KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『線で繋ぐ西赤石山~阿讃縦走路』寒川山・翠波高原

2023年09月28日 | 四国の山


法皇山脈(ほうおうさんみゃく)は、石鎚山脈から笹ヶ峰の東部(ちち山別れ)で北東

部に出た支脈。海岸にほぼ並行して西赤石山、東赤石山、二ッ岳、ハネズル山、赤星山、

翠波峰などが連なっている。東に行くにつれて山の高さはおおむね低くなる。ハネズル

山から西は赤石山系とも呼ばれる。』


愛媛の山に出かける際にいつも通る高松自動車道。豊浜SAで奥様たちを乗せて西に向

かうと、県境のトンネルを抜け川之江JCTに差し掛かる辺りで、正面に翠波峰から続

く稜線が見える。以前にあっちゃんが『あの稜線に鉄塔がずっと続いて立っているとい

う事は稜線を歩けると言う事かしら?』と聞いてきたので、その時は『恐らく巡視路と

かもあるでしょうから歩けるでしょうね』と軽く答えていた。

引地山から剣山が繋がった後は花の山巡りをしていたのだけれど、その花の季節も終わ

りになると『西赤石山から東を繋げたいわね』と奥様たちが言い始めた。ただ西赤石山

から東に線を繋いで行っても翠波峰で終わったら何だか尻切れトンボのような感じがし

て気乗りがしなかったのだが、ふとあっちゃんの言葉を思い出し地形図を眺め、YAM

APを調べて見ると、翠波峰から平石山堀切峠から境目峠を通って五郎山まで歩いて

いる人がいた。この通りに歩くと赤石山系から法皇山脈、そして阿讃縦走路が繋がる事

になる。その話しをするとやはり奥様たちも乗ってきた。

但しここのところずっと腰の調子が悪いへっぽこリーダーにとって、赤石山系の周回コ

ースはいずれも距離といい累積標高といい結構厳しいので、まずはリハビリを兼ねて、

鋸山の東の寒川山から翠波峰間を繋げることにした。とは言えその区間は翠波峰から続

く舗装路。舗装路歩きだけに終わってしまったのでつまらないので、四国中央市側から

翠波峰に向かって何本かの破線が地形図に載っていたので、その登山道を利用して、翠

波峰へと登ってみることにした。




スタート地点は具定展望台の駐車場。地形図ではここから翠波峰の稜線に向かって、真

っすぐに破線が延びている。駐車場のトイレで用を済まして展望台の方を見て見ると、

何人かの人が大きなカメラを構えて立っていた。話を聞いてみると鷹の渡りの定点調査

をしていて、昨日は2000羽以上カウントされたそうだ。それにしても遠くを飛んで

いる鷹の一羽一羽の種類まで区別できるなんて感心する。




駐車場の反対側にあるコンクリートの階段が今日の登山口になる。スタート直後の急な

石段に直ぐに息があがる。最初の階段を登り終えると直ぐにもう一つ石段が現れる。










階段を登り終えると西側の寒川町辺りの眺望が広がっていた。今日はここ最近にない気

持ちのいい青空だ。





展望台にいた野鳥の会の人がこの破線の道は元々この道を通って翠波峰を越えて金砂湖

へと続く峠道だと教えてくれた。足元は石が転がり少し荒れてはいたが、その話しの通

り道ははっきりとしていて、以前から人の往来があったような雰囲気がした。














道には中庄公益会の境界と書かれた樹脂製の細長いポールが続いて行く。支尾根の東側

に道は続き、その支尾根を境に東側は植林地になっていた。自然林と人工林の境になる

急登をやり過ごすと作業道が現れた。










作業道が現れると今まで歩いてきた道が所々で分断され、歩かれなくなった道は荒れ始

める。境界ポールを目印に登ってはいくが掘割状になった道は倒木によって塞がれ歩き

づらくなり、その道を外れて歩きやすい所を探しながら右往左往する。











稜線の北側を縦横無尽に走る作業道を所々横断しながらとにかく稜線目指して登って行

く。陽の当たらない杉林の先が急に明るく日差しが届くと作業道になる。










作業道を横断しては杉林の中へ入るのを何回か繰り返して行くと、目の前に鉄塔が現れた。

四国中央東幹線伊方発電所から川内変電所を経て、東予変電所と讃岐変電所を結ぶ50

万ボルトの基幹送電線。阿讃縦走路でも見かけた送電線の鉄塔だ。そしてこれがあっちゃ

んが高松自動車道から見た稜線を東へと続いている送電線と鉄塔だった。













この鉄塔まで来ると稜線の林道はすぐ上にある。鉄塔から一旦巡視路を南に歩き、東西

に続く巡視路を跨いで林道に向かって直登する。少し藪いた茅とイバラを掻き分けると

林道へと飛び出した。スタート地点からここまで奥様たちに『今日は花をまったく見か

けませんね』と話をしていたのだが、林道に飛び出した途端に道の脇に小さな草花がた

くさん咲いていた。













ここからは予定通り寒川山に向かって舗装路を歩いて行く。今まで珍しく黙々と登って

いた奥様が一気におしゃべりタイムが始まった。その後ろを道の右左を覗きながら寡黙

に歩いて行くへっぽこリーダー。












舗装路の林道歩きに飽きたのかルリちゃんが、YAMAPを見ながら寒川山への尾根を

目指して道の脇の樹林帯へと入って行く。途中で尾根は豊郷ダム用の電波塔のフェンス

で囲まれていて、そのフェンスの周りを避けながら進んで行く。










最後に急登を登りきると、見覚えのある木々に囲まれた寒川山に着いた。四等三角点・

寒川山・816.97m










この寒川山が今日の折り返し地点。電波塔まで尾根道を戻りそこから舗装路を歩いて行

く。往路と同じように奥様たちはお話に夢中。私は兎に角花を見つけては写真を撮る。



ダイコンソウ


ツユクサ


チヂミガサ



道の南側の少し開けた場所からは猿田峠大森山が見える。そう言えば以前歩いた時、

大森山から佐々連尾山の稜線からこの翠波高原の建物が見えた。相変わらず道の脇に

は小さな草花があちらこちらに咲いている。ここ最近花を目当てに歩いて来て、写真

を撮った花の名前はYAMAPで同じルート歩いた人の活動日記に載っている花の名

前の写真を参考にしてきたが、さすがにこの道を歩いている人はほとんどいなくて、

なかなか花の名前を調べても分からない。



















寒川山から2kmほど歩いて翠波高原の北峰展望台に着いた。ここからは土居町辺りの

平野部が眺められる。それにしてもこの法皇山系の山裾から海までの距離があまりない

のがここから見るとよく分る。展望台の大きな傘の下で腰を降ろしてひとまず行動食を

口に入れる。











ここから少し東にある地形図に載っている破線を下って行く計画だったが、その道を降

りると下りきった場所からスタート地点の具定展望台まで国道の、しかも登りを2km

以上歩くことになる。また登って来た道を降りるか計画通りの道を下るかでしばらく話

をして、やはり違う道を下って行くことにする。

すると稜線からの下りの取付きとなる場所には、大きなトラックが停まって、伐採した

木材の積み込みをしていた。

トラックの最後尾の運転席に座った若者が、その先のアームを器用に操作して次々と丸

太を荷台に積み込んでいた。これがUFOキャッチャーなら、景品が撮り放題だな何て

思って歩きながら見ていると、あっちゃんは立ち止まってずっと見入っていた。

登山道の入り口は作業車で塞がれていたので、その先の斜面を下って登山道へと取り付く。

重機が通った跡はキャタピラで道が掘られてぬかるんでいた。電力の保線路の目印杭の

奥から下って行くと作業道になる。この道を歩いているYAMAPの活動日記のURLを

奥様たちに事前に予習するようにと送っていたが、その活動日記に書いていた通り、途中

で二股になった場所からは左の細い道に入る。











雨の流れで地表が洗われ、石が露出ていて歩きづらそうにしてルリちゃんが下っている。

すると次にまた重機が通った後の作業道に出た。ぬかるんだ道は少し粘土質なのか、登

山靴の裏に冬山のアイゼンの雪ダンゴのように土がどんどんついてくる。







すると前方で重機が動く音が聞こえてきた。ぬかるんだ道を滑らないようにその音のす

る方向に下って行くと、先ほどの重機とまた違った重機が作業をしていた。伐倒された

木を掴んでそのまま枝払いをして丸太にしていた。しばらくその作業を見ていると運転

席の人がどうやらこちらに気づいてくれた。運転席から降りて来たのはまた若者だった。

『ここ通ってもいいですか?』と聞くと、重機の左手を指さし、『この横が登山道です

よ、途中に伐採した木が倒れていると思うので気を付けてください!』と教えてくれた。

教えてもらった通り重機の左横を通らせてもらうと、左に下って行く道があった。

(この道もYAMAPに載っていた)







作業道からは一旦離れて下って行くと、作業していた若者が言っていた通り伐採した木

が道を塞いで積み上げられていた。そこからまた作業道に出て下って行くと木々の間か

ら市街地が見え始めた、














さらに下って行くと右手の視界が一気に広がり、広大な伐採地の上部に飛び出た。正面

には四国中央市の製紙工場の大きなエントツが見える。すると一人の男性の姿が。最初

は林業の人が休憩しているのかと思ったが、近づいて見ると椅子に腰かけた膝の上に大

きなカメラが見えた。話を聞いてみるとこの下に見える正法寺山城跡のこんもりとした

ピークの沿って気流が登っていて、その気流に乗って舞い上がる鷹の写真を撮ろうと、

ここまで登って来たそうだ。それにしても一人でこんな山中まで歩いて来て、一日中座

ってシャッターチャンスを狙っているなんて・・・・。

それでもやはり退屈していたのかこちらから質問するネタが切れても、次から次と話を

始めてなかなか離してくれなかった。(笑)














四国中央市の奥には観音寺市と七宝山善通寺五岳まで見える久しぶりの快晴。視界を

遮るもののない伐採地からの景色を眺めながら尾根に沿って下って行く。先ほど見えた

三角のピークの城跡の左側を巻くようにして歩いて行くと、傾いた正法寺山城跡の道標。










さらに下って行くと花崗岩の立派な石碑が建っていた。『保安林改良事業』と書かれた

記念碑の様だが、ほとんどここまで来る人もないこんな場所に・・・・?。

伐採地からは道も明瞭で、どんどんと下って行く。














伐採の作業を眺めたり、鳥好きのおじさんと話をしたりしながら比較的ゆっくりと下り

1時間30分ほどで国道に飛び出した。







ここからは国道の舗装の上を2kmほど駐車場まで歩いて行く。朝晩は涼しくなってき

たとはいえ、日中は30度を軽く超えている。その日差しを浴びたアスファルトからは

熱気が上がってくる。出来るだけ日陰を選んで歩いて行くがそれでもやはり暑い。国道

からは先ほど下ってきた支尾根が見えた。











30分ほど歩いてシャリバテ手前で何とか駐車場に辿り着いた。具定展望台で速攻でお

弁当のおにぎりを口に入れ何とか落ち着く。展望台には朝以上に調査の人たちが集まっ

ていた。














着替えも済ませお昼ご飯も食べ終えた後、次週の予定となる翠波高原北峰展望台から

平石山、そして堀切峠までの道を確認するために車で移動をする。翠波高原展望台か

らは金砂湖を見下ろしその周りの峰々が眺められた。観光名所となっている高原のコ

スモス畑は、今年は台風の影響で散ってしまったそうで、きれいに刈り取られていた。














次回歩く予定の堀切峠までは舗装路が続いている。その車道以外を歩けないかと道の両

側を三人で確認しながら車を走らせるが、木々の茂り具合や尾根の地形を見る限りなか

なか厳しそうだ。堀切峠までは車道の距離が片道10km。舗装路を避けて藪の中を歩く

となったらどれくらい時間がかかるだろうか?

いずれにせよ石鎚山系から赤石山系、そして阿讃縦走路を繋ぐ新たな目標に向かって!














今日は県境ドライブ

2023年09月21日 | 香川の里山


久しぶりに夜中に帰宅しせっかくの休みに朝なかなか起きられなかった。カーテンの

隙間から見える窓の外が明るくなっていくのを時々目を開け見ながらも、布団のなかで

いつまでもグズグズとしていた。

そろそろと思って起きて、今日はゆっくりと温泉にでも浸かって過ごそうと出かけて

みると、目当ての施設がお休み。仕方がないので次の施設へ。ところがそこもお休みで

更に次の施設もお休みだった。結局家から随分離れた山の帰りに立ち寄る温泉でゆっく

りとお湯に浸かる。ヌルッとしたお湯とサラッとしたお湯に交互に浸かり、鳥の声を聞

きながら露天風呂で山並みを眺めたりしながら、いつになくのんびりとした。

温泉を出た後あてもなく車を南に走らせた。県内では一番新しくできたトンネルを抜け、

ドライブがてらぐるっと廻って家に帰ろうと、今度は県道を東へ走っていると『竜王山』

と書かれた道路標識が目に入った。その標識に従って国道を北に高度を上げて行き、三

頭トンネルの手前で県境集落への道へと進んで行く。この辺りで雨がパラパラと。

香川と徳島の県境の徳島側に続く山道を車を走らせながら、時々目に入った草花の写真を

撮りながら竜王峠、鷹山公園の辺りで香川県内へと入り、相栗峠を経由して塩江町へ。

そこから国道193号線を経由して家路へと向かった。

温泉でのんびりのはずだったのに、結局160km以上走って、何をしているのやら。

車を降りるとまた腰の張りが出てしまった有意義な?一日だった。

久しぶりに目にした半鐘


シコクママコナ


貞光から南の山側は怪しげな天気


ヤマハギ


ヒメジョオン


キンミズヒキ


アザミ


ゲンノショウコ


キバナアキギリ


アキチョウジ


相栗峠の手前では結構降って来た


相変わらずの天候不順で花散策に皿ケ嶺へ!

2023年09月13日 | 四国の山


先月のお盆前に剣山を登った時も『雨が降っても安全に歩ける山』と言う事で、少し濡

れながらも歩いた。それ以降ずっと週中の天気がスッキリとしない。今週も降水確率が

高く、特に午後からの天気が怪しい。奥様たちは『線で繋ぐ』の次のコースの縦走をご

所望していたが、なかなか厳しいコースで更にエスケープルートのない縦走路では天気

が崩れると・・・・。その上私自身の腰の調子がまだイマイチだったので、天気が良く

なる日を選んで『線で繋ぐ』シリーズを再開する事にして、今日も雨が降っても気軽に

歩ける皿ケ嶺を『意外と沢山花が咲いています』と提案すると喜んで了承して頂いた。


いつもよりゆっくりめで豊浜SAで待ち合わせをして、上林森林公園の駐車場に9時前

に着いた時には、まだ車は2台程度しか停まっていなかった。

駐車場からまずは風穴への遊歩道を登って行くとさっそくハガクレツリフネの群生が出

迎えてくれた。先週の剣山でも見かけたがここまでの群生を見るのは初めてだった。



ハガクレツリフネ





その群生に目がいきがちだが、他にも色々な花が咲いている。『これじゃ~山頂に着く

のは何時になるか分かりませんね』と言いながらも、立ち止まっては写真を撮る。

ダイコンソウ


キバナアキギリ





ハガクレツリフネの群生と同じくらい、花の終わったギンバイソウが斜面を埋め尽くし

ていた。駐車場から一緒になった女性があっちゃんに『ギンバイソウ』だと教えてくれ、

『可愛らしい白い花が好きなんです』と話してくれたそうだ。これだけの数の花が一斉

に咲いたらそれはそれは見応えがあるだろう。また7月の花が咲く季節に是非再訪して

みたい。

風穴の囲いの中からはいつもの様に冷気が上がってきていた。その囲いの横を通って遊

歩道から直登の道を登って行く。

ギンバイソウ





オタカラコウ


アキチョウジ


ヒカゲミツバ




この皿ケ嶺には何度も来ているけれど、ここまで沢山の花が咲いているのを見たのは初

めて。と言うか花を見つけながら歩く事が今まではなかったから。意識が変わると周り

の見えるものも変わっていくと言う事だろう。



シコクブシ


デバコモミジガサ




さすが皿ケ嶺は花の山。この季節だけでなく春にも秋にもまた違った花が次々と咲いて

いる。その花を目当てに松山市内からも気軽に来られると言うのもあって、地元の人た

ちが再三訪れ愛されている山だ。高知でいえば工石山になるのだろうけれど、地元香

川では、大勢の人が毎日でも登っている里山はたくさんあるけれど、ここまで花の咲く

山はなかなか無い。(知らないだけかも?)






シロヨメナ


オオバショウマ


レイジンソウ



引地山と皿ケ嶺への分岐を過ぎると道は東に向かって緩やかに続いて行く。



キンミズヒキ


オタカラコウ



それにしても三人とも写真撮影で前になかなか進まない。すると前を歩くお爺さんが

一人。すれ違いざまに『今日は11時位から雨が降るかもしれんな』と。『昨日もお

昼くらいに急に降りはじめたからな』と話してくれた。どうやらほぼ日参している常

連さんのようだ。そう言われて北側の空を見上げると、雲の色が濃くなってきていた。

















ベンチの並ぶ場所を過ぎると竜神平も近い。






ミヤマタニソバ


ヤブタバコ


タニソバ



竜神平上林峠への分岐からは更に東に少し遠回りして竜神平へ行くことにする。ここ

までの道と比べてあまり踏まれていないのか、所々で笹が道に被さりその露で足元が少

し濡れてきた。ミズナラブナの大木が点在する森の中の道。その静かな森の中で鳥の

鳴く声だけが大きく響いて聞こえている。














上林峠との分岐からは右に折れて竜神平へと向かっていく。ほぼ平らな笹の林床の中の

道に陽が差し込むと、雨の後の森の中で植物も昆虫もイキイキとしていた。

















その森の中から忽然と現れる竜神平。視界と青空が一気に広がり、足元には可愛らしい

タニソバの群生。白い花びらの先がちょこっと紫色に染まった姿が何とも言えない。



タニソバ










竜神平は、ブナ林に囲まれた盆地状の広大な湿原。以前はミズゴケに覆われた湿地だっ

たが、乾燥化が進みクマザサなどが侵食している。その湿原の中の道を歩いて行くと、

またまた可愛らしいツリガネニンジンがあちらこちらに咲いていた。






ツリガネニンジン


アキノキリンソウ






昔は小川が流れていたというその名残りで、小さな流れに架かった橋を渡って行くと、

この龍神平のシンボル愛媛大学の竜神小屋も近い。奥様たちは相変わらず度々立ち止ま

って撮影タイム!






サワヒヨドリ


イヌタデ





竜神小屋の前では何組かがベンチに腰掛け休んでいた。ここで何も言わないのにあっち

ゃんがザックからお弁当を取り出し始めた。すると横にいたルリちゃんが『え、ここで

お昼?』と聞くと、当然のような顔をして『そうよ!』と答えた。時間はまだ11時だ。

仕方がないのでルリちゃんも私もベンチに腰掛けお昼ご飯にする事に。




お弁当を食べている間も次々と歩いてくる人達がいた。途中で追い越したお爺さんもや

って来た。するとそのお爺さんが駐車場で一緒になった女性を連れて湿原の中を案内し

始めた。その様子を注視しているあっちゃんと私。『二人が立ち止まった場所には珍し

い花が咲いているはず』と、同じことを考えていたようだ。お弁当をさっさと食べ終え

て二人が立ち止まった場所まで行ってみるとヌマトラノオが咲いていた。



ヌマトラノオ







そのお爺さんが戻ってベンチで腰掛け休んでいると、周りに同じような常連さんが集ま

り挨拶をしている。その周りでも小さな花たちが咲いている写真を写していると、奥様

たちがその常連さんたちに話しかけて、湿原の中の道案内を頼んでいた。案内された先

には、これまた可愛らしいアカバナが咲いていた。



ゲンノショウコ


ダイコウソウ


タニソバ


アカバナ







アカバナを写真に撮り終わってベンチまで戻って腰掛けていると、今度は違う人の後ろ

に付いて歩くあっちゃんが手招きしている。



コオニユリ




森の中をどんどん進む常連さんの後ろを付いて行くと、ひっそりと佇んでいるアケボノ

シュスランの姿があった。まだ咲きはじめで花は開いていなかったが、確かにランの花

のように見える。






アケボノシュスラン




案内してくれた常連さんと色々話をすると、『おいわさんのHP』にも登場するWさん

との事。『違う場所にももう終わりかけだけれど咲いている』とその場所を教えてくれ

て『せっかくだから是非見て来てください』と。その教えてもらった場所には確かに茎

の上端の一輪だけ終わりかけだが花が残っていた。それでも奥様たちを大喜びをしている。

アケボノシュスラン






花散策に満足した奥様たちは今日は山頂へ登らないでいいと仰った。腰の調子が本調子

でない私も、無理に山頂にこだわる必要もなく、今日はこのまま引き上げることにする。














いつもなら超特急で下って行く二人も、今日はやはり所々で立ち止まっている。登りで

は気づかなかった花も時々目につく。




オオバヨメナ


フシグロセンノウ






風穴近くの遊歩道まで降りてくると足元に赤く色づいたモミジの落ち葉が。見上げて見

ると一本だけ色づいて木があった。ここでもそろそろ秋が近づいている。そんな秋の気

配を感じながら着いた駐車場には、十台以上の車が停まっていた。秋の花が終わると紅

葉の山にとほぼ年中楽しめる皿ケ嶺を後に、いつになく早めに帰宅となった。










リハビリと言えば剣山!(笑)

2023年09月08日 | 四国の山


『腰とは、背中側の肋骨の下縁から、お尻の下縁までの範囲を指します。』との事。


ここ最近、登山の後半になってくると背中がパンパンに張って痛くなっていた。通って

いる接骨院でその話をして『この辺りが痛くて・・・。』と言うと、『そこは腰やで』

と言われた。そうか腰痛だったんだと納得していたが、一昨日久しぶりに軽いギックリ

腰になってしまった。家の玄関を出て立ち止まって振り向いただけなのに・・・・・。

一日中デスクワークで椅子に座っていると、夕方になって立ち上がると痛む。昨日は

様子見で接骨院で治療をしてもらい、今日は軽めにどこか歩こうと考えた。じっと座っ

ているよりは歩いた方が調子はよくなる。但し腰に負担がかからない程度にあくまで軽

めにだ。そこで思いついたのが塔の丸。久しぶりに笹原歩きがしてみたいし、高低差も

それほどではないのでリハビリにはちょうどいい。天気予報は曇りだが、それでも稜線

からお向かいの剣山系の山々は見ることが出来るだろう。そう考えて出かけてみた。


朝起きると自宅付近は青空。しめしめこれなら笹原歩きには絶好の天気だ。そう思いな

がら自宅から県道5号線を前山の峠を越えると周りの雰囲気が一転した。目の前が霧で

真っ白で視界が悪く車のスピードを落とす。脇町に入る頃にはその霧は無くなったが、

正面に見える山には雲がかかっていた。そして貞光から国道438号線を見ノ越へと走

って行くと、第三ヘアピン辺りからまた周りが白く視界が悪くなってきた。スキー場跡

を過ぎる頃にはますます霧が濃くなってきた。『これじゃ~全く景色も見えずせっかく

の笹原歩きも楽しくないな』と思い、急遽、剣山に予定を変更する。


見ノ越の駐車場もこの空模様、いつになく停めている車の台数が少なかった。今日は独

り歩き、劔神社の石段も周りに咲いている草花を探しながらゆっくりと登って行く。



ハガクレツリフネソウ


レイジンソウ




神社簡易宿泊所の横の温度計は16度。県内ではまだまだ夏日が続いているけど、山で

はそろそろ服装を選ばないと思い、ジップシャツを一つ厚手を着て来たけれど、それで

も汗を掻く前だと少し寒い。







相変わらず登山道も霧の中。リフトも営業前で、いつもスピーカーから聞こえてくる観

光案内も流れていないのでとにかく静かだったが、今日は台風の影響で東からの風なのか、

木屋平側から吹き上げてくる風が強い。風が当たるととたんに寒くなってきた。










登山者も後ろから追いついてきた人と、前を歩いていた人の二人だけ。定点観測の場所

からも、もちろん雲に隠れて雲海荘は見えなかった。










西島駅の横のベンチに腰掛ける。いつもは見える今日歩こうと思っていた塔の丸の姿は

ない。駅の横の花壇に咲く花。



シコクフウロ


アキノキリンソウ


オニユリ




西島駅の横から刀掛けの松へと登って行くと、1ケ月ほど前に来た時はまだほとんど葉

だけだったテンニンソウの花が咲き誇っていた。花が下から上へと咲いて行く様子を天

人、天の花に例えたという説がある花だけれど、どう見ても天人のイメージが湧いてこ

ない。ここから先もほぼこのテンニンソウだらけの登山道になる。

西島駅までは支尾根西側を巻いた道だったが、西島駅から刀掛けの松への道は、東祖谷

と木屋平との尾根道になる。すると途端に東側からの雨交じりの風が強くなってきたの

で、風の当たらない場所でカッパの上着だけ着込む。

テンニンソウ








アキノキリンソウ









刀掛けの松に着いたがまだ時間は10時前。このまま山頂に登っても時間を持て余しそう

になったので、少しは咲いている花が多いかなと思って行場へと歩いてみる。










行場ではテンニンソウの薄黄色の花の中で明らかに色の違うシコクブシが咲いていた。

これ以上ない毒々しい紫の花の色は、周りのテンニンソウの中にあって特別目立つ。










夏の花がそろそろ終わり、秋の花への端境期なのか、期待したほどの花は咲いていなか

った。(それとも見つけられなかったのかな)

サラショウマ


カニコウモリ


??




不動の岩屋まで下って行くと岩屋の中からは、轟々と流れる水の音が聞こえて来た。辺

りは霧で薄暗く、さすがにこの雰囲気では中の梯子を下りて行く気にはならなかった。






オタカラコウ







不動の岩屋から山頂へと登って行く。岩壁を覆った苔の中に咲く花?を何の花かは分か

らないが取りあえず写してみる。














岩壁の頂部からは鎖場への分岐になる。その分岐を過ぎると道は笹原の中の九十九折れ

の道。これまで見た中でもけっこう大きなヤマミミズも、霧雨に濡れて何だか生き生き

している。














刀掛けの松からの道と合流する。前回はここからは大勢の人とすれ違ったが、今日は

宝蔵神社の雨戸も締められ、山頂ヒュッテの前もやはりひっそりと静まり返っていた。







時間もあるのでヒュッテに入ってコーヒーを頂く。ヒュッテの壁にはこのヒュッテの

昔からの写真が飾られていた。その中にかつては表参道だった富士の池の劔山本宮劔

神社
が盛況だった頃の写真もあった。










写真を眺めながらコーヒーを飲み終えたあと山頂へと向かう。山頂への木道も数十メー

トル先までしか見えない。この剣山には何十回と登って来たけれど、山頂に誰もいなか

ったのは初めてかもしれない。

















帰りは二度見展望所から西島駅への道を下って行く。展望所から西島駅への道は晴れて

いたらそびえ立つ御塔石が見えるのだが・・・・。ここでも道の両脇はテンニンソウが

斜面一面に咲いている。今日はこのテンニンソウに始まりテンニンソウに終わるといっ

た感じだ。

















途中でこの天気の中カッパを着て登山道の整備をする人がいた。『ご苦労様です』と声

を掛けてすれ違う。山頂から35分ほどでやはり人影のない西島駅に着いた。



ミヤマタニソバ




西島駅から見ノ越へも途中で一組とすれ違っただけだった。霧雨の中、眺望も期待でき

ずに平日にわざわざ登る人も少なかったのだろう。ここ数回の山行では夏場で気温も高

く、雨が降ってもカッパを着ずにそのまま濡れて歩いていたけれど、これからの季節は

やはり服装にも注意して歩かなければと気づかされた静かな静かな今日の剣山。登山道

には赤や黄色の落ち葉が目につき始め、秋の気配を感じたリハビリ登山だった。








帰り道、国道483号線の蜂須トンネルの手前の橋から右手にチラッと見える神社の赤い屋

根がいつも気になっていた。今日は時間も有ったので橋の上で車を停めて橋の下を覗き込ん

で見ると石灰岩だろうか、白い断崖の直下に鳥居と赤い屋根の神社の祠が見えた。GooglMap

では蜂須神社となっていた。口コミでは道が大変分かりづらいと書いてあったので、今日の

ところは次回に譲ることにして車に乗り込んだ。