KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

とうとう来た・・・・・!

2023年11月30日 | 雑記
日曜日の夕方から少し喉の奥がイガイガして咳が出た。翌月曜日に念のためマスクを

して出社。朝一番に銀行さんとの話を済ませて会議室から戻るとイガイガが痛みに変わ

り始めた。ただ家を出る前に熱を測ったら36.5度の平熱だったので出社したのだけれど

万が一があってもと思って事務所のすぐ近くの耳鼻科に駆け込んだ。

待合には子供を連れたお母さんが多く、中には何と3人のお子さんと4人のお子さんを連

れたお母さんがいた。2組とも年子のようで仲良く座ってスマホを見たりゲームをしたり

しながら待っていた。今時にしては子沢山になるのだろうか、日本の少子化には大いに

貢献しているな~なんて思いながら、じゃれ合っている子供たちを微笑ましく見ていた。

名前を呼ばれて診察室に入ると先生が『どうされました?』と、まあこれは挨拶のよう

なもの。のどの痛みを訴えた。

『お熱は?』と聞かれたので『平熱です。』と答えると、ここでワンランク下がったの

か『お口を開けてください!』とか言って診察するのが普通だが、診察する様子もなく、

『インフルとかコロナとかまでの検査まで必要ないと思うのですが、どうされますか?』

と聞いてきた。このところインフルも流行しているし、コロナの患者も出ていて診療疲れ

もあるのだろうか、熱がないので割と悠長な雰囲気の先生に、すかさず『コロナの検査を

お願いします』と言うと、『何か思い当たる事がありますか、コロナの患者さんと最近接

触したとか』と少し慌てだした。どうやらランクが少し上がったようだ。

『それなら検査をするので外の駐輪場で待っていてください』と結局口頭だけの診療に終

わって外に出た。

しばらくして先生が出てきて『横を向いてください』と言われて先生の正面から横を向くと、

綿棒を長くしたようなもで鼻の奥までぐりぐりとかき回された。

待合室に戻って15分ほど待っただろうか名前を呼ばれて『外の駐輪場で待っていてください』

とアナウンスがあった。周りの人は気づかなかったようだが『あ~あ』とため息。なんだか

不合格の通知のアナウンスをされたような気分だった。

そのあと駐輪場にやってきた先生が『陽性でした』と一言。『発症日が分かりませんがまずは

5日間は自宅で待機をしてください、そのあと2週間ほどは周りの人にエチケットとして気を使

った行動を』と言って薬の説明と、会計も受け付け横の窓腰に、その後調剤薬局も入れないの

で車の中で待っていてください、お薬を持っていきますと言われた。



事務所に帰ってメールを何通か返信をして、総務課に報告した後ノートパソコンをカバンに入

れて自宅に帰った。『自分だけは罹らないなんて慢心だな』と思いながら、どこで?感染した

のか考えた。まず浮かんだのが2週間前に一緒に山に出かけた山仲間の顔だった。コロナ明け

だと言っていたが、何日か経っても体調に変化はなかった。そして次に思いついたのが先週に

会食に招待され2次会で若いきれいなおねえちゃんとワイワイと騒いだことだった。その時は

帰りにお土産までもらったのだが、まさかこんなお土産まで貰ってしまうなんて。まだまだ手

放しでコロナ前の状態にはなっていないんだと痛感した。


帰りながら奥様にコロナ陽性だったことをLINEをすると、慌てて返事が返ってきた。

『家には基礎疾患のあるおばあちゃんがいるし、ホテルに泊まる』と。イヤイヤ、5類になっ

た今、ホテルに泊まってもただの宿泊客で、外にも出られずに食事もできずに、その内『市内

のホテルで餓死者の変死体』なんてニュースになるやろう!なんて思いながら帰宅した。

家に着くと早速超A型の奥さん、色々調べたのは行動指標4か条がLINEで送られてきた。

先ずは2階の息子の部屋に隔離、出ない事から始まり色々と書かれてあった。

母親には母屋からこちらにはしばらく来ないようにと伝え、行動指標の通りに息子の部屋で

横になる。まだそれでものどの痛みだけで熱は出ていなかった。


翌日になると急に発熱、最終的には40.5度の高熱になった。久しぶりの高熱に驚いたが、

子供のころは熱が高くなるといつも同じ夢を見た。真っ白な雲の中に白い階段が上に向かって

続いていて、その先に大きな背の高い門があった。階段を登って行くとその門は鍵が閉まって

いて結局開けて中に入ることはできなかった。門を開けて入ると果たして天国だったのか?、

今回はその天国への階段の夢は見ることはなかった。


ほぼ一日高熱が続き、熱が下がった後ものどの痛みは治まらなかった。ロキソニン系の痛み止

めを飲むとしばらくは治まったが、時間経つと唾を飲み込むたびに喉の奥が傷んだ。

一日中布団の中で過ごしているとカーテンを閉め切った部屋では、朝夜の区別がつかなくなった。

それにしても病床だとはいえ自分でも驚くほど眠っている。昼間寝ているので夜は寝られないだろ

うと思ったら、眠りにつくと朝まで目が覚めなかった。まるで一年の眠りの足らなさを補っている

かのようだった。


そして今日になってようやく熱も落ち着き、のどの痛みもマシになりパソコンのキーボードを叩く

気分になった。とは言えこの間も電話はかかりメールの返信はして、管理システムの入力もしてき

た。病院に入院ではなく自宅療養だとやはり仕事と隔絶した世界という訳にはいかないようだ。

とにかく残り2日間。これも若いねえちゃんからの土産ではなく、神様がのんびりするようにとく

れた土産だと思って、できるだけ仕事から離れてゆっくりすることにしよう。


六甲全山縦走路、緩めに1/4須磨浦公園から鵯越駅

2023年11月23日 | 四国外の山

先週の寒霞渓馬の背コースから帰りに下った裏八景。最後に立ち寄った石門洞で大きな

カメラで写真を撮っていた男性と、あっちゃんがしばらくの間話し込んでいた。石門か

ら石門洞へと下った私とセニョさんが、また石門へと戻ってくると思って、そのカメラ

マンの男性の話を聞いていたそうだ。その男性は体型に似合わずマラソンしたり、六甲

全山縦走
もした事があると話をしてくれたようだ。『人は見かけによらないね』なんて

二人で陰口を言いながら帰ってきた。

寒霞渓の馬の背の絶景の後、さて何処を歩こうか。県外の山はどうやら雪景色のようだ

し、かと言って県内の里山の紅葉はまだ少し早い。

そう考えているとあっちゃんから『六甲は?』とメッセージが入った。なるほど、そう

言えば昨年のこの時期に六甲全山縦走路を歩いてみようと計画をしていたが、事情があ

って延期したままだった。『早起きが出来るなら』と返したら、『もっと寒くなったら

益々朝起きられなくなる』と返事が来た。


六甲全山縦走も神戸市主催の大会をはじめ色々と大会があるようだが、基本的には須磨

浦公園から須磨アルプス、摩耶山、六甲山を経て宝塚に至る公称56kmを歩く大会だ。

(YAMAPの記録では43km前後になっている)

もちろん我々が一日でそれだけの距離を歩けるわけもなく、じろじろさんやセニョさん

が歩いたハーフでも25km前後になるのでパス。結局1/4づつ歩こうと言う事にな

った。この区間はWOC登山部でも歩いていて7時間20分ほどかかっている。そして

じろじろさんチームはなんと4時間30分ほどで歩いていた。それなら我々は6時間位

かなと考え、6時30分に集合して朝日に向かって徳島自動車道を東に向かって走り、

明石大橋を渡って須磨ICを降りて須磨浦公園に8時30分過ぎに到着した。




駐車場に車を停めて8時40分にスタート、空は雲一つない青空が広がっていた。

須磨浦公園駅のロータリの西側から車道に沿って登って行くと『ちかみち』と書かれた

小さな道標。ここから階段を登って行くと近道のようだが、そのまま真直ぐ登って行く。

直ぐに展望台とトイレのある場所に着く。ここが六甲全山縦走のスタート地点になる。

朝日に照らされた大阪湾の海は眩しいくらいに輝いていた。

















展望所から右にカーブを曲がってその先から遊歩道へと入って行く。しばらくの間は石

段が続いて行く。まだ少し空気は冷たかったが、直ぐに汗が噴き出て上着を一枚脱いで

歩いて行く。











このコース1/2ほどが住宅地を歩くことになるが、山の中も住宅地でもとにかく分岐

が多い。ただ分岐には必ず案内板が掛かっているので、奥様たちには『おしゃべりに夢

中になって、案内板を見逃さないように!』と事前に忠告しておいたお陰で、分岐では

必ず立ち止まって、奥様たちが案内板を確認している。




最初に着いたのがロープウェイの鉢伏山上駅。駅の横の展望台からは先ほど渡ってきた

明石大橋が見え、反対側には須磨の海浜公園の砂浜と神戸への街並みが続いていた。







山上駅の横からはさらに上に向かって『カーレーター』という屋根の付いた斜面を登る

二人乗りの乗り物がある。ガタガタ振動しながら傾斜を進んで行くので『日本一乗り心

地が悪い』と言われている乗り物だそうだ。体調のすぐれない人、妊婦さんは坂道を歩

いて登ってきてくださいとホームページには書いてある。なんとも・・・・(笑)

そのカーレーターの到着場には大勢の中学生が休憩していた。『おはようございます』

と声を掛け『遠足?』とあっちゃんが聞くと、二人の女の子が『屋久島へ行く前の練習

です』と答えてくれた。女の子に少し話を聞いたあと広場の奥にある山名標で、今日ひ

ひつめの鉢伏山をゲット!今日の区間、YAMAP上では9つのピークポイントがある

内の最初の一つになる。











鉢伏山から軽く下って登り返すと今日二つ目の旗振山に着いた。旗振山の名前は、江戸

時代に大坂・堂島にあった米会所で行われた米取引の相場を旗を 振って西国地方に知ら

せた中継場所に由来するそうだ。山頂には昭和6年創業の老舗の旗振茶屋がある。














ここでも神戸港から明石海峡への絶景が広がっていた。神戸空港の奥の霞の中にひとつ

だけ背の高いビルが見える。大阪南港のトレードセンターだろうか、それともアベノハ

ルカスかな?











旗振山からは花崗岩の尾根が続いていく。ここでも少し下って登り返すと本日三つ目の

鉄拐山。山頂といっても200m程のピーク。二人ほどの年配の人がベンチに腰掛け休

んでいた。











何個か石柱がある中で、コンクリートの桝を鉄板で蓋をしているのが目についた。その

鉄板を開けて見ると、『復興基準点』と書かれた基準点があった。震災の際に基準点が

変動した為、復旧の効率化を図るために国土地理院が設置した基準点だそうだ。ベンチ

に座っていた男性も一緒に覗き込み『へ~そうだったんですね。いつも来ているけど何

の蓋かなと思っていた』と仰った。ここでも南から東にかけての眺望が広がっていた。










鉄拐山からはまた下って行く。それにしてもこの区間はアップダウンの繰り返し。山頂

まで登り一辺倒、そして下り一辺倒の山とはまた違って標高の割にはなかなか疲れる。

尾根は瀬戸内海沿岸部の特徴のひとつのウバメガシの林の中の尾根。ウバメガシのワッ

クスが掛ったような落ち葉が足を滑らせるので要注意だ。











すると道の脇にプレートが見えた。近づいて見るとなんとキティーちゃんのプレートだ

った。比較的新しそうなプレートには『キティ山岳会』ではなく、『四国キティ山岳会

と書かれていた。四国では有名なキティちゃんだが、島外になると影が薄いのか?

プレートの横には 四等三角点 立原谷 212.15m








三角点から進んで行くと広場になった場所に出た。広場にはステンレス製のモニュメン

トが立っていた。『いったい何だろうね?』と言っているとルリちゃんが、『縫い針に

見えるね』と。そういえばそんな形をしている。その針の穴から覗き込んでみて見ると、

『何か違って見える?』と聞かれたが、『????分かりません』。するとその足元に

『神戸らしい眺望景観50選・10選』と彫られたプレートがあった。

『神戸らしい眺望景観50選・10選』は2008年に市民から募集して選定した場所

で、そのうち15カ所に『ビューポイント』としてこのモニュメントを設置しているそ

うだ。そしてこのモニュメントはルリちゃんが言った通り、針をイメージしていて、そ

の穴から覗いて神戸の新たな魅力を発見してもらうようにとの事だ。














広場で次の四つ目のポイントを探すが見当たらない、ここまでほぼ一緒に来ていた男性二人

も同じようにウロウロ探している。『おらが茶屋』と横断幕を掲げた鉄筋コンクリートの立

派な茶屋が広場の奥にあり、その横に四つ目の高倉山の標識があった。

六甲全山には10軒以上の茶屋あるそうだが、その内でも一番茶屋らしからぬ建物だった。








高倉山でも写真を撮って、おらが茶屋を横目に見ながら奥へと進んで行くと、眼下に高倉台

の団地の白い建物が目に入ってきた。中層階から高層階の建物が立ち並んでいる。その奥に

見えるのは次に向かう栂尾山。その高倉台に向かって長い長い階段を下って行く。
















高架橋を渡って団地の中へと入って行くとメインの通りにスーパーや、魚屋・肉屋などの

お店が立ち並んでいて、団地の住民はここで生活必需品は揃いそうだ。










ルリちゃんがサイドポケットに入れていたスポーツドリンクを落としたと言っている。

普通に山の中なら水分補給ができなくてなって慌てるところだが、今日の区間は至る

ところに自動販売機があるので、その点では心配ない。







高倉台の団地の中央部を通り抜ける様にして歩くと、朝須磨ICを降りて右に曲がっ

た県道65号線の上に架かった橋を渡る。橋を渡り終えて左に山裾を進んで行くと、

『六甲全山縦走路』の矢印案内板が右に誘導している。














案内板に沿って右に曲がると目の前に、栂尾山山頂への階段が続いていた。『天国に続く

階段』と呼ぶ人もあるらしいが、400段のしかも一直線の階段は『地獄の階段』だ。

















途中で何ヵ所か踊り場があり、そこで上から降りてくる人と離合をしたり息を整えたりし

ながら、大汗を掻きながら登って行く。額から流れ出る汗が目に入り痛い。

途中からは高倉台の団地の全容、旗振山の電波塔そして明石大橋まで見え始めた。














階段地獄が終わって一息付けると思ったら、尾根道も栂尾山山頂まで急登になっていた。

ここまでの下りも急坂か急な階段で休む暇がなく、なかなか楽をさせてくれない。








栂尾山山頂は展望台になっていた。ここでも二人ほど男性が休んでいた。展望台からは

遠くに明石大橋、そして高倉台を見降ろし東は長田区から湾岸地域が見渡せた。

展望台の足元にある山名標で今日五回目の山頂写真。














栂尾山からは次の横尾山にまた急坂一旦下って行く『やれやれ!』。横尾山の先にはこの

須磨アルプスの核心部の馬の背があるが、写真で見ると花崗岩の風化した痩せ尾根の尾根。

でもこの横尾山までの尾根も同じような花崗岩が風化した乾いた尾根で滑りやすい。しか

も階段の段差が半端ない。














横尾山山頂で六個目の山頂ポイント。三角点は 二等三角点 須磨 3120.08m








横尾山から少し下って行くと花崗岩が浸食された痩せ尾根になった。所々で鎖が掛かっ

ている。乾いた尾根を注意しながら下って行くと写真で見た馬の背が目の前に広がった。

するとあっちゃんが『コレ?』と一言つぶやいた。確かに思っていたよりも規模が小さ

い。しかも先週の寒霞渓の馬の背と比べると・・・・・・?

イヤイヤそんなことを言ったら須磨の人に叱られる。










風化花崗岩も思っていたより滑らない。悪路になれた奥様たちはトットコトットコ歩い

て行く。確かに足を滑らせ滑落したらただでは済まないだろう。300mほどの山で、

しかも周辺には住宅地が広がっている場所では希有な場所だろう。

(そんなことを言ったら五剣山の五峰の高度感の方がよっぽどだ)イカンイカンまた要

らんこと言ったら怒られる。













そんなことを言いながら何枚も何枚も写真を撮る。











馬の背を越えてひと登りすると今日七つ目の東山。少し広場になった場所からは先程の

馬の背と横尾山。北西にはまた巨大な横尾の団地。しかしあそこだけでいったい何人の

人が住んでいるのだろうか?田舎者には目が点になる。














東山からは右に左に折れながら九十九折れの道を下って行く。そろそろかなと思ってい

たらやっぱり朝ドラの話が始まった。『まあこれだけしっかり矢印の案内板がかかって

いれば間違う事はないだろう』。













九十九折の坂を下りきると横尾の住宅地になる。ここは看板が少し分かりづらい位置に

立っているので、この家を正面に左に曲がって行く。みちの脇には今日一番のモミジの

紅葉。コースはは住宅地の外周部に沿って歩いて行く。













外周の水路沿いを歩いて高層のマンションの手前で右に曲がって脇道に入って行く。











コンクリートの階段を登ると目の前に阪神高速神戸山手線の橋脚が見えた。その高速の

下を潜ると今度はトンネルとトンネルの間を丸いドームの様な構造物で繋いでいる。

『なんだろうね?』と三人で言いながらその下も潜って行く。この構造物は恐らく地下

鉄西神山手線のもので二つのトンネルの間を囲って、騒音が下の住宅地にいかないよう

にしているのだろう。











そこから谷あいの住宅地を下って行く。それにしても神戸は坂の街というが、平野部が

少ないので仕方のない事だろうけど、団地以外では住宅地のほとんどが坂になった場所

に住宅が建っている。坂道を下ると右手に妙法寺。そこを過ぎると県道22号線の交差

点に出た。その交差点を右に曲がるとローソンがある。今日はここでお昼ご飯。

ローソンでカップラーメンを買って、暑いお湯を入れて3分。お店の前の駐車場の端で

アスファルトの上に腰を降ろしてカップ麺を頂く。

さすが上品な奥様たちは、『コンビニの前で腰を降ろしてラーメンを食べるなんて・・

地元だったら考えられないわ!』と。そりゃ私だって地元ではこんな事はしない。














コンビニの前でお行儀悪くお昼ご飯を食べて30分ほど過ごす。山の中と比べると、コ

ンビニはドラえもんのポケット。何でも揃っているし買う事が出来る。あっちゃんは食

後のデザートにアイスクリームを。私はスポーツドリンクが切れそうだったので、一本

買い足した。駐車場からは今日最後の山、高取山が目の前に迫っている。




休憩後交差点まで戻って西に県道を渡って行く。ここからも坂道を矢印案内板に沿って

登って行く。急坂の両側に建つ住宅。狭い駐車場いっぱいに器用に車を停めている。し

かし車の運転が出来なくなったらどうするんだろう。こんな息切れのする坂道に暮らす

人々。他人事ながらもちょっと考える。住宅地の途中から左に山の方へと入って行く。












やっと登山らしくなった。イノシシもでるらしい。ここからが高取山への登りとなる。










山裾から案内板に従って登って行く。掘割のようになった道が終わると、風化花崗岩の

道。途中木々の間から旗振山が見えた。














交差点から1.4kmほど、時間にして45分ほどで高取山に着いた。こちらはYAM

APでは高取山西峰となっている。そして山頂の下には春日神社(荒熊神社)が祀られ

ていた。ここの神社はとにかく何でも願い事が叶うようだ。札に書いてあるように裏手

に回ると磁器に書かれた通りの景色が見えた。

















境内の手前に赤鳥居が続いているがその横に八番目の西峰の山名標と三角点があった。

三等三角点 高取山 312.8m。この三角点は元々すぐ上の山頂にあったようだが、平成

18年に現在の場所に移設されたそうだ。その奥で晩秋の陽だまりの中で黒猫が横にな

って昼寝をしていた。














赤鳥居を潜って東に歩いて行く。鳥居から少し下がって左手の尾根へとひと登り。尾根

の北側は須磨区でも山の手になる。それでもまだまだ住宅地が広がっている。

















尾根筋を進んで行くと広場に出た。ここが今日最後のポイント高取山東峰になる。ここ

から石段を下ると高取神社。境内からは眺望が広がり、ポートアイランドも随分と近づ

いて来た。こうして見るとやっぱり都会は凄いな~と思うけれど、住みたいかと言えば

・・・・・?だ。














神社からしばらく石段を下って行く。途中こんな立て札が立っていた。ここまで登って

きて石柱に足を乗せて体操する人の姿が目に浮かんだ。








途中にある月見茶屋は今は営業はしていない様子。同じ続きの建物には『神戸ツキワ登

山会』と書かれた看板と『ツキワ投輪道場』とも書かれている。














その先には安井茶屋とさらに先にはきれいに清掃された広場と公衆トイレ。その広場に

は演題と投輪の台があった。須磨区では毎年投輪の大会が盛大に行われているらしい。

安井茶屋の奥には大きな大きなサザンカが沢山の花を付けていた。

トイレで用を済ませて、脇の道を下って行く。













安井茶屋からの道も所々にほうきが置かれていて、落ち葉もきれいに掃かれていた。そ

の道を降りきると鵯越駅までは住宅街の中を歩いて行く。











まあそれにしても坂・坂・坂の住宅街。途中にあったひばり小学校からは下校する小学

生の姿があった。日本一狭い県の香川県だがそれでも平地がほとんど。こんな坂の街に

住んでいる小学生の方が、毎日の通学の登り下りで、香川の小学生よりも丈夫だろうな

~とあっちゃんと話をする。










須磨浦公園をスタートして6時間20分、沿面距離13km。予定より20分ほど遅

かったが、途中眺望のいい場所が何ヵ所も有り度々立ち止まった。それ以上にアップ

ダウンの繰り返しで、けっこう足にきていた。腰もパンパンで油断して変な体勢をと

ろうものなら、ギックリになりそうだ。







鵯越駅から神戸電鉄有馬線で新開駅へ。そこから山陽電鉄本線で須磨浦駅に移動。特

急で須磨浦駅が終点だったが、ほぼ全員手前の須磨駅で降りて最後は三人だけになっ

た。駐車場で車に乗り込み一路香川へ。鳴門大橋を渡る頃には薄暮れの何とも穏やか

な景色が広がっていた。さてさて来週はどこまで歩こうかな?











寒霞渓、表12景・裏8景でもなく馬の背コースだよ~!

2023年11月17日 | 香川の里山


石鎚山から始まった山の彩りは、あっという間に比較的標高の低い山まで下がってきて、

県外の山はそろそろ冬支度。それならと県内の山に目を移すと、11月の中旬と言えば

まず寒霞渓の紅葉が頭に浮かんだ。いつもロープウェイの紅雲亭駅から表12景を登っ

て、星ヶ城まで足を延ばして裏8景を降りて行くコースだったが、ふと『そう言えば

ントツ山さん
が馬の背コースとの面白そうなコースを登っていたな』と思い出した。

紅雲亭駅の手前の猪谷池から、裏8景への道の途中から尾根に這い上がってそのままロ

ープウェイの山頂駅に向かって登って行くルートは、ほとんどが凝灰角礫岩、集塊岩か

らなる細尾根のコース。一般道ではないのであくまで自己責任でと書いてあった。ただ

アップしていた途中の写真をみて見ると、ロープウェイを見下ろし紅葉の大絶景が広が

っていた。

さっそく奥様たちをお誘いしたら、生憎ルリちゃんは旅行で欠席、あっちゃんと二人で

出かける事になった。自己責任とはエントツ山さんは書いていたが、まぁあっちゃんな

ら途中予想できないような場所があっても大丈夫だろう。ただし奇岩も多いようなので

目を離した隙に登らないか注意しなければならない。

今週はWOC登山部でも寒霞渓に出かける計画だったがやはりこのシーズンの小豆島、早

々に満席になっていた。登山部の行程だと我々とは星ケ城からの折り返しですれ違いで

きそうだ。そう思いながら今日を迎えた。


計画では今回は土庄ではなく池田行のフェリーに乗り、フェリー乗り場から紅雲亭行の

直通のバスで猪谷で下車する。そこから馬の背を登って、三笠山・星ケ城そして裏8景

を下って最後に石門(裏3景)の紅葉を鑑賞する行程だ。

いつもの自家用車と違ってバスとフェリーの時間があるので、馬の背をどれくらいの時

間で登れるかが肝心になってくる。しかもバスの間隔が開いていてフェリーとの連絡時

間も悪い。バスをひとつ見逃すと2時間以上帰りが遅くなってくる。そんな感じでいつ

になく行程を気にしていたが、一番気になったのはあっちゃんが6時50分のフェリー

に間に合うように来れるかだった。しかもサンポート地下駐車場は6時30分の開場。

あの広い駐車場で迷子にならないか、出口を間違わないか気が気ではなかった。


開場を待って地下駐車場に車を停め登山靴に履き替えていると、見覚えのある車が少し

奥まで行って駐車した。中から降りて来たあっちゃんは案の定全く違う出口へと向かっ

て行くので『お~い!』と声を掛けて呼び止めた。近づいて来たあっちゃんは迷子の子

供が母親を見つけた時のような不安な顔から安心した顔になった。



池田港行のフェリーには可愛らしいメリーゴーランドがある。






池田港ではフェリー乗り場のすぐ目の前がバス乗り場になっていた。10人以上が並ん

でいただろうか。しばらくバスを待っていたら土庄からのバスが着いた。そのバスから

降りてくる人を見てあっちゃんが『あら、セニョさん!』と声を出した。その声を聞い

てセニョさんがこちらに歩いて来ているが、しばらくの間何故か全く理解できず頭が回

らなかった。なぜならセニョさんはWOC登山部に申し込んでいたので、メンバーとレン

タカーで出かけるはずだったのだ。

話を聞いてみると、先週から体調が悪くて登山部をキャンセルしたが、昨日には回復し

たので、諦めきれずに独りでやってきたと言うのだ。『それなら馬の背を一緒に歩きま

せんか?』とお誘いするともちろん断る術もなく、二人の予定がいつもの様に三人にな

った。セニョさんなら途中の道も大丈夫だろうし、初めての道なので三人だと心強い。


猪谷で降りる人はやはり我々だけだった。三差路になった県道の丁度真ん中に、石門洞

と彫られた石柱が立ち裏8景への道が続いている。そのコンクリート道を200mほど歩

くと右に緩やかにカーブになった手前で、道の左手に何本かの木に赤色のテープがぶら

下がっていた。どうやらここが取付のようだ。テープの場所から尾根に向かって適当に

に登って行く。











ひと登りで尾根に出てしばらく歩くと、写真で見たとおりの凝灰角礫岩が現れた。後で

航空写真を見て見ると、猪谷から続く緑の中にゴツゴツとした岩肌の細尾根が北に続い

ている。まさに馬の背中の様な尾根だった。










その岩尾根の大きな岩塊を巻いて登ると展望がいっぺんに開けた。麓には今しがたバス

を降りた猪谷池とその奥には草壁の街並みと内海湾。天気予報では8時過ぎから晴れマ

ークになっていたがまだ薄曇りだ。




西側は四方指の岩壁、東側は裏八景の二見岩(ギザギザの岩)とその左下には螺貝岩が

見える。いつもは見上げる螺貝岩が丁度目線の高さになっている。







一つめの展望所から進んで行くとまた目の前に岩塊。左に巻いて行くとロープが掛かっ

ていた。もちろん二人とも問題なくクリアーする。











ロープ場を登りきり少し進むとエントツ山さんの活動日記で見た覚えのある『亀岩』。

あっちゃんに背中に乗ってもらって浦島太郎ならぬ浦島花子になってもらう。あっちゃ

んいい顔してるので、玉手箱は開けんようにね!










尾根は次第に痩せ尾根になってくる。岩尾根で遮るものがなく寒霞渓の奇岩、大岩壁を

眺めながら歩いて行く。空はまだ薄曇り、陽の光があるのと無いのとでは写真の写りが

全く違って見える。今風に言うと『映える!』だがまだ『映えない!』










痩せ尾根と言ってもそこそこ幅があるので問題はないが、足元は凝灰角礫岩のデコボコ

した岩。油断して転びでもして崖側に落ちれば数十メートルを落下、即〇となる。

寒霞渓は遥か昔の火山活動で出来た溶岩台地。その台地が長い年月をかけて浸食されて

できた渓谷だと言われているが、これほどの規模のものが浸食されて出来上がるとは、

とても信じがたい。











時々現れる岩塊を巻いたりそのまま登ったりしながら歩いて行く。ここの礫岩は握って

も足をかけてもめったに取れる事がなく(といいながらも動かないか確認しながら)、

まるでボルタリングの人口壁のホールドの様で登りやすい。







右に左にと岩塊を避けながら進んで行く。










少し陽が射し始めたがもっともっと光が欲しい。渓谷の紅葉は元々の色なのかそれとも

枯れているのか赤茶色の葉が目立つ。岩尾根ではこの辺りが一番馬の背らしい。

所々で樹林帯の中に入るが、布切れをちぎったような赤い布やビニールテープが巻いて

あるし、よーく見ると薄く踏み跡も見えるので迷う事もない。











『おっ、青空が少し見え始めた』。やはり陽が当たると山肌の色も違って見える。四方

指の大岩壁のひだもひとつひとつくっきりと見える。








正面にクロワッサンを立てて乗せたような岩壁が現れた。どうやらあの岩壁の上まで登

るようだ。近づくとクロワッサンは意外と大きな尖岩になっていた。ルートはその岩の

右下足元を巻いて行くようになっている。













二人が登って行く様子を見ながらそろそろかな・・・と思っていたら案の定、あっちゃん

がその岩に登り始めた。











この先もまだまだごろごろと岩が立っている。そんな岩の形も見る距離や角度によって

変わってくる。そして見る人によっても何に見えるかも変わってくる。














樹林帯の木々は県内の里山と変わらないが、凝灰角礫岩の露岩がこれだけ続く道はやは

りここだけだろう。正面の尾根越しに見覚えのある岩壁が頭を出している。あの尾根と

岩壁の間が恐らく寒霞渓ロープウエイが通っているはずだ。ここから左に回り込み尾根

に向かって行く。














尾根に出ると右手は樹林帯、左手は岩壁が切れ落ちていた。できるだけ左に寄らない様

にと歩いて行くが、この辺りが一番注意が必要だった。スタートして1時間が経とうと

している。回復したとはいえさすがに病み上がり、セニョさんはお疲れの様だ。







すると小さなピークで待ちに待った眺望が広がっていた。眼下に白い大きな鉄塔。少し

左の下にもう一つの鉄塔が見える。そしてその間に2本のワイヤーが掛かっていた。

『わ~ロープウェイが見えた!』とあっちゃん。『早くゴンドラが来ないかな』と言い

ながら、しばらくの間待っていると山頂駅から発車のベルの音がした。

『来た来た・・・!』ワクワクしながら眺めていると何と目の前の鉄塔で二つのゴンド

ラが交差した。そのゴンドラに向かって手を振るあっちゃんが『あっ手を振ってくれて

いる!』と言いながら喜んでいる。ゴンドラの中は登りも下りも満員の様子。

















ゴンドラ展望台から樹林帯の中を少し登って行くとまた展望所にでた。目の前には先ほ

ど頭だけ見えた寒霞渓の大岩壁。そしてその大岩壁を前に疲れて呆然と立ち尽くすセニ

ョさん。(笑)







ここから見るとロープウェイの山頂駅から直ぐに谷が深く切れ落ちているのがよく分る。

こんなすごい場所にどうやってワイヤーを掛けたんだろうか?

視線を西に移すと四方指・美ヶ原からの幾筋もの白い岩尾根と少しは色付いた山肌。こ

れがいつものように紅葉のピークならどれだけ素晴らしく凄いだろうか。イヤイヤ贅沢

を言ってはいけません。これだけの絶景が見られただけでもエントツ山さんに感謝。











ここまで北西に歩いていたルートはここから少し東に振って樹林帯の中を一旦下って行

く。その途中北側はやはり切れ落ちていて、更に大岩壁が迫っていた。するとまた発車

のベルが鳴り、ゴンドラが降りてきた。大岩壁を背になかなか様になるゴンドラ。











一旦鞍部まで下って登り返していくと、岩の捨て場のような場所からはまた内海湾と堀

越の半島が見えた。あの堀越の半島の向こう側に岬の分教場がある。そして東にみえる

のが星ケ城山だろう。










石の捨て場からは樹林帯の中を適当に登って行く。すると目の前に岩壁が現れた。この

岩壁の頂部が、山頂駅の第一展望所になる。










岩壁からは右に足元をトラバースして行く。この間は岩や木の幹に随分前につけたのか、

スプレーで書いた薄くなった矢印が誘導してくれる。












なぜか鉄板の看板が落ちていた



エントツ山さんの活動日記にはトラバースしたら裏8景の遊歩道に飛び出したとなって

いた。するとあっちゃんが岩の斜め上に向かって書いた矢印を見つけて『ここから登れ

るみたいよ』と。『いやエントツ山さんは裏8景にでたと書いてあったよ』と言っても、

『大丈夫登れるわよ』と言って利かずにどんどん登って行く。『ハイハイ』と言いなが

ら後について行くと。丁度1億円トイレの下に出た。

















山頂駅は観光客で賑わっていた。1億円トイレで用をたしたあと行動食を口に入れて、

星ケ城山へと向かって行く。いつもの事だが、三笠山への芝生の斜面の直登はなかなか

キツイ。ゆっくりゆっくりと出来るだけ息が切れないようにして登って行く。











芝生の斜面を登りきると広場になった場所に出る。広場の少し右手に四等三角点 寒霞渓

671.56m
がある。朽ちかけた白い杭と割れて半分ほどになったキティーちゃんのプレー

トには三笠山と書かれてある。そしてここ最近見かけるようになった小さな石を白と緑

に塗って山名を書いた石もあった。








三角点から広場の奥まで歩くと星ケ城山への遊歩道が続いている。背の高い木々に囲ま

れた遊歩道には日差しが届かず、落ち葉は少し湿気を帯びている。










それでも見上げると所々で色付いた木々が見える。










遊歩道を歩いて行くと左手に小さな鳥居と狛犬と祠がある。星ヶ城に山城を作った南北

朝時代の佐々木信胤をお祀りした星ケ城神社だ。







星ケ城神社から先で道は二手に分かれている。右側の道を進んで行くと山城の遺構の、

西峰の外空壕と土壇。更に進んで行くと西峰には石垣に囲まれた島の祖神として大野手

比売をまつる阿豆枳島神社があった。伊耶那岐命(いざなぎ)と伊耶那美命(いざなみ)

が大八島国(淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州)を生んだ後

に、吉備児島に次いで生んだ島が小豆島(あずきしま)。またの名を「大野手比売」とし、

その大野手比売を祀っているのが阿豆枳神社だ。













その阿豆枳神社の先には展望大岩がある。岩の上では一人の男性が休んでいた。傍らに

はロードバイクがある。あっちゃんが話を伺うとここまで自転車を担いできたそうだ。

この展望岩からは南から西にかけての大眺望が広がっている。堀越と三都半島の奥には

五剣山と屋島が近眼の私にも見て取れる。四方指の尾根の先には今は閉鎖になった小豆

島〇〇ラが頭を出している。











展望岩から先で一旦下って登り返すと星ケ城山の東峰に着いた。この山頂のシンボル石

積みのパゴダが建っている。このパゴダは昭和35年頃にどこかの宗教団体が周りに残

っていた山城の遺構の石積みを破壊して造ったそうだが、そんな事情を知らない人は山

城の遺跡にしては形が異形だとくらいにしか思わないだろう。

時間はお昼ご飯に丁度いい時間。南に大嶽から碁石山に続く尾根を眺めながら、今日は

“おこわ稲荷”を頂く。『じっとしていると寒い!』と言って寒がりのセニョさんはダウ

ンを着込んでの記念撮影。














東峰には一等三角点 星ケ城山 816.68m 瀬戸内海では一番高い場所になる。








お昼ご飯を食べながらWOC登山部がやって来ないかなと思っていたが、まだ到着しなか

った。ご飯を食べ終え遊歩道を山頂駅へと戻って行く途中で、予想通りWOC登山部のメ

ンバーが前からやってきた。挨拶をかわしすれ違いざまにIRIBITOさんと『今日

の紅葉はイマイチですね』と話をする。どうやら表12景の色付きも良くなかったらし

い。まだこの遊歩道の周りの方がマシの様だ。











三笠山の広場まで来ると青空が広がっていた。前を歩くダウン姿のセニョさん、暑くな

いのかな?











帰りのバスやフェリーの時間までまだ余裕があったので、山頂駅の周りの展望台をうろ

つく。先ずは第二展望台へ。











そのあと山頂駅の売店でソフトクリームを買って第一展望台へ。展望台の一段下ではロ

ープウェイと寒霞渓を撮影している人の姿があった。この展望台への道の両側には色付

いたモミジを見られたが、小さな葉のモミジは色付きながらもすでに葉先が枯れかかっ

ているのもあった。














ソフトクリームを食べて展望台からの景色を眺めた後は、さぁ裏8景へ降りて行こう!

裏8景の入り口は古い公衆トイレの北側にある。表12景と比べると歩く人も少ないの

か、あまり整備もされていなくて道はガタガタで荒れている。











8景の内の最初は松茸岩と鹿岩。松茸岩は案内板の正面に絶妙なバランスで立っていた。

そして鹿岩はと探して見ると、振り返ってかなり上の方に『たしかに鹿かな?』って感じ

の岩だった。帰りの道に裏8景を選んだのは何と言ってもこの先にある三景の石門と石門

。紅葉のピークの時の石門と石門洞は小豆島を代表する風景なのだ。

さてさて今年の紅葉はどうかなと思いながら下って行くと『あれあれ、あれれ?』

第一展望台で写真を撮っていた大きなカメラを抱えた人もカメラを構えたが・・・・・?







いつもなら石門の前も奥も赤や黄色のモミジで彩られ華やかなのに、今日の石門は色も

なく、寂しく貧相に見える。石門から坂を降りた石門洞も緑の中に佇んでいた。







前回見た石門





前回見た石門洞



石段を登り参拝をして下りて来ると、岩壁には寄せ石づくりでは日本一と云われる不動

明王大石仏が鎮座していた。不動明王の奥にある僧坊で住職が男性と話をしていた。

近づいて話を伺うと今年の紅葉はまだ1~2週間先のようだと仰った。さらには『なつ

の暑さが酷くて葉が痛んでいるので、色づいても風とか雨があったら直ぐに散るかもし

れません』とも。











境内の木々はほとんどがモミジで、この場所が紅葉谷と云われる所以だ。前回は所々に

緑の木が残り、その緑と紅葉のグラデーションが何とも言えず素晴らしかった。馬の背

同様に来年に期待しよう。

前回の紅葉谷



石門洞からも残りの4景を眺めながら下って行く。二見岩の周りも前回と比べると色付

きは見劣りしてしまうが、下の方まで降りてくると遊歩道の周りの色付きはまずまずだ

った。



前回の二見岩


螺貝岩









途中の8景で立ち止まりながらそして石門洞でゆっくりしながらも、山頂駅から1時間

ほどでバス乗り場のある猪谷に着いた。猪谷池の堤からは今朝歩いた馬の背の岩稜の尾

根が見えた。













バスを待つ間腰を降ろした途端にセニョさんは舟をこいでいた。そしてバスの中、フ

ェリーの中でも・・・・。病み上がりの身体で無理して付いてきてくれたのかもしれ

ない。お疲れの様子を見て申し訳なく思う。











この季節、小豆島から高松に着くといつも日が暮れている。シンボルタワーの灯と工

事中のアリーナを見ながら車を停めた地下駐車場へと帰る。

今回で4回連続でバリエーションルートを歩き、一般的な登山道を歩いたのではけっ

して見ることのできない絶景を眺めてきた。それにしても少しハードルを上げ過ぎた

感がある。来週の山行の行き先が全く思いつかない。弱った・・・・・!





9年越し念願の塔丸北面を登る

2023年11月02日 | 四国の山


以前からこの季節になるとずっと気になっていたコースがあった。むらくもさんと当時

坊主さん(現在はシマチマおいちゃんに改名)の二人が歩いた塔丸北面小島峠から

菅生方面へ下る途中で祖谷川の支流になる赤滝川を渡渉して塔丸の尾根へと這い上がっ

ていた。そのコース上には色とりどりの原生林と、その林を抜けるとそこには広大な笹

原が広がっていた。その笹原の中で、百戦錬磨のむらくもさんが『なんという景色で

しょうか!』
と仰っていた。そして原生林は紅葉のオンパレードとも書いてあった。

その後三嶺や天狗塚に出かけるときに、いつも通っていた県道からその塔丸北面を眺め

ながら車を走らせ、『いつか歩いてみたいな~』と漠然と考えていたところ、先日YA

MAPに佐々連さんが同じように赤滝川から塔丸へ登っている活動日記が目に入った。

そして佐々連さんも『素晴らしい、来て良かった!』と書いていた・・・・・・。


と言う事で意を決して今週は念願の塔丸北面へ出かけてきた。紅葉も今週は1400m

以下に下がってきているだろうし丁度いい時期だ。このルート当然登山道など無く、頼

りになるのは佐々連さんが歩いたルートをダウンロードしたYAMAP。

前々回、前回に続いてまともな道は歩かずバリエーションルートとなる。というか今回

はほぼ歩いている人もいないのでバリエーションルートでもないような・・・・。





佐々連さんは小島峠をスタートして徒歩で赤滝川まで歩いていた。その間3km以上、

時間にして1時間近くかかっているので、我々は小島峠に一台をデポして車で県道を下

って行くことにした。佐々連さんが県道から赤滝川の川底へと下って行った場所は少し

路肩が広がっていたのでそこに車を停めてスタートする。




車を停めた場所の奥から赤滝川に向かって下って行く。初っ端からなかなかの急坂を奥

様たちも上手に下っている。







急坂を下りきると砂防ダムの脇に飛び出した。そのダムの下は川幅が広がっていたので

右岸を少し下って渡渉できそうな場所を探す。水の流れのある川べりは気温も少し低い

のか、木々の色付きも丁度ピークを迎えようとしていた。

















難なく無事渡渉し赤滝川の左岸から杉林の中を登って行く。伐採跡の切株がそこら中に

残る斜面。急登だけれどいつもの様に枝打ちされた枯れ枝も邪魔にならず、踏ん張りが

きいて意外と登りやすい。木々の間から右上に空が見え、尾根らしきラインが見えたの

でそちらに向かって登って行く。最後灌木を掻き分けると作業道に飛び出した。



















作業道は1035mの標高点に向かって続いていたが、そのまま尾根に向かって登って

行く。杉の木と自然林の混在する尾根を登って行くとまた作業道に飛び出した。








ここからはこの作業道を佐々連さんも歩いているようなので、しばらく同じようにして

歩いて行く。すると道の左側に高木の間から『阿波のマッターホルン』の黒笠山が顔を

覗かせていた。ここから見るとマッターホルンに見えなくもないかな?











作業道は右に左に折れながら続いていたが、途中から奥様たちは飽きてきたのかショー

トカットで直登を始めた。『やれやれ~』。











この辺りからあっちゃんが『お腹が空いた~~』と言い始めた。ただ小島峠までの道で

車酔いしてから回復していなくて胃がムカつくとも言う。それでもやはり背に腹は代え

られないらしくて迷っていたので、『ここで休憩しましょう』と言って行動食を摂る様

に勧める。







1217mの標高点の東側を登って行くと同じ高さの少し平らなピークに出た。そこか

らは南西から北西にかけての眺望が広がっていた。この方向この高さから見る三嶺は、

いつもと違った山容に見えた。さらにその奥に見える比較的平らな笹原はやはり牛の背

だろうか?北西に見えるラクダのこぶの様なピークは滝下の天狗塚














ここからは南の田之内谷川と赤谷川の間に地形図では破線が載っていて峠の様になって

いる。その鞍部に向かって一旦下って行く。下り坂は2段、3段にもなっていて『え~

まだ下っているよ!』と先頭を行くあっちゃん。痩せ尾根の東側は人工林。西側の自然

林の彩りが朝の光が当たって眩しい。














尾根を隔てて日陰になる東側から陽の当たる尾根を見ると、なお一層輝くその色彩にた

め息が出る。





鞍部からはまた急登が始まった。小さな樹脂製の境界杭を目印に登って行く。







すると今度は立派な林道に飛び出した。林道の東にはゲートの奥に大規模な伐採地が広

がっている。ここが県道からも見える伐採地の様だ。白い苗木の食害防止材が数多く立

っているが、それがムーミン谷のニュロニョロのように見える。








ネットに囲まれた伐採地には入らずにネットと尾根に沿って登って行く。少し登った所

であっちゃんがネットは潜れないかと持ち上げてみるが、ゲートがあるくらいの伐採地

はさすがに管理が行き届いていてビクともしなかった。








尾根は次第に広尾根となり最後は全く分からなくなってきた。周りの木々も杉の木から

自然林が混在し、薄暗くなった場所では光が当たったクロモジの黄葉にハッとさせられる。

















佐々連さんのYAMAPのトラックを見ながら適当に斜面を登って行くと。1416m

の標高点の手前1380m辺りから大岩の露岩。その大岩の岩と岩の間を通って登ると、

目の前に突然城壁の様な大岩が現れる。5mの程の垂直の壁になった大岩はこの山中に

あって何とも不思議な雰囲気がした。城壁の足元でフリークライミングの真似をしてみ

るが、太った身体では二歩目の足が上がらない。その大岩の横には本来のマッターホル

ンの様な尖峰な形をした岩もあった。













すると後ろから来たあっちゃんが『これ歯が付いてるわよ!』と言っている。その指さ

す方を見て見ると鹿らしき白骨。周りには足の骨が散乱していた。何かに襲われたのか

それともケガか病気でこの場所で衰弱して死んでいったのか。自然の摂理とはいえ周り

を大岩に囲まれ寂しげな場所に、なお一層寂しさを感じずにはいられなかった。















大岩で遊んでいたらこの岩を巻いて先に行っていたルリちゃんがしびれを切らして待っ

ていた。そのルリちゃんの横には『千と千尋の神隠し』のカオナシが立っていた。

そしてこの辺りからは自然林の中の彩のオンパレードだった。ブナやシロモジの黄葉が

目立つ林の中を、高木の色付きを見上げながら歩いて行く。














先日香川でも夕方頃になって恐ろしいくらいの音をたてて強風が吹きアラレも降った。

そんな天気にせっかくの紅葉が散ってないか心配だった。やはりその風で結構葉が落ち

たようで足元には落ち葉の絨毯。それでも青空の下の紅葉は見応えがある。

丁度、1416mの標高点の辺りがこの北面の紅葉の境界線の様だった。そこを過ぎる

とほぼ葉の落ちた林となる。














この辺りも佐々連さんのトラックを参考にしながらも、ある程度適当に登って行くと、

1500m辺りから笹原に飛び出した。モミの木とアセビの低木の庭を抜けると、どん

どんと視界が広がってきた。振り返ると黒笠山から矢筈山の稜線が見える。













そのモミの木も次第に疎らになってきた。目の前に三本の白骨樹が仲良く並んで、まる

で国旗掲揚台のようだ。








モミの木がなくなると最後は遮るもののない広大な笹の斜面となった。むらくもさんも

佐々連さんもこの景色に感嘆の声をあげていた。今回はその声を聞いてここまでやって

きた。そしてその感動の声は期待を全く裏切らず、我々三人も同じように声をあげた。

『すご~い!!』

山頂からは大きなうねりを造りながら緩やかな笹原の斜面になっていて、背の低い笹原

に幾筋もの獣が通った痕を追って登って行く。決して急いで山頂に向かって直登はせず

に、その獣道の緩い斜度の方向へとのんびりと登って行く。














西には三嶺、振り返ると黒笠山から寒峰への稜線。本当になんて贅沢な景色だろうか!


















岩が転がる庭園の様な場所を少し下に見ながら登って行くと、名頃から塔丸の山頂への

登山道に出た。獣道とは異なる踏み跡を辿って行くと山頂からの尾根。その尾根から次は

南側の剣山系の山々。そして太郎さんと次郎さんが仲良く並んでいるのが見えた。










尾根に出てひとつニセピークを越えると塔丸山頂。山頂では女性が二人楽しそうに話を

しながら食事の準備をしていた。我々も適当に岩に腰掛けお昼ご飯を食べる。















山頂から見る南面の山肌の紅葉も、祖谷渓谷辺りまで下がっているように見える。











お昼ご飯を済ませたら、東の夫婦池の登山口方面へと歩いて行く。山頂から一旦下がっ

て次のピークへと登って行く。夫婦池からのこのルートの登りは、こうしていくつかの

同じようなニセピークがあり、ピークと間違えてしまう。
















次のピークは二つのピークからなり、その東側に少し下がった所から北に三好市とつる

ぎ町の境界線が地形図には載っている。佐々連さんはその境界線に沿って下っていたが、

ここは少し横着をして北に続く境界線に向かって斜めにトラバースをしてみる。ピーク

から北に笹原の斜面と白骨樹。その笹原には縦横無尽に獣道が付いている。といっても

硬い笹に踏み跡が出来ると言う事は何度も何度も同じところを通っていると言う事。動

物たちにも人と同じように、通勤・通学路?があるのだろうか。
















笹原のすぐ下まで樹林帯が迫ってきた。その樹林帯の奥には曲がりくねった林道が見え

る。奥様たちに『あの道を通って帰りますから!』と伝える。境界線まで来ると北に樹

林帯の中へと下って行く。








ここからは尾根でもなく広い斜面。GPS頼みかなと思っていたら所々で色褪せた古い

テープが残っていた。境界の石杭も目につくようになった。

















すると以前にコリトリから一ノ森に登った時に見かけた、ツキノワグマ生息調査のセン

サーカメラが立木に取り付けられていた。そのカメラの向かいにはハチミツの入ったボ

トルをぶら下げている。センサーカメラに向かってピースサインをしたり、ボトルから

ハチミツをなめる振りをしたり、馬鹿な事をするヘッポコリーダー。一ノ森のカメラに

向かってもピースサインしたことがあるので、そのカメラを回収した四国自然史科学研

究センターの人は『また同じバカな人が写るってるわ!』と思うかな?







それまで随分と散ってしまった木々の落ち葉で踏み出す足が埋もれそうになる。『もう

少し早かったら紅葉も見頃だったのに』とあっちゃんに言うと『うんう、そのお陰で明

るい林の中を歩けているよ』と。確かに足元まで日差しが届いた林の中は歩いていてと

ても気持ちが良くて雰囲気もいい。







そんな木々も1500m辺りまで下がってくると彩が冴え始めてきた。赤いモミジはあ

まり見当たらなかったが、黄色からオレンジ色の色彩が映える。


















『お~~い、変な人間が近づいて来てるぞ~!』と少し離れた場所で鹿が仲間に知らせ

ているのか、キューンと鳴いた。それ以外は風の音もなく、ただカサカサと落ち葉を踏

みしめる音がするだけだった。頭の上と西側の斜面の彩りを眺めながら下って行くと幅

の広い林道が見え、さらに下って行くとその林道に飛び出した。











降り立った林道の少し北側には第七ヘヤピンからの道との分岐になっていた。そして西に

更に林道は延びていた。








ここからは小島峠まで予定通りの林道歩きになる。いつものように奥様たちのお喋りが始

まった。その後ろを立ち止まっては最後の彩りを写真に残すヘッポコリーダー。

















途中1312mの三角点を過ぎた所で道は1266mの標高点に向かっていたが、三角

点の先で鋭角に曲がって分岐していた。道なりにだとどうしても標高点の方へ歩いてし

まうのだが、直ぐに気が付いて鋭角に曲がる道へと歩いて行く。曲がる手前では今しが

た登っていた塔丸の稜線が見えた。ここで塔丸を最後に見納めをする。










落ち葉が積もっている所を見ると、あまり作業には使われていない林道の様だったが、

1347mの標高点の手前で突然広い集木場が現れ、同じような長さに伐採された木が

綺麗に何段にも積み上げられていた。










集木場の先では北側が伐採地になっていて、稜線からちょこんと頭を出した津志岳から

東に続く稜線の1110mのピークが見えた。さらに歩いて行くと同じように稜線から

頭を出した津志岳も見え始めた。











道は未舗装路からコンクリートの道になる。標高も1300mほどになり、道の両側は

今まで以上の色彩になる。運転席だけが放置されたトラックを横目に少し歩くと県道へ

飛び出た。














行動時間7時間10分。沿面距離12.7km。15時には小島峠につく予定だったが、

20分ほど時間を過ぎた。途中何度も立ち止まり周りの眺望や周りの木々の色付きを眺

めながらだったので、思った以上に時間がかかったが、その分最高の天気と最高の景色

に恵まれ、奥様たちにも満足いただけた一日になった。