KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

梅雨空の下、今日は自主トレ!

2024年06月28日 | 香川の里山

 

先週、塩塚高原を歩いたあとの駐車場で『来週は雨予想なので、取りあえずお休みにし

ましょう!』と奥様たちに伝えた。天気予報が回復すればと思っていたが、予想通りの

高松は曇りのマーク。山間部では?の予報。山に出かけないとなればいつになくゆっく

りと朝寝して、その後朝食を食べながらスマホを見ているとSNSに『時の納屋が6月

30日にオープン』の写真が上がってきた。

以前から地元の大串自然公園の芝生広場に建築されていたのは知っていたが、実際に完

成した写真に目が留まった。このまま家でじっとしているのも・・・と思い、建物見学

と大串自然公園を散策してみる事にした。





公園内の駐車場に車を停めて、新しくできたアプローチを歩いて行くと直ぐに写真で見

た建物が目に飛び込んでくる。アプローチの両側は芝生と木々の苗木が植えられたばか

りで、歩みを進めていくと建物の横に小豆島の島影が見え始め、建物まで来ると瀬戸内

の海が目の前に広がってくる。







我が家の子供たちが小さいころからよく遊びに来ていたこの場所。目の前には小豆島。

その間を船が行き交い、海風にのってトンビが気持ちよさそうに飛んでいる。いつ来て

も瀬戸内の素晴らしい景色だと思っていた場所だったが、以前あった温泉施設や宿泊施

設も閉鎖してイマイチこのロケーションを生かせていない気がしていたので、今回の取

り組みが活性化につながればと思った。

建物の南側の大きな掃き出し窓から中を覗いてみると、ガラス越しにカフェスペースが

見えた。無垢のテーブルと椅子の奥には開放感のある窓の向こうに瀬戸内海の景色が広

がっていた。オープンすればランチの時間に女性たちの賑やかな声が聞こえてきそうだ。








『時の納屋』の北側には以前からあった双眼鏡の置かれた展望台。そこからさらに北側

にある野外音楽広場のテアトロンへ下りていく道が続いている。春には桜並木が瀬戸内

海へと続く景色を見ることができる。ここ最近、歩き始めは必ず膝が痛む。それもしば

らく歩くとマシになってくるが、いきなりの下り坂は結構キツイ。





円形の野外ステージは客席から見るとステージのバックに瀬戸内が広がっている。過去

のコンサートもけっこう有名なアーティストが開催していて、地元民としては自慢の施

設だ。ただ駐車場を含めてアクセスが悪いのが難点だ。








テアトロンからさらに下って行くと『長ぞわい観音』の案内版があったので左に折れて

下って行くと、ここでも瀬戸内海を背にして立派な観世音菩薩像が建っていた。

海上交通の安全と大漁を願って作られた庵治石の観世音菩薩だが、元々はこの像の北側

から更に急斜面を下った岩礁の上に、地元の漁師が建てた像があるらしいが今日はパス。










この観世音菩薩像の手前に東へ道が続いていた。おそらく大串岬への道だろうと思い歩

いて行ってみる。道の脇の草花を眺めながら歩いているといつのまにかテアトロンの施

設の下側に出た。あわててスマホを見てみると、岬への取り付きを通り過ぎていたので

後戻りして岬への降り口を探すが、GPSの地形図の破線のある辺りになっても、それ

らしい道が見当たらない。行ったり来たりしながら探していると草むらの奥に階段らし

きものが見えた。足を踏み外さないように草をかき分け降りていくと、岬に向かって階

段が続いていた。








途中道の脇にはベンチがあり、この公園を開発した当初は遊歩道として整備されていた

のだろう。この大串岬はさぬき市の最北端になるので、管理をしていればちゃんとした

訪れる人もいるのにな~なんて思いながら歩いていると、道の半分が崩れて消失してい

た。かなりの規模で崩れていたので復旧するにはけっこう予算がかかるので放置されて

いるのだろう。この場所には限らないが造ったのはいいけれど、ランニングコストを考

えずに造って、結局管理できていないモノがあちらこちらで同じように放置されたまま

になっています。











遊歩道の終点には東屋がありこの季節、木々が茂ってはいるものの瀬戸内海を見渡せる。

先ほどの芝生広場の展望台とはまた目線の高さが違った景色を見ることができる。










大串岬から遊歩道を登り返し、舗装路にでる。長ぞわい観音の標識から少し下ると今度

は『石切り場』の説明版が道の脇に建っていた。標識に従って歩いてみるが途中で大き

なくぼみに水が溜まって奥に進めそうにないのであきらめて引き返す。











道は更に下り坂。この道の最低部になると道の脇に駐車場があり、GoogleMAPでは海

釣り公園になっている場所に寄り道してみる。以前に子供たちを連れて浜辺で遊んだ場

所にはなんだかとってもおしゃれなゲストハウスぽい建物が建っていた。






その建物の前を通らせてもらって海岸沿いの遊歩道を、先ほどの大串岬から見えた赤い

大串埼沖灯標近くまで北に向かって歩いて行く。コンクリートでできた遊歩道の上を足

を踏み出すたびに無数のフナムシが逃げまどっている。フナムシの大きさと私の身長を

比べると、まるで以前に見た『ゴジラ-1.0』で東京湾から上陸したゴジラを前に必死で

逃げる人間の姿が思い浮かんだ。

遊歩道の脇に咲く小さな草花を眺めながら歩いて行くと、遊歩道は灯標までは続いてい

なくて途中から『長ぞわい観音』の方へ階段が続いていたので、仕方なく引き返す。

防波堤の先ではのんびりと釣り糸を垂れる人の姿があった。














海釣り公園の駐車場まで戻ると舗装路は下り坂から登坂になる。途中にあるオートキャ

ンプ場は今日は休場のようで、手入れの行き届いた緑の芝生が輝いていた。

東の対岸では志度カントリークラブの芝生が見える。







さらに舗装路を登って行く途中で鼻を突く匂いが漂ってきた。『何の匂いだろう?』と思

ったが、すぐにブドウが腐った匂いだと思った。匂いの記憶は半世紀も前の小学生の頃に

地元のブドウ畑で遊んでいた時に嗅いだ思い出を蘇らせた。

そんな匂いが途切れると目の前に大きな建物が現れた。四国で初めてできたワイン工場の

さぬきワイナリーだ。設立されて30年以上も経つが恥ずかしながら一度も訪れたことが

ない。今日も時間の都合でスルーする。








ワイナリーから一旦県道に出て東に苫張漁港に続く道を歩いて行くと、山側に摩崖仏と書

かれた矢印案内板が見えた。案内板に沿っていくと斜面に不動明王の摩崖仏が座っていて、

その脇には如意輪観音像が刻まれていた。

昭和の終わりに長尾町の蓮井一郎さんが毎日通って彫り上げたというこの摩崖仏は、今ま

で見てきた摩崖仏とは少し違って作者の個性だろう、何となく憎めない表情をしている。











その摩崖仏の横から尾根に向かって登って行く。先ほどまでの舗装路は登坂でも緩やかだ

ったので、今日初めての急登ですぐに息が切れる。所々に付いたピンクのテープを目印に

登って行くと程なく尾根に出た。

尾根に出ると右手はヒノキの植林地。一旦下って鞍部から登り返し、少しスズタケをかき

分け歩いて行くと大串山に着いた。










地形図では137mの標高点だけになっているが、YAMAPでは山頂ポイント、そして

山頂標からも判るように、『さぬき市里山チャレンジ30』の一座にもなっている。これ

で『さぬき市里山チャレンジ30』も残り二座。この冬にでもまた歩いてみよう。

 

 

 

大串山からの折り返しは急坂の摩崖仏へは下らずにそのまま尾根を下って行く。こちら

もピンクのテープの沿って歩いて行くが、最後は今は使われていない別荘のような建物

に向かって、背丈ほどの草をかき分け降りていくと県道に飛び出した。

 

 

 

今まで何度も訪れたことのあるこの大串半島だが、車で走ることはあっても今回のように

歩くのは初めての事だった。車では気づかなかった史跡や遺跡があることに気づかされ、

改めて地元のこの場所のすばらしさを再認識したウォーキング+一座となった。

 

 

 

 


涼風求めて塩塚高原へ⁉

2024年06月20日 | 四国の山


昨年もそうだったが梅雨入り宣言があった後、しばらく天気のいい日が続いている。た

だその青空も今日が最後の様で、このあとは本格的に雨降りの日が続いていくみたいだ。

その梅雨の季節のように左膝もジクジクとしてあまり調子が良くはない。例年なら張り

切ってどこに出かけようかと考えるのだけれど、イマイチ気持ちが乗ってこないので、

奥様たちに『どこか歩きたい場所はありますか?』と尋ねたら、あっちゃんが『塩塚峰

に興味があります!』と返事かえってきた。

それじゃ~そのご希望に沿わせていただきますということで、霧の森の道の駅に集合と

なった。ここから栄谷から山に分け入り塩塚峰へと登った後、新瀬川へと下る周回コー

ス。もう18年も前になるが山の会の山行で、塩塚峰から栄谷へ下ったことはあるが、

新瀬川の道は初めてのルートになる。




道の駅の駐車場を8時36分にスタート。県道を南に少し歩いてすぐに分岐を左に入っ

て行くと、2kmに渡って12基の石碑が並んだ『志の道』になる。それぞれの石碑に

は各偉人の言葉が刻まれていて、その言葉を読み意味を感じながら歩いて行く。







またこの道沿いは『ミニ四国霊場』にもなっていて、道の脇には石仏が並んでいる。道

が四差路になる場所から左に栄谷へと登って行く。











しばらくの間は民家が点在する中の舗装路を歩いて行く。山間部とはいえ道路部分は日差

しを遮る木々もなく、もうすでに汗が噴き出ている。










舗装路はまだ続いていたが、道の脇に『少年自然の家』のNO.2の標識の立つ場所から左

に折れて山の中に入って行くが、YAMAPではここが登山口となっている。ここまで

駐車場から約45分。道の脇の沢からの冷気のせいかこの暑さの中、吐く息が白かった。

道は地元の方の手によるのかきれいに草刈りがされていたが、最終民家に人の姿はなか

った。














最終民家を過ぎると杉林の中の道になる。しばらく登って行くと石積みと石畳の道。そ

の石積みも一つや二つではなくかなりの数になる。以前に集落があったのだろうか?










道は少し荒れ始めたが、そのガレ道を登ると炭焼き小屋跡があり、ちょうど3合目の札

がかかっていた。








この栄谷のかなり上部にまで石積みは続いていた。『こんな山奥まで果たして?』という

疑念が沸いてきたが、畑作とかの石積みにしてはやはり立派過ぎる。














道は北東から南に折れて急登になった。谷あいで薄暗かった周りも少しづつ明るさを増

していき、いったん平道になると5合目の札がかかっていた。











植栽地の杉林の中を縫うように登って行くと右手は伐採地。一気に明るさが増した。







伐採地横から杉林の中、ひと登りすると林道に飛び出した。ここから946mの三角点

へと階段が続いている。登ってきた道への取り付きには少年自然の家の道標が建ってい

る。この道と下山路となる新瀬川の道は、少年自然の家からの小学生たちの学校登山の

コースとなっているらしい。途中草刈りをしてあったのはその為だったのかもしれない。

ここからは三角点には登らずに林道を北に歩いて行く。

『さぁ、ここから朝ドラの話が始まるんですかね~』と冗談で言うと、奥様たちは本当

に朝ドラの話をし始めた。











林道から三差路に出て今度は東に向かって舗装路を歩いて行く。三差路からすぐに以前

からあった霧の森の高原の施設が眼下に見えた。以前からあった建物とは別に、新たに

オートキャンプ場が整備され、道の上手にはグランピングの真新しい施設もできていた。











しばらくの間、東に舗装路を歩いて行くと次第に高原らしき草地が広がってきた。パラグ

ライダー場の道標に従い南に右折し道なりに歩いて行く。











すると振り返っての景色も一気に広がってきた。正面には法皇山系から東に続く稜線が

見える。稜線上に等間隔に鉄塔が続き、以前に縦走した時に歩いて横を通った廃棄物の

リサイクル場の施設が確認できる。








車道から山道へと入って行くと塩塚峰山頂へと続く階段が見えた。遮るものもなく、日差

しが照り付ける中の最後の踏ん張りどころだ。











たしか六甲全山縦走の時に『天国への階段』と名付けられた場所があったが、明るい空

へと続いているこの道もまさしく『天国への階段』だ。大きく息を吐きながら一段一段

登って行く。谷あいの水で濡らした冷感タオルももう既に乾いてしまっていて、流れる

汗を拭いても快適とは程遠い。











大汗をかきながらも何とか登りきると360度の絶景が待っていた。今まで登ってきた

峰々、そして歩いてきた稜線が見渡せる。そしてその先に汗を掻いてきた思い出が蘇っ

いてくる。山頂では爽やかな風に乗ってか、大きな虫が飛び交っている。『ここではお

昼ご飯は食べられないわね』とあっちゃん。『この東に東屋があるのでそこでご飯にし

ましょう』














東屋のある展望所までは3回ほどアップダウンを繰り返す。山頂から下った鞍部は新瀬

への分岐になっている。そこからまた緩やかな坂を登って行くと聞き慣れない音が聞

こえてきた。眩しい空を見上げるとグライダーが飛んでいた。そして二つ先のピークに

は人影が見える。あそこからラジコンのグライダーを飛ばしているのだろう。

















ラジコンを操作している人の所で話しかけると、『今日は少し風が弱い』とのこと。空を

飛んでいる姿はさほどではないが、近くで見ると結構な大きさだ。『エンジンで飛ばすの

ですか?』と尋ねると『モーターで飛ばしてあとは風で!』と笑顔で答えてくれた。








展望所の東屋の日陰に入るとさっきまでの暑さが嘘のように、乾いた風が心地よい。

汗を拭き椅子に腰かけあっちゃんがザックから取り出してきたのはインスタントの

焼きそばだった。『ほら夏の暑い時でもBBQでは焼きそばをたべるでしょ!』と自

慢げに話をする。『でもBBQの時はビールがあるでしょう』と言うと、少し不満げ

な顔をしながら『でも絶対美味しいはずよ!』と。『少し食べてみる』とルリちゃん

に勧めてみるが『私はいいわ!』とあっさり断られた。




せっかくなので少し分けてくれた焼きそばを一口。甘いソースが何とも言えずにいた

ら、『どう、美味しいでしょ!』と無理やり言わそうとする。『この夏は焼きそばで攻

めてみる!』と呆れ顔の二人を尻目にニコニコ顔のあっちゃん







東屋には表示板に四方の山並みの山名が書かれている。

カガマシ山の左奥に工石山、そのさらに左に白髪山


中津山の左に特徴的な山容の烏帽子山


牛の背の笹原の上に天狗塚の頭が覗いている



お昼ご飯を食べたら一旦塩塚峰への鞍部まで戻り分岐から下って行く。グライダーを飛

ばしている初老の男性二人はお昼ご飯も食べずにいる。まるで遊びに夢中になって時間

を忘れている少年の様だ。











分岐からは新瀬川登山口へと下って行く。ストックの長さを変えて一歩一歩注意しなが

ら足を踏み出さないと転げ落ちそうなくらいの急な坂だ。この坂を下りきった所の道標

『がまん坂』と書かれていたが、まさに新瀬川から登りぱなしの最後の急登。がまん

の為所だと思うが、私にとっては膝に堪えるガマンの下り坂。










がまん坂を何とか滑らずに下り終えると一旦車道に出た。そこからまた車道を横断して

山道に入って行くが、まだまだ急坂は続いて行く。危なそうな箇所にはロープが張られ

ているが、この坂を下から小学生がよく登って来られると感心する。







大岩の横を過ぎると丸太のベンチのある休憩所に着いた。左ひざを庇ってなのか右の股

関節や腰に張りが出てきた。先ほど東屋でずり落ちて半ケツになった着圧タイツを持ち

上げたら、持ち上げすぎて股間が窮屈になっているせいかもしれない。奥様たちには先

に行ってもらって、ショーツを下げてタイツの装着位置を直してみる。







休憩所から少し下ると沢沿いの道になる。昨日の雨で増水した沢の濡れた岩で足を滑ら

せ右足をドボンしてしまう。途中の合目を書いた札には励ましの言葉も書かれている。







九十九折の道は小刻みに右に左に曲がって、その斜度も急なので油断ができない。何

とか急坂をやり過ごすと先ほどよりは少し幅の広がった沢にまた出た。今度は左岸か

ら右岸に渡渉してまた下って行くとトドロの滝に着いた。














この間の沢沿いでは何カ所もの小滝があったが、このルートでは一番大きな滝となる。

昨日の降雨の後で水量も多いが、他県の轟の滝と比べると随分と小ぶりの滝になる。








トドロの滝から下って行くとこちらの沢沿いにも、栄谷と同じように石積みが点在して

いた。このあと右岸から左岸への木の橋を渡ると、最終民家の横に出た。











最終民家にはやはり人影はなかったが、さらに下の民家の横には洗濯物が干されていて

まだ住んでいる人がいる様子だった。それにしてもこの奥まった場所に不似合いな立派

な建物だ。その民家の横を通って下って行くと新瀬川の登山口に降り立った。

登山口にはコミュニティバスの停留所にもなっていて、一日何回かバスが来るらしい。

家に帰って色々と調べてみると、むらくもさんは以前にここまでバスに乗ってきて、

時計と反対回りに周回して栄谷へと下っていた。ここからの下道歩きを考えるとなるほ

どと感心してしまった。











登山口から秋田の集落の中を通り舗装路を歩いて行く。幸い緩やかな下り坂だがそこは

やはり舗装路、足の裏や足腰に堪えてくる。











道路脇の民家の横の畑には反りのある立派な石積み。これを見ると先ほどの石積みや

の石積みはやはり畑地だったのかもしれない?と思ってしまう。

その先では二人の男性が道の脇の草刈りの作業をしていた。さらに歩いて行くと木陰で

休憩をしている男性の姿があった。傍まで近づいて挨拶をすると、『塩塚峰に登ってたん

かな?』と聞かれた。『はい、栄谷から周回してきました』と言うと、『それはそれは疲れ

ただろう、一服していき!』とリポビタンDを3本差しだしてくれた。

『この辺りも若い人がいなくなってな~、私でも若い方から二番目なんや』と過疎化の現

状を嘆いていた。











道路上には日陰も少なく、舗装路の上で足の裏が熱くなり張りも随分出てきた頃、新瀬川

の登山口から約1時間で道の駅の駐車場に着いた。

駐車場で靴を履き替えているあっちゃんに『抹茶のソフトクリーム食べに行きます?』と

聞かれたが『今日はこれ以上歩きたくないので止めときます』と言って駐車場で別れた。

これから梅雨が明けて夏の暑さが本格的になって果たして、膝や腰や体力がもつのだろう

か?と不安な気持ちを抱えながら高速道路を東に車を走らせた。








『やばいよ・やばいよイワカガミ!』の剣ケ峰

2024年06月06日 | 四国外の山
先週、高知の南嶺『てくてくさん』に会いに出かけて、帰りに奥様たちに『さて、来

週はどうしましょうか?』と尋ねると、『イワカガミ!』とあっちゃんが即答。『石鎚山?』

と聞きなおすと、『剣ケ峰よ!』と返事が返ってきた。『去年はエントツ山さんが6月初

旬に登っていたので、来週ちょうどいいくらいかも』と仰る。いつになく行先を決めて

いたので後から話を聞くと、今年のカレンダーに6月5日に〇を付けて、前々から行き

たいと思っていたそうだ。ただ私の膝のケガもあって今年は行けないかもしれないと思

っていたらしい。

この時はまだ天気予報が生憎の雨マークだったが、2・3日すると晴れマークに変わっ

たので、『それじゃイワカガミ、見に行きましょう!』と相成った。


すると日曜日辺りから『のーちゃん・ばんぶう・Jr』さんたちが次々とキリン峠から

ケ峰
への活動日記をアップしていた。そして最後にエントツ山さんが『二度と登りたく

ないルートなのに・・・・。』とブツブツ文句を言いながらも、案内役で出かけていた

ので『水曜日に出かける予定なのですが、イワカガミはまだ大丈夫ですか?』とLIN

Eを入れると、『大丈夫!私もアカリプタさんと出かける予定です』と返事が返ってき

た。それじゃ~という事で、登山口となる文殊堂駐車場で待ち合わせをして、一緒に登

る事になり、そのことを奥様たちに伝えると二人は大喜び!なんせ普段からエントツ山

さんとアカリプタさん
の話をしているので、奥様たちはお二人の大ファンなのだ。




丸亀で6時に待ち合わせをして高速道路で北上。蒜山ICを降りてすぐの『おべんとう

のつるや』で昨年、三ケ峰で出会った女性に教えてもらったおにぎりを買う。

予定通り8時30分に文殊堂の駐車場に着くと、すでにエントツ山さんとアカリプタさ

は身支度を始めていた。

『お久しぶりです!』の挨拶のあと奥様たちを紹介すると、『え~とお名前は?』とエン

トツ山さ
んが聞いてきた。『こちらがあっちゃん、そしてこちらがルリちゃん』ですと、

ブログに書いているハンドルネーム?で紹介する。エントツ山さんとは過去に何回か一緒に

歩いたことはあるが、アカリプタさんとは雲早山でお会いしたが、一緒に歩くのは

初めてになる。『それでは・・・!』と言うことで駐車場をスタート。その直後に『え

~とどっちがあっちゃんだったかな?』とエントツ山さんがまた聞いてくる。

三ノ沢の砂防ダムは昨年も工事中だったが、今日も工事看板には『コンクリートの打設

日』と書かれていた。最初は三ノ沢の右岸の作業道に沿って登って行く。










前を歩く奥様たちを見て、『ルリちゃんと・・・う~んと』とエントツ山さん

あっちゃんです。今度間違えたら怒られますよ!』と笑って答えた。

沢には幾重もの砂防ダム。『ずっと工事をしてるわね』とあっちゃん。『ダムを造っても

直ぐに埋まってしまうのでキリがないんでしょうね』と答える。正面の剣ケ峰はまだ雲

に隠れてお顔を出してくれていない。













作業道から樹林帯の中へ入りそこから一旦左岸へと渡り、しばらくは樹林帯の中の道が

続いていく。今日は花音痴にとっては頼りになる花博士のアカリプタさんがいる。さっ

そく道の脇の草花の名前を教えてもらう。














樹林帯歩きが終わると砂防ダムの袖天端を歩いてまた沢に出る。目の前にはこの三ノ沢

最上部の巨大な砂防ダムが現れる。その砂防ダムの足元を右岸へと渡り、袖のロープのか

かったコンクリートの斜面を登って行く。










最終砂防ダムの突堤からはこのコースの序章の始まり、ザレた道になる。正面の稜線は雲

が流れて気持ちのいい青空が広がっている。昨年はガスがかかってほとんど見えなかった

だけに感激ひとしおだ。『シロバナダイセンクワガタみ~っけ!』

この場所は幅こそ狭いが、涸沢や木曽駒のカールに見えなくもない。右手の尾根に小さく

キリン峠のポールが見えた。今日は本当に視界良好!
















石や石屑で埋められた沢だが、踏み跡はしっかりしているので、その踏み跡に沿って沢の

右手に向かって登って行く。あっちゃんの頭の上のザレ場は去年下りでスキーができると

言いながら二人で滑り落ちた場所だが、今年はこの膝ではとても無理だろう。













ザレ場から低木の生える支尾根へ取り付くが、この場所細かい石屑の急斜面。ザレ場より

更にズルズルと足が滑る








急登をやり過ごすと左上前方に剣ケ峰の山頂碑が見える。










正面に槍ケ峰が見え始めると、今日のお目当てのイワカガミのお花畑。その槍ケ峰の巻

道をヘルメットを被ったペアが登っているが、その上の岩肌もピンク色に染まっている。













すると頭の上からけっこうな大きさの石が落ちてきた。見上げると登山道から外れて写

真を撮りに行っている男性。そしてまた一個、二個と落ちてくる。慌てて小走りで逃げ

るが、当の本人は写真に夢中なのか、下に人がいるのに全く気付かず。

写真を撮るのはいいけれど、それくらい周りの配慮は欲しいもんだ。





山肌にびっしりと張り付き咲いているイワカガミ。アカリプタさんやあっちゃんも写真

撮影に夢中だ。一本一本の茎との間隔が狭いうえに、その茎の先には数個の花が付いて

いるので、遠目に見ると本当に山肌がピンク色に染まって見える。























槍ケ峰の岩稜の足元を巻いて稜線に出る。途中ですれ違った男性から『稜線に出ると風

が強いから気を付けて』とアドバイスを受けた通り、北から強い風が吹き上げてきた。

槍ケ峰に登って行くアカリプタさんとあっちゃんルリちゃんと言えばもちろんパス。

するとエントツ山さんが『三人の写真を撮るからKAZASHIさんも登って!』と仰

る。昔はそうでもなかったが、ここ最近はあまり高いところが不得手になってきた。

しかも膝の踏ん張りがきかないので、ザレ場なら未だしも、痩せ尾根の今にも崩れそ

うな岩が積み重なった場所でバランスでも崩したなら・・・・・と躊躇していたら、

『早よ早よ!』急かされる。仕方がないので渋々登って行って撮ってもらった写真がこ

れ。写真で見ると高度感はそれほどでもなく、な~んだ!といった感じだ。




槍ケ峰から戻り次の三ケ峰へと稜線を歩いて行く。油断すると被っている帽子が飛ばさ

れそうな風の強さだ。三ケ峰山頂もやはり風が強い。ここで皆さん上着を着込む。











昨年同様はルリちゃんはここまで。ここからは四人で剣ケ峰を目指す。アタック開始だ!

天狗ケ峰への稜線は踏み固められていて意外と歩きやすい。だけどこの大山の上部は礫

岩になのだろうか?乾いているととにかく滑りやすい。やっぱり登山靴を買い替えてい

て良かった。











天狗ケ峰からは北東にユートピア避難小屋に尾根が続いている。この間も、歩いている

人は確かにいるけれど、出来たら歩かない方がいいとエントツ山さん。それを聞いて残

念がるあっちゃん。昨年ユートピア避難小屋の上まで歩いているので歩いて線を繋ぎた

いらしい。











天狗ケ峰までは南側に草木が生えていたが、天狗ケ峰からは今度は北側に草木が生えて

いる。出来るだけ右によって歩いて行くが、二カ所ほど南側の崩れた斜面が削れてオー

バーハングになっていてヒヤッとする箇所がある。










剣ケ峰が近づいてくると稜線から少し北側下をトラバースする。ダイセンキャラボクの

生える少し歩きにくい道になる。するとエントツ山さんが『アカリプタさん、サンカヨ

ウ見に行く?』と言いながら登山道から少し外れて行く。案内された場所には山肌に白

い小さな花が一面に咲いていた。初めて見るサンカヨウ。雨で濡れると透明になると説

明を受けるが、また一度透明の花を見てみたい。














登山道まで戻ると道の脇には小さな花たち。冷たい風の吹く中で健気に花を咲かせている。

低木に囲まれた場所には、この稜線には不釣り合いな濃い紫のノビネチドリが咲いていた。














剣ケ峰大山の最高峰。ただ山肌を見ると礫岩が積みあがっている様子がよく分かる。毎

年、雪解けとともに少しづつ崩れているそうだが、あと何十年後かにこの山頂は残ってい

るのだろうか?昨年はほとんど景色が見られなかったこの山頂も、今日は絶景が広がって

いる。南には一から二・三と沢が並び、北には弓ヶ浜の弓なりの形がよく見える。













弥山に続く稜線も夏場はとても危険だという。冬場なら何とか歩けるとエントツ山さん

教えてくれて、ここでも残念がるあっちゃん。『あなたどれだけ線を繋ぐのが好きなの!』

エントツ山さんとツーショットは出会って20年になるけれど、初めてかもしれない!











山頂には先ほど槍ケ峰の下を登っているのが見えたご夫婦がいた。ヘルメットを被ってザ

イルでアンザイレンをとっていた。『お二人愛し合っているんですね!』とあっちゃん

すると『ハイ!』と奥様から明るい返事が返ってきた。

『そしたら私たちも』とあっちゃんが言うので『イヤです』と即答する私。

それではルリちゃんの待つ三ケ峰へ戻って行きましょう。








相変わらず今にも崩れそうで危うげな場所も、登って来た時にドキドキしたのに比べる

と全然平気になっていた。右と左の平衡感覚の違いなのか、二回目通るせいなのかは分

らない。










首を長くして待っているルリちゃんが気になり気がせくが、油断大敵とにかく足を滑ら

せないように下って行く。







三ケ峰に到着後、ここでお昼ご飯にする。朝つるやで買ったカツ入りのおむすびを食べ

る。カツサンドのおにぎり版といったところだが、他にも珍しいおかずパンやお弁当の

種類もたくさんあって、大山に来る時の立ち寄りポイントになった。

ご飯を食べている途中でもアカリプタさんは写真撮影に夢中だ。身軽なアカリプタさん

は、歩行中もずっと片手にカメラを持って歩いていた。













お昼ご飯を食べたら下山開始。先ずは槍ケ峰へと下って行くと、先ほどのご夫婦がアンザ

レンで降りて来ている。その姿を見て私の顔を見るあっちゃんに『大丈夫、私はロープを

切りますから!』と言う。














槍ケ峰に基部を回り込んで下り、少し下の分岐からキリン峠へと歩いて行く。去年は三ノ

のピストンだったので、初めて歩く道だ。烏ケ山を見下ろしながら急坂を下って行く。

心配性のルリちゃんも、草木が生えていれば大丈夫の様だ。こちらも片側が火山灰のよ

うな色をした今にも崩れそうな斜面になっている。














急坂の途中からはまた山肌をピンクの色が染めている。往路ではまだ昨日の雨で濡れた

イワカガミが生き生きとしていたが、この時間になると随分と乾いている。























どれくらい下っただろうか?写真では見たことのあるステンレスのポールの立つキリン

に着いた。土曜日にエントツ山さん鳥越峠からここまで登ってきたが、その途中の

ザレた斜面というか崖の場所がヤバイそうだ。それはどの辺りだろうとアカリプタさん

とあっちゃんが確認している。




















今日はここから登り返すのもしんどいので、このまま南に延びる支尾根を下ることにす

る。来る前にチェックしたchikakoさんが下ったルートで、エントツ山さんも初めてだそ

うだ。













しばらくの間は灌木の中歩きにくいが、歩いている人も多いのか踏み跡はしっかりして

いる。灌木の最後は長いロープ場になって一旦涸れ沢に下りる。けっこう長いロープだ

ったが、最後まだザレて滑りやすい場所があるので、もう少し長ければいいのにと贅沢

を言うメンバーたち。







沢を横断して向かいの尾根に乗り換える。この辺りはイワカガミと一緒に独特な色合い

のたくさんのオダマキが、手を広げてみんなでダンスを踊っていた。











キリン峠からの緑と灰色の支尾根はこの辺りまで。ここから先は樹林帯の中の道になる。








樹林帯の中も所々で肥えた黒い土の斜面が濡れて滑りやすくなっている。ただ踏み跡は

しっかり付いているので迷うことはない。








明るい稜線から緑の中を15分ほど下っただろうか、地形図にも載っている文殊越に着

いた。ここから北東に折れるとエントツ山さんが土曜日に歩いた鳥越峠への登山道とな

る。そして下りの道もYAMAPのコース図にもしっかりと登山道が載っている。




最初は苔の付いた岩がゴロゴロ転がる歩きにくい道だったが、しだいにしっかりとした

登山道になる。この間は手つかずの自然が残っていて、周りの草木も四国に比べると、

とにかく造作がデカイ!



















文殊越からはほぼコースタイム通りに車を停めた駐車場から少し下手の、大山環状道路

に飛び出した。














エントツ山さんとアカリプタさんは今晩はテント泊をして、あす一ノ沢を上り詰めるそう

だ。『来年は三人で登ってみたら!』お勧めされた。駐車場でお二人と別れた後、鍵掛峠

で歩いてきた稜線を振り返る。そして朝は雲がかかって見えなかった、御机の茅葺小屋

にも立ち寄ってみる。

今の季節は牧歌的なこの風景も、冬には一転真っ白な雪景色で厳しい環境になるのだろ

う。そんな厳しい季節の繰り返しで大山の自然は豊かに今も残っているのかもしれない。

次訪れるのは夏のお花畑になるのだろう。見る場所によっても全く違う顔を見せてくれ

大山。また来るからねと帰路につく。