義母はアルツハイマー進行中。
身体は、超健康体。
活動力も満々で、スイスイピューッとチャリを漕ぐ。
頭の中だけが、砂の城状態・・・
そう、日々進行中。
お墓に財布を置きっぱなし、
畑にも、
休憩した?石の上にも・・・
腰を下ろした各所に、お金を置き忘れる。
被害妄想もあるので、無くすと盗られたと思う。
家中に(無駄に広い)お金を隠す。
解っただけでも数十カ所・・・
隠した本人はとっくに失念
続々、所々にあったお金が届く。
ご近所の心配の種となる。
溜まりかねた夫が、
「もう、お金は渡さない!」
義母、パニックになる。
「金、金、金!!!!!!」
思わずABBA。
「マネ、マネ、マネ」
首からぶら下げる財布をくちこが用意。
マジックで、住所、氏名、電話番号、夫の名刺・・・個人情報満載。
「外では、ずっと、この財布を首から提げておいてね。」
その財布も、しまい込んで失念。
そして、お金は違う財布に・・・
速やかに・・・・無くす
「首からぶら下げる財布は、ほいと(乞食?)みたいで嫌いなんだ。」
「お金を無くしたのは一回だけじゃ。」
そして・・・
「金、金、金、金をくれ!!!」
三分に一回のことも、
一日に三十回のことも、
会えなければ、電話で・・・
夫のストレスは、諸々も加わりピークに。
「もう絶対に、お金は渡さない!」と。
確かに無くし、
確かに隠す、
確かにデタラメな買い物をする。
だけど。
それは、義母のお金。
長く頑張って働いた義母のお金。
無くそうが、
隠そうが、
無駄に使おうが、
義母のお金だから良しとしよう・・・
と、夫を説得。
くちこ折衷案。
封筒に、義母の名前、夫の名前、金額、日付を書いて、お金を渡す。
義母に、便せんに受け取りを書いて貰う。
○月○日 受け取りました。
○○ ○○子
義母に、安心の笑みが
嬉しそう・・・
「絶対に無駄遣いしないよ。」
「ちょっと、お菓子を買うだけだよ。」
「遠慮せず買ってね。どんどん、お菓子もおかずも買っていいんだよ。」
「無くさなかったら良いんだよ。」
「うんうん・・・」
と言いながら、車まで見送りに来る義母。
乗り込むくちこに、ちょっと顔を曇らせて、
「わしゃあ、ちょっと、お金を貰っておこうかの・・・」
「・・・・・・」
一分前まで、覚えていたのに・・・
なんて、残酷な病気・・・