日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

高師小僧(たかしこぞう)

2012年06月24日 | インポート
息子の部屋の本棚で、「マンガ 日本の歴史がわかる本」というタイトルの本を見かけたので開いてみた。

せっかく大村市の竹松遺跡でアルバイト作業員として働かせてもらっているので、何かの参考になる事柄が書いてあるのではなかろうかと思い、古代のところを読んでみた。

すると、興味深い記述があった。

秦の始皇帝から、不老不死の薬を探す事を命じられて、日本に渡ってきたと言われる人物で、徐福という人がいたらしい。

徐福伝説は、日本各地に残り、徐福を神として祀る神社も多く残されているのだそうだ。

私は知らなかった。

その徐福さんが、マンガの中でだが、「うーむ、これだけの葦があれば大丈夫だろう。葦の根からは鉄分が取れる。その鉄分から鉄を取り出して鉄器を作れば」というくだりがあった。

植物の葦の根から鉄分が取れるのだろうかと疑問に思い、検索してみた。

「葦」と「鉄分」で検索すると、「高師小僧」というタイトルで詳しく説明している。

それによると、愛知県豊橋市の南部、高師原(たかしはら)に見られた褐鉄鉱の団塊。地下水中の鉄分が葦などの根の周りに水酸化鉄として管状、紡錘状に沈殿したものとある。

ウィキペディアによれば、生成条件として、湿地帯のアシや水田のイネの根の周囲では、鉄バクテリアが大繁殖することがあり、その作用により生成される。全長数cmの暗褐色で棒状の塊。かつて根があった場所に孔が空いている場合もあるとなっている。

発掘作業をしていて、石とは違う金属の錆びたような区域に当たった事があったので、調査員の方に尋ねると、イネ科の植物の根元には鉄分が沈殿していることもあるというような説明を受けた事がある。

その時は何のことだかさっぱり分からなかったが、調べてみて納得できた。

先週の水曜日だったと思うが、土器片でもなく陶器片でもなく石でもない、全長6cmぐらい、直径が1.5cmぐらいの、錆びた鉄のような色をしたものを掘り出した。

スコップで軽くたたいてみると、金属音に聞こえたので、隣りで作業をしていた人に、「何でしょうか」と尋ねたが分からないと言う。

とりあえず、なんだか分からない怪しい物はバケツに入れて置くようにという指示を受けていたので、バケツに入れておいた。

今日、高師小僧の写真を見て、びっくりした。

この前に掘り出したものにとても似ている。

きっと、調査員の方は気付いておられるのだろうと思う。

そういえば調査員の方が、私たちの班が作業をしている道向こうの隣りのエリアでは、鍛冶の跡と考えられる遺構が出てきたと言っておられた。

竹松遺跡への通勤途上で、竹松遺跡の近くの郡川に架かっている橋を渡ってくるが、川の中にはヨシが密生している。

竹松遺跡は、通称高師小僧という針鉄鉱(Geothite)が入手できる環境にあったであろう事が想像できる。

植物の葦の根を焼いて精製し、スズ鉄という鉄を作っていたという説もあるようで、その人の説によれば、スズ鉄の後に青銅器の時代があり、その後に砂鉄で作った玉鋼(たまはがね)の時代へと変遷したという事のようです。

高師小僧の写真画像など詳しい説明は、ここをクリックすれば見る事が出来ます。


豊田一喜