川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

ある朝鮮学校OBの体験

2010-09-26 16:40:43 | 韓国・北朝鮮
 9月24日(金)晴

 午後、卒業生のAくんとCくんが遊びに来てくれた。Aくんは何度目かだがCくんは初めてだ。

 Cくんは僕の授業をとっていたわけではないが朝鮮学校の出身だということで出会いがあった。そのうちにゆっくり話をしようと言っているうちに僕が入院ということになってしまった。

 大学を卒業してIC産業の尖端で働いていた。僕には想像がつかない労働の実態を根掘り葉掘り聞いた。それでもよくわかったわけではないが、自分の仕事に自信を持ち、生き生きと希望を持って働いていることはわかる。

 聡明ではっきりものが言える人であり、人一倍の努力家でもある。在学中から交流のあったAくんはCくんを今頃の若者には珍しい「男の中の男」だという。上司も一目置く若者に成長しているようで、僕は大いに感心し安堵した。

 この日の交流は昼過ぎから10時過ぎまで続いた。話したいこと聞きたいことがありすぎて会話が途絶えることはない。

 二人は台湾系の2世とコリア系の3世で何かと気が合う存在なのだろう。それぞれが抱えている私生活上の困難は容易に解決できるというものではない。僕も妻もただただ話に耳を傾けるだけで途方に暮れるばかりだ。

 それでも積極的に「運命」に立ち向かうCくんと新たに出会うことが出来て僕はうれしい。

 ひとつだけ印象に残った事実を記しておこう。

 Cくんが朝鮮中級学校(中学校)の3年生の「革命歴史」の時間のことだ。普段から思っていることを手を挙げて発言した。

 「こんな嘘ばかりの歴史を習うのはもういやだ」「僕は今の大切な時間を無駄にしたくない。実のある勉強をしたい」

 中三の生徒の意を決した抗議に激怒したのか、授業後この教師はCくんをどこかに連れて行って暴力制裁を加えた。

 初級学校時代は「洗脳されて」優等生だったという。中級学校に進んでから次第にこの学校のやることに疑問を持つようになった。北朝鮮の将軍様から送られてきたという「教育支援金」?について、「親たちから集めたカネではないか」といって、やはり、教員から袋だたきにあったこともあるという。

 このままでは未来は開けない、と必死で考え、行動し始めた中学生のCくん。それを暴力で制裁して恥じない教師たち。

 「革命歴史」は朝鮮学校のもっとも重視する科目である。日本の学校でいう「通知票」でも科目のトップに位置づけられている。金日成とその家族が神聖化され崇拝の対象となっている。

 いくら囲い込んでもここは日本である。中学生ともなれば教師の思うように「洗脳」するのは困難であろう。

 それでもCくんのように自分の考えをしっかり述べて立ち上がる人は少ない。制裁の「暴力」が日常化していることがその一因であろう。

 Cくんは学校の様々な妨害に屈せず、都立高校に進む道を自ら切り開いた。