KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

今回は奥様たちのリクエストで、花の山の皿ケ嶺へ!

2024年07月28日 | 四国の山


ネット上では夏の花の写真が目に付くようになってきた。昨年のこの時期は寒風山や大

のユートピア避難小屋へ花を目当てに出かけていた。そこで燕岳の遠征から帰ってき

た奥様たちに『どこのお花がいいですか?』とメッセージを送ったら、『皿ケ嶺に行きた

い』と予想外の返事が返ってきた。

そういえば昨年の9月に歩いた時に、ハガクレツリフネが咲き誇る斜面一面に、もう開花

を終えたギンバイソウの群生が目に付いた。その時に熱心に写真を撮っている女性にあっ

ちゃんが
話しかけると、『ギンバイソウ』だと教えてくれたそうだ。『可愛らしい白い花が

好きなんです』とも話してくれたらしい。その時のことを覚えていたあっちゃんからの

リクエストで『是非一見てみたい!』との事だった。


お昼過ぎからの天気の崩れが少し心配だったが、ゆっくり目に家を出て9時半前に上林

森林公園の駐車場に着いた。駐車場には4~5台の車がすでに停まっていた。トイレと

身支度を済ませてまずは風穴へと登って行く。




カラスウリ



前回は一面小さながハガクレツリフネが咲いていたが、気の早いのが所々で咲いている程

度でさっそく白い花が咲いているのが目に飛び込んできた。

多くの花が下を向いて咲いていたがたまに正面を向いている花を見ると、まさしく白い梅

の花の様で、名前の由来が納得できる可愛らしい花だった。

ハガクレツリフネ



ギンバイソウの群生







前回もそうだったが奥様たちが写真撮影に忙しくてなかなか登って来ない。

ダイコンソウ


キツリフネ


フシグロセンノウ



それにしてもこのギンバイソウ、雄しべの数がとにかく多い。ひとつの雌しべを囲むよ

うにして雄しべが群がっている。風穴のアオケシは二茎ほど花をつけていた。











風穴から上の道沿いもギンバイソウの群生が続いていた。







ウバユリ









十字峠への分岐辺りもまだまだ群生は続いていた。森の中では白い花にどうしても目が

いってしまいがちだが、他にもたくさんの花が咲いている。そんな中でも葉の下に隠れ

てちょこんと遠慮がちに顔をだしている、ハガクレツリフネがとても可愛らしく感じる。






オオバヨメナ


ハガクレツリフネ







標高が上がるにつれてギンバイソウの開花の状況が変わるのかなと思ったが、登山口近

くも尾根近くもさほど変わらず、蕾のままのもいれば花を開いているのもいた。











途中で一カ所大雨の影響で崩れた場所があったが歩くのには不都合なく通過できる程度

に復旧されていた。そしてその先の湿った岩肌には今年初のイワタバコが小さな花を咲

かせていた。岩肌を伝って落ちる水に濡れた葉が瑞々しい。














途中で4・5人のグループが何やら道の横の斜面で何かの花を探していた。その横を通っ

て挨拶をすると『早く行け!』と言わんばかりに訝しそうな目で見られた。どうやら珍し

い花を探していたようで、あまり他の人には見られたくない様子だった。たしか昨年竜神

平らで集まっていた常連さんのようだ。そのうちの一人の男性にはアケボノシュスランの

咲いている場所を案内してくれたのだが、今日はあっちゃんが『何が咲いているのですか

?』と尋ねても、答えてもくれなかったようだ。

それにしてもギンバイソウはほぼ尾根近くまでずっと咲いていた。










竜神平の手前で上林峠と竜神平への分岐となる。予定では上林峠の方へ少し歩いて、竜

神平を東から回り込むつもりだったのに、あっちゃんがいまは待てないように『お昼に

しましょうよ』と仰ったので、そのまま竜神平へと歩いて行く。

媛大小屋の前では女性が二人休んでいた。その奥のベンチに腰掛けお昼ご飯にする。

空は雲が太陽を隠してくれて竜神平の湿原を通り抜けてくる風が心地よかった。














そのうちに先ほどのグループがやってきて休憩もせずに湿原の中へ入って行った。私た

ちもお昼ご飯の後、踏み跡を通って湿原の中へ入って行くとベンチからも咲いているの

が目に付いたのギボウシと大きな花をつけたハンカイソウだった。



コバギボウシ





ハンカイソウ



そしてルリちゃんがあちらこちらで『ここにも咲いている!』と言って、次々と花を見

つけてくれる。

スマトラノオ





ミズチドリ





タチカモメズル


アキノタムラソウとトンボ






湿原の中をあまりうろつくと踏み荒らすことになるので、踏み跡のある所だけにして引

き返して、皿ケ嶺山頂へと歩いて行く。頭の上では天気予報通りゴロゴロといい始めて

少しパラパラとし始めていた。

足元にはミヤコザサ、周りは落葉樹林の緩斜面の道を歩いて行く。











ブナの葉の緑が、雲をすり抜けてくるやわらかい日差しに当たって生き生きしている。







皿ケ嶺山頂からは南に少し景色が広がっているが、怪しげな雲が流れてきているので、

写真を撮った後、早々に引き上げる。






オカトラノオ






帰りは十字峠の先から風穴へと下って行く。途中にある 二等三角点 行長 1270.5m

伐採地の奥の雲の狭間にかろうじて見える松山の市街地。そして南にほぼ平らに見える

稜線は天狗高原辺りだろうか?














十字峠は名前の通り竜神平・引地山・六部堂への十字路になっている。そのまま引地山

に向かって歩いて行く。1165mの標高点の先から風穴に向かって降りるのだが、こ

の辺りまでは竜神平から続く緩やかな道だが、ここから先は割と急な下り坂になる。











登山道の周りはガスがたちこみ始めた。そのおかげが標高わずか1200mでもほとん

ど暑さを感じない。奥様たちも調子よくトントンと下って行っている。








風穴には山頂から40分強で着いた。石積みの中からは目で見ても涼しげな冷気が立ち

上っている。脇のベンチでは二組の方がその冷気に当たって涼んでいた。








この時期1000mほどの山では暑さを覚悟して出かけてきたが、雲のお陰か太陽の日差

しを遮ってくれて、思っていたよりも楽に歩け、奥様たちお目当てのギンバイソウも、こ

れでもかというくらい見ることもできた皿ケ嶺。四季折々に彩を変え楽しませてくれ、松

山市内から近郊にあって毎日のように大勢の人が訪れる貴重な山だ。


剣山本宮山頂大祭で山頂は人・人・人の波

2024年07月18日 | 四国の山


今週は奥様たちは旅行会社の2泊3日のツアーで燕岳へ出かけて行った。『足の遅いへ

っぽこリーダーは、置いてきぼりにされたの?』とある人に揶揄されたが、ツアーバス

での長時間の移動は性に合わないし、この時期3日間休みを取りづらい。まぁ奥様たち

がお帰りになったら土産話でも聞くことにしよう。

と言うことで今週は独りでどこに出かけようかと考えていたら、WOC登山部のFBに

剣山本宮山頂大祭に行きましょう!』と案内が出ていたのを思い出した。そう言えば

剣山にはもう何十回も登っているけれど、この大祭を見た事が一度もない。剣山なら勝

手知ったる山なので独り歩きも心配ないし、当日は結構な人手になるだろうから不測の

事態が起こっても心配ない。心配なのは人出が多すぎて車を停める場所があるだろうか

だった。


見ノ越には8時に着いたが、すでに第一駐車場の方から停められずに引き返してくる車

が数台。それを見てすぐにハンドルを切って第二駐車場に向かうと、屋上は満車だった

のに、1階部分はまだほとんど車が停まっていなかった。すぐにWOC登山部のメンバ

ーに『今なら第二駐車場に停められますよ!』と電話したが、メンバーが30分以上遅

く来た時にはもうすでに遅しで、第二駐車場も満車になってたそうだ。

あまりにも空いていたので不安になって、後ろで身支度をしている女性に『すみません、

この駐車場は無料ですよね』と尋ねると『よく知らないけれどたぶん』と答えてくれた。

よく見ると女性の車は姫路ナンバーだった。


支度をして劔神社の石段を登って行くと脇にはカラフルな提灯が飾られてあって、祭り

の雰囲気を盛り上げていた。







神社の拝殿の横の神輿倉では、神主さんが何やら神輿の横で準備をしていたので『すみ

ません、写真を撮ってもいいですか?』と尋ねると『いいけど、顔は撮らないでね』と

言ったあと、『冗談、冗談』と仰った。







拝殿でお祈りをした後、御幣を潜って登山道を歩いて行く。登山道は昨日までの雨でまだ

足元が濡れている箇所がある。すぐに汗がでてくるがまだ気温が上がっていないせいか、

さほど暑さは感じない。











いつもなら登っていると下ってくる人と何人かはすれ違うのだが、さすがに今日は大祭、

山頂から降りてくる人の姿はなく、いつも以上に静かな道だ。しばらく歩くとリフトと

交差するトンネルが見えた。今日は8時から運転しているらしいが、登って行くリフト

はには大勢の人が乗っていた。







西島神社まで来ると神社の方から祝詞をあげる声が聞こえてきた。その神社の後ろの大

岩の横を通っていつもの定点観測、雲海荘を見上げる。







西島駅に着くと次々とリフトを降りてきた人たちで賑わっていた。三嶺に塔ノ丸、リフ

ト乗り場の横まで来ると丸笹山もきれいに見えた。










視線を下げると、さきほどの西島神社の大岩の上に人影が見える。涼しい風に乗ってそ

の大岩から笛の音色が聞こえてきた。











リフト乗り場の横では家族連れがどのコースを歩こうかと話し合っていた。その横を通

って刀掛けの松へと歩いて行く。刀掛けの松でも大勢の人たちが休憩していた。中には

大きなカメラを抱えた徳島新聞のクルー、そしてツアーの団体客がいた。その横の女性

のグループが『トンボに虫が止った』と騒いでいる。どれどれと見てみると確かにトン

ボに何かの虫が止っている。最近はやりの虫よけのオニヤンマのつもりだろうけど、ど

うも色が違う。『黄色が入っていないと・・・色が悪いね!』と言うと『そうなんですか

、安物はダメですね』と言いながらみんなでケラケラ笑っていた。




刀掛けの松からは行列ができていた。これじゃ~まるでどこかの山の様だと思いながら

登って行くと山頂ヒュッテの前に人垣が見えた。本宮宝蔵石神社の鳥居の前では登って

きた女性に『すみません、写真を撮ってもらえませんか』と声をかけられる。山頂なら

時々ある事だが、鳥居の下で頼まれるのは初めてだ。その下からは大きなお腹を抱えた

男性が何人か息切れしながら登ってきている。最近お腹の出っ張りが気になっている私

の3倍以上はありそうなお腹の大きさ。体重もみなさんそこそこありそうなので、そり

ゃしんどいだろうなと、自身の事は棚に置いているへっぽこリーダーだった。








宝蔵石神社の前は白装束の人たち、登山着の人そして普段着の人たちで賑わっていた。

ヒュッテの前に置かれていた神輿が、神事の為に移動していく。














すると宝蔵石神社の前は身動きが取れないほどの混雑となる。少しの隙間を狙ってヒュ

ッテの横の階段を上って東のテラスへと向かって行く。階段にも人・人・人。

東のテラスでもすでに位置取りをしている人たちがいた。と言うのも宝蔵石神社でご神

体を移した神輿が、このテラスへ向かって笹の斜面を登ってくるのだ。私は例大祭とい

うよりも、どちらかと言うとこの笹原を練り歩く『神輿渡御祭』が見たくて今日は来て

いたので、テラスの端で空いているスペースを陣取る。














宝蔵石神社での神事が始まってもまだ時間は1時間近くあった。ご神体を移した神輿が

戻ってきて、神輿に繋がれたロープを持って笹の斜面を登ってくる人の姿があっが、そ

れでもまだ時間は十分にある。すると後ろのテラスで何やら踊りが始まった。

そのうちに今度は阿波踊りを踊り始めた。笛に太鼓に三味線とどんどん賑やかになって

くる。それにつられてか、神事を見ようとやってくる人たちとも相まって、東のテラス

はますます人混みが増えてきた。
















最後は踊り手と一緒になって見物客も踊り始めて、『これは例大祭の行事なの?』と思う。

まあ徳島県だし、いいか!











総踊りが終わる頃に笹原の下から『六根清浄』の掛け声が聞こえてくると、神輿が先導

する人のロープに引っ張られながら笹の斜面を登ってきている。













神輿の後ろを『箱笈』も一緒に登ってきている。神輿と箱笈はテラスには登らず、その

まま笹原を山頂へと進んで行く。その写真を撮りながらiphoneで動画を撮ろうとカメラ

バックから取り出そうとしたら、その拍子に片手に持っていた一眼レフをテラスの下に

落としてしまった。幸いバッテリー部分の蓋が取れてしまっただけで、大事には至らな

かったが、大山の三ノ沢をエントツ山さんに『今年中には一眼レフを落としてして修理に

出すだろう』とイヤな予言をされていただけに、ショックが大きい。








笹原を先導する天狗と幡持そしてロープを引っ張る人、神輿と箱笈を担ぐ人たちの行列

ができる。2年前地元の祭りで神輿を担いだが、街中を練り歩くだけでも大変だったの

に、足元の見えないしかも足元の悪い笹原をよく担いで歩けるもんだと感心をする。




















山頂では神事が始まったが木道のベンチで『腹減った~』と言いながら弁当を広げている

WOC登山部のメンバーの横に座って、私も弁当を食べることにした。

そのうちに他のメンバーを一緒にベンチに腰掛けお弁当を広げ始めた。それにしても山頂

では厳かに神事が執り行われているというのに、私も含めて皆さん信仰心はなく、『神様よ

り団子』の人ばかりのようだ。








いつもは奥様たちと3人での記念写真だが、今日は久しぶりに大勢での写真となった。

『線で繋ぐシリーズ』を始めてからWOC登山部の団体での活動が縁薄くなったせいで、

知らない人も何人かいる中で、既知の人とは直ぐに世間話を始められる関係なのが嬉し

い。そして同じように暫くぶりでも変わらない秀麗な姿を見せてくれる次郎笈だった。














山頂から宝蔵石神社に向かう人と、そのまま下山する人に分かれて歩く。私は木道の途中

から、二度見の展望台へとメンバー4人と降りていく。丸笹山にはガスがかかり始めた。








刀掛けの松への道は恐らく下って行く人が大勢いるだろうを思っての事だったが、こちら

の道が予想通りすれ違う人もなく、二度見で休憩する人に会っただけだった。











山頂の喧騒とは違い、静かな静かな道。時々メンバーに話しかけるが思った以上にスピー

ドが上がって行く。そろそろ左膝が愚図ついてきた。

西島駅からは神社上の分岐から遊歩道への道を歩いて行く。ここの所下りではいつもこち

らの道を歩いて行く。行きの道とはまた違った雰囲気の周りの木々がお気に入りだ。前回

はシカも見かけたが、さすがに今日の人出ではシカも姿を現さない。











西島神社から遊歩道を遠回りしたが35分ほどで劔神社に着いた。神社の拝殿ではまた神

事が行われ、祝詞があげられていた。拝殿の前では山頂の神輿とは別の朝見かけたな神輿

が出番を待っていた。








平地の猛暑を他所に山ではまだ涼しい風が吹いていた。この後晴天が続けばそろそろ梅雨

明けしそうな雰囲気だ。夏本番、山も夏山モードへの切り替えで比較的標高の高い山へと

計画をたてないとな~と思いながらエアコン全開で車を走らせる。

雨予報の自主トレで、近場の高仙山とくまんど山へ

2024年07月11日 | 香川の里山


この時期天候が不安定なので、水曜日の山行の計画は日曜日くらいに様子を見て予定を

しているが、今週は雨予報。早々に奥様たちには『自主トレにしましょう!』と連絡を

入れて、軽くどこか歩ければくらいに考えていたら、家の奥様が『仕事が半日なのでお

昼から買い物に行きましょう!お昼前には帰ってきてね』と宣った。

『承知しました!』と返答したものの、お昼前に帰宅するとなると近場の山しかない。

先々週の自主トレではYAMAPの山頂ポイントの大串山をゲットしたが、近場でまだ

ポイントをゲットしていない山は?と考えたら、何度か歩いたことはあるけれど、まだ

YAMAPでは記録していない高仙山を思いついた。しかもまだ未踏のくまんど山が近

くにあるらしい。さっそくYAMAPで他の人の活動日記を調べてみたら、距離も行動

時間も手ごろな感じだった。

天気予報も午前中は曇りで昼から雨予報。帰るまでには何とか持ちそうだったので出か

けてきた。




自宅から前山ダムの横を通り多和地区から県道148号線を北に。広野地区に入って『二

本杉・高仙山』と書かれた道標ののある脇の、路肩が広くなった場所に車を停める。

曽江谷川へ流れ込む支流に沿って広がる谷底平野部には、青々とした稲が少し湿気を含

んだ風に揺れていた。







道標の矢印の方向に川の反対側へと歩き、二股を左に折れて緩やかな坂を登って行くと、

『三木・高仙山深山のみち』と書かれた道標を、今度は右にコンクリートの道を登って

行く。最初の二軒ほどはまだ生活している人がいるような雰囲気だったが、そこから上

はほぼ廃屋になっていた。人の行き来がないと道は荒れてくる。










コンクリート道の上には枯れた笹の葉が積もり、車が通った気配が全くしない。すると

正面に立派な民家が見えたが、ただこちらの家もすでに住民はいない様子だ。この民家

は活動日記にも写真が載っていて、石垣の右手にイノシシ避けの柵があると書いていた。

その柵を開けて中に入るとだんだん道は怪しくなってくる。











右手には朽ちた建屋がありその先はまた二股になっていたが、ほぼ笹藪になった左の道

を進んで行くと、すぐに右側に飼料のタンクがあった。と言うことは右の道の先には養

鶏場か養豚場があったのだろう。














笹藪をかき分け進んで行くと、先ほどあったのと同じ道標が建っている。その道標に従

って山の中へと分け入ると、すぐ左に立派な石灯篭。この道が高仙神社への参道だった

名残だろう。ただ道は参道の面影は全くない。











掘割のようになった道を登って行くがけっこうな急登だった。長い時間の間に両側から

崩れた土や枯れ葉が積もり、踏み込むとのめり込んだり滑ったりで歩きづらい。

すると先ほどから後ろでごく微かな羽音が聞こえてきていた。

錯覚かなと思いながらも立ち止まってみるとやはり羽音がする。その小さな羽音と比例

するように小さな蚊?が目の前を横切った。立ち止まった場所にいるのかそれともずっ

と追ってきているのか、しばらくの間はその羽音がやむ事はなかった。








道に花崗岩が現れると標高が上がってきた証拠だ。先週に比べると気温は少し低いよう

だが、汗はびっしょり衣服を濡らしている。息切れもするけれど先週に比べると随分と

楽だった。吐き気までした先週はやはり熱中症だったのかもしれない。








急登が終わると西に続いていた道が北に少し緩やかな登坂になる。山頂尾根に出る手前

には石で囲った池?この上からの小さな流れを集めた池のようだが何のためだろうか?

ひょっとすると高仙神社の下の窪地にあったという高仙寺の何らかの施設の跡だろ

うか?そう思いながら登って行くと黒い給水管が尾根に向かって続いている。その給水

管に沿って登って行くと道の少し下に電源のBOXと小さな小屋が見えた。

ひょっとしたらポンプでさっきの池にたまった水を汲み上げているのかもしれない?と

思い眺めながら登って行くと尾根に出た。








尾根にでて右に歩いて行くと高仙神社の鳥居が見えた。高仙神社は『雨ごいと安産の神

様』とされている。山頂部にあって雨ごいの神様は香川ではよく見かけるが、安産の神

様は珍しいな~と思いながら歩いて行く。










拝殿とその前の石灯篭は比較的新しそうだったが、その奥の本殿には高麗神(雨乞いの

神様)と木花開耶姫命コノハナサクヤヒメノミコト( 安産 の神様)をお祀りしているよ

うだ。










拝殿の横からは木々の間から屋島が見えた。




参道を戻り鉄製の黄色い車止めのある場所から展望所へ向かう。少し荒れた道をこんな

道だったかな~と、以前に来ていた頃を思い出しながら歩いて行くと、木製のベンチの

残る様変わりした展望所に着いた。子供たちが小さい頃に来ていた頃は、周りに草木は

なく、広々とした場所の目の前に高松から東の三木町、長尾町続く平野部が広がってい

たが、今は広場には草が生え、目の前も木々が生い茂っていた。

平野部の奥には先週歩いた大串山、さらにその奥の雲の上には小豆島が顔を覗かせてい

る。この高さから見える屋島は、山頂部が真っ平ではなく麓から見るいつものシュッと

した屋島よりは、ふっくらした感じに見える。

















この広場の上はちょうど羽田から飛行機のルートになっていて、すぐ真上を飛ぶ飛行

機を見て子供たちが大喜びしていたのを思い出す。

眺望の写真を撮った後に戻る途中にあった石祠。中を覗き込むと『女体神社』と彫られ

ていた。ここから東にある大窪寺の裏には3つの女体山と山頂には石祠があるけれど、

何か関係があるのだろうか?













高仙神社への分岐まで戻り、高仙山山頂公園へと歩いて行くと途中で道の北側が開けた場

所があった。そこからは先ほどの展望所から更に西側の眺望が広がっていた。

一番手前にクレーター五座の内の四座が並んでいて、その奥にメサの地形の五色台。その

西側には城山の横に飯野山も見える。そしてよ~く目を凝らして見ると六ツ目山のおむす

び山三兄弟が見えた。いずれも香川の独特な特徴のある里山群だ。







その展望ヶ所の先に『産の神』と彫られた石碑がありその奥に恐らく石祠があっただろう

台座だけが残っていた。高仙神社といい女体神社といい、そしてこの産の神といい、この

山頂はとにかく女性にはパワースポットのようだ。





以前はキャンプ場や遊具のあった山頂公園はすでに閉鎖されて時間が経つ。草木は伸び放

題で、遊具は撤去されて子供たちとよく遊びに来ていた頃の面影はない。














公園前にあった食堂も当然しまっていたが、その前を通って南に歩いて高仙山山頂を目指す。








雑木の中を尾根に沿って歩いて行くとほどなく 四等三角点 高仙山 627m に着いた。

山名標の上には消えかかった『讃岐山脈縦走路ロングトレール』と書かれたもうひと

つの木札が付けられていた。阿讃縦走路でも見かけた木札はマジックで書かれている

ので、消えてしまえば用をなさない。














山頂からさらに南に次のくまんど山を目指して歩いて行く。途中には赤テープが所々で

木に巻かれているが、比較的新しいこの赤テープは広野の登山口からも要所要所で巻

いてあった。登ぼりながら一瞬どちらに進もうかと立ち止まったときにちゃんと目印

になるように巻いてあったテープだ。このテープとは別にピンクのだらしなく巻き付

けているテープは、当てにならないことが多々ある。そして赤と黄色の二段に巻いた

テープは、たいていが年季が入っている。











そんなことを考えながら尾根を進んで行くと右下に車道が見えた。尾根が行き止まりの

ようになった場所からは、無理やり車道に向かって降りていく。法面保護のネットが張

ってある斜面は大抵急斜面で、転がるようにして降りると車道に飛び出した。










ここからはしばらくは車道歩き。途中には『新田の神』『一本松地蔵』がある。一本

松と書かれていたが周りには松の木は見当たらず、建屋の中の地蔵さんの説明書きがと

ても参考になった。













車道の脇が伐採地になる。高仙山から車道に出て100mほど標高を下げて歩いてきた

所で道は右手に行くと津郷の集落、左に行くと広野への分岐となる。

山頂公園は2014年に閉園しましたと書かれた案内板があり、そこから左に折れて緩

やかな坂を登って行くと今度は右手に伐採地が広がっていた。











その伐採地の際のガードレールが途切れた場所から、伐採地と自然林の際を登ってくま

んど山
へと向かって行く。振り返るとちょこんと盛り上がった高仙山の頭が見えた。

伐採地の頂部からは適当に尾根らしき場所を歩いて行くが、ここからは先ほどのような

テープは見当たらない。











伐採地からの取り付きは少し不明瞭だったが、あとは尾根に沿って歩いて行けば迷うこ

ともない。しばらくすると杉林の道になり、くまんど山に向かって、大きく回り込むよ

うに歩いて行くと、山頂手前で急登になる。

僅かに見える踏み跡を辿って、木の枝を握りながら『よっこらしょ』と思いから身体を

持ち上げながら登って行く。










ただ最後に踏み跡が分かれた場所から左に登ったのが間違いだった。

斜度もますます急になり、そして最後は行く手を阻むようなラスボスの大岩が現れた。

ラスボスを何とか避けて登りきるとそこは山頂ではなく、さらにしばらく尾根を歩いて

行かなければならなかった。

ここは右に登る方が楽!










と言ってもすぐにくまんど山には着いた。四等三角点 奈良 607m。山頂標の横で自

撮り。最近の活動日記には眺望はないと書かれてあったが、南西には大相山大滝山

そして讃岐竜王山の東の伐採地まで確認できた。














くまんど山から折り返し車道まで戻ると、あとはこの車道を広野の集落まで下って行く

だけ。ここまで来ると奥様に言われた『お昼前には・・・』は十分クリアできそうだ。








産業廃棄物の最終処分場を横目に見て、さらに下って行くと民家がチラホラ。草刈り機

の音がするところをみると、どうやら住人はまだ居そうだ。正面には矢筈山が見え始め

た。







くまんど山から車道を歩き始めて30分弱。登り始めの分岐近くまで戻って来ると山側

に展望台のような建物が見えた。その入り口にはイノシシ避けの柵があり、その柵には

干からびたドラエモンとドラミちゃんの姿があった。







車まで戻ると上手から高齢のご夫婦が犬と一緒に歩いてきた。『もう一仕事終わったん』

とおばあさんに聞かれたので『ハイ、高仙山まで歩いてきました』と答える。すると

後ろから来たおじいさんが『鹿はみんかったかい?』『最近見かけた人がいて』と話して

くれた。

車のドアを開けてエアコンのスイッチを入れる。しばらくしてエアコンの風が冷えてく

る頃に車を走らせる。上半身は汗でびっしょりでエアコンの風がさらに冷たく感じる。

この広野地区の道際には今は盛りのようにしてネムノキのグラデーションがそこらじゅ

うで目に飛び込んできた。

今日の気温だとまだマシだったが、これからの季節はまずは暑さ対策。そう思いながら

奥様の待つ家路へと急いだ。







女王様に謁見のあと大黒様の待つ国見山へ!

2024年07月04日 | 四国の山
今週の水曜日は梅雨の晴れ間の予想。さてさてどこのお山に登ろうかと考えたが、昨年

は黒滝山の岩場をあっちゃんと楽しんだ後、県道16号線沿いのタキユリが咲いていな

いか探しに車を走らせた。その時にギッチャンさんに教えてもらったのが、七ツ淵神社

の参道のウスキキヌガサダケだった。『是非見に行ってみて!』と言われて寄り道して見

ると、少し時間が遅かったのか、黄色いドレスは窄みかけていた。 キヌガサダケはレー

スのドレスをまとったような姿から『キノコの女王』と呼ばれてい るらしい。胞子の分

散は風によらず、昆虫や陸棲貝類などの小動物によるところが大き いとされ、その可憐

な姿とは正反対の異臭を放ち、その異臭で昆虫や小動物を引き寄せ ているそうだ。

何はともあれ本来のドレスを広げた女王様に謁見を願い出て、奥様たちと出かけてきた。

高知ICを降り県道44号線を東に走る。するとあっちゃんが『この道前回鷲尾山に行

った時に通った道ね』と言うので、目の前に見えるイオンモールを指さして、『いえいえ

違う道ですよ、前回、イオンがありましたか?』と答える。すると今度は県道44号線

から県道16号線を北に向かって走って行くとルリちゃんが『どっちの方角に向かっ

て走っているのか全然分からんわ』と。

山の中でもそうだが、奥様たちには『太陽の昇っているほうが基本的に南』といつも言

うのだが、お二人の辞書には方向感覚という言葉がどうもないらしい。

そうこうしているうちに七ツ淵神社の一の鳥居に着いた。すでに女王様への謁見は始ま

っているようで車が数台停まっていた。




鳥居から参道を少し下った場所に一眼レフを構えた女性達が陣取っていた。一番最初に

参道脇の一本が目に付いたが、地面に膝をついて這いつくばるようにして必死で写して

いる年配の女性がいた。順番待ちだと思い、その後ろでじっと待っていても何分経って

も終わらない。仕方がないので周りを探してみると反対側の斜面にも一本生えているの

が目に入った。










何枚か写した後斜面から降りると先ほどの女性がまだ陣取って写している。その後ろに

何人かの人が待っているのにけっして譲ろうとはしない・・・・。仕方がないので参道

を神社の方に少し下って行く。昨年歩いた時に立ち止まっている女性から『コクラン

咲いています!』と教えてもらったので、今日も咲いていないか探して歩いたが、見つ

けることはできなかった。







引き返してもとに場所に戻ると先ほどよりドレスが広がっている。このキヌガサダケの

伸長速度は毎分2~4mmといわれていて、30分で6~12㎝伸びる驚きの成長速度だそう

だ。他にも違う場所に生えているのを見つけて何枚かカメラに収める。

ただ一番きれいなドレスをまとった女王様は斜面の上の方にいらっしゃって、きれいに

撮ることができなかったのが残念だ。 鳥居まで戻ると次々と車がやってきていた。










女王様に謁見した後はここから西にある国見山に向かって行く。別名雪光山と呼ばれる

国見山。高知市内からは冬に真っ先に白く輝くことからそう呼ばれるようになったそう

だが、その国見山の手水登山口へと県道33号線を西に走って行くと、道路の法面に大

きな葉が垂れ下がりその先に何個ものつぼみが付いているたくさんのタキユリが目に付

いた。『すごい数ね!』『これが全部咲いたところを見てみたいね』と奥様たち。昨年車

を走らせた県道16号線よりもその数は多いかもしれない。

すると一カ所だけ法面保護の金網から飛び出し咲いている花が目に飛び込んできた。慌

てて車を停めて撮影タイム!花弁が球形に反り返えり、鹿子絞りのような濃紅色の斑点

が美しいタキユリ。昨年あっちゃんとは見ることができたが、ルリちゃんも初めて見る

ことができて良かった。

この間途中の法面はきれいに草刈りがされていたが、このタキユリを避けて刈っていて、

絶滅危惧種になっているだけ、大切にされている様子がうかがえた。











七ツ淵からはおおよそ1時間弱かかって手水の登山口に着いた。県道から登山口までの

道は結構狭く、雨降りの後だったこともあって走りにくい道だった。

登山口には手書きのコース図が設置されている。その図には『しんどい坂』とイヤな言

葉が書かれてあった。










最初の竹林を抜けると道はすぐに急登になった。昨日の雨のせいで道には水があふれて

流れている。ゴロゴロした石の足元に注意しながら登って行く。











いつもならまずは膝の痛みが出始めるのだが、今日は着圧タイツのお陰か調子が良さそ

うだ。その代わりなのかどうか?息切れがいつも以上に激しい。










30分ほど登っただろうか、標高600mを過ぎた辺りまで石積がまだあった。石積み

の上の平らになった場所には太い木材が何本か残っていて、畑地というよりは何か建物

があったような気がする。道が杉林の中の道になっても相変わらず急登は続いて行く。










すると道の脇に『しんどい坂』と書かれた案内板があった。『イヤイヤここまでもずっ

としんどい坂なんですけど!』

相変わらずとにかく息切れがひどい。立ち止まって大きく深呼吸をしながら休んでも治

まらない。奥様たちに『今日はどうも調子が悪いので待たなくていいですから!』と声

をかける。十数歩歩いては立ち止まり深呼吸して、そのたびコマめに水分補給をしてい

くけれど、状況は変わらず奥様たちはすぐに見えなくなった。











何とか柿ノ口の登山口への分岐に着いたが当然奥様たちの姿はない。しばらくすると今

度は吐き気がしてきた。立ち止まる頻度も数十歩から十歩になってきた。これはいよい

よヤバいかなと思いながらも牛歩で進んで行く。




すると最後の登りの手前、案内板の建つ場所で奥様たちが待っていてくれた。『大丈夫?

』と声をかけられ、『吐き気が収まらないんです』と話をすると、『熱中症だわ』と言って

ルリちゃんがザックから経口補水の粉末を取り出し手渡してくれ、一緒にあっちゃんがペ

ットボトル水を差しだしてくれた。

その粉末を口に入れ、ペットボトルの水を含んで口の中でグジュグジュと混ぜ合わせて飲

み込む。それを何回か繰り返してみると少し落ち着いてきた。

しばらく置いて残り僅かな山頂目指して歩き出す。山頂直下の岩が崩れた場所を登って行

くと、その先に大黒様が見えた。そして奥様たちの『着いたわよ!』の声がした。











山頂にはYAMAPの活動日記の写真で見た大黒様が南に向かって鎮座していた。今年に

入って最悪の状態でやっと登ってきたのに、山頂からの南に広がっているはずの景色は白

いガスの中だった。














とにもかくにも疲れた身体を大黒様の前の石積に座らせてもらった。もちろん食欲もな

く雲の隙間から時折差す日差しが恨めしかった。

あっちゃんは先週からインスタントのソース焼きそばに凝っている。お湯を入れて時間を

置いて湯切りした後におふたを開けてソースを混ぜると、こちらまでそのソースの臭いが

漂ってきた。『少し食べますと?』わざとらしく聞いてきたが、もちろん丁寧にお断りを

した。










昼食の後山頂の北側にあるという展望岩に寄ってみる。晴れていれば国見山の北側に並ぶ

石鎚山系から東の峰々が眺められるはずだが、当然こちらもガスの中。

ただ一瞬だけ雲が流れて薄く二つのピークが見えたが、続いている稜線が見えないので、

山座の同定はできなかった。










展望岩から戻って山頂をあとにする。経口補水が効いたのか、休憩したせいなのかは分か

らないが、登りの時が嘘のように楽になった。

時期的なものなのか手水からのルートが元々なのかは分からないが、今日は全く花を見る

ことがなく、唯一この白いキノコが目に入った。











すると時々何カ所かで匂いが漂ってきた。登りの時にも気づいていたが『ひょっとして

サンショウかな?』と前を歩くあっちゃんに言うと、『私も登りの時から気になっていた

の』と。途中でその葉を見つけて匂ってみるとやはりサンショウの木だった。

今日は花がないので目に入った虫を写してみる。歩く花と昆虫図鑑のアカリプタさん

らすぐに名前を教えてくれるだろうな。







登りが急登だったということは下りは急坂。登りの時はあまりの苦しさで気にならなか

った膝の痛みを感じ始めた。人間不思議なもので一度に何カ所もの痛みを感じることが

なく、一番痛い個所だけを感じるようにできていると思う。

山頂でルリちゃんは『それじゃゆっくり降りるわね!』と言ったはずなのに、急坂をト

ントンとスピードを落とさず二人は下りていく。

そのうちにあっちゃんが『しんどい坂はまだかな?』と言うので『もう通り過ぎてるわ

よ』とルリちゃん。『あんな大きな案内板が目に入らなかったの?』と私。この頃には

ツッコミを入れられるくらい余裕が出てきた。







登りではまったく気づかなかったがこのルートには石段らしき跡が何カ所も残っていた。

登山道の整備での石段ではないだろうから、山頂で春と秋に行われている祭事に行き交

う為の昔からの石段なのか?







しばらくすると水の音が大きくなってきた。足元に昨日の雨後の水が流れる場所まで来

ると、濡れた岩で転ばないようにスピードが落ちる。







その足元の悪い場所を過ぎると、登りの半分もかからない時間で登山口まで戻ってきた。

車まで戻りさっそくクーラーを全開にして座席に着くが、上も下も汗でびしょ濡れで、

逆に汗冷えしてきた。











ここのところ夏場に一度は熱中症になりしんどい思いをしているのに、学習能力がない

のか同じことを繰り返している。その原因のひとつに着圧のタイツで下半身から暑気が

しているような気がしている。それで昨年からタイツを薄手にしてショーツを履き始め

たのだが、前回にその恰好で歩いていたら奥様たちに『細い足!』と小ばかにされた。

それで今日はショーツではなくズボンを履いたら、下半身がとにかく暑かった。

そんなこともあるので次回からは不安要素を一つずつ消して、さらにはルリちゃんにも

らった経口補水もちゃんと準備して来ようと反省しきりの国見山だった。