっ

た。少し木々に遮られてはいるものの、天狗高原の緑の草原と白い岩肌の石灰

岩が見えた。




見晴台から引き返して尾根を道標に従って進んで行くと、今度は道の南北が開

けた場所に出た。少し岩場になった場所。前から歩いてきたご夫婦とすれ違い

ざまに少し話をする。道の脇の岩の上にヒョイと上がって北を見ると、遠くに

天空の赤鳥居のある中津山が見えた。振り向いて南を見るがこの辺りは全く土

地勘もなく見える峰々の山の名前が分からない。山頂近くが三角になった山は

不入山だろうか?








この辺りから石灰岩の露岩が目立つようになってきた。長年の水による溶解や

風化で、岩の形は複雑になっている。







しばらく歩いて行くと天狗ノ森の山頂に着いた。三等三角点 栂山 1484.87

m。ここで一旦行動食を口に入れたあと、折り返して途中にあった分岐まで戻

る。




道の脇からは石灰岩の露天掘りとしては日本一の産出量を誇る鳥形山の鉱山が

見えた。この鉱山、航空写真で見てみると東西はこちらの四国カルスト並みの

距離があるのが分かる。そして南北の幅はかなりの幅で、とてつもない広さだ

というのがよく分る。






分岐からは東に天狗ノ森の山頂の下を通って下って行くようになるが、地形図

では山頂から東で破線が続いていて、この道は表記されていない。ただその割

にはしっかりとした登山道になっていた。しばらくは道の所々で異形の石灰岩

の露岩がある。






東に向かっていた道が西に振ると樹林帯の中の道になり、周りの景色も変わっ

てきた。林床の笹原の中に続く道はきれいに整備され、山頂までの尾根の道と

はまた違ったとてもいい雰囲気の道だった。










道は地形図にも載っているセラピーロードに合流した後、西に向かって駐車場

まで続いている。途中でロープの張られた場所があり、『ひょっとして?』と

思って見てみると、活動日記にも載っていたキレンゲショウマの咲く場所だっ

た。

残念なことにすでに花は終わっていたが、道の反対側に一輪だけ残ってなんと

か咲いていた。




さらにその先では四国のみちの道標が目に付くようになり、足元はヒノキのチ

ップが敷かれていた。全国に30カ所ある『森林セラピー基地』の中で標高が

1,300mという最も高い位置にあるセラピーロード。木漏れ日の差す中気持ち

よく歩いて行く。




尾根の分岐からセラピーロードに出て、そこから45分ほどでキャンプ場まで

戻ってきた。スタート時点と比べると駐車場の車の台数は増え、若い人たちが

南に広がる景色を写真に撮ったりしていた。車の横でザックを下ろして昼食に

する。

昨日会社の帰りにマルナカによって、さてさて何も食べようかと考えて、塩塚

高原であっちゃんがインスタントの焼きそばを買ってきたのを思い出した。今

回も高原。高原つながりで焼きそばもありだと思って買ってきたら、横であっ

ちゃんがザックから取り出したのが同じ『一平ちゃん夜店の焼きそば』だっ

た。その横でルリちゃんは冷やしたうどんを食べている。







昼食の後は車で移動して先ずは天狗高原、そして五段高原を走って行く。

緑の草原に白い石灰岩が転がる中を、黒い牛たちが草を食んでいる牧歌的な

風景が続いていく。道の所々で脇に車を停めて観光客がこの景色を写真に収

めて楽しんでいる。







今日二つ目の三角点となる五段城の山頂へは、GoogleMapでちょうど『四国

カルスト』とポイントの付いた場所から登って行く。

路肩が広くなった場所に車を停めて、道の北側の鉄条網と鉄条網の間に尾根

道が続いている。





道沿いにはシコクフウロがそこかしこに咲いていた。そしてあちこちに油断

すると踏んずけそうになる大きな大きな黒い糞。ただその形からして牛さん

のではなさそうだが、果たして誰の?







山頂にはゆっくり歩いて15分ほどで着いた。大きな山頂標の文字は消えかか

っていたが、その前で『ハイ、ポーズ!』  二等三角点 丸山 1455.66m








本当は雲一つない青空を期待していたが、雲が日差しを遮ってくれてかえって

ほとんど汗をかくことなく涼しく歩けてこれはこれで良かった。







車を停めた場所まで戻り、近くに居た牛さんを見物しに歩いて行く。牛さんは

人なれしているのか、すぐ横まで近づいても逃げようとせず、少し腰のあたり

を触るとしっぽを振って叩かれた。





今日の目標の三角点とYAMAPの山頂ポイント二つをゲットした後は、次の

奥様たちの目標はソフトクリームのゲット。車を高原の中さらに西に走らせて

姫鶴荘の横のキッチンカーで目標達成!








帰り道は少しだけ遠回りして、今度は私のリクエストの梼原町の隈研吾の建築

物見学。雲の上の図書館と雲の上のギャラリーで日本建築の木組みの美しさを

再確認した。









その後最後に気になった所へ寄り道するのを奥様たちの了解を得て車を走らせ

た。朝須崎市で葬儀社の案内板で思い出した、市の隣町にある同級生のお店だ。

須崎市からすぐ5分ほどで着いたお店は、以前来た時と比べると店舗は縮小し

ていて、中に入って『〇〇さんいらっしゃいますか?』と店員さんに声をかけ

た。すると店の奥から出てきた同級生。『ちょうど良かった今葬式から帰って

きたところや』と。『誰の?』と聞くと『親父の葬式だった』と答えた。

『そうか朝見た葬儀社の案内看板は同級生の親父の葬式だったんだ』

いつもは明るく元気はつらつな子だったが、やはり少しお疲れ気味の様子だっ

た。しばらく店内を案内してもらい、奥様たちは買い物を済ませて店を出た。


家から片道3時間30分、やはりけっこう遠かった四国カルスト。いつもに比

べると山歩きの時間は短かったが、途中や帰り道にあちこち寄り道をしたの

で、家に着く頃は既に陽が落ち夕闇が迫っていた。久しぶりにたっぷりと遊ん

だ一日だった。



今日見た花たち