いつもなら『困った時の寒風山』だが、今日は『困ってないけど寒風山』。
線で繋ぐ山歩きで、今回は未だ奥様たちが繋がっていない、寒風山~笹ヶ峰を繋げてきた。
二人ともWOC登山部でも何度か登って来た山だが、今までだいたい一座だけ登って
終わっているので、この二座の間は初めてのルートとなる。これから西に向かっての
桑瀬峠から西黒森山までは繋がっているので、残りは瓶ケ森から土小屋まで繋げていけば、
三ツ森山から石鎚山までは繋がることになる。
四連休の初日だった先週の賑わいと比べると、寒風茶屋の駐車場はいつものように
静けさが戻り4~5台の車が停まっているだけだった。今日は笹ヶ峰からは折り返すのか、
先週と同じように南尾根を下るのかは、笹ヶ峰まで歩いてみて決めましょうと伝えていたが、
既に二人は事前に調べてきていて、往復する方がコースタイムが長いので、
南尾根を下って林道を下道歩きで周回する事に決まった。
『あの大ブナにも、もう一度会いたいし』とあっちゃん。
『それなら帰りには通らないので、お花畑に先に寄ることにしましょう』と言ってスタートする。
いつもの様に登山口からは、いきなりの急登。顔には大玉の汗が流れ、直ぐに息が上がってくる。
桑瀬峠までのこの道も、以前にはなかったロープが所々張られていた。
『こんなに急だったかな~?』と言いながらも、ルリちゃんもどんどん登って行っている。
急登が終わっても所々で岩の間登るヶ所がある。
樹林帯を抜けると、先ずは左側に眺望が広がっている。見下ろすと、くねくねと曲がりながら続く
UFOライン。鷹ノ巣山の斜面の奥には稲叢山・西門山の稜線。
ここからは桑瀬峠への尾根にトラバース気味に進んで行くが、以前に比べると
踏み跡はしっかりしているが笹の勢いが強く、場所によっては背丈ほど伸びている。
今度は北東に先々週歩いた冠山から平家平へと続く稜線が見え始める。
こうやって直近で歩いて来た山々を同定できるのも楽しい!
寒風山の手前の岩稜が見え始めると、桑瀬峠もすぐそこ。
桑瀬峠では男性が二人寛いでいた。聞くと今日は伊予富士に登るそうだ。
峠の反対側の西黒森山を眺めていると、笹の頭を撫でながら涼しい風が吹きあがってきて
今までたっぷり掻いた汗が一気に引いていくのが判る。
桑瀬峠からはまたしばらくは樹林帯の中と笹道が、交互に続いて行く。
この辺りも以前は笹が刈り払われていたが、雰囲気が様変わりしていた。
いつもこのルートの整備をしてくれていた橋本さんの苦労の大変さが偲ばれる。
振り返ると伊予富士の全容が見え始めた。
正面に寒風山の岩肌がと山頂が右奥に見え始めると、二人が『あれが山頂かな?』と言うので、
『あの岩の辺りがお花畑で、山頂がその右奥です!』と。
ステンレスの梯子を何度が登って行く。梯子の上端には手摺が施されていて、
最後に登りきるときに登りやすいように工夫がされている。
途中のベンチのある場所から左にお花畑への道となる。
前回は途中の切り立った場所で、腰が引けてしまって歩けなかったルリちゃん。
『少しは進歩してるかな~』と言いながら、今回は意外とすんなり歩けている。
そんなルリちゃんを尻目にニコニコ顔のあっちゃん。
二ヵ所ほど岩肌を登るヶ所があるが、もちろん落ちれば即アウト!
少し時期は過ぎたような感じだが、色々と小さな花があちらこちらに咲いている。
シモツケソウの向こうには西黒森山と瓶ケ森。自念子ノ頭の横には石鎚山も見える。
岩肌の日陰で涼みながら、正面に見える山々にため息をつき、足元に咲く花を愛でながら暫し佇む。
登るときはそうでもなかった岩も、切り立った足元が見えるので降りるときの方が難易度が上がる。
掴んだ岩がポロっと外れたりしてヒヤッとしたりしながら、慎重に降りて行く。
登りのこのルートで一ヵ所だけある、下りの梯子の辺りはいつものようにヤマアジサイが咲いている。
足元に黄色い変わった花も咲いていたが、何の花だろう?
梯子のある鞍部からしばらく樹林帯の中を登って行くと、山頂近くの笹原になる。
前を歩くあっちゃんが、『この可愛い花は何だっけ?』と言っているので、
『紫の皺のある花ですか?』『皺のある!』と言うと、その横でルリちゃんが、
『皺、皺と言わんとってよ!』とジロっと睨まれた!(笑)。慌てて『シコクフウロですよ!』と笑顔で返す。
西の大岩が見え始めると山頂まで、もう一息。ジリジリと照りつける日差しの下、
黙々と登って行く二人。感じる暑さはピークに差し掛かり、青い空が逆に恨めしくなってきた。
寒風茶屋から約2時間10分。お花畑で25分ほど遊んだ割には意外と早く着いた。
ここの処の鬼教官二人のお陰で、へっぽこリーダーもやるときはやるのだ!
山頂には他に誰もいなかった。駐車場の車の台数からすると、今日は皆さん伊予富士組かな?
これから向かう笹ヶ峰と先週歩いて来たちち山の稜線。山頂からなだらかに下っているように
見える笹ヶ峰の南尾根と山頂への尾根を比べてみると、同じくらい下っているように見える。
ピストンで折り返すより、やはり南尾根を下った方が正解かな?と二人に話をして出発!
山頂からしばらくは笹原尾根を下って行く。次第に雲が増えてきた。
笹原道が終わると、尾根の北側をトラバースする樹林帯の中の道になる。
日差しは木々で遮られ、時折涼しい風が北側から吹き抜けていく。
小刻みにアップダウンをしながら、やはりどんどん下っていく道。
そのまま真直ぐ進みそうな場所に注意喚起の『止‼』の可愛らしいマーク。
トラバースの樹林帯が終わると、また笹原道になる。『まだまだ遠いわね~』と奥様二人。
振り返るとまだ寒風山の方が近くに見える。寒風山の山頂であっちゃんが『笹ヶ峰まで50分やね~』と
言っていたが、『とんでもないです、奥様!』
笹ヶ峰の西側に見えたピークに近づいて来た。ここでほぼ50分弱経過。山頂はまだ先だ。
ここまででルリちゃんはペットボトルの飲み物が3本目になろうとしているのに、あっちゃんは
未だ1本も飲んでいない。『喉が乾かんの~?』とルリちゃん。
山頂が近づくにつれ稜線の北側からガスが流れ始めた。いつもなら景色が見られなくなる!
と思ってしまうが、今日は景色が見られなくてもいいから、ガスがかかって日差しを遮ってくれる方がいい。
山頂のからの稜線に一旦乗越すと、道は尾根の北側を巻いて行く。
どんどんガスがかかって視界は悪くなってきたが、体感温度も少しは下がってきた気がする。
丸山荘への分岐の手前で、『山頂は日が当たるから、この日陰でお昼にしませんか?』と
本当は日差しよりも、腹ペコでお昼にしたかったあっちゃんの提案でザックを降ろす。
先週の反省で、今日は私もあっちゃんと同じ、ぶっかけうどんでランチ。
少し濃い目の出汁が、塩分を出し切った身体に染みていく。
30分ほど木陰で涼みながら昼食を済ませて山頂へ。
丸山荘への分岐を過ぎると、南に折れて山頂へと最後の登り。
お昼の休憩時間の30分を引くと、寒風山からちょうど1時間30分で笹ヶ峰に着いた。
古代、石鎚山と称された山は瓶ケ森、子持ち権現とこの笹ケ峰だと云われている。
先週お参りできなかった石鉄蔵王大権現と不動明王にお参りする。
『先週は南尾根をどれくらいで下ったかな?』とあっちゃんが聞くので、
『ほらほら始まったぞ!』と思いながら、『途中の休憩の10分を省くと、1時間10分位かな』と
答えると、『じゃ~今日は1時間で下るわよ!』と。ト・ホ・ホ~・・・・。
記念写真を撮ろうとするとルリちゃんが『私、足が長いから』と前に足を出して
強調するので、ヘッポコリーダーも負けじと思い切り足を出して撮ってみる。
『2週続けてこの山に登って、同じ道を下るのね』と言いながら南尾根へと歩いて行く。
やはり二人とも先週よりスピードアップしているような気がする。
笹原尾根が終わり樹林帯の中に入ると、間もなく主の大ブナとご対面。
『やっぱり先週より早く着いた気がするわ!』とあっちゃん。『そりゃそうでしょうね!』
急坂のロープ場もなんのその。二人は快調に下って行っている。
元々下りは早く歩けるへっぽこリーダーも付いて行くのがやっとだ。
岩場のロープも先週と同じようにして下って行くあっちゃん。下りきったのを見定めて
ロープを跨いで降りようとすると、下でそのロープをニコニコしながら大きく揺らしている。
太いロープが股間で波打って、危うく大事な場所を強打するところだった。
ただ歩きやすい下りならスピードも上がるのだが、急坂の下りとなるとやはりそれほど時間は変わらない。
結局1時間を切る事は出来ず、2分ほどオーバーして南尾根登山口に着いた。
取り付きにあるベンチに腰掛け一息入れるが、残りの林道歩きの時間も気にしている二人。
『さぁ行くわよ!』と尻を叩かれ、渋々ついて行くへっぽこリーダー。
先週歩いた一の谷橋までの林道には『平成13年』と書かれていたが、
この第一工区は平成4年となっている。おおむね10年近くかかっているが、
更に東へと延ばしているこの大規模林道。
当然事業としての目的はあるのだろうけれど、果たして・・・・・そうなの?と。
林道歩きを約50分で駐車場に到着。すると身支度をしている父親と小学生の姿があった。
『今からどちらに?』と聞くと『寒風山に。18時位には下りてこようと思っています』と。
時間は既に15時。すると3時間で寒風山を往復する事になる。凄いな~と感心する。
車に乗り込み、先週と同じように道の駅木の香に寄って着替えて休憩をして帰路につく。
へっぽこリーダーの受難の日々はまだまだ続いて行くのだが、来週は吉野川源流の碑から
西へと少し緩めで歩く事にした。但しあっちゃんが以前から渇望する、子持ち権現が
途中で待ち構えているのだけが気がかりだ。