KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『里山に遊ぶ』雲附山と無名峰

2022年11月23日 | 香川の里山

今週は天気予報をみているとどうも水曜日の天気が怪しい。なら火曜日に変更!と

奥様たちに連絡。するとルリちゃんから一枚の写真が送られてきた。その写真は

今週予定していた黒森峠の手前で時間通行止めを知らせる看板。慌ててネットで

四国地方道路情報システムのHPを見てみると、黒森峠の北側で三か所、時間通行

止の表示があった。時間通行止めは朝の早い時間はまだ工事が始まっていないので

問題はないが、帰りにその工事の時間に当たってしまったら、下手をすると1時間

近く待つ羽目になるので、できるだけその道は走りたくない。

とは言え、黒森峠を松山市・久万高原町を通り南側から回り込むとなるとかなりの

時間がかかるので今回は繰り延べする事にした。(後日プチファーマさんから通行

止めは解除されていると教えてもらった)

その代替案として昨年から歩きたいと思っていた須磨から六甲山の縦走はどうかと

いう話になり盛り上がったのだが、これも都合が悪くなり結局自主トレとなった。

それなら独りでどこに出かけようかと前日の夜に思案。天気予報はそんなに良く

ないので、県内の里山にまずは的を絞った。六甲縦走をする前に距離を歩いてみる

のもいいかなとも思ったが、最近YAMAPで鉄塔一筆書さんが、大川ダム周辺の

岩山を色々なコース取りをして歩いているのを見て、久しぶりに歩いて見たくなった。

独りで里山歩きをしている頃、車で走っていて目についた里山によく登っていた。

特に岩肌が見える峰には興味津々。大川ダム周辺にはそういった山肌が至る所に

あったので、うろついていた時期があった。そんな昔の記憶と鉄塔さんの活動日記を

重ね合わせて、今日は里山原点回帰でその無名峰に登ることにした。


大川ダムまでは自宅から車で20分ほど。朝ゆっくりめに家を出たら直ぐに雲附山が目に

飛び込んできた。『そうだ時間もある事だし久しぶりに雲附山にも登ってみよう』と

思い立って、登山口となる高速道路の側道へと車を走らせる。この山に最後に登ったのは

5年前。その時と比べると駐車場も整備され、駐車スペースごとにロープが張られ区分

されていた。簡単に身支度を済ませてメインとなる登山道を歩き始めて、ふと『この

山なら、奥さんも登れるかな』と思い、電話をかけて見ると最初は難色を示していたのに

次第に『歩いてもいいかも』となり、登山口が判らないと言うので、一旦車まで戻って

わざわざお迎えに。これで加点1。


駐車場には3台程車が停まっていて、歩き始める頃にはもう2台程車がやってきた。さすが

地元では人気の山だ。駐車場には物置も置かれ、清掃用具なども置いてあった。

駐車場からしばらくは車も通れる幅の広い道を登って行く。







途中からは竹林上人と関連の深い、間川三十二勝と合流する。子供たちがまだ小さかった頃、

よくこの間川三十二勝の道を登って来たのを思い出す。その上部にある白蓮池の堤体は

コンクリートで固められ、以前とはまったく姿が変わっていた。








しばらくは同じように幅の広い道。谷筋から尾根への登りになると山道らしくなる。

道の中央は踏み固められているが、その両側はイノシシ?が掘り返している。

『えっ、イノシシ!怖いから音楽流そうか?』と奥さん。まあ昼間やから大丈夫やろと。











尾根から東に道標に従って歩いて行くと、山頂からの支尾根の先に石鎚神社があった。

ここも社殿が増築され真新しくなり、狛犬の奥にはベンチが置かれ、目の前に志度湾の

景色が広がっていた。











その景色を見て感嘆している奥さんの横で、木にぶら下げてあるペットボトルから

ヒマワリの種を取り出すと、直ぐにヤマガラが何羽も飛んできた。それを見て最初は

驚いていたが、少しづつ慣れて自分で手を差し出し喜ぶ奥さん。

今回誘った目的は、この眺望と手乗りのヤマガラ。これで加点2。














石鎚神社からは尾根に沿って山頂へ。以前からある鳥居は立ち入り禁止になり、貫の

部分が落下しそうで木で支えられていた。







石鎚神社からは2~3分で山頂に着いた。ここでも以前と比べると南側が開けて

讃岐七富士の内のひとつ、白山が正面に見える。ここでも奥さんがその景色に

見惚れていた。加点1。













山頂広場の中央には山名標と登山記録のノート、そして駐車場付近にもあった、木の枝と

ガッチャの色とりどりの丸いプラスチックのケース。これは何かのオブジェのつもりなのかな?










低山の里山ながら思わぬ景色とヤマガラと戯れて大変満足頂いた様子の奥さん。場所、

場所で加点を頂いて、これで次の無名峰へ気兼ねなく出かけられるとほくそ笑む私。








奥さんを自宅までお送りした後、さっそく大川ダムへと向かう。ダム湖の周りも

色とりどりの木々。予定していた路肩に車を停めて取付きとなる場所まで県道

2号線を歩いて行く。見上げると三筋ほどに分かれた岩尾根が見える。ワクワク!










以前の記憶を辿ってヘヤピンカーブの奥から取り付いて行く。お墓の横を通り何となく

踏み跡ぽい道を辿って行くが、途中からは里山らしい羊歯の下草の中へ。







その羊歯が下草から背丈ほどになってくると、足元も見えず少し方角も判りづらくなる。

今回は里山歩きをしていた昔に戻って、GPSを出来るだけ使わず、目に見える範囲で

判断して歩く事にしていたのだが、途端に不安になる。そこは我慢してスマホを見ずに

羊歯を掻き分け登って行くと、直ぐに花崗岩が風化した尾根に出た。







どうやら下から見えていた岩肌の尾根に出たようだ。振り返ると檀特山へ続く稜線が

見える。頭上にはこの岩肌のピークが見え、横を見るともう一筋向こうの岩尾根が見えた。










岩肌にはちょこちょこと松の木が生えているので、それを掴んで登ったり、岩に手を

掛け、ポロっと取れないかを注意深く確認して掴み、三点支持で登って行く。

ただ握った先が松の枝ならマシなのだが、里山の岩尾根の特徴の一つのネズミサシだと

悲惨な事になる。朝出かけに厚手の手袋にしようかと迷ったが、結局薄い手袋を履いて

きたのが間違い。目の前のネズミサシを手で握ったり避けようとするとチクチク手袋の

上から射してくる。じっくり今日のコースを考えれば予想できたのにと反省。














今日はGPSを出来るだけ使わずにという課題とは別に、いつもと違う登山靴を

試しに履いてみた。昨年の御来光の滝用に買ったモンベルのタイオガブーツ。

渡渉ヶ所の多い御来光の滝で、抜群のグリップ力が謳い文句のトレールグリッパーを

採用したモデルで、その謳い文句に釣られて買ったのだが、何度か履いた後、黒滝山

からの長い下りで小指の皮が剝けてしまって以来、履かずに車に載せたままの靴だった。

今日は距離が短いし、最近はいているシリオのグリップでは不安が残る。そこで試しに

掃いてみたが、さすが謳い文句通り、岩肌でのグリップはバツグンだった!











下から見上げ岩尾根の突端まで登りきると今まで南側だけだった景色が、いっぺんに

広がった。一番手前に虚空蔵山。その奥に雨滝山と火山。そのさらに奥に北山そして

津田湾の奥に小豆島が見える。

そして東には日山の奥に六ツ目山が重なり見えた。











平らな岩に腰を降ろして一息入れた後、花崗岩とその花崗岩が風化したザラついた

尾根を北西に向かって歩いて行く。その花崗岩の尾根は直ぐに灌木の尾根になる。

尾根筋は木々の密集度が高いので、それを避け尾根から少しトラバースしながら、

幹や枝を避けながら進んで行く。







灌木の尾根からまた一旦、花崗岩の尾根に出た。先ほど以上の眺望が開けていた。

少し平らになった場所でお昼ご飯にする事にした。県道2号線を走る車の音が

時折聞こえてくるが、あとは鳥の声が聞こえてくるだけ。吹き上げてくる風は

少しだけ肌寒いが、それも暖まった身体には心地いい。



五剣山と屋島の間に志度町の石鎚山


クレータ-五座を始めとしてほんとおむすび山が多い


雨滝山の山肌の紅葉はピークかな?







今日は稲荷寿司2個と豆腐の味噌汁と軽めのお昼。360度のこの景色を今日は独り占め。







さてお腹も満たした事だし、どこを下って行こうかと思案。ここで初めてスマホを見てみる。

この場所からは足元が全く見えないし、尾根ではなく谷筋になってしまう。

途中で見えた何筋かの岩肌を下る手もあるが、足元の見えない下りは危険度が増す。ここは

安全をとって、地形図に載っている221mの標高点をめがけ、その後県道に降りる事にした。



ダム湖の右手が221mのピーク




221mへは尾根、そして広尾根を辿って行く。途中ウバメカシの尾根になったかと思うと、

雑木の中の藪っぽくなった場所もあり、里山らしい道を下って行く。ただとにかく背中を

伸ばして歩けるような場所はなく、中腰の姿勢で歩いて行くのが、ここのところ調子の

良くなかった腰には堪えた。途中では人だろうか動物だろうか、いずれにしても通った

際に枝を折った跡が二ヵ所ほどあった。














221mの手前でそのピークには登らず、県道へと続く尾根の下をトラバース気味に

下って行く。最後は尾根から法面の補強工事をした場所から県道へと降りた。











奥さんのご機嫌もとれ、久しぶりの独りでの里山歩き。GPSもない頃にとにかく

周りの地形を確認しながら判断して歩いて、時には道を外し間違え、後悔しながらも

藪の中を歩いた。それがまた楽しかった昔を思い出した一日だった。

家に帰りお風呂に浸かると体のあちらこちらで擦り傷がお湯に沁みて来た。これも里山

歩きのあるあると、また一つ昔を思い出し湯船の中で独りでほほ笑んだ。

『線で繋ぐ石鎚山~引地山』井内峠~白猪峠

2022年11月18日 | 四国の山
先週に続いて線で繋ぐのは東温アルプスの井内峠から東。10月にフライングで

スタートして上林峠から井内峠までを歩いた。そして先週はその上林峠から

引地山までを繋いだので、今回から井内峠から東へ東へと石鎚山を目指して行く。

ここから先は3人とも歩いた事のない未知の稜線。石鎚から剣山の様に既歩の

区間はないので西から東に順序良く5回に分けて歩いて行く予定だ。

『石鎚山~剣山』を終える前に、次の目標として奥様たちには『四国百名山』

『四国百山』のリストを渡していたが、イマイチ反応が鈍く食いついてこない。

奥様たちも百名山の内半分くらいは既に登っているらしいのだが、そのリストを見て、

『残っている山は県外でも遠い場所にある山ばかり』と宣う。『普通の登山が点だと

すると、縦走は線。線を繋いで行く方がいいわね~!』だそうだ。と言う事で今回の

引地山から石鎚山の目標となったのだが、これが終わっても恐らく線で繋がる稜線は

いくらでもあるので、次から次と目標が湧き出て、延々と終わりそうもない。(汗)


いつも通り豊浜SAで奥様たちをピックアップ。集合時間より10分早くSAに

着くと、もう既にあっちゃんが待っていた。早起きが苦手なあっちゃはいつも集合時間

ギリギリにやってくるので、先に着いて待っているのは初めての事だったので、私が

集合時間を間違って、遅れて着いてしまったのだと一瞬思ってしまった。にこにこの

自慢げな顔をしたあっちゃんの奥で、コーヒーの自販機を前にしてルリちゃんが、

何やらずっと悩んでいるのが見えた。二人を待たせたは行けないと、慌ててトイレを

済ませて出てきたら、まだルリちゃんが自販機の前で悩んでいる。

車に乗り込んで話を聞くと、コーヒーをpaypayで買おうとして、その操作が全く分からず

ずっと悩んでいたという。珍しく早起きが出来て自慢げに話をするあっちゃん。

結局paypayでコーヒーを買えなかったルリちゃんの二人を乗せて井内峠へと向かっていく。


先週は川内ICを降りて左に曲がったが、今日は右に曲がって国道11号線を走る。

間もなく国道から右に県道210号線を南下。西谷小学校の横を過ぎると、井内の

集落の中の道になる。集落の中では右に左に道は分岐しているが、集落を過ぎると

ガードレールもほぼない一本道。道には落ち葉は積もっているが、路面はそれほど

荒れた様子はなかった。くねくねと曲がった道を標高をあげて行くと、最初に琴の滝

次に井内の御来光の滝が道のすぐ脇で流れていた。その滝を過ぎ、さらに井内峠隧道を

抜けると脇に2台程車を停めるスペースがあった。










トンネルの直ぐ脇に登山口と書かれた道標。そのトンネルからは冷たい風が吹き抜け、

直ぐに三人とも上着を羽織った。井内峠は丁度そのトンネルの真上。回り込むようにして

峠への道が続いていた。コースタイムでは20分となっていたが、意外と早く10分ほどで

峠には着いた。峠でも北側に続く峠道から冷たい風が吹き抜けていく。

















井内峠からは東に先ずは梅ケ谷山に向かって稜線が続いている。最初の1169mの標高点

まではいきなりの急登。しかも朝露でたっぷりと濡れた落ち葉が足を滑らせる。登りで足が

滑るなら、下りは十分に気を付けないと危ないな~と思いながら登って行く。

道には東温市と久万高原町との境界杭が続いている。











1169mの標高点からは一旦下ってまた梅ケ谷山への登りが始まる。鞍部からだと

150m以上の登りになる。稜線の北側からはまた冷たい風が吹き上げてくるが、

長い登り坂にさすがに汗を掻いて暑くなってきたのか、奥様たちも上着を脱いだ。

















その稜線の北側は葉を落とした木々の間から西条市の山並みや東温市の市街地が見える。











井内峠隧道から1時間弱で反射板の立つ梅ケ谷山に着いた。少し平らな山頂は、

フェンスで囲まれた反射板の敷地で占められていて、そのフェンスの脇に道標が

遠慮気味に立っていた。その脇に四等三角点 井内 1315.76m

















梅ケ谷山から少しだけ下ってまた小さなピークに登って行くと、目の前が急に開けた。

先に着いた奥様たちから歓声があがっている。東に緩やかに広がる笹の斜面の向こうに

大きな山容の石墨山が横たわり、その奥に石鎚山が見える。その石鎚山の左と右には

西ノ冠山二ノ森と堂ケ森が脇を固めていた。










石鎚山から剣山ではその間の距離が長すぎて、途中からゴールが見えることはなかったが、

これから歩く稜線までは見えないが、今回のゴール地点となる石鎚山が見えて感激している

奥様たち。もちろん私もこの角度からあの峰々を見るのは初めての事。さぁこれから

あの石鎚山を目指してがんばるぞ!とポーズをきめてもらう。





石墨山から北に緩やかに下がっている稜線の端に少し三角の頭をした法師山

その右奥に小さく見える三角の山を『どこの山?』としきりに聞いてくる奥様たち。

その三角山は南面のスロープからして『沓掛山かな?』と自信なく答える。







絶景の広がる展望所を後にすると、少しづつ笹が深くなり、急な下り坂になる。元々

グリップの弱いシリオの302だが、ソールがすり減っていて更に滑る。濡れた落ち葉の

上をストックを使い、一歩一歩ゆっくり踏み出し下って行く。














展望所から下りきると何度がさらにアップダウンが続く。途中で二人が稜線の北側を

覗き込んでいる。追いつき立ち止まりみて見ると、今度は重信川の奥に松山の市街地が

良く見えた。











1258mの標高点を過ぎ、更に登り詰めると樽谷山に着いた。山名標がなければ山頂

だとは先ずは思わないような場所。四等三角点 樽ケ崎 1255.07m

引地山・皿ケ嶺から続く東温アルプスには稜線上にいくつもの山の名前がついているが、

国土地理院の地形図には陣ケ森の名前があるだけ。そしてほとんどの山がこの樽谷山と

同じように山名標がなければ山頂とは気づかないような場所だった。








樽谷山から最後の根無山へも一旦下って登り返していく。周りの笹は背丈ほどの高さが

ある。梅ケ谷山から樽谷山の途中までは今年に笹を刈った跡があるが、そこから先は

恐らく今年は刈られていない感じがする。ただ過去には作業をしてくれたらしく、足元は

笹で埋まることはなく、踏み跡はしっかりしているので問題はない。鞍部から登り返すと

根無山に着いた。ここは今までの二つのピークに比べると少しだけ広場の様になっていて

日当たりもいい。時間は11時30分。そろそろあっちゃんがお昼ご飯をどこで食べるか

言い始める頃だと思っていたら、案の定『お昼は折り返しの白猪峠?』と聞いてきた。

するとすかさずルリちゃんが、『何よんな、峠なんて鞍部やから薄暗い場所やろ。

ここまで戻って来てお昼ご飯にする!』と言ったらあっちゃんが『え~そんなこと

言われたら、もっとお腹が空いてきた~』と泣き言を言いだした。














それなら急いで白猪峠へ行きましょう。根無山から下って行くとしばらくするとヒノキの林の

中の道になる。するとあっちゃんが『変な匂いがせん?』と聞いてきた。確かにシンナーの

様な匂いがする。『山裾に何か工場があって匂いが上がってきているのかも』と言いながら

下って行くと、ヘルメットは被った男性二人が作業をしていた。

『何をされているんですか?』と尋ねると。『会社の所有地の境界を明示しているんです』と

答えてくれた。黄色いビニテを木の枝に付け、手にはスプレーを持っている。

スプレーで書いた『と書かれた文字は何の意味があるんですか?』と聞くと、『すみません

字が下手で、あれ、と書いているんです。会社の名前の頭文字なんです。』と笑いながら

話してくれた。先ほどからのシンナーのような匂いは、このスプレーの匂いだった。

その話しをすると『すみませんでした!』とまた笑顔で答えてくれた。二人とも

礼儀正しく笑顔が素敵な男性二人だった。














下りきった鞍部の白猪峠は予想していたより明るい場所だった。これ以上時間が経過すると

あっちゃんがさらにうるさくなってくると思い、この峠でお昼ご飯にしましょうと言うと

ルリちゃんも承知しているのか、『ハイハイ日当たりもいいし、ここで良いよ』と。








お昼ご飯を食べ終えて12時過ぎ。ここから折り返すと遅くとも15時までには駐車場に

着くだろう。満腹のお腹を抱えながらまず根無山へと登って行く。この登坂にはいつ

整備されたのか、朽ちかけた木の階段が何段か残っている。








根無山から樽谷山へはまた笹の中のアップダウン。前方に見える樽谷山の山肌には

まだカラマツのオレンジ色が少しだけ残っていた。











根無山から樽谷山、そして梅ケ谷山に続く稜線上にはブナの大木が目立つ。もうほとんど

葉を落としてしまっているが、もう少し時期が早かったら紅葉・黄葉の素敵な道だっただろう。














笹が覆いかぶさる道は、落ち葉がまだ乾かずやはり滑りやすい。そんな道でも奥様たちは

黙々と歩みを止めずに登って行く。










正面に折返しの最後の山頂の梅ケ谷山が見えた。あそこまで登ればあとはほぼ下り。

立ち止まってわずかな時間だが写真を撮っていると、直ぐに奥様たちの姿は見えなくなる。

















梅ケ谷山の手前の展望所では、また立ち止まって東の大展望を眺める。目の前に横たわる

石墨山を眺めながら、来週の行程の話をする。私は当初、黒森峠から白猪峠のピストンを

考えていたが、奥様たちの意見で唐岬の滝の駐車場まで下って、国道を黒森峠まで戻って

いく事になった。(この時点では前途洋々だったが、帰ってルリちゃんが調べてくれた

所によると、翌週、翌々週の登山口となる黒森峠へは途中で三ヵ所時間通行止めになっていて

更にはその次の保井野登山口への道も時間通行止めになっていた。先行き不安定なのだ)




梅ケ谷山から井内峠まではほぼ下り坂。前を歩く二人のスピードが半端ない。

それに比べてまだ濡れた落ち葉の下りで、グリップの効かない靴で全くスピードが

出ない私。どんどん二人に離されていく。下りの途中では井内の棚田が見えた。











突然現れた敵を二本の刀で倒すヘッポコリーダー。その倒れた敵のとどめを刺すルリちゃん。(笑)







梅ケ谷山から井内峠隧道へは40分強で着いた。朝一番はとても寒かったトンネルからの

冷たい風が、熱を帯びた身体には逆に心地のいい風になった。











その井内峠隧道を抜け、井内の集落への帰り道は度々車を停めて、もう最後になるだろう

錦秋の彩りを写真に収める。井内の集落の田畑はその畔や法面もきれいに草刈りされていて

眺めていても気持ちがいい。そんな素敵な田舎の風景を眺めながら帰路につく。




クジャクが羽を広げたように見える紅葉



井内の棚田と紅葉






散った黄色い葉が、畑の法面一面を染めていくイチョウの木



ただ積んだだけのように見える石の前に、何故かお酒が供えられていた




今日のトラック



始動『線で繋ぐ石鎚山~引地山』

2022年11月11日 | 四国の山
先週『線で繋ぐ石鎚山~剣山』がやっと繋がった。前々からエントツ山さんが

単独無支援で13日かけて歩いたコースに興味はあったが、二週間近くも休みが

取れるわけもなく、かと言って日帰りで独りで歩いていたのでは、かなりの日数が

かかる。そこでWOC登山部で一緒に歩いていた奥様たちに声を掛けると、興味を

持ってくれて賛同してくれた。ソロの登山がグループ登山になった途端、その幅は

広がる。車をデポすればピストンしなくて縦走できるので、歩行距離が延びる

というメリットがある。

そう考えて始めたのが昨年の6月。既歩の区間以外を歩いて奥様たちはYAMAPに、

私はカシミールにトラックを記録していった。昨年の夏は主に土小屋から東を歩き、

冬を前に四国中央部まで繋げていった。

冬の時期は一旦中止して別に目標を『阿讃縦走路』に変更して、また線を繋いで

いった。これもデポが出来たおかげで2月に完歩。その後は私の持病の腰痛が度々

再発したりして、再開できたのが5月になってだった。四国中央部の難題を何とか

クリアした後、いよいよ吉野川を渡り剣山系に入った途端に、三方山から土佐岩原駅

の道で、この間で最大の道外れと藪こきと熱中症で大ピンチになったが、それも何とか

クリアでき、先週のフィナーレを迎えることができた。

この間で一番大きな問題はデポする為に奥様たちも山道を運転しなければならない事だった。

山歩きに関しての体力では全く問題がなく、それこそいつもへっぽこリーダーが後ろから

大汗を掻きながら付いて行っていたのだが、狭い山道の運転に関しては奥様たちは

対向車が来ると女性運転者によくある、まずバックが出来ない。とにかく対向車が来ない

事を祈りながらの運転となる。それでもここにきてある程度の山道も走れるようになり

大きく進歩した。逆に体重の増えたヘッポコリーダーは益々付いて行けなくなり後退した。


『一区切りついたので今週はのんびり歩きましょうと!』と奥様たちに声を掛け、

最近YAMAPでもよくアップされている皿ケ嶺の紅葉はどうですかと問いかけた。

するとそれなら引地山まで歩きましょうと云う事になり。二週続けて早起きになったが

今週はゆっくり目で集合場所の豊浜SAに集まった。

しかしよくよく考えたら、引地山は石鎚山系の西端と言われている。それならまた

『線で繋ぐ石鎚山~引地山』じゃないですか?と言う事で一息つかぬ間に

線で繋ぐのスタートです。


県道209号線を湧水の集落を過ぎ更に登って行くと朝陽が当たって綺麗に色づいた

銀杏の木が並んでいた。トイレに立ち寄った森林公園には珍しく一台しか車が停まって

いなかった。前回、陳ケ森から井内峠まで歩いた際の上林トンネルの南側に駐車。

準備をしてトンネルに向かって歩いて行く。トンネルを右に曲がって林道に。

上林峠の道標に従って、セメントで保護された法面を登って行く。











法面からは直ぐに皿ケ嶺と陳ケ森の鞍部に着く。右に陳ケ森、左に進むと皿ケ嶺だ。

普通は鞍部が峠だが、その鞍部から西に少し登った所に上林峠の道標が立っている。











上林峠からしばらくすると擬木の階段が始まる。先頭を歩くあっちゃんが一段づつ階段の

段数を数えながら登っている。途中で左手に見晴らしのいい大岩があり、ひょいっと

登って見ると、東に陳ケ森の山頂が目の前に迫っていた。いつもならあっちゃんを呼んで

岩の上に登るのだが、階段の数を数え間違ったらいけないので、声を掛けずに独りでその

景色を楽しむ。











ただそんなにのんびりとはしておれず、ルリちゃんと二人の姿はとうに見えなくなって

いたので、慌てて階段まで戻り重たい体を持ち上げ息を切らせて登って行くと、二人が

待ちかねていた。『階段は405段あったわよ!』とあっちゃん。

階段を登りきった後は竜神平への自然林の中の道。もうピークは過ぎていたがまだ

少しは色付きの残る森の中の素敵な道。

















その森を抜けると突然目の前が開けた。雲一つない青空の下、ササ原の中に道が続いていた。

正面に見える稜線。中腹から裾野はもうすっかり葉が散った木々の山肌だが、稜線に沿っては

オレンジ色に色付いた木々が並んでいる。














目の前には背丈に近い笹が広がっているが、この竜神平は湿原。四国の1,000m超えの

標高地では最大規模の湿原だそうだ。その笹原の中きれいに刈られた道を歩いて行くと

ブナ林に囲まれた中に愛媛大学の避難小屋があった。

その避難小屋の前に赤い実をつけた木。『何の木だろう?』と奥様たち。『マユミかも?』と

自信なく答える私。先週登った三嶺の名頃からの登山道の途中にタヌキのかんざしと呼ばれる

マユミの木がある。その木がマユミの木だというのは以前から知っていたが、なぜタヌキの

かんざしと呼ばれているのか判らなかったが、この木の可愛いらしい実を見てふとかんざし?

という言葉が思い浮かんだ。そして頭の中でかんざしとマユミの木が繋がったのだ。














避難小屋の前にある龍神社に低頭した後、引地山を目指して歩いて行く。この龍神信仰が

竜神平の名前の由来だともいわれている。




避難小屋の背後の尾根を目指して登って行くと、林床が苔の広がる杉林。さっきまでの

明るく開放感あふれる竜神平から一気に雰囲気が変わった道になる。













その杉林から自然林の中の道になり、尾根に出てしばらく歩くと十字峠と呼ばれる場所に出た。

名前の通り東西南北に道が続いている。












一ヵ所ロープがかかった場所があったが、しばらくは緩やかに下って行く道が続いていた。







そしてこの皿ケ嶺の台形の西端になるのだろうか、ロープがかかった急坂の下りが待っていた。

綱引きができそうな太いロープを握りながら、これでもか!というくらい下って行く。

そしてこの坂をまた登り返すのか~と思うと、標高が下がるのと一緒にテンションも

下がって行く。

















しかしその下がったテンションが、1058mの標高点の先から一気に上がって来た。

引地山へと続く道の周りは赤や黄、そしてオレンジ色の錦秋色。

何度も立ち止まっては写真を撮り、そしてため息をつく。










空に向かってばんざいをする様に枝を伸ばした木はカラマツだろうか?それを奥様たちに

言うと『マツが紅葉するの?』と疑われる。すると足元に折れた枝が落ちていた。その

枝に付いた葉を見て『あら、ほんとマツだわ』とルリちゃん。カラマツは日本産針葉樹の

中では唯一の落葉樹だそうだ。








赤柴峠の手前まで錦秋の道は続いて行く。その道を前から三人の

女性が歩いてきた。地元の人らしく、ルリちゃんと色々と話し込んでいる。

『今日はこの道、とても良かったでしょう』と。『ハイ、素敵な道で最高でした!』と

答える。『皿ケ嶺は花の山だから、春にまた来てくださいね!』と話してくれた。











赤柴峠では今度は地元のハイキングクラブの人たちが10人ほど休んでいた。

その中を通って引地山に。赤柴峠から10mほど下がって行くと、木々に囲まれた中に

引地山と書かれた背の低い山名標があった、その前に三等三角点 東明神 1026.7m








引地山は周りの木々で少し薄暗かったが、木漏れ日の差す場所に腰を降ろしてお昼にする。

ご飯を食べながらなぜか持ち物の話になる。するとルリちゃんのザックから胃腸薬やら

頭痛薬、整腸剤そして絆創膏の他にも塗り薬と、まるで家にある薬箱を思わすくらいに

次々と出てきた。他にも『えっ、そんなものまで!』と思うようなものが出てきた。

これはもう薬箱以上、ドラえもんのポケット!そんな感じで三人で笑いながらお昼を過ごし、

また皿ケ嶺へと引き返して行く。














赤柴峠から錦秋の道を抜けるとあの急登が待っていた。こちら側から見ると面白嶽

呼ばれる山頂からの岩肌が木々の間から見える。












往路で会った三人の女性に急登を登らずに別の道はないですかと尋ねていたが、『迂回路

があるけど、距離が長いからそのまま登った方がいいわよ』と教えてもらった通り、急登を

ロープを掴みながら登って行く。











スタート時に時間があったら皿ケ嶺に寄ってみましょうと言っていたので、まだ時間も

早いので山頂目指して歩いて行く。











以前独りで歩いた時は、まだ自然林と人工林の間の鬱蒼とした道だった記憶があるが、

今はその人工林は全て伐採されて、広大な明るい伐採地が広がっていた。










緩やかな登坂を少しづつ標高を上げて行くと、その伐採地の向こうに次々と眺望が

広がってきた。南西に見えるのは黒森山辺り?振り返ると松山の市街地が見渡せる。











先週、先々週に続いて今日も申し分のない天気。僅か1,000m超えの山だが、南から

北に開けた景色と青空も手伝って、開放感は最高だ!あまりの気持ちの良さに、途中に

あった三角点に気づかず通り過ぎてしまう。










伐採地を過ぎしばらく歩くと皿ケ嶺の山頂に着いた。ベンチに腰を降ろして一息つく。

あっちゃんが買ったばかりのノースフェイスのザックの写真を撮ってと言うので

パシャリ!『きれいでしょ、〇〇イエロー色』と言っていたけど忘れてしまった。

代りに〇んこ色と茶化すと、『何てことを言うの!』と怒られた。














水分補給をした後、今登って来た道から右斜めに竜神平へと下って行く。道にはブナの

大木が点在する森の道。そのブナの森から杉林の中の道になると、避難小屋の手前で

分岐になった。道標には畑野川と書かれている。










すると奥様たちがスマホを見ながら『上林トンネルの南に続く県道に降りられそう』

と言っている。確かにGPSを見ると破線が続いている。『それじゃ降りて行って

みましょうか!』と歩いて行く。道は谷あいの落葉樹の中に続いていた。














竜神平に降った雨や湧水がこの谷を流れ、有枝川そして面河川へと注いでいく。










恐らくこの道は竜神平への最短距離ではないだろうか、林道に出た後まもなく県道に出た。

林道からは車を停めた上林トンネルの南口までのんびりと歩いて帰る。











トンネルから森林公園のトイレまで戻ると、朝は一台しか停まっていなかった駐車場には

何台もの車が停まっていた。そしてベンチに腰掛け談笑する姿も見える。松山市街からも

手軽に出かけられ、自然も花も豊かな皿ケ嶺。松山市民からは最も愛されている山だろう。

さっそく始まった『線で繋ぐ石鎚山~引地山』はあと何回で石鎚山まで歩けるだろうか。

また目標と楽しみができたねと奥様たちに。そして『奥さま、お供させて頂きます!』と。




今日のトラック



『線で繋ぐ石鎚山~引地山』の今後の計画(完歩は冬を越しての予定)

さてさて果たして計画通りに事が運ぶのだろうか?









『線で繋ぐ石鎚山~剣山』 天狗峠~三嶺でコンプリート!

2022年11月04日 | 四国の山
先週は気持ちのいい青空の下で四国のゴールデンルートを歩く事が出来た。今週の

天狗峠から三嶺石鎚山から剣山までの線が繋がるので、先週と同様に最後も晴天の

下で稜線を歩きたいと思い、ずっと天気予報とにらめっこをして水曜日よりも木曜日が

天気が良さそうなので今日に予定を変更。それが功を奏して終日、稜線上は青・青の

空の下を歩く事が出来た。これも日頃の行いが・・・・と言いたいところだが、結局天気

を選んで歩いているだけの事。三人だと気軽に曜日を変更できるところがメリットだ。


フィナーレとなる今日のコースは天狗峠から三嶺へのゴールデンコース。個人的には

2007年に『お帰りなさいKyoさん』と題して、東京の赴任から帰ってきたKyoさんを

エントツ山さん、マーシーさん、REIKOさん達と歩いて以来15年ぶりとなる。

もちろん奥様たちは初めてのコースに、そして最後のコースに胸躍らせていた。


前回は名頃から登って天狗塚登山口へ降りたが、それだと名頃へ戻るのに意外と時間が

かかる。三嶺から北尾根をいやしの温泉郷へ下るコースもあるが、できればもう少し

デポ車への移動時間を短くしたいと考えていたら、国土地理院の地形図には破線は載って

いないが、YAMAPには三嶺北西尾根の点線が載っていた。これだとデポ車への移動

時間を短縮できる。注意書きには『中級者以上向けのルート』となっているが、ルートを

外しても最後は西山林道へ辿り着けば何とかなると安易な考えで出かけてきたが、これが

なかなか・・・・・だった。


いやしの温泉郷に8時に集合。先週よりは1時間遅い時間だがあっちゃんからは『早起き

頑張ります!』とメッセージが来た。『早起きというほどのもんでもないのに』と

ルリちゃんと二人で言いながら今日を迎えた。

先週よりゆっくり目で、通い慣れた国道438号線を一字を過ぎ西山林道へと車を走らせた。

途中の鳴滝はまだ陽が当たらず少しうす暗い感じだが、それでも紅葉がそろそろ見頃に

なってきている。小島峠の手前では、黒笠山から東へ津志岳への稜線の山肌に朝陽が

当たって錦秋色に輝いていた。













小島峠を越えると道筋は紅葉ロード。正面に塔ノ丸のまだ日陰の北面が見える。度々立ち

止まって、眺めては写真を撮るので、早めに着く予定が結構時間がかかっていた。











小島峠から菅生へ出ると、439号線を走って来た奥様たちと、あ・ら・らドンピシャ!

そのまま2台でデポ地点となる西山林道の北西尾根の登山口まで走る。少し路肩が広く

なった場所に1台を置いて、天狗塚の登山口へと走って行く。計画通り移動時間は5分

程度だったが、ただ登山口に既に停めていた車の駐車位置がイマイチで、仕方がないので

下の広場に引き返して駐車する。広場からは木々越しに朝陽が当たった矢筈山が見えた。

その反対を見ると今から登って行く杉林が見えた。伐採地には既に雑木が生えて、その

木々が色付いていた。











登山口の階段を登って、最初は九十九折れの道。尾根の左側は先ほど見えた伐採地。朝陽が

当たって光っているが、登山道が続く杉林の中はまだ陽が届かず薄暗い。

西熊山からの北尾根の山肌では、杉の濃い緑の中自然林が紅葉して矢印のように見える。











杉林から自然林の中の道になるとシロモジだろうか、黄色く色づいた木々が目立つ。

その黄色い林を抜けると今度はカエデだろうかオレンジ色の木々が多くなってきた。











モミジの高木を横目に見ながら、登山道のど真ん中を塞いでいる倒木を過ぎると、

広場から50分ほどで第一ピークに着いた。










第一ピークから一旦鞍部へ少しだけ下る。落ち葉で一面オレンジ色に染まった鞍部からは

また九十九折れの道が続いて行く。次第に足元に背の低いクマザサが現れると、そろそろ

樹林帯から抜け出る。







樹林帯を抜けるとクマザサの中の道になる。所々で掘割のように深く掘れた道では、

前を歩くあっちゃんから浮いた石ころがコロコロと転がってくる。道の右側に本当に牛の

背中のように見える牛の背の笹原が見え始めた。










尾根の手前になると更に深く掘れた道。今度は左に西熊山が見えた。振り返ると祖谷系の

黒笠山から寒峰へと続く峰々。その麓には落合集落が見える。




















久保分岐の道標が見えた。前回地蔵の頭から綱附森方面へと歩いた時はあまり天気が

よくなくガスっていて、天狗塚にも少しガスがかかっていたが、今日は申し分のない

青空、その心配は全くなさそうだ。




ケルンの広場からは思った通りの天狗塚の雄姿。牛の背の背中の向こうには雲海が

広がっている。そして更にその奥には四国中央部の峰々と石鎚山系の山々。一昨日

降った雨で空気が澄んだのか、結構遠くまで見渡せる。













稜線に立った途端に冷たい風が吹き抜けていく。途中で上着を脱いだ奥様たちが、

『寒い!』と言ってまた上着を着こんだ。じっとしていると寒いので、それじゃ

西熊山に向かって歩いて行きましょう!西熊山の奥には今日のフィナーレの地、

三嶺が姿を現した。そしてその右横には先日紅葉狩りで遊んだ次郎笈剣山

さらに右手には綱附森から繋げて来た稜線もくっきりと見える。













天狗峠まで来ると、先ほどの山頂手前で見えたのとは違う形に西熊山が見える。そして

四国のゴールデンルートの全てが見渡せる感じがした。ここまでで約2時間いいペース

できている。ここからコースタイムで三嶺までは2時間20分。お昼ご飯は三嶺かな?







天狗峠からはお亀岩に向かって一旦下って行く。稜線上の木々の葉はもう全て散っている。

三嶺から西熊山にかけてのコメツツジの色も、先週よりも一段と色落ちしているように見える。
















尾根の北側に回り込む場所にはロープがかかっていて、それを降りると苔むした岩。そこを

過ぎて暗部に降りると笹の草原が広がっていた。落合峠から西に・烏帽子山・前烏帽子山・

寒峰そして中津山がその草原の奥に並んでいる。
















1698mの標高点から緩やかに広がる笹原を越えると、お亀岩とお亀岩ヒュッテがある。

周りが白い岩の中にあって黒い色のお亀岩はとても目立つ。また昨年改修工事が終わった

ばかりのヒュッテの赤い屋根も、周りの木々の緑の中にあってよく目立つ。








ヒュッテを眺めながら行動食を口に入れ一息入れた後、西熊山の肩を目指して登って行く。

休憩中にその肩の奥に、先ほど下ってきている三人の姿が見えていたが、この登りで

すれ違う。あまりの速さに驚いていると、やはりその男女の三人はトレラン姿だった。

振り返ると地蔵の頭から久保分岐へのずんぐりとした笹の広尾根が見えた。













スタートから約3時間で西熊山に着いた。時間はまだ少し早かったが、祭日の今日の三嶺

山頂は人が多いだろうと考えて、早めのお昼ご飯にする事にした。

天狗峠からの稜線上に先ほどまで見えなかった天狗塚が、ちょこんと頭を出している。










今日は三人そろってカップラーメン。この季節はやはり温かい麺類に限る。途中の

休憩の度におにぎりを頬張ってたあっちゃんも、まだしっかり食べている。




しっかり食べた後は、しっかり歩いて行こう。三嶺に向かって続いていた尾根道は

次第に尾根の北側をトラバースするように続いて大タオへと下って行く。

この間の三嶺へ続く稜線がこの区間の最大のビューポイントだと思う。













もう少し早い時期だと、笹の緑と木々の紅葉のコントラストが最高だっただろう。

ただそれも贅沢というもの、今日のこの景色も最高だ!

笹原を縦横無尽に走る獣道の中にあって、ひと際濃く続く登山道の線。たおやかな

ピークが幾重にも重なり三嶺へと続き、その登山道の線が三嶺へと導いてくれている。

時間があればここで腰を降ろしてのんびりと一日中でも眺めていたい景色だ。
















大タオからは三嶺への最後の登りとなる。小さなピークを一つづつ乗り越えては

大きく深呼吸して、次の登りへと進んで行く。








そのピークへ少し登って振り返ると、西熊山の北側は緩やかで南側は急峻な対照的な

山肌とその横に小さく地蔵の頭。さらに進んで行くと稜線上に白い岩が点在し、白い

白骨樹が点在した、今までの稜線上にはなかった景色が待っていた。







1754mの標高点の手前のピークまで登ってくると、いよいよ三嶺が目の前に迫ってきた。

思っていた通り山頂にはけっこうな人の影が見える。











標高点の広尾根からはまだ色づきの残ったコメツツジをまとった三嶺。その山頂から

南に続く稜線上には、先週登った天狗岩も見える。山頂手前の青ザレよりその下の

崩壊が大規模で酷い状況に見える。











何回かそのピークを越えて見上げると三嶺から続く大きな肩。

『大きな肩やね』と言うとあっちゃんが『肩って何?』と聞いてきた。コレコレでと

説明すると『三嶺の肩と言うより、大きなお尻ね!』と。相変わらずルリちゃんは立ち

止まることもなく、いいペースで登って行く。あっちゃんに『また太ったわね!』と

言われたへっぽこリーダーは、その増えた脂肪分の重さでスピードは上がらない。

















振り返ると綱附森から地蔵の頭を通ってここまで稜線が続いている。『よく歩いてきたな~

』などと感慨深げにしていると、あっという間に奥様たちは青ザレを越えて先を歩いて行く。

青ザレも近くまで来るとそんなに青くは見えないな~。


















山頂手前のピークにはテキサスゲートがある。あっちゃんにここでもテキサスゲートの

謂れを説明すると『へ~そうなんだ~』と言いながら、私が渡ると『KAZASHIさんは

渡れたね!』と。私は鹿じゃないですから!











そのピークから一旦下るとフスベヨリ谷への分岐。その道標からひと登りで山頂だ。

次第にゴールに近づいて行くルリちゃん!











山頂には十名近くの人が休んでいた。その横でザックから取り出しさっとポロシャツを着る。

真っ赤なポロシャツ。二日後の誕生日に還暦を迎える“ちゃんちゃんこ”の代わりのポロシャツ。

なぜか還暦をとうに過ぎた奥様たちも赤いシャツを着ている。三脚を立てて写真を撮ろうと

していたら、団体さんの内の一人が『お撮りしましょうか!』と声を掛けてくれた。

少し恥ずかしかったが、同じようにザックから石鎚山と剣山と書いた紙を取り出した。

その文字の説明をその男性にすると、YAMAPでフォローしているokeis33さんだった。

するとあっちゃんが『剣山と書いているけどここは三嶺よ』と。『まぁまぁ細かい事は

気にしない』。赤いシャツを着た三人で還暦記念と線で繋ぐ完歩の記念撮影!








せっかくなので石鎚山に向かってのあっちゃんと剣山をバックにルリちゃん!

何だか還暦記念の私の影は薄くなっている?














これで『線で繋ぐ石鎚山~剣山』をコンプリート。達成感と供に一抹の寂しさが漂ってきた。

そんな感じで感傷にふけっている横で、奥様たちのテンションはMAX。いままで歩いた区間で

どこが一番大変だったかと話し合っている。

しばらく賑やかに過ごした後、北西尾根へと下山していく。稜線上の登山道から分かれて

笹原の中の道。道と言うよりはどっちかと言うと周りに見える獣道とあまり変わらない道だ。

















その笹原から一段上がって乗っ越すと正面に矢筈山、そして落合峠や黒笠山の祖谷山系の

稜線が続いているのが見えた。そして笹の斜面の下にはこんもりとした1806mのピーク。

このピークからは樹林帯の中の道になるので、天狗塚からの稜線ともお別れだ。
















ピークからは道が不明瞭になる。といっても今までも獣道のようなもの、YAMAPの

ルート図を見ながらピークの東側を巻いて下って行くが、この辺りからはGPS頼み。

林床がクマザサの急な斜面をひっくり返らないように注意深く下って行く。








スマホを見ながらとにかくルートから外れないようにと下って行くが、斜面が急で

スマホを見る余裕がなくなると、直ぐにコースから外れていく。慌てて修正して

右に左にと下って行くと、圧倒的な緑の世界の苔の森に出た。今まで山犬嶽をはじめと

して、色々な山で苔の森を見てきたが、この場所は苔の密度が凄く圧倒された。













その苔の森を過ぎると、今度はダケカンバの林。幹が細いダケカンバが密集していて

紅葉の頃はどんなに素敵な風景になるのだろうかと想像してみる。そして今度は

小ピークに力つき横たわる大きな大きな白骨樹。その小ピークの先にも背の

高い白骨樹が立っていた。














枝ぶりが良く盆栽が巨大化したような、幹の元が異様に太い木(何の木か?)や幹の

元だけが残って立っている枯れた木を始めとして、特徴的な巨木がこの尾根には立っている。











時々赤テープを見かけるがその間隔は疎らで、直ぐに見失ってしまい、結局やはり

GPS頼み。やはりYAMAPでは中級者以上と書いていただけの事はある。道は無く

コースを外さないように無理やり下って行く感じだ。この北西尾根のコースの丁度中間

地点になる四等三角点 菅生谷 1609.9m










その三角点を過ぎてもまたコースから左に少し外れて下っていた。スマホを見ながらの

修正で急な斜面を横切りながらコースに近づけていく。足元は柔らかくまだマシだが、

これが乾いた斜面ならとんでもなく危ない。











コースに軌道修正できると周りは次第に杉林の中になる。広い尾根では道を外しやすいが、

前をよく見ながら尾根らしい雰囲気を確認しながら下って行く。ただ伐採された木の枝が

そのまま放置されていて、それを避けながら下るので真直ぐには進めない。










その内に荒れた作業道に飛び出した。こうなると最悪、作業道を歩けば西山林道へと

降りられる。ただコース図は作業道は歩かずに西山林道へと続いている。その作業道を

横断してまた林の中へとコース図に従って降りて行くのだが、その取付きには切株の上に

ケルンのように誰から石を載せているのが目印になる。














ここからは何度も作業道を横切るようになるが、その都度切株の上の石を目印に林の中に

入って行くと、伐採された枝で塞がれているような場所もあった。それでも取付きだけでなく

途中もかなりの頻度でその石の目印が置いてあるので、心配なく辿って行ける。










それでも途中で何度か道から外れたが、最後は登山道らしい道になった。そしてデポした

あっちゃんの車が見えた。その場所から二人はまた道を外して西山林道には無理やり降り立った。











『最後の最後に普通の登山道じゃなくて、楽しかったわね!』とあっちゃん。普通じゃない

のはあなたのような気がしますと独り言。デポした場所から登山口まで戻り、二人と分かれた

あと、西山林道をいやしの温泉へと下って行く途中で、三嶺からの彩りの尾根越にもう月が

顔を覗かせ『気をつけて帰れよ』と言ってくれていた。

小島峠を越えての道すがらも、周りの景色に癒されながら帰路についた。

奥様たちとは若干既歩の区間が違うのだが、総日帰り回数28回、総沿面距離325.9km。

良く飽きもせず歩いたものだと我ながら感心すると同時に、後ろからヒイヒイいいながら

付いてくるへっぽこリーダーを見捨てなかった、あっちゃんとルリちゃんに感謝。二人が

いなかったら一人では到底この短い期間で達成は出来なかった事だろう。とは言えもう既に

次の線で繋ぐを考えている二人に、恐れおののくへっぽこリーダーだったのだ。










石鎚山から剣山への軌跡



今日のトラック