KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

まだ間に合うか、佐々連尾山のアケボノちゃん!

2023年04月28日 | 四国の山


先週の工石山のアケボノツツジが見ごたえがあったので、まだほとんど情報が

挙がっていない西赤石山とは別に、どこか他に景勝地はないかと探していたら、

YAMAPで佐々連尾山『アケボノ尾根・アケボノ広場』といわれる場所が

ある事が分った。標高的には工石山より佐々連尾山の方が高いので、他の山では

すでに散り始めているアケボノちゃんもまだ間に合うかもしれない。そう思って

奥様たちをお誘いした。ルリちゃんはそうでもなかったが、あっちゃんは

『線で繋ぐ引地山~石鎚山』を早めに済ませたそうな雰囲気だったが、やはり

先週の工石山のアケボノツツジが予想以上に良かったので、アケボノ広場の言葉に

あっちゃんの気持ちも揺れ動いていた。

ただYAMAPの活動日記を見るが限りでは、アケボノ広場のアケボノツツジは

今まで見てきた尾根の登山道に咲いているのとはまた違った、とても開放感のある

場所で、あの可愛らしい薄ピンク色の花が咲き誇っていた。

これは線で繋ぐを後回しにしてでも是非見ておきたい!そう思って奥様たちにも

了承してもらって、さっそく出かけてきたが、ただひとつ前日の雨と強風に、

アケボノちゃんは散っていないかが気がかりだった。





金砂湖に架かるひらのはしはきれいに塗り直されていて、その周りが圧倒的な

緑一色の中、鏡のような湖面にその橋が写り込み、その赤い色がなお一層際立っていた。

その橋の奥には佐々連尾山から大森山への稜線が続いている。

いつもの様に白髪隧道の南側に車を停めて8時55分スタートする。







隧道の右手横から林道跡を歩いて行く。荒れた林道跡は前日の雨で直ぐ下に流れる沢の

水の音も大きく、所々で軽く渡渉する場所もあった。













白髪隧道から400mほど進んだところで、道の脇に小さな道標。字は消えて

判読できないが、ここから左手に杉林の中を登って行く。取付くと直ぐに佐々連尾山の

道標。道は少しだけ急登になるが、そのうち石畳の跡のような平らな石が足元に続いて行く。








道の脇にはミツバツツジの花が目についてくる。スタートして25分ほどで猿田峠に

着いた。峠には独特な形をした住友共同電力の鉄塔が立ち、北には正面に赤星山

から二ツ岳に続く、法皇山脈・赤石山系の山並みが見渡せる。その山並みを眺めながら

山座同定に『あ~でもない、こうでもない』と三人で話が弾む。














車を停めた場所からもそうだったが、この峠からでも大森山は意外と急峻な山容を

している。ピークの下には黒く大きな岩も見えている。あそこまで登るのか。







峠から少し上がった場所では更に北側の眺望が広がっていた。ここでもその山並みを

見ながら同定していたが、どうも意見が分かれて決定しない。すると下からおじさんが

上がって来た。『地元の方ですか、この辺りにはお詳しいですか?』と聞くと、

この山には何度も来ているという。『それじゃあの山は?』と赤星山らしき山を指さし聞くと

『赤星山や!』と答えてくれた。一つ山が確定すればそこから続く山々の名前は同定できる。

そのおじさんは何度も来ているが、今日は初めてアケボノ尾根に行ってみようと思うと言う。

『私たちも同じです!』と話をする。








大森山への道は猿田峠から見えていた通り、徐々に勾配が急になってくる。地元だ

という男性は先頭をいいペースで登って行く。やっぱりヘッポコリーダーは今日も最後尾。














最初の方は大きな露岩は巻いて道は続いている。すると道の脇に今日お初のアケボノツツジ。

先週の工石山では曇り空だったが、やっぱりアケボノツツジは青空が似合うし映える。














最初のロープ場には何本ものロープがかかっていて、前回無かったアブミもあった。

岩に引っ付いたアブミは手で握る事は出来ても、足を差し込める隙間がない。

慣れない人間にとっては逆に登りにくく、足を置くスペースも少なくなっている。










次のロープ場には岩肌に立つ木の根とロープを握って登って行く。

昨日の雨で濡れた地面は滑りやすい。













すると露岩の近くにはアケボノツツジ徐々に増えてきた。その色も濃いピンクから

淡いピンクと木によってまちまちだ。







岩の尾根が終わると展望岩に出た。ここからは南西から南東にかけての眺望が

素晴らしい!南西には猿田峠から玉取山・兵庫山そして登岐山に続く稜線。

その稜線を辿り、一番奥に見えるちち山までも三人で歩いて線を繋いできた。

『よく歩いたもんだ!』と感心する。そこから左に視線を移すと奥工石山奥白髪山

そして麓にはスタート地点に停めた車を見下ろせた。

















するとルリちゃんがザックから新しく買った地図を取り出した。大岩の上に広げて

この山域と、ここから続く稜線上の山々のお勉強。





その展望岩から真新しいロープ場を登ると、もうひとつの展望岩。沓掛山の南斜面と

ちち山の背に笹ケ峰の笹原が顔を出している。











尾根に出ると緩やかで快適な道になる。背の低い笹の間に続く道。そして背の低い

コバイケソウの緑がその道にアクセントをつけてくれている。登山道の北側には緩やかに

広がる笹原。その開放感あふれる笹原にブナの巨木が遠慮し合うようにして間隔を

開けて立っている。

















大森山は小さなピーク。まだ芽吹いたばかりの木々の上に赤星山から二ツ岳の稜線。











大森山からは最初は下りになる。その途中の見晴らしの良い場所からは、

これから行く佐々連尾山への稜線が見えた。尾根の北側はシャクナゲの斜面。

開花の時期にはシャクナゲの尾根になるのだろう。それにしてもこの大森山から

佐々連尾山への稜線は、ブナやシャクナゲと、季節季節によって色々な表情を

見せてくれる変化のある楽しい道だ。

















途中で二つほどの見えたピークの最初のピークも見晴らし台。奥工石山が目の前に

近づいて来た。稜線から南側の斜面にはアケボノツツジがあちらこちらで咲いている。














短いロープが掛った岩を登ると二つ目のピーク?そこからはまたブナの巨木が

点在する笹原の道。その道の先には佐々連尾山への最後のスロープになる。













前回歩いた時もこのスロープの下り坂と登坂は気持ちのいい道だった。尾根の

両側で植生が異なり、南側は笹原そして北側は樹林帯とくっきりと色が分れる。

南西に見える一番高い山が登岐山。そしてこの笹原の中腹は汐見川の源流域のひとつ。

両側に折り重なるようにして続く谷あいはを流れる川は、やがて吉野川へと注いでいく。














スロープをひと登りすると佐々連尾山に着いた。時間は12時前。ここでお弁当を

広げてお昼ご飯。今日は冷やしうどんにカップ麺、巻きずしと三者三様のお昼。














お昼ご飯を食べたら、今日の本命のアケボノ広場へ。山頂からさらに東に進むと

山頂手前と同じような笹原の稜線が続いている。一番先で登山道が分岐に

なっているのが見えるが、その分岐を左に折れると大ブナの駄馬になる。

秋になればブナの黄葉で、ここからの景色も更に見ごたえのあるものになるのだろう。

















尾根の途中から1289mの標高点へと、北東への道を鞍部へと下って行くと

稜線上にはなかったアケボノツツジがポツポツと現れ始めた。これがアケボノ尾根?

などと思いながらさらに下って行くと支尾根の真ん中に立つ2本のブナの巨木。

しばらくすると地形図には載っていない林道へと降り立った。すると猿田峠で

お話をしたおじさんが腰かけてお昼ご飯を食べていた。どうやら大森山から稜線を歩かず、

尾根を一旦下ってこの林道をここまで歩いてきたようだ。『アケボノ尾根へはここから、

下ってまたここまで登り返さないといけないので、途中までで帰って来た』と言う。














正面に見えるピークが1289mの標高点。山肌にはピンクの色が散りばめられている。

鞍部にはそのアケボノツツジを見る前に、見事な色をしたミツバツツジが咲いていた。










鞍部からピークへと登るにつれ、アケボノの密集度が高くなってきた。その蜜集度と

同じように期待感もドンドン高まってきた。

















大岩を巻いて登るとピークへの斜面は噂通りのアケボノ広場。枯れた色の笹原と対照的な

青空の下にピンクの色のパレード。昨日の雨の影響か花弁はあまり開いていないが、

それでも見応えのあるアケボノちゃん。どうにか散らずに待っていてくれた。

















西赤石山の群生も素晴らしいが、開放感のあるこの場所で見るアケボノツツジは特別だ。

比較的背の低い木が多く、手を伸ばせば花弁に手が届く。







ピークから東の斜面も、ずっと下の方までアケボノのピンクとミツバツツジの

赤紫の色で染まっている。





広場というよりは丘のようなこの場所。登山道の脇に咲くアケボノは今まで何度も

見てきたが、このアケボノの丘は兎に角素晴らしくて、あちらこちらとうろつく

奥様たち。『どうですか、今日来て良かったでしょう!』と自慢げに話しかけると、

『いや~ほんとに!』と二人とも納得した様子。内心散ってなくてほんと良かったと。













これで花がもっと開いていたら、どんなに凄い事になるなるだろう、なんて思いながら

名残惜しみながらアケボノの丘をあとにする。

















大岩を回り込み、次第に疎らにはなってくるが、アケボノを眺めながらの登り返しは

苦にならない。『せっかくならさっきの方、ここまで降りてきたら良かったのに』と

あっちゃん。丘からだと時間にして20分ほどの登りだったのに。

















林道に登り着く。振り返ると遠くに翠波高原の展望台が小さく見えた。








『アップダウンは少ないが距離はあるよ』とおじさんが言っていた通り、林道はほぼ

等高線に沿った形で支尾根を回り込んで続いている。所々で斜面が崩れた場所があるが、

地道の林道はおおむね歩きやすい。











林道にもコバイケソウの群生が斜面の上から下まで続いていた。先ほど見えた翠波峰

稜線の奥の尾根に建物が見えるのは雲辺寺かな?











この林道は兎に角北側の眺望が開けていて気持ちがいい。銅山川を挟んで法皇山系と

対峙するように続く道。そんな稜線を眺めながら『いつか西赤石山から翠波峰を

繋いでみたいね』と奥様たちと話をする。













バイケソウの群生地の次は苔の斜面。いつもは単調になりがちな林道歩きも、

この道は周りの景色と言い次々変わる植生の変化に、全く飽きる事がない。














すると今度は赤石山系、笹ヶ峰が見え始めた。・・・と言う事はと思いYAMAPを

みて見ると、ほとんどの人がこの林道から大森山の西側へと登っていたが、

その取付き辺りを通り過ぎていた。ここで思ったのがこの林道、猿田峠まで続いて

いるのではという事。『たぶん!』という憶測の元そのまま歩いて行くことにする。







しばらく歩くと先頭を歩くルリちゃんから『あら!』と声が上がった。

そう林道はいきなり行止りになっていたのだ。慌ててスマホを見るルリちゃん。

YAMAPにはこの場所に赤いびっくりマークがついていた。そこには

『ここで林道の終点になります。慌てず此処から少し進んで尾根筋をひたすら登ると

登山道に合流します』
と報告・注意が書かれてあった。

その報告どおりに杉林の斜面を、斜め上に見える明るい尾根らしい場所まで登って行く。








すると薄暗い杉林から明るい笹の斜面の支尾根に飛び出した。報告通りに尾根を

登って行く奥様たち。その後ろを続けとばかりについて行くへっぽこリーダー。

林道からも見えた北側の山々が全て見渡せる絶景の支尾根。













景色はいいがけっこうな急登。途中の展望岩まで辿り着いたが『ひたすら登ると』と

書いていたように、この支尾根が派生する大森山の西端まではまだまだの様だ。











展望岩で支尾根の先から少し横に視線を移すと猿田峠から登って来た尾根が見えた。

目視でも地形図を見てもその尾根までの距離はさほどではない。このまま急登を

登るより、トラバースして登山道の尾根へ行ければといういらぬ考えが浮かんできた。

するとあっちゃんが少し横で『道がありそう!』と踏み跡があると言ってきた。

ただ尾根の手前は谷筋になっているので、そこで向こう側に行けるかどうかが問題だった。

迷っていても時間が経つばかりなので、意を決してトラバースをする事に。

踏み跡は最初の方は明瞭だったが次第に怪しくなる。谷筋をなんとか横切り、

尾根に向かってその尾根を見失わないようにして登って行く。











日当たりの悪い斜面はまだぬかるんでいて足が滑る。更には掴んだ木がけっこう

枯れていて、掴む木が無くなかなか上へと登って行けずに前の二人も苦戦をしている。

















それでも何とか足元の悪い斜面を登りきると、展望岩から見えた尾根に着いた。







その場所も展望岩があり、西の眺望が広がっていた。今日最後の眺望だ。











展望岩からひと登りすると大森山への登山道に合流した。ここまで来ればひと安心。

あとはロープ場を注意しながら下って行くだけだ。










ロープ場では新しく付けられたアブミが逆に足の置き場の邪魔をして、ルリちゃんが

降りにくそうにして苦戦している。













登山道沿いに最初に見たアケボノツツジは、今日最後のアケボノツツジに。








苦戦したトラバースからこの登山道に合流しておおよそ40分で猿田峠に着いた。

以前に玉取山から兵庫山へ歩いた時も道を間違えて、登山道から外れて苦戦して

何とか林道までよじ登り、その林道を歩いてこの猿田峠に着いた時はホッとした。

今日も林道終点からは予定外の歩きになった。そして中川峠からカガマシ山

歩いた時も奥工石山へと間違って歩いてしまって引き返したことがある。

この山域は毎回何かと予定外のハプニングが起こる。








猿田峠からはもう何度も歩いた道。先頭を行くルリちゃんは、先ほどのトラバースでの

苦戦していた姿がウソのようにトントンと調子よくいいスピードで降りている。

峠から25分でスタートした白髪隧道の県道へとたどり着いた。











年数にするとけっこうな年月を歩いてきた私だが、とにかくバカの一つ覚えのように

同じような山ばかり毎年登って来た。アケボノツツジの咲く山もその内のひとつで、

今回のアケボノの丘は初訪問にして一気にベストスリーにランクインしてお気に入り、

ブックマークの山となった。また来年の春が楽しみになって来た。その前に、大ブナの

駄馬の秋の黄葉見物かな?(*´▽`*)

再開したばかりの線で繋ぐはお休みしての花巡り

2023年04月21日 | 四国の山

今週の予定は先週の続きで堂ケ森から二ノ森を歩く予定だったが、天気がどうも

落ち着かない。予報もころころ変わり雨予想から曇り予報の間を行き来している。

予定のコースは四国でもトップクラスの稜線歩き。せっかくなら青空の下で

絶景を愉しみながら歩きたい。『線で繋ぐ石鎚山~引地山』を先週再開したばかりだが、

今週は諦めて別日にする事になった。そうなるとこの所そろそろ開花の情報が

入っているアケボノツツジを今年初で見てみたい。YAMAPではギッチャンさんが

杖立山(高知)を、グランマーさんが工石山をアップしていた。当初は歩いた事のない

杖立山に的を絞ったが、よくよく調べてみたらどうやら先々週歩いた徳島の杖立山

同じように、舗装路歩きが結構あるような感じだ。それなら何度も登っているけれど

自然豊かな工石山をのんびり歩いてみようと言う事になった。


天気予報通り朝から空はどんより曇っていた。高速道路を走る途中でパラパラしたが

瀬戸内側より山間部の方がまだ雲の色が明るかった。大豊ICで降りて、国道439号線を

本山町から土佐町へと走る。途中道の駅土佐さめうらでトイレを済ませて、県道16号線を

赤良木峠へと登って行く。するとあっちゃんが、『こんな道走ったかな?』と。もう何度も

走ったこの道を憶えていない?『ハイハイ、お二人はいつもお話に夢中ですから』。

峠のトンネルを抜け青少年の家の体育館の下に車を停めてスタートする。




青少年の家から登山口までの道に沿って、ドウダンツツジが釣鐘状の花を咲かせている。

そのドウダンツツジの奥に黒滝峰山頂近くの岩肌が見えた。その手前の伐採地からは

朝からチェーンソーの音が鳴り響いてここまで聞こえてくる。











登山口の手前に車が二台。こんな天気でも、やはりお目当てはアケボノツツジかな?

『今日は天気ももちそうなので、黒滝峰と三辻山にも登ってから周回しますか?』、

『黒滝峰まで行けばヒカゲツツジが咲いていると思います!』と二人に問いかけると

『ヒカゲツツジが見たいです!』と即答。

最初は砂利道の林道。その林道の途中から登山道へと取り付いて行く。














杉林を抜けると道の両側は新芽と新緑のプロムナード。緑のシャワーを浴びながら

足元の草花を見つけては立ち止まるルリちゃんとあっちゃん。



タチツボスミレ





ジロボウエンゴサク



今日は急ぐ旅でもなく、あっちゃんが新しく買った登山靴の足慣らしでのんびりと。

相変わらず花の名前はほとんど分からないので間違っていたらゴメンナサイ!









シコクスミレ




杖塚の手前で黒滝峰へのトラバース道へと右に折れて歩いて行く。途中にある

ドロマイトの採掘跡の横を通り、少し下って行くとな・な・なんと通行止めの標識。

先ほどから聞こえてきていたチェーンソーでの伐採作業の為の危険回避の様だ。

ただ伐採地は恐らく黒滝峰近く。この場所から少し先が三辻山への分岐になっている

ので、伐採地を通らずに三辻山・黒滝峰と行けない事もないが、これだけ派手に

立入禁止としているので、今回は諦めることにした。










杖塚へと引き返す。それにしてもあちらこちらで小さな草花が目に入る。






ヤマナシ



シロバナネコノメソウ







杖塚から少し東に進むと尾根道が山頂に向かって続いている。いつになく緩やかな

登坂に奥様たちは『これじゃ足慣らしにならないわね』と宣う。

暫くすると根曲がり杉。ほぼ横に曲がった後に真っすぐに伸びた杉の木は、いつ見ても

『すっごいね~』と感心する。














白鷲岩では今年お初のアケボノツツジが待ってくれていました。

手前のアケボノは割と濃い目の色。岩の下に見えるアケボノは薄いピンク色。

そして岩の上に立つルリちゃんもアケボノ色だ。

















山肌の木々の芽吹きの色も様々で、グラデーションになっていてとてもきれいだ。

東には三辻山が見えるが、その奥の山並みはやはり雲がかかっていた。







途中ではコミヤマカタバミがあちらこちらで咲いていた。まだ陽の当たらない場所では

花が閉じ加減。『私はこれくらいが初々しくて可愛らしくて好き』とあっちゃん。

『私は開いているのが好きだな~』と言うと『あら、私たちみたいに!』と。

思わず『枯れる前・・・。』と口に出そうになったが飲み込んだ。

コミヤマカタバミ



白鷲岩から杉林の中を進み、少し登って行くとこのコースの代表的な場所の一つの

天然ひのき風倒根。このひのきもだが、木の大きさの割には根が浅い。これじゃ

強風の時にひっくり返ってしまうわな~。














いつもはここから山頂北峰に向かうのだが、ひのきの風倒根の横から道が続いている。

直ぐ近くの道標には赤良木展望台と書かれている。今まで何度も来ているがこちらの

展望台には行った事がない。途中にはヤマグルマやヒメシャラの巨木が点在していた。














途中の分岐は赤良園地と展望台との分岐になっていたが、園地の方は規制線が張られていた。

展望台はコンクリート製の古びた感じのする展望台だった。階段の横にはミツバツツジ。

アケボノツツジとはまた違った濃い色で主張している。
















ひのき風倒根まで戻って山頂を目指す。工石山は北回りと南回りのコースが

あるが。その間にもいくつもの道がある。スズタケの道を抜けると、道の脇にも

チラチラとアケボノツツジが目につき始めた。














途中にあるトド岩でもアケボノちゃんが迎えてくれた。いつもは怖がって登らない

ルリちゃんも恐る恐る岩の上まで登って来た。あっちゃんは相変わらず岩の

尖端まで行っている。それを見ただけでこちらは股間がゾクゾクとする。

















『やっぱりアケボノツツジは青空が欲しいね』と言うと、『それは贅沢』とあっちゃん。

確かに雨が降らないだけでもまだマシか。岩の上では小さくツツジが咲いていた。








工石山北峰の手前で今まで比較的緩やかだった道は、九十九折れの道になる。すると

あっちゃんは単調な道に飽きたのか、登山道ではない斜面を直登し始めた。

『急がば回れですよ~』と言いながら、我々はそのまま九十九折れの道へ。







北峰に近づいてくるとアケボノツツジがまたチラホラ。山頂の広場になった場所では

その山頂を囲むように咲いていた。白鷲岩でお会いした女性二人も先に着いて

うっとり眺めている。『素敵ですね』と声を掛けると、『ほんと今日来て良かった』と。











後から来た奥様たちからも歓声が上がる。山頂に置かれた山名盤の後ろには

手が届く高さに大きな花が咲いている。遠目に見ると一色に見える花弁も、

間近に見ると一枚一枚グラデーションが掛かっているのを始めて気づいた。











アケボノツツジを存分に鑑賞した後すぐに『ここでお昼?』とあっちゃん。

『いやいや山頂でお昼でしょう』と言うと『え~~』と。唇を尖らせた。

北峰から山頂までは200mほどだが、先ほど物足りないと奥様たちが言っていたので

校倉展望台の方へ回り道しましょうと言うと、『何分くらいかかるん』とあっちゃん。

歩き足りないと言ったばかりなのに、お昼ご飯で頭がいっぱいの様だ。




大きく丸い山名盤の脇から校倉展望台への道へ歩いて行く。北峰からは一旦下り、

山頂から南西に続く尾根へと回り込むようにして道は続いている。

道の途中には岩肌にしがみつく様にして根を張ったヒノキの大木が何本もあった。










かと思うと、道の途中大きなヒノキが何本もひっくり返っていた。太平洋から

遮るものもなく厳しく吹き付ける風に耐え切れずに倒れてしまった木々ふが目につく。

県民の森として親しまれているこの山のでも、厳しい自然の一面を垣間見ることができる。



ツルシキミ



山頂からの支尾根になるとシャクナゲが道の両側を覆っている。5月になればシャクナゲの

花のトンネルになるだろう。そのシャクナゲの木々の間にもアケボノツツジが咲いている。

また登山道から少し下がった所にはタムシバが白い花を咲かせている。








山頂で最初に目についたのはミツバツツジだった。紅紫の鮮やかな色をした花。

アケボノツツジと比べるとやはり派手な色。控えめな色のアケボノツツジの方が好みだな。











ベンチに腰掛けてお昼ご飯。晴れていれば太平洋まで眺められるこの山頂も、

今日は霞がかかっていて南側の景色はほとんど見えない。














お腹を満たした後はサイの河原へと下りて行く。こちらの道もシャクナゲの道。

山頂からは170mほどを一気に下って行く。









クロモジ




途中にもあちらこちらでアケボノツツジは咲いている。最初に見た白鷲岩のアケボノツツジは

花弁の先が少し茶色がかっていたので、そろそろ終盤の様だ。








途中の大岩からも南側の眺望が広がっているが、今日はどこから見ても霞がかかっていて

ほとんど見えないが、石灰岩の採掘場の土佐鉱山の削られた山肌が何となく見える程度だ。








サイの河原では、あっちゃんが前日に見たYAMAPの活動日記で、サンショウウオを

見たという人がいたので、ぜひ私も見てみたいと言って河原をうろつくが、

私自身も何度も来たが一度も見た事がない。やはり今日も空振りに終わった。














『あ~あ残念!』と意気消沈して歩くあっちゃんを待ち受けていたのは、テンションが

速攻あがるヒノキ屏風岩だった。











屏風岩の横に回り込んで見ると、名前の通り切り立った岩。足元はスパッと

切れ落ちて高度感がある。

今まで曇っていた目がランランと輝き始めたあっちゃん。その様子を見てルリちゃんが

それを察したのか『いらん事せんでええよ!』と岩の下から声を掛ける。

それでも耳に入らないのかナイフリッジの岩を登って行こうとするあっちゃん。

見ているこっちがザワザワしてきた。『は~い、そこまで!』と声を掛けて何とか

途中までで引き留める。

















不服そうな顔をして下りてくるあっちゃん。安堵するルリちゃん。仕方がないので

一旦降りて木々の生えた正面から登ってみせると、当然後ろから付いてきた。

木の根に掴まりながら登ると屛風岩の突先に立った。後から登って突先に立てた

あっちゃんも一応満足したようだ。登るより降りる方が難しい。慎重に下りて行く。














『サンショウウオは見られなかったけど、屏風岩に登れたから良かった!』と

ルンルン気分であっちゃんの足取りも軽い。逆に『もう、いい加減にしとこうで!』と

ルリちゃんはお怒りの様だ。アケボノツツジもサイの河原の辺りだけかと思ったら、

意外とあちらこちらに咲いていて、最後まで目を楽しませてくれる。











ヤッホーポイントから見える山肌にもピンクの色が散りばめられていた。

三人で『ヤッホー』と叫ぶと、きれいにコダマした。『ヤッホー』って叫ぶだけで

童心に帰って気持ちが若返るのはなぜだろう?















屏風岩から杖塚まではほぼ等高線上の緩やかな道。複雑な等高線に沿って道は続いて行く。



杖塚のトサミズキ







春の訪れと共に、山々は若葉の色に包まれ、生命力にあふれている。木々の葉は輝き、

風に揺れるたびに色彩が変わっていく。山の中腹にも緑色のじゅうたんが

広がっているように見え、爽やかな空気が満ちている。緑豊かな山並みが

目に飛び込んでくる春の光景は、まるで新しい命が吹き込まれたかのように鮮やかだ。














新しい登山靴の足慣らしだった今回。天気予報通りの終日曇り空だったが、

思っていた以上にアケボノツツジを見られ、奥様たちはこれだけ見られたのは

初めてだったと喜んでいる。帰り道に立ち寄った高須の棚田には水が張られ始めていた。

季節は春からまた少し移り始めている。











さらに高須の棚田から県道に出る途中で土佐町の町議選のポスターが貼ってあった。

その中に『ん?』見覚えのある人の顔があった!!仙人も街に降りてきてたんだ!(笑)




そして高速での帰宅途中。雨は土砂降りになり遠くで雷の音も。帰宅すると家族が

随分と心配をしていたが、工石山では一切降られることなく楽しい花散策だった。

これもひとえに私の日頃の行いと、来週奥様たちには自慢してみよう!


『線で繋ぐ石鎚山~引地山』 割石東山・青滝山

2023年04月14日 | 四国の山
昨年末の白猪峠から黒森峠を繋いだ後、中断していた石鎚山から引地山の線を

繋ぐべく今日は黒森峠から再スタート。黒森峠からは残り3回で石鎚山までの

線が繋がる予定だが、次の堂ケ森と二ノ森が累積標高でいうと今までで一番の

標高差になりそうだ。その前のウォーミングアップで今日は黒森峠から堂ケ森に

向かって歩いてきた。

先ずは梅ケ市の登山口に一台をデポ。その後一台に乗り込んで黒森峠へと走る。

青滝山への取付きは峠の切通の法面を登って行く。










道は直ぐに防火帯の幅の広い道になる。そう言えば峠から石墨山への道も最初は

同じような防火帯の道だった。そしていきなりの急登だった。








綺麗に刈り払われた道は急でも歩きやすい。小さなピークを越えると右手の景色が

開けてきた。すると手前の深緑の稜線の奥に少し霞んではいるが薄く稜線が見えた。

そしてその稜線の左のピークに確かに反射板が見える。『堂ケ森が見えますよ!』と

前を歩く奥様たちに声をかけ引き留める。森林限界を越えて笹原になった尾根。

堂ケ森までは随分と遠いが、次週はあそこまで歩くんだと思うと感慨深い。











三人で横に並んで『遠いね~』と言いながら、しばらくの間眺めたあと歩き始める。

取付きからは20分ほどで三等三角点 菖蒲谷 1073.81m に着いた。

ここまで北に向かって続いていた道は、右に折れて東に向かって続いて行く。










稜線上に続く道の両脇は笹が生えているが、おそらく昨年にでも刈られて

いるのか、登山道まではまだほとんど覆われていない。ただ夏になれば次第に

笹の勢いで、登山道は隠れてしまいそうなヶ所がある。

すると左手木々の間から随分遠くにピークが見える。ギザギザのピークはひょっとして

『あれは石鎚山じゃないですか!』と言ってまた奥様たちを呼び止める。











道は笹の背が高くなったり低くなったりしながら続いて行く。少し下った所に

25番鉄塔があったが、支線名は分からない。







尾根道は東温市と久万高原町との境界。けっこう大きめの境界の石柱が続いている。








すると稜線上に大きな岩が現れ始める。最初はその脇を抜けて進んで行くが、

最後の大岩は岩の下が切り立っていて回り込めない。仕方がないのでそのまま岩を登る。

幸い2カ所ほどちょうどいい場所にしっかりとした木の根があり、その根を

掴みながら登って行く。














大岩をやり過ごすと何度かのアップダウン。笹の背丈も場所場所によって変わってくる。

所によっては前を歩く二人が埋もれてしまって見えなくなる。この辺りは夏には

笹薮になってしまいそうだ。

いつもなら下りで怪しくなってくる膝が、今日は登りでも怪しくなってきた。

鋭痛ではないが重たい鈍痛。我慢できないような痛みだはないが、今後酷くなったら

どうしようという思いが頭をよぎる。














そんな場所があるかと思えば急に北側の木々が疎らになり、明るく雰囲気の良い道になる。

麓に見えるのは海上(かいしょ)の集落辺りだろうか。正面奥に見えるのは三ケ森




















道は相変わらず左側が自然林、右がスギとヒノキの人工林になっている。

そのスギ林はかなりの高さまで枝打ちされてスクスクと伸びている。











海上峠辺りで水分補給。地図を見ていたルリちゃんが『あっ、三角点を通り過ぎてる!』と。

そう、途中にあった 四等三角点 杣野 1237.8m を見過ごしてしまったのだ。

海上峠は北は滑川渓谷に沿って海上へと続き、南は梅ケ市への道が地形図には

破線で載っているが、はっきりとした道は確認できなかった。

海上峠からは青滝山への登りになってくる。この辺りも少し笹が深くなっていた。











途中ではきりのいい1234mの標高点。その標高点を過ぎ青滝山山頂までの間は

大きなブナが道の右左に点在していた。南側には梅ケ市辺りの谷底平野が見える。















スタートから2時間40分で青滝山山頂に着いた。 三等三角点 青滝 1303.37m

三角点の周りには少し背が伸びたフキノトウ。今日ぐらいの天気になるとそろそろ

温かい麺ではなく冷たい麺が口に合う。そう思いながらも横ではあっちゃんは熱い

キーマカレーを食べている。そのカップの蓋を開けた途端周りにカレーの匂いが広がった。











青滝山からはまだ葉のついていない木々の下、明るく気持ちのいい道が続いて行く。

最初に見た割石東山の手前で見えた堂ケ森が随分近づいて来た。

その堂ケ森の北斜面の奥に見えるのは西ノ冠岳かな~?





















青滝山から二回程アップダウンして着いた鞍部が相名峠だった、峠には青滝山山頂にも

あった背の高い『世界人類が平和でありますように』と日本語と英語で書かれた

標識が立っている。奥様たちが峠の北側の踏み跡を辿ると、『すごい急坂や!』と

二人で言っている。その道は保井野へと続いているが、ほとんどの人がこの道ではなく、

もうひとつ東側の登山道を登って堂ケ森へと歩いている。反対の梅ケ市への道は

踏み跡もなく見つけられなかった。

ここでルリちゃんが何やら地図を広げて考え始めた。今日の予定はこの先の梅ケ市への

分岐からさらに東の保井野登山口への分岐まで行くつもりだった。なぜなら次は

保井野登山口から登って堂ケ森・二ノ森に行く計画だったので、線を繋ぐためには

梅ケ市への分岐からは往復する事になる。

その往復もしかり梅ケ市登山口からの200mほど標高が高い。それなら次週は

保井野登山口からではなく梅ケ市登山口から登ったらと提案があった。

『ふむふむ、それも一理ある』と、いかにもルリちゃんの提案に賛同してあげるように

言ってみたが、実はここまでで膝が結構いっぱいだったのだ。










峠からはひと登りで 四等三角点 相名峠 1218.23m








さらにもうひと登りで梅ケ市登山口への分岐に着いた。










計画変更になったのが少しご不満そうなあっちゃんだったが、『私が言っているんじゃ

ないですから、あくまでルリちゃんの提案ですから』と嘯いた。コースタイムでは

ここから1時間25分になっているが、下りも速い奥様たちなら1時間ほどで降りられそうだ。








案の定、前を行く二人はトントンとリズミカルに降りて行く。以前は膝痛で下りの

スピードが極端に落ちたあっちゃんも、今ではジムに通って筋肉を付けたお陰なのか、

全く問題なく降りている。これでは登りも下りもつけ入る隙が無いヘッポコリーダー。










道は植栽地の中をどんどん高度を下げ、何度か作業道へと飛び出す。

間伐された木の間から今日歩いてきた青滝山の稜線が見える。そして正面には

石墨山の稜線も見える。










明るい植栽地から今度はだんだんと林床に雑木の生えた、少し薄暗い林の中の道になる。

この辺りになってくると、登山靴の中で伸びた中指の爪が横の指に食い込んでくる。

登りでは何ともなかった右の膝も怪しくなってきた。













『あ~あ、昨日の夜にでも爪を切っとくんだったな~』後悔しながら下って行くと

そのうちに林道に飛び出した。取付きにはスチール製の立派な道標が立っていた。

次週、ここから堂ケ森まで2時間40分の登り徹しか。














林道になると道は緩やかになり、靴の中の指の痛みも和らいだ。

道の脇の林の中にミツマタがまだ白い色の花をつけている。

このミツマタは薄暗い林の中でよく見かけるが、その日陰の中で葉を付けずに

白い花を散りばめたミツマタは良く目立つ。













稜線上には全く見られなかったスミレが、ここまで降りてくるとあちこちに咲いていた。








朝デポした登山口には、予想通りに1時間ほどで着いた。ネットではよく見る

仮設のトイレのある登山口の駐車場には、登山届を入れるポストもある。

登山届のポストがあると何となく本格的なルートに見えるのは私だけだろうか?











駐車場の脇の桜の木もほぼ葉桜になっていた。桜の花が散ると山肌は一気に新緑色に染まる。

そしてまた直ぐに今度は深緑色に変わって行く。日中の気温が上がっても肌を撫でる風は

乾いていて心地よく、山を歩くには一番気持ちのいい時期かもしれない。

帰りの道、車窓から見えた白猪山も少し黄色く霞んで見える。今日は全国的に黄砂が

飛んでいるようだ。山も空も春のど真ん中だ!







残り石鎚山まで2回

『線で繋ぐ剣山~和田ノ鼻』大川原高原~杖立峠

2023年04月06日 | 四国の山


今週は火曜日までは暖かく天気も良かったが、水曜日には西から次第に天気が

崩れる予想。今週歩こうと思っていた『線で繋ぐ石鎚山~引地山』の残り3区画の

内のひとつの青滝山辺りは、お昼には雨が降り出しそうで、縦走するとなると時間的に

ちと厳しいので、少しでも降り出しの時間が遅れる東の山を歩くことにした。

それなら先週の続きで大川原高原から東に歩けば、『線で繋ぐ剣山~和田ノ鼻』

繋ぐ距離が少しは伸びる。しかも轆轤山・日ノ出山・杖立山とYAMAPの

ポイントが三つゲットできるとなると、当然奥様たちは断る理由がない。

またあわよくば帰りに神山町に寄り道して、枝垂れ桜がまだ咲いていたらと思って

計画をして奥様たちに連絡をした。




奥様たちとは自宅近くで待ち合わせをして、高速道路で板野まで走り、先週と同じ道を

大川原高原まで走る。トイレの前の広場には三重ナンバーの車が一台。県外からわざわざ?

と思いながら車を降りると、ルリちゃんが開口一番『あっ、寒いわ!』と。

気温は12度ほどだがとにかく風が強い。脇に立つ風力発電のプロペラも先週見た以上に

勢いよく回り、機械音とも風切音ともつかぬ大きな音をたてて回っている。

今日の雨の降り始めは15時前後の予想。それまでにはここまで戻ってきたい。



眉山の脇を鮎喰川が蛇行して流れている


阿讃山脈の奥に薄っすらと小豆島も見える






駐車場からまずは東に向かって歩いて行く。ヒルトップハウスの施設の横を通り

道路に沿って下って行くと四差路に出た。そこから四国のみちの道標に沿って

小高い丘を登って行く。ここから今日の折り返し地点となる杖立峠までは、尾根の

北側に舗装した林道が続いているが、往きは出来るだけ尾根を歩いて行くことにする。

その小高い丘を越えると直ぐにまた車道に。ここからも尾根に向かって登って行く。










擬木の階段が終わると道は少し不明瞭になるが取りあえず東に向かって進んで行く。








周りの木々はまだ葉はつけていないが、小さな芽があちらこちらに。

キブシ(木五倍子)



アブラチャン



二つ目のピークからもすぐに車道に出た。この辺りはこの林道が四国のみちにもなっている。

地形は少し複雑になりはっきりとした尾根もなくなってきたので、ここから轆轤山の取付き

までは舗装路を歩いて行く。途中ピークでも何でもない場所の道の脇に朝宮山と彫られた

石柱が立っていた。



正面に轆轤山







佐那河内・上勝・勝浦の三町村の境界となる辺りが轆轤山への取付きになっていた。

そして山頂に向かって急登が始まった。










急登は2段構えになっていて一旦緩やかになったと油断させて、最後にまた急登に。










山頂には巨大な電波塔が3基。その北側に三等三角点 六郎丸 971.2m

この山、地形図には六郎山と書かれ括弧書きで轆轤山となっている。

轆轤(ろくろ)とは木地師が椀や盆などの木工品を作る際に用いる道具なので、

山の名前としては轆轤の方が相応しいが、とにかく見ながらでもなかなか書くのが

難しい漢字なので、簡略化して六郎山としたのだろう。

阿波志に、「轆轤山、坂本村にあり。上に経塚あり里民これに雨乞す。また通夜石あり、

俗に伝ふ釈空海(弘法大師)跌座の所。この地霜降らず、蛭人をすはず」とあるが、

三角点の向かいにある石積みがその経塚なのだろうか?










経塚?の脇のアセビの横を抜けると更にアセビの群生。正面には少し色目の違う

大きな木に数珠なりに花を付けていた。










そのアセビの横から境界杭に沿って下って行く。車道に出る手前で可愛らしい三角の

小さな札が木に掛けられていたが、無視して真っすぐ進むと道は少し藪になる。

慌てて引き返してその三角札の方向に進むとまた車道に出た。
















まだほとんど蕾だが数輪だけ咲いていた気の早いミツバツツジ










車道から大きな電波塔と風力発電を正面に見て、そのピークではなく横の地道を

歩いて行く。するといつものように奥様たちは新しく始まった朝ドラの話をし始めた。

迷うような道ではないので後ろからその話を聞きながら付いて行っていると、

道の脇に小さな道標があった。よく見ると日の出山登山口と書いている。『お~い!

こっち!』と言って呼び戻す。二人が話に夢中になると結構道を間違える事が多い。

広い道なので安心して油断していたら見逃す所だった。危ない危ない。













道から逸れて登って行くと四等三角点 日ノ出山 846.74m

時間は11時前。そろそろかなと思っていたら案の定あっちゃんがお昼ご飯の話を

し始めた。時間的には折り返し地点の杖立峠辺りでもよかったのだが、とにかく

『風の当たらない場所にしましょう』とあっちゃん。ん~風も気になるが雲行きが

どうも怪しくなってきた。15時前までに戻るには途中でお昼ご飯を食べていると

微妙だ。『折り返して、林道(舗装路)を歩いて急いで駐車場まで戻ってお昼に

しましょう』と言うと、『え~~え!!』とあっちゃん。

風は相変わらず強く、体感温度は低い。雨具を持ってきているとはいえ、雨の中は

出来るだけ歩きたくない。ここはへっぽこながらもリーダー。『では駐車場で!』と

言ってあっちゃんをなだめる。(と言いながらも既におにぎりを二つも食べている)




日ノ出山からは地籍調査のテープがあちこちの木に巻いてあって紛らわしい。

赤テープも結構な頻度で木に巻いてある。地籍調査のテープが目立つので

ついついそちらに行ってしまいそうになるが『赤テープを目印に!』と声掛けをして、

不明瞭な尾根を進んで行く。











足元には地籍調査の杭と国土調査の杭。取りあえず赤テープと杭を見ながら進む。








踏み跡はなく木々の間を抜けながら緩やかに下って行く。最後に少し登ると

三等三角点 大泉 723.95m これでYAMAPのポイント3つゲットした。






杖立山で杖を立てる



杖立山から杖立峠までは登山道らしい道。前の二人のスピードも上がっていく。

すると先頭を歩くルリちゃんが急に立ち止まり『スマホが無い!』と騒ぎだした。

前、後ろとポケットを触っても無い。仕方がないのであっちゃんが電話をかけると、

背中のザックから着信音が聞こえて来た。『ルリちゃ~~ん!!』。(; ・`д・´)











山頂から7分ほどで車道に降り立った。杖立権現が祀られている峠は佐那河内と

勝浦の坂本を結ぶ峠で、杖をついて越えるほどの急坂で、峠に着くとその杖を

突き立てていた事に由来するそうだ。














杖立権現の鳥居の横に杖立峠の石柱が立っていたが、ここでも地籍調査のピンクの

テープが巻かれていた。足元にある杭の目印だろうが、それにしても無粋な事をするもんだ。




ここからは林道大川原高原線を車を停めた場所まで車道歩き。道の脇には芽吹いた

木々が、冬の間『山眠る』の閑散とした景色を、黄緑色の明るく色に染め始めた。






ヤマナシ




奥様たちはまた朝ドラの話をし始めた。ただ曲がりくねってはいるけれど、もう

道を間違えることはない。『どうぞ安心しておしゃべりしてください!』







途中で見えた徳島の市街地の上の雲はまだ薄い色だが、この山中はポツリポツリし始めた。

シコクブシが群生していたが開花の時期にはまだまだ早い。











帰ってGPSを見てみると杖立峠から大川原高原までは7.7km歩いていた。しかも

緩やかだがほぼ登りの車道歩きは意外と堪えた。この大川原高原へは以前から何度も

来ているが、最初のころは風力発電の工事が始まったばかりだったが、この辺りの

設備も運転開始からもう15年近くになるようだ。

南からは重苦しい雲が流れてきている。雨が降らないうちに急いで歩こう。
















すると前を歩く奥様たちの更に前方を小さな動物が道路を横切った。二人が『ワッ!』と

声を上げている間に後ろからもう一匹。後から飛び出して来たもう一匹は道路の真ん中で

立ち止まりこちらを見ている。二人が『たぬき!』『でも鼻が長い』と言うので、『なら、

タヌキじゃないです』と言ったものの、名前がなかなか出てこない。数十秒間が開いた後、

『アナグマです!』とやっと答えられた。







結局大川原高原には2時間以上歩いて着いた。南からはガスがどんどん流れてきている。

風を避けながらヒルトップハウスのベンチに腰掛カップラーメンをすする。

そのラーメンを食べ終わる頃に小さな雨が降り始めた。周りはガスに包まれ視界も

どんどん悪くなる。急いで食べ終えて小走りに車へと急いで行く。

少し濡れたが何とかずぶ濡れにはならずに車中に。














帰り道、山から降りると風も殆どなく雨も小粒。先週も寄り道した神山町へと車を

走らせるが、国道沿いの枝垂れ桜はほとんど散っていた。

農村ふれあい公園の枝垂れ桜も半分以上は散っていたが、代りに八重桜?だろうか

濃いピンクの桜がほぼ満開だった。











天気予報では明日から雨。花散らしの雨になるだろう。桜も今週で終わり、山肌は

一気に明るい色になる。『山笑う』季節は人の心も笑顔になる。

さあ来週からは『線で繋ぐ石鎚山~引地山』の再開だ。スムーズにいけば残り3回で

コンプリート。今月中には何とか終わらせたい。そして今回の区間は更にその次の線で

繋ぐの区間。花の山を愉しみながらまた新たな目標にGO!


『線で繋ぐ剣山~和田ノ鼻』コース図