オールドテイスト。
かなり。
実用現実主義である西欧人
には武器と道具と美術品の
区別は無い。
美術品である骨董品の刃物
についても、武器としての
現有能力を保有しているか
どうかにより価値観の有無
を見出す。
それゆえ、日本人が作った
モデルガンなどは映画撮影
の道具としてしか興味が持
たれなかったし、日本人が
世界で初めて作ったエアソ
フトガンについても道具と
してしか価値を見ない。
全世界でいまや大流行のエア
ソフトというエアソフトガン
を使った陣取りゲームも、エ
アソフトガンそのものへの
執着は無く、あくまで道具と
しての価値のみを求めている。
日本人が持つ日本刀という
「かつての武器」に対する
思い入れなどは西欧人には
無い。
日本刀は日本人の魂でもある
ので、欧米人と日本人が異な
るのは致し方ない。
アメリカ人は、ナイフは武器
でもあるという認識が強い。
そして、日本刀のような特殊
な道具や武器を超えた存在で
はないナイフは、アメリカ人
は当然にして刀剣代わりに武
器として殺傷にも使用して来
た。
1865年4月14日、ウィリアム・
スワード国務長官暗殺未遂で
ルイス・パウエルが使用したと
されるボウイナイフ(リオグラ
ンデ・キャンプ・ナイフ)。
ブレード長20.6センチ、全長
31.7センチ。
ブレードの根元にはWmと刻印。
ジャクソン&カンパニー / シーフ
アイランド ワークス / シェフィー
ルド製。
この時はジョージ・フォスター・
ロビンソン軍曹が暗殺者ルイス
にタックルをして暗殺を阻止し、
ナイフを取り上げた。
その時のナイフは陸軍省は1866
年に軍曹にそのナイフを下賜し
たという。
ウィリアム・スワード襲撃と
ほぼ同時刻にリンカーン大統
領が暗殺された。犯人のジョン・
ウィルクス・ブースは1.2mの
至近距離から大統領の頭部を
狙撃し、ラズボーン少佐がタッ
クルするもボウイ・ナイフを
振り回して腕を切り裂き、その
場を脱出したが、バルコニーか
ら飛び降りて脚を骨折するも
馬で現場を逃走した。
これら一連の北軍要人暗殺計画
はさらに大規模な集団同時多発
暗殺計画であった事が後に判明
している。
サブウエポンとして暗殺者たち
が装備していたのはボウイ・ナ
イフと呼ばれる大型ナイフだった。
完全に刀剣としての使用目的で
あり、実際に刀剣として使用し
ている。
ウィリアム・ジャクソン/シェ
フィールド製のボウイ・ナイフ。
一般的にリオグランデ・キャンプ・
ナイフと呼ばれるモデル。
西部開拓時代の現物のボウイ・
ナイフは現在は凡そ1,000ドル
~1,500ドル程度で売買されて
いる。
日本でいうなら大型の剣鉈の
ようなものだが、西部開拓時代
にはサーベルの代用品として
戦闘武器ともみなされていた。
リンカーン大統領暗殺犯人が
所持していたとされるナイフ
も博物館に展示されているが、
それは偽物であるとする研究者
の指摘もある。
かつて高知県の某博物館に行っ
た時に「これが龍馬の銃」と
して明らかに実銃のS&Wが展示
されていた。龍馬の家に残され
た物だとして。
真偽は疑わしいが、実銃では
あった。
何年か後に、その銃は発見届と
美術品登録証を得た物ではない
ので不法所持として警察が押収
した、との報道記事を見た。
発見届を出していないというの
は、出所不明という事だ。
龍馬の銃である可能性は限りなく
低い。どこかの家にあった未登録
のS&Wモデル2だろう。
だが、現用実包を発射できるの
で、金属薬莢の拳銃が美術品と
して登録できる筈も無く、当然
違法な銃刀法違反展示を博物館
はやっていた事になる。
アメリカでは日本のような銃刀法
は存在しないが、歴史的展示物を
出所不明なのに「○○の△△」の
実物として展示するような事は
日米を問わず行なわれるようだ。
捏造に近いかなりの適当な展示
を学芸員たちがやる。
映画『嘘八百』の世界のようだが、
現実にそうした出鱈目が本物と
される事は多い。
ボウイ・ナイフは日本刀の短刀
や脇差程度の長さがあり、鉈の
役目としてしかキャンプでは
使えないのが現実的なところの
実態だ。
これみよがしなランボーナイフ
やプレデターでのシュワちゃん
ナイフのような大型ナイフは
汎用性に乏しく、道具としての
機能も著しく低いのである。
ただし、実際のボウイ・ナイフ
というのは、その後に多く
作られたレプリカのような
長大な物ではなく、刃長が
20センチ程の小ぶりな物が
多かった。
それ位の長さのナイフはかなり
使える。それこそ、獲物の解体
や肉や食材のカットや各作業に
も使える。開拓時代に大いに
人気があったジャクソン製の
リオグランデタイプなどは、
まさにそれだった。
これ位の大きさまでなら、野外
では充分にいろいろな事に使え
る。
リンカーン大統領暗殺犯のナイフに
ついての研究者による陰謀の指摘。