先週、高知の南嶺に『てくてくさん』に会いに出かけて、帰りに奥様たちに『さて、来
週はどうしましょうか?』と尋ねると、『イワカガミ!』とあっちゃんが即答。『石鎚山?』
と聞きなおすと、『剣ケ峰よ!』と返事が返ってきた。『去年はエントツ山さんが6月初
旬に登っていたので、来週ちょうどいいくらいかも』と仰る。いつになく行先を決めて
いたので後から話を聞くと、今年のカレンダーに6月5日に〇を付けて、前々から行き
たいと思っていたそうだ。ただ私の膝のケガもあって今年は行けないかもしれないと思
っていたらしい。
この時はまだ天気予報が生憎の雨マークだったが、2・3日すると晴れマークに変わっ
たので、『それじゃイワカガミ、見に行きましょう!』と相成った。
すると日曜日辺りから『のーちゃん・ばんぶう・Jr』さんたちが次々とキリン峠から剣
ケ峰への活動日記をアップしていた。そして最後にエントツ山さんが『二度と登りたく
ないルートなのに・・・・。』とブツブツ文句を言いながらも、案内役で出かけていた
ので『水曜日に出かける予定なのですが、イワカガミはまだ大丈夫ですか?』とLIN
Eを入れると、『大丈夫!私もアカリプタさんと出かける予定です』と返事が返ってき
た。それじゃ~という事で、登山口となる文殊堂駐車場で待ち合わせをして、一緒に登
る事になり、そのことを奥様たちに伝えると二人は大喜び!なんせ普段からエントツ山
さんとアカリプタさんの話をしているので、奥様たちはお二人の大ファンなのだ。
丸亀で6時に待ち合わせをして高速道路で北上。蒜山ICを降りてすぐの『おべんとう
のつるや』で昨年、三ケ峰で出会った女性に教えてもらったおにぎりを買う。
予定通り8時30分に文殊堂の駐車場に着くと、すでにエントツ山さんとアカリプタさ
んは身支度を始めていた。
『お久しぶりです!』の挨拶のあと奥様たちを紹介すると、『え~とお名前は?』とエン
トツ山さんが聞いてきた。『こちらがあっちゃん、そしてこちらがルリちゃん』ですと、
ブログに書いているハンドルネーム?で紹介する。エントツ山さんとは過去に何回か一緒に
歩いたことはあるが、アカリプタさんとは雲早山でお会いしたが、一緒に歩くのは
初めてになる。『それでは・・・!』と言うことで駐車場をスタート。その直後に『え
~とどっちがあっちゃんだったかな?』とエントツ山さんがまた聞いてくる。
三ノ沢の砂防ダムは昨年も工事中だったが、今日も工事看板には『コンクリートの打設
日』と書かれていた。最初は三ノ沢の右岸の作業道に沿って登って行く。
前を歩く奥様たちを見て、『ルリちゃんと・・・う~んと』とエントツ山さん。
『あっちゃんです。今度間違えたら怒られますよ!』と笑って答えた。
沢には幾重もの砂防ダム。『ずっと工事をしてるわね』とあっちゃん。『ダムを造っても
直ぐに埋まってしまうのでキリがないんでしょうね』と答える。正面の剣ケ峰はまだ雲
に隠れてお顔を出してくれていない。
作業道から樹林帯の中へ入りそこから一旦左岸へと渡り、しばらくは樹林帯の中の道が
続いていく。今日は花音痴にとっては頼りになる花博士のアカリプタさんがいる。さっ
そく道の脇の草花の名前を教えてもらう。
樹林帯歩きが終わると砂防ダムの袖天端を歩いてまた沢に出る。目の前にはこの三ノ沢の
最上部の巨大な砂防ダムが現れる。その砂防ダムの足元を右岸へと渡り、袖のロープのか
かったコンクリートの斜面を登って行く。
最終砂防ダムの突堤からはこのコースの序章の始まり、ザレた道になる。正面の稜線は雲
が流れて気持ちのいい青空が広がっている。昨年はガスがかかってほとんど見えなかった
だけに感激ひとしおだ。『シロバナダイセンクワガタみ~っけ!』
この場所は幅こそ狭いが、涸沢や木曽駒のカールに見えなくもない。右手の尾根に小さく
キリン峠のポールが見えた。今日は本当に視界良好!
石や石屑で埋められた沢だが、踏み跡はしっかりしているので、その踏み跡に沿って沢の
右手に向かって登って行く。あっちゃんの頭の上のザレ場は去年下りでスキーができると
言いながら二人で滑り落ちた場所だが、今年はこの膝ではとても無理だろう。
ザレ場から低木の生える支尾根へ取り付くが、この場所細かい石屑の急斜面。ザレ場より
更にズルズルと足が滑る
急登をやり過ごすと左上前方に剣ケ峰の山頂碑が見える。
正面に槍ケ峰が見え始めると、今日のお目当てのイワカガミのお花畑。その槍ケ峰の巻
道をヘルメットを被ったペアが登っているが、その上の岩肌もピンク色に染まっている。
すると頭の上からけっこうな大きさの石が落ちてきた。見上げると登山道から外れて写
真を撮りに行っている男性。そしてまた一個、二個と落ちてくる。慌てて小走りで逃げ
るが、当の本人は写真に夢中なのか、下に人がいるのに全く気付かず。
写真を撮るのはいいけれど、それくらい周りの配慮は欲しいもんだ。
山肌にびっしりと張り付き咲いているイワカガミ。アカリプタさんやあっちゃんも写真
撮影に夢中だ。一本一本の茎との間隔が狭いうえに、その茎の先には数個の花が付いて
いるので、遠目に見ると本当に山肌がピンク色に染まって見える。
槍ケ峰の岩稜の足元を巻いて稜線に出る。途中ですれ違った男性から『稜線に出ると風
が強いから気を付けて』とアドバイスを受けた通り、北から強い風が吹き上げてきた。
槍ケ峰に登って行くアカリプタさんとあっちゃん。ルリちゃんと言えばもちろんパス。
するとエントツ山さんが『三人の写真を撮るからKAZASHIさんも登って!』と仰
る。昔はそうでもなかったが、ここ最近はあまり高いところが不得手になってきた。
しかも膝の踏ん張りがきかないので、ザレ場なら未だしも、痩せ尾根の今にも崩れそ
うな岩が積み重なった場所でバランスでも崩したなら・・・・・と躊躇していたら、
『早よ早よ!』急かされる。仕方がないので渋々登って行って撮ってもらった写真がこ
れ。写真で見ると高度感はそれほどでもなく、な~んだ!といった感じだ。
槍ケ峰から戻り次の三ケ峰へと稜線を歩いて行く。油断すると被っている帽子が飛ばさ
れそうな風の強さだ。三ケ峰山頂もやはり風が強い。ここで皆さん上着を着込む。
昨年同様はルリちゃんはここまで。ここからは四人で剣ケ峰を目指す。アタック開始だ!
天狗ケ峰への稜線は踏み固められていて意外と歩きやすい。だけどこの大山の上部は礫
岩になのだろうか?乾いているととにかく滑りやすい。やっぱり登山靴を買い替えてい
て良かった。
天狗ケ峰からは北東にユートピア避難小屋に尾根が続いている。この間も、歩いている
人は確かにいるけれど、出来たら歩かない方がいいとエントツ山さん。それを聞いて残
念がるあっちゃん。昨年ユートピア避難小屋の上まで歩いているので歩いて線を繋ぎた
いらしい。
天狗ケ峰までは南側に草木が生えていたが、天狗ケ峰からは今度は北側に草木が生えて
いる。出来るだけ右によって歩いて行くが、二カ所ほど南側の崩れた斜面が削れてオー
バーハングになっていてヒヤッとする箇所がある。
剣ケ峰が近づいてくると稜線から少し北側下をトラバースする。ダイセンキャラボクの
生える少し歩きにくい道になる。するとエントツ山さんが『アカリプタさん、サンカヨ
ウ見に行く?』と言いながら登山道から少し外れて行く。案内された場所には山肌に白
い小さな花が一面に咲いていた。初めて見るサンカヨウ。雨で濡れると透明になると説
明を受けるが、また一度透明の花を見てみたい。
登山道まで戻ると道の脇には小さな花たち。冷たい風の吹く中で健気に花を咲かせている。
低木に囲まれた場所には、この稜線には不釣り合いな濃い紫のノビネチドリが咲いていた。
剣ケ峰は大山の最高峰。ただ山肌を見ると礫岩が積みあがっている様子がよく分かる。毎
年、雪解けとともに少しづつ崩れているそうだが、あと何十年後かにこの山頂は残ってい
るのだろうか?昨年はほとんど景色が見られなかったこの山頂も、今日は絶景が広がって
いる。南には一から二・三と沢が並び、北には弓ヶ浜の弓なりの形がよく見える。
弥山に続く稜線も夏場はとても危険だという。冬場なら何とか歩けるとエントツ山さんが
教えてくれて、ここでも残念がるあっちゃん。『あなたどれだけ線を繋ぐのが好きなの!』
エントツ山さんとツーショットは出会って20年になるけれど、初めてかもしれない!
山頂には先ほど槍ケ峰の下を登っているのが見えたご夫婦がいた。ヘルメットを被ってザ
イルでアンザイレンをとっていた。『お二人愛し合っているんですね!』とあっちゃん。
すると『ハイ!』と奥様から明るい返事が返ってきた。
『そしたら私たちも』とあっちゃんが言うので『イヤです』と即答する私。
それではルリちゃんの待つ三ケ峰へ戻って行きましょう。
相変わらず今にも崩れそうで危うげな場所も、登って来た時にドキドキしたのに比べる
と全然平気になっていた。右と左の平衡感覚の違いなのか、二回目通るせいなのかは分
らない。
首を長くして待っているルリちゃんが気になり気がせくが、油断大敵とにかく足を滑ら
せないように下って行く。
三ケ峰に到着後、ここでお昼ご飯にする。朝つるやで買ったカツ入りのおむすびを食べ
る。カツサンドのおにぎり版といったところだが、他にも珍しいおかずパンやお弁当の
種類もたくさんあって、大山に来る時の立ち寄りポイントになった。
ご飯を食べている途中でもアカリプタさんは写真撮影に夢中だ。身軽なアカリプタさん
は、歩行中もずっと片手にカメラを持って歩いていた。
お昼ご飯を食べたら下山開始。先ずは槍ケ峰へと下って行くと、先ほどのご夫婦がアンザ
レンで降りて来ている。その姿を見て私の顔を見るあっちゃんに『大丈夫、私はロープを
切りますから!』と言う。
槍ケ峰に基部を回り込んで下り、少し下の分岐からキリン峠へと歩いて行く。去年は三ノ
沢のピストンだったので、初めて歩く道だ。烏ケ山を見下ろしながら急坂を下って行く。
心配性のルリちゃんも、草木が生えていれば大丈夫の様だ。こちらも片側が火山灰のよ
うな色をした今にも崩れそうな斜面になっている。
急坂の途中からはまた山肌をピンクの色が染めている。往路ではまだ昨日の雨で濡れた
イワカガミが生き生きとしていたが、この時間になると随分と乾いている。
どれくらい下っただろうか?写真では見たことのあるステンレスのポールの立つキリン
峠に着いた。土曜日にエントツ山さんは鳥越峠からここまで登ってきたが、その途中の
ザレた斜面というか崖の場所がヤバイそうだ。それはどの辺りだろうとアカリプタさん
とあっちゃんが確認している。
今日はここから登り返すのもしんどいので、このまま南に延びる支尾根を下ることにす
る。来る前にチェックしたchikakoさんが下ったルートで、エントツ山さんも初めてだそ
うだ。
しばらくの間は灌木の中歩きにくいが、歩いている人も多いのか踏み跡はしっかりして
いる。灌木の最後は長いロープ場になって一旦涸れ沢に下りる。けっこう長いロープだ
ったが、最後まだザレて滑りやすい場所があるので、もう少し長ければいいのにと贅沢
を言うメンバーたち。
沢を横断して向かいの尾根に乗り換える。この辺りはイワカガミと一緒に独特な色合い
のたくさんのオダマキが、手を広げてみんなでダンスを踊っていた。
キリン峠からの緑と灰色の支尾根はこの辺りまで。ここから先は樹林帯の中の道になる。
樹林帯の中も所々で肥えた黒い土の斜面が濡れて滑りやすくなっている。ただ踏み跡は
しっかり付いているので迷うことはない。
明るい稜線から緑の中を15分ほど下っただろうか、地形図にも載っている文殊越に着
いた。ここから北東に折れるとエントツ山さんが土曜日に歩いた鳥越峠への登山道とな
る。そして下りの道もYAMAPのコース図にもしっかりと登山道が載っている。
最初は苔の付いた岩がゴロゴロ転がる歩きにくい道だったが、しだいにしっかりとした
登山道になる。この間は手つかずの自然が残っていて、周りの草木も四国に比べると、
とにかく造作がデカイ!
文殊越からはほぼコースタイム通りに車を停めた駐車場から少し下手の、大山環状道路
に飛び出した。
エントツ山さんとアカリプタさんは今晩はテント泊をして、あす一ノ沢を上り詰めるそう
だ。『来年は三人で登ってみたら!』お勧めされた。駐車場でお二人と別れた後、鍵掛峠
で歩いてきた稜線を振り返る。そして朝は雲がかかって見えなかった、御机の茅葺小屋
にも立ち寄ってみる。
今の季節は牧歌的なこの風景も、冬には一転真っ白な雪景色で厳しい環境になるのだろ
う。そんな厳しい季節の繰り返しで大山の自然は豊かに今も残っているのかもしれない。
次訪れるのは夏のお花畑になるのだろう。見る場所によっても全く違う顔を見せてくれ
る大山。また来るからねと帰路につく。
週はどうしましょうか?』と尋ねると、『イワカガミ!』とあっちゃんが即答。『石鎚山?』
と聞きなおすと、『剣ケ峰よ!』と返事が返ってきた。『去年はエントツ山さんが6月初
旬に登っていたので、来週ちょうどいいくらいかも』と仰る。いつになく行先を決めて
いたので後から話を聞くと、今年のカレンダーに6月5日に〇を付けて、前々から行き
たいと思っていたそうだ。ただ私の膝のケガもあって今年は行けないかもしれないと思
っていたらしい。
この時はまだ天気予報が生憎の雨マークだったが、2・3日すると晴れマークに変わっ
たので、『それじゃイワカガミ、見に行きましょう!』と相成った。
すると日曜日辺りから『のーちゃん・ばんぶう・Jr』さんたちが次々とキリン峠から剣
ケ峰への活動日記をアップしていた。そして最後にエントツ山さんが『二度と登りたく
ないルートなのに・・・・。』とブツブツ文句を言いながらも、案内役で出かけていた
ので『水曜日に出かける予定なのですが、イワカガミはまだ大丈夫ですか?』とLIN
Eを入れると、『大丈夫!私もアカリプタさんと出かける予定です』と返事が返ってき
た。それじゃ~という事で、登山口となる文殊堂駐車場で待ち合わせをして、一緒に登
る事になり、そのことを奥様たちに伝えると二人は大喜び!なんせ普段からエントツ山
さんとアカリプタさんの話をしているので、奥様たちはお二人の大ファンなのだ。
丸亀で6時に待ち合わせをして高速道路で北上。蒜山ICを降りてすぐの『おべんとう
のつるや』で昨年、三ケ峰で出会った女性に教えてもらったおにぎりを買う。
予定通り8時30分に文殊堂の駐車場に着くと、すでにエントツ山さんとアカリプタさ
んは身支度を始めていた。
『お久しぶりです!』の挨拶のあと奥様たちを紹介すると、『え~とお名前は?』とエン
トツ山さんが聞いてきた。『こちらがあっちゃん、そしてこちらがルリちゃん』ですと、
ブログに書いているハンドルネーム?で紹介する。エントツ山さんとは過去に何回か一緒に
歩いたことはあるが、アカリプタさんとは雲早山でお会いしたが、一緒に歩くのは
初めてになる。『それでは・・・!』と言うことで駐車場をスタート。その直後に『え
~とどっちがあっちゃんだったかな?』とエントツ山さんがまた聞いてくる。
三ノ沢の砂防ダムは昨年も工事中だったが、今日も工事看板には『コンクリートの打設
日』と書かれていた。最初は三ノ沢の右岸の作業道に沿って登って行く。
前を歩く奥様たちを見て、『ルリちゃんと・・・う~んと』とエントツ山さん。
『あっちゃんです。今度間違えたら怒られますよ!』と笑って答えた。
沢には幾重もの砂防ダム。『ずっと工事をしてるわね』とあっちゃん。『ダムを造っても
直ぐに埋まってしまうのでキリがないんでしょうね』と答える。正面の剣ケ峰はまだ雲
に隠れてお顔を出してくれていない。
作業道から樹林帯の中へ入りそこから一旦左岸へと渡り、しばらくは樹林帯の中の道が
続いていく。今日は花音痴にとっては頼りになる花博士のアカリプタさんがいる。さっ
そく道の脇の草花の名前を教えてもらう。
樹林帯歩きが終わると砂防ダムの袖天端を歩いてまた沢に出る。目の前にはこの三ノ沢の
最上部の巨大な砂防ダムが現れる。その砂防ダムの足元を右岸へと渡り、袖のロープのか
かったコンクリートの斜面を登って行く。
最終砂防ダムの突堤からはこのコースの序章の始まり、ザレた道になる。正面の稜線は雲
が流れて気持ちのいい青空が広がっている。昨年はガスがかかってほとんど見えなかった
だけに感激ひとしおだ。『シロバナダイセンクワガタみ~っけ!』
この場所は幅こそ狭いが、涸沢や木曽駒のカールに見えなくもない。右手の尾根に小さく
キリン峠のポールが見えた。今日は本当に視界良好!
石や石屑で埋められた沢だが、踏み跡はしっかりしているので、その踏み跡に沿って沢の
右手に向かって登って行く。あっちゃんの頭の上のザレ場は去年下りでスキーができると
言いながら二人で滑り落ちた場所だが、今年はこの膝ではとても無理だろう。
ザレ場から低木の生える支尾根へ取り付くが、この場所細かい石屑の急斜面。ザレ場より
更にズルズルと足が滑る
急登をやり過ごすと左上前方に剣ケ峰の山頂碑が見える。
正面に槍ケ峰が見え始めると、今日のお目当てのイワカガミのお花畑。その槍ケ峰の巻
道をヘルメットを被ったペアが登っているが、その上の岩肌もピンク色に染まっている。
すると頭の上からけっこうな大きさの石が落ちてきた。見上げると登山道から外れて写
真を撮りに行っている男性。そしてまた一個、二個と落ちてくる。慌てて小走りで逃げ
るが、当の本人は写真に夢中なのか、下に人がいるのに全く気付かず。
写真を撮るのはいいけれど、それくらい周りの配慮は欲しいもんだ。
山肌にびっしりと張り付き咲いているイワカガミ。アカリプタさんやあっちゃんも写真
撮影に夢中だ。一本一本の茎との間隔が狭いうえに、その茎の先には数個の花が付いて
いるので、遠目に見ると本当に山肌がピンク色に染まって見える。
槍ケ峰の岩稜の足元を巻いて稜線に出る。途中ですれ違った男性から『稜線に出ると風
が強いから気を付けて』とアドバイスを受けた通り、北から強い風が吹き上げてきた。
槍ケ峰に登って行くアカリプタさんとあっちゃん。ルリちゃんと言えばもちろんパス。
するとエントツ山さんが『三人の写真を撮るからKAZASHIさんも登って!』と仰
る。昔はそうでもなかったが、ここ最近はあまり高いところが不得手になってきた。
しかも膝の踏ん張りがきかないので、ザレ場なら未だしも、痩せ尾根の今にも崩れそ
うな岩が積み重なった場所でバランスでも崩したなら・・・・・と躊躇していたら、
『早よ早よ!』急かされる。仕方がないので渋々登って行って撮ってもらった写真がこ
れ。写真で見ると高度感はそれほどでもなく、な~んだ!といった感じだ。
槍ケ峰から戻り次の三ケ峰へと稜線を歩いて行く。油断すると被っている帽子が飛ばさ
れそうな風の強さだ。三ケ峰山頂もやはり風が強い。ここで皆さん上着を着込む。
昨年同様はルリちゃんはここまで。ここからは四人で剣ケ峰を目指す。アタック開始だ!
天狗ケ峰への稜線は踏み固められていて意外と歩きやすい。だけどこの大山の上部は礫
岩になのだろうか?乾いているととにかく滑りやすい。やっぱり登山靴を買い替えてい
て良かった。
天狗ケ峰からは北東にユートピア避難小屋に尾根が続いている。この間も、歩いている
人は確かにいるけれど、出来たら歩かない方がいいとエントツ山さん。それを聞いて残
念がるあっちゃん。昨年ユートピア避難小屋の上まで歩いているので歩いて線を繋ぎた
いらしい。
天狗ケ峰までは南側に草木が生えていたが、天狗ケ峰からは今度は北側に草木が生えて
いる。出来るだけ右によって歩いて行くが、二カ所ほど南側の崩れた斜面が削れてオー
バーハングになっていてヒヤッとする箇所がある。
剣ケ峰が近づいてくると稜線から少し北側下をトラバースする。ダイセンキャラボクの
生える少し歩きにくい道になる。するとエントツ山さんが『アカリプタさん、サンカヨ
ウ見に行く?』と言いながら登山道から少し外れて行く。案内された場所には山肌に白
い小さな花が一面に咲いていた。初めて見るサンカヨウ。雨で濡れると透明になると説
明を受けるが、また一度透明の花を見てみたい。
登山道まで戻ると道の脇には小さな花たち。冷たい風の吹く中で健気に花を咲かせている。
低木に囲まれた場所には、この稜線には不釣り合いな濃い紫のノビネチドリが咲いていた。
剣ケ峰は大山の最高峰。ただ山肌を見ると礫岩が積みあがっている様子がよく分かる。毎
年、雪解けとともに少しづつ崩れているそうだが、あと何十年後かにこの山頂は残ってい
るのだろうか?昨年はほとんど景色が見られなかったこの山頂も、今日は絶景が広がって
いる。南には一から二・三と沢が並び、北には弓ヶ浜の弓なりの形がよく見える。
弥山に続く稜線も夏場はとても危険だという。冬場なら何とか歩けるとエントツ山さんが
教えてくれて、ここでも残念がるあっちゃん。『あなたどれだけ線を繋ぐのが好きなの!』
エントツ山さんとツーショットは出会って20年になるけれど、初めてかもしれない!
山頂には先ほど槍ケ峰の下を登っているのが見えたご夫婦がいた。ヘルメットを被ってザ
イルでアンザイレンをとっていた。『お二人愛し合っているんですね!』とあっちゃん。
すると『ハイ!』と奥様から明るい返事が返ってきた。
『そしたら私たちも』とあっちゃんが言うので『イヤです』と即答する私。
それではルリちゃんの待つ三ケ峰へ戻って行きましょう。
相変わらず今にも崩れそうで危うげな場所も、登って来た時にドキドキしたのに比べる
と全然平気になっていた。右と左の平衡感覚の違いなのか、二回目通るせいなのかは分
らない。
首を長くして待っているルリちゃんが気になり気がせくが、油断大敵とにかく足を滑ら
せないように下って行く。
三ケ峰に到着後、ここでお昼ご飯にする。朝つるやで買ったカツ入りのおむすびを食べ
る。カツサンドのおにぎり版といったところだが、他にも珍しいおかずパンやお弁当の
種類もたくさんあって、大山に来る時の立ち寄りポイントになった。
ご飯を食べている途中でもアカリプタさんは写真撮影に夢中だ。身軽なアカリプタさん
は、歩行中もずっと片手にカメラを持って歩いていた。
お昼ご飯を食べたら下山開始。先ずは槍ケ峰へと下って行くと、先ほどのご夫婦がアンザ
レンで降りて来ている。その姿を見て私の顔を見るあっちゃんに『大丈夫、私はロープを
切りますから!』と言う。
槍ケ峰に基部を回り込んで下り、少し下の分岐からキリン峠へと歩いて行く。去年は三ノ
沢のピストンだったので、初めて歩く道だ。烏ケ山を見下ろしながら急坂を下って行く。
心配性のルリちゃんも、草木が生えていれば大丈夫の様だ。こちらも片側が火山灰のよ
うな色をした今にも崩れそうな斜面になっている。
急坂の途中からはまた山肌をピンクの色が染めている。往路ではまだ昨日の雨で濡れた
イワカガミが生き生きとしていたが、この時間になると随分と乾いている。
どれくらい下っただろうか?写真では見たことのあるステンレスのポールの立つキリン
峠に着いた。土曜日にエントツ山さんは鳥越峠からここまで登ってきたが、その途中の
ザレた斜面というか崖の場所がヤバイそうだ。それはどの辺りだろうとアカリプタさん
とあっちゃんが確認している。
今日はここから登り返すのもしんどいので、このまま南に延びる支尾根を下ることにす
る。来る前にチェックしたchikakoさんが下ったルートで、エントツ山さんも初めてだそ
うだ。
しばらくの間は灌木の中歩きにくいが、歩いている人も多いのか踏み跡はしっかりして
いる。灌木の最後は長いロープ場になって一旦涸れ沢に下りる。けっこう長いロープだ
ったが、最後まだザレて滑りやすい場所があるので、もう少し長ければいいのにと贅沢
を言うメンバーたち。
沢を横断して向かいの尾根に乗り換える。この辺りはイワカガミと一緒に独特な色合い
のたくさんのオダマキが、手を広げてみんなでダンスを踊っていた。
キリン峠からの緑と灰色の支尾根はこの辺りまで。ここから先は樹林帯の中の道になる。
樹林帯の中も所々で肥えた黒い土の斜面が濡れて滑りやすくなっている。ただ踏み跡は
しっかり付いているので迷うことはない。
明るい稜線から緑の中を15分ほど下っただろうか、地形図にも載っている文殊越に着
いた。ここから北東に折れるとエントツ山さんが土曜日に歩いた鳥越峠への登山道とな
る。そして下りの道もYAMAPのコース図にもしっかりと登山道が載っている。
最初は苔の付いた岩がゴロゴロ転がる歩きにくい道だったが、しだいにしっかりとした
登山道になる。この間は手つかずの自然が残っていて、周りの草木も四国に比べると、
とにかく造作がデカイ!
文殊越からはほぼコースタイム通りに車を停めた駐車場から少し下手の、大山環状道路
に飛び出した。
エントツ山さんとアカリプタさんは今晩はテント泊をして、あす一ノ沢を上り詰めるそう
だ。『来年は三人で登ってみたら!』お勧めされた。駐車場でお二人と別れた後、鍵掛峠
で歩いてきた稜線を振り返る。そして朝は雲がかかって見えなかった、御机の茅葺小屋
にも立ち寄ってみる。
今の季節は牧歌的なこの風景も、冬には一転真っ白な雪景色で厳しい環境になるのだろ
う。そんな厳しい季節の繰り返しで大山の自然は豊かに今も残っているのかもしれない。
次訪れるのは夏のお花畑になるのだろう。見る場所によっても全く違う顔を見せてくれ
る大山。また来るからねと帰路につく。
登山ガイドをしているものです。
県外の方ですのでご存じないかもしれませんが、剣が峰の石碑はケルン(慰霊碑)です。
慰霊碑の上に登られるのはいかがなものかと思います。ヤマップにコメントしようかとも思いましたがこちらにしておきました。できれば削除・差し替えされた方がよろしいかと思います。
早速ですが修正させていただきました。